なぜ、ソフトバンクは急成長し続けられるのか?(株価と業績の今後の予想・見通し)

急成長を続けるソフトバンクですが、これまでの業績、市場環境、株価の推移をみて、今後の業績、株価の予想、見通しを立てたいと思います。

 

ソフトバンクは、国内携帯会社のボーダフォンの買収、米国携帯通信会社のスプリントの買収、そして英国の半導体設計の会社のアーム(ARM)社の買収など次々の大型のM&Aをして、急成長してきました。

 

社外取締役には、日本電産の永守重信社長やユニクロの柳井社長などを迎え力強い経営体制を敷いています。(最近永守氏は社外取締役を退任したそうです)

 

ソフトバンクの経営の特徴は何と言っても大きな借り入れなどをしたリバレッジ経営でしょう。ソフトバンクは携帯通信事業を営む事業会社であると同時に、巨額の投資ファンドのような側面も持っています。

 

孫氏の率いるソフトバンクは、中国を中心に急成長したアリババなどの投資にも成功しています。バフェットが最強のバリュー投資家であるとすると、孫氏は日本を代表するグロース投資家と言えるでしょう。

 

さて、早速ソフトバンクの業績をみていきましょう。

 

ソフトバンクの売上高、利益の推移

ソフトバンクの一株あたりの売上高(緑)、EBITDA(青)、純利益(赤)の推移を見てみましょう(下図)。

ソフトバンク売上

ソフトバンクの売上高の推移(緑)を見ると、2006年と2013年の2回、大きく売上高を伸ばしています。これらは次の2つの日米携帯事業会社の買収によるものです。ソフトバンクは2006年にはボーダフォンを買収して携帯事業に乗り出しました。そして2013年には米国携帯電話大手のスプリント(Sprint)を買収しました。

 

次に、上図でEBITDA(青)と純利益(赤)だけ取り出したのが下図です。

ソフトバンク純利益

ソフトバンクのEBITDAも純利益も右肩上がりの順調伸びています。見事な成長ぶりですね。

 

次に実際の現金の動きであるキャッシュフローを見てみましょう。純利益は会計上操作可能なので、同時にキャッシュフローも確認しておくことが重要です。

ソフトバンクキャッシュフロー

青が営業キャッシュフローで、赤が投資キャッシュフロー、黄色が財務キャッシュフローです。まず気づくことは営業キャッシュフロー(青色)に比べて、投資キャッシュフロー(赤色)が大きいということです、これは営業活動で得た現金以上の資金を投資していることを示します。

 

次に気づくのが、投資キャッシュフローと財務キャッシュフローが正反対の動きをしていることです。財務キャッシュフロー(黄色)と投資キャッシュフロー(赤色)の線が横軸を中心に対象になっていることがわかります。これは、営業で得た資金で足りない投資資金を財務活動で補っているということです。簡単にいうと、外部から資金を調達して、それを投資に回しているということですね。

 

特に、2007年、2013年、2017年の投資キャッシュフローが巨額なマイナスになっています。2007年は国内携帯崇信会社のボーダフォンの買収、2013年には米国携帯通信会社の買収、そして2017年には英国の半導体設計大手<アームの買収が大きな投資キャッシュフローの原因です。

 

キャッシュフローの推移から見えてくることは、ソフトバンクはかなり攻撃的なリバレッジ経営をしているということです。通常の企業は営業キャッシュフローの範囲以内で投資キャッシュフローを抑えるので、このソフトバンクの攻撃的な経営は印象的です。

 

次の上図のキャッシュフローの図で、営業キャッシュフローだけ取り出して表示したのが下図です。

ソフトバンク営業キャッシュフロー

2つ前の図では、投資、財務キャッシュフローの中に投資キャッシュフローが埋没してよく見えませんでした。上図では、営業キャッシュフローだけ取り出したので、営業キャッシュフローが右肩上がりに順調に成長していることがわかります。営業キャッシュフローは会計操作が難しいので、この営業キャッシュフローが伸びていること見ると、ソフトバンクがしっかりと成長路線に乗っていることがわかります。

 

外部から資金調達して積極的に大型買収をしているソフトバンクですが、のれんが膨らんでいないか調べてみましょう。下図がソフトバンクの「のれん」(青色)と自己資本(赤色)の推移です。

ソフトバンクのれん

この図を見てわかることは、のれんも自己資本もほぼ同じ感じで膨らんでいます。のれんは、企業買収などをした時に、買収した会社のブランド価値として無形固定資産として計上されるものです。通常の企業であれば、自己資本に対して、ここまでのれんが膨らむことはありません。ところが、ソフトバンクでは、のれんの額がほぼ自己資本の額と同じになっています。これは、もしのれんが毀損することがあれば、すぐに債務超過に陥ることを示しています。

 

ソフトバンクが買収した、スプリントやアームの経営がうまくいかなくなると、こののれんが毀損して会計上損失として計上しなければなりません。特に今後のアームの経営、そして新しく始めた10兆円ファンドにソフトバンクの未来がかかっていると言えるでしょう。

 

ソフトバンクのセグメント別売上高、利益とEBITDA

次にソフトバンクのセグメント別の売上、利益を見てみましょう。セグメントを詳しく見ることによって、収益の細かい構造が見えてきます。

 

2017年3月期のソフトバンクのセグメント別の売上、利益をみてみましょう(下図)。

ソフトバンクセグメント利益

セグメントとしては、国内通信事業、米国携帯通信のスプリント事業、ヤフー事業、流通事業、英国半導体設計のアーム事業があります。それぞれの事業の売上高利益率をみてみましょう。

 

国内通信事業 22%

スプリント事業 5.3%

ヤフー事業 22%

流通事業 −0.8%

アーム事業 10%

 

やはり、国内通信事業とヤフー事業は安定して高い利益率を誇りますね。気になるのはスプリント事業の今後の利益率の改善ですね。

 

また、注目すべきは、最近買収したイギリスの半導体設計のアーム社がセグメント報告に載ったことです。売上で1000億程度、利益で100億程度と他のセグメントに比べてはまだまだ小さいですね。

 

ソフトバンクはこのアーム社を3.3兆円で買収しました。このアーム社の現在の利益が100億円ですので、今後利益が変わらないと仮定すると300年分の利益を先取りして買収したということになります。金額だけ考えると、すごい高い買い物ですね。。。

 

単純に考えるとアーム社は高い買い物ですが、孫社長はアーム社の未来の高成長が見えているようです。ソフトバンクの今後はこのアーム社の成長にかかっています。

 

次に、セグメント別のEBITDAをみてみましょう(下図)。並んでいる項目の順番は一つ前の図と同じです。

ソフトバンクEBITDAセグメント

特筆すべきなのは、EBITDAで見るとスプリント事業は国内通信事業に引けを取っていないということです。スプリント事業の利益率が低いですが、それは償却費がかかっているからですね。これまでにスプリント事業に投資してきましたが、償却費がだんだん減ってきて、これから回収期に入っていくことになると思われます。

 

アメリカの通信事業の契約者のシェアの推移をみてみましょう(下図)。

スプリントマーケットシェア

赤色がベライソン、青色がAT&T、黄色がスプリント、ピンクがTモバイルです。大手4つのどの通信会社も少しづつですが伸びていますね。スプリントは3位につけていますが、上位2社に比べるとだいぶ見劣りしますね。。。ソフトバンクがスプリントとTモバイルの合併に躍起になる理由も、この図を見るとわかる気がしますね。

ソフトバンクの時価総額、総資産(自己資本)、総売上(純利益)

さて、恒例の時価総額、総資産(自己資本)、総売上(純利益)の比較をしてみましょう。

 

時価総額:11兆円

総資産:24兆円(自己資本:3.7兆円)

総売上(純利益):8.9兆円(純利益の来期予測4300億円)

 

これらから、主要な指標を計算してみましょう。

 

売上高純利益率: 4.8%

自己資本比率:15%

ROA:1.7%

ROE:11%

PER:25倍

PBR:2.97倍

 

ソフトバンクの指標を見ると、まず目につくのはやはり、総資産の大きさですね。借り入れをして、大きくレバレッジをかけて経営しているので、自己資本、時価総額や売上に比べて総資産が大きく膨らんでいます。

 

投資がうまくいけば、さらに大成長をしそうですが、失敗するとかなりの大打撃になりそうな感じがします。

 

ソフトバンクの株価と理論株価

ソフトバンクの株価の推移をみてみましょう(下図)。

ソフトバンク株価

ソフトバンクの株価は2000年の付近のITバブルの時に、最高値を取った後に大暴落して、その後少しづつ上昇しています。

 

理論株価(青)と実際の株価(緑)を比較してみましょう(下図)。理論株価は純利益の15倍で計算しています。

ソフトバンク理論株価

理論株価(青)と比較すると、2000年のITバブルの時にいかに株価(緑)がファンダメンタルから乖離して高騰していたかがわかります。その後は、ほぼ理論株価通りに実際の株価が動いていますね。

 

ソフトバンクを高成長企業と考えれば、PERはそれほど高くありません。将来の成長が株価に織り込まれてはいないので、今後の成長を信じる人に取ってはソフトバンクの株価はまだまだ割安でしょう

 

少なくともスプリントの利益率が国内通信事業と同じレベルになれば、ソフトバンクの利益は倍近くに膨らみ株価をさらに押し上げることと思われます。

 

あとは、アームの今後と10兆円ファンドの今後が、ソフトバンクの将来を決めることになるでしょう。ソフトバンクを巨額投資ファンドだと考えれば、孫さんの投資手腕に期待してソフトバンクの株に投資するのは悪くなさそうです。

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