アップル(Apple)の業績・株価の今後の予想(見通し)

米国のアップル(Apple, AAPL)社は時価総額世界最大の会社です。アップル以外のグーグル、アマゾンなどの多くのIT企業も世界の時価総額ランキングに入っていて、世界のビジネスを席巻しています。

アップル(Apple)は、今は亡きスティーブ・ジョブズがマッキントッシュパソコンの開発で立ち上げた会社です。アップルは、強力ライバルのマイクロソフト・ウィンドウズとは一線を画したマッキントッシュパソコンで存在感をだしていました。そして、10年ほど前から大ブレイクしたスマートフォンの「iPhone」の大ヒットで収益を拡大し続けています。これまで、iPhoneの新製品投入による買い替え需要でアップルは業績を伸ばしてきました。

 

さっそく、アップルのこれまでの業績の推移をみてみましょう。以下の図が、アップル(Apple)の一株あたりの売上高(緑)、EBITDA(青)、純利益(赤)の推移をです(下図)。

アップル売上高2018

上図で、売上高(緑色)が2010年以降急激に伸びています。2010年というとiPhoneの初期型が発売された時期で、それ以降現在に至るまでiPhoneがスマホ市場を席巻しています。売上高、純利益などが伸び続けているのは、ユーザーが、定期的にiPhoneの新規購入、買い替えをしていることを示しています。

 

また他にも注目したいところは、売上高に対する純利益の割合が大きいことです。言い換えると、アップル(Apple)の利益率は高いということですね。これはアップルのブランド力により、アップル製品を高値で売ることができているからです。他のアンドロイドスマホに比べて、単価が高いのは店頭でも感じるところです。ブランドの力はビジネスでは重要ですね。

 

次にアップルのキャッシュフローの推移をみてみましょう。下図はアップルの営業キャッシュフロー(青色)、投資キャッシュフロー(赤色)、財務キャッシュフロー(黄色)の推移を示しています。

アップルキャッシュフロー2018

2015年までは、営業キャッシュフローは順調に増えています。しかし、2016年以降は、営業キャッシュフローが少し伸び悩んでいます。2016年以降も増収増益ですが、営業キャッシュフローが伸び悩んでいることには注意しておいた方が良さそうです。売上高や利益は会計操作が可能で数字をよく見せることが可能ですが、営業キャッシュフローは会計操作が難しく、はっきりと企業の実態が見えることが多いからです。

 

次に、アップル(Apple)のセグメント別、地域別の業績をみてみましょう。次の図が製品別(セグメント別)の売上高です。一番左の列から2018年、2017年、2016年の売上高が示されています。(アップル(Apple)の年間報告書より引用。)

アップルプロダクト別業績2018

どの年をみてもアップル(Apple)の売上高の半分以上は、iPhoneの売上が占めています。iPhoneはアップル(Apple)のキラーデバイスですね。ただ一方コインの裏表となりますが、アップルにとって脅威になるのが、iPhoneの新規製品の新鮮さがなくなり買い替え需要が減ると、アップルの業績が落ち込むことことが予想されます。

 

iPhoneの使用者ならばわかると思いますが、カメラ、インターネット、メール機能など基本的にスマホの機能はiPhone6の頃からそれほど使用感に差を感じません。iPhoneは今後も素晴らしい製品であり、人々の生活を支える重要なデバイスであることは間違い無いですが、買い替えの間隔が長くなるとアップルの業績を押し下げるでしょう。この辺が、デバイスなどのハードウェア企業のビジネスの難しいところですね。

 

次は、直近(2018年、2017年、2016年)のアップル(Apple)の地域別(国別)の売上高をみてみましょう(下図)。

アップル地域別業績2018

iPhoneをはじめとするアップル(Apple)商品は、売上高、営業利益ともにアメリカが最大となっています。そして、ヨーロッパ、中国、日本で大きく売り上げています。ただ、新興国を含めてそれ以外の地域ではあまりアップル製品が売れていないようです。
次の図がスマートフォン市場のOS別のシェアを表しています。青色がアンドロイドスマートフォンで、オレンジ色がiPhone(iOS)のシェアを表しています。

世界スマホ市場シェア2017-10-20

この図を見ると、ここ数年でアンドロイドとiOS(iPhone)以外はほぼ絶滅状態になりました。日本では、iPhoneのシェアが7割程度と非常に高く、iPhoneは大人気です。ところが、世界的に見るとiPhoneのシェアはそれほど高くなく、2016年にはiPhoneのシェアは世界的にはわずかに13%です。これは、新興国など所得の低い国では、安価なアンドロイドが好まれているという事情があります。

 

次の図が、国別のトップシェアのOSを表しています。蒼色がiOS(iPhone)が最大シェアの国、緑色がアンドロイドが最大シェアの国を表しています。

地域別スマホシェア2017-10-20

この図で、どの地域でiPhoneが売れているのかがわかり、非常に興味深いですね。上図に見るとわかる通り、iPhoneが売れているのは、北米、西ヨーロッパ、オーストラリア、日本などの所得が高い国です。一方、アンドロイドが人気の国は、南米、アジア、西ヨーロッパなどの所得が低い国です。

 

見事に二分化していて非常に面白いですね。新興国の人口の方が圧倒的に大きいので、世界的に見るとアンドロイドのシェアが大きくなっていることがわかります。

 

ただ、今後新興国が豊かになってくると、安価なアンドロイドではなく高価なiPhoneが売れていくことも十分に予想されます。アップル(Apple)の業績は成熟(飽和)状態にあるわけではなく、成長余地がまだまだ十分にあることがわかります。しかし現在までのところ、アップル(Apple)は高価なので、まだまだ新興国には裾野が広がっていません。

 

これまでのアップル(Apple)のファンダメンタルの分析を踏まえて、今後の株価を予想してみましょう。下図はアップルの株価(緑色)と理論株価(青色)の推移です。ここで、理論株価は、一株あたりの純利益を15倍してい計算しています。

アップル株価2018

株価と理論株価の推移は見事に一致していますね。アップル(Apple)の株価は、業績に完全に連動するように動いていることがわかります。理論株価から考えると、アップル(Apple)の株価自体は、ほぼ適正水準か若干高めといったところでしょう。

 

注目したいところは、アップル(Apple)のPERが15倍程度と成長企業にしてはあまり高くないことです。これは、今後のアップル(Apple)の成長が限定的と考えている投資家が多いということです。特に、ITハードウェア企業が抱える買い替え需要の問題で、アップルの今後の成長を疑問視している投資家が多いと思われます。

 

この理由として次のようなことが考えられます。IT企業は大きく分けて二種類に分類できます。ひとつはインテルやIBM、マイクロソフト、アップルのようなインフラ・ハードウェア系です。もう一方はグーグル、フェイスブック、アマゾン、ネットフリックスなどのソフトウェア系です。

 

この二種類のビジネスには根本的な違いがあります。アップルなどのハードウェア系は、iphoneなどの定期的な買い替え需要により売上があがります。これは顧客と企業の間に本質的な利益の相反があります。つまり良い機能を持った耐久性の高い良い製品を出すと、次の買い替え需要が減ってしまうということです。実際に最近のiPhone は高性能になって、新しいバージョンが新製品として登場しても、それほど利便性などが向上しなくなってきました。iPhone Xがでましたが、充電池さえ長持ちすれば、iPhone 6でも特に不自由は感じないですね。

 

アップルのようなハードウェア企業が定期的に買い替え需要を起こすように革新的な新機能を付け加えていくのは研究開発費用もかかるし大変なことです。同じことがパソコンの基本ソフトであるOSの世界でも起きています。マイクロソフトのウィンドウズも十分に高機能になって、定期的な買い替え需要がなくなっています。ウィンドウズ10を無料で配ったのは買い替え需要がなくなってきたための苦肉の策でしょう。

 

このために、ハード系の企業は一旦成長しきって成熟すると安定はしますが、そこから業績を大きく伸ばしていくのは難しくなります。これが、ハードウェア系企業(IBM、インテル、マイクロソフト)のPER(一株あたりの純利益)があまり大きくない理由です。そのため、IBMやマイクロソフトのようなインフラ・ハードウェア系企業はクラウドなどの分野に舵を取り、生き残りに必死です。

 

一方、グーグル、フェイスブック、アマゾン、ネットフリックスなどのソフトウェア系企業はハードウェア系企業とは全く違うビジネスモデルです。特に新サービスを打ち出さなくても、広告収入や定期サブスクリプションなどで、定期的なキャッシュフローが入ってきます。そして、利益率が高くスケールしやすい性質があります。このためソフト系ウェア企業のPERは高いことが多いですね。

 

今後のアップルの成長シナリオとしては次のようなものが考えられます。

 

1、iPhoneの新製品を出しても買い替えが進まず、IBMなどのハードウェア系の企業のように成長がジリ貧となる。

2、iPhoneなどの高価なアップル製品が買えなかった新興国に需要が広がり、さらなる業績向上になる。

3、これまでとは全く異なる新規のキラーデバイス(例えば音声認識スピーカーなど)のヒットで業績がさらに成長する。

 

3の可能性もありますが、スティーブ・ジョブズ亡き後、普通の企業になったアップルにとって、このような斬新なキラーデバイスを生み出すのは難しいでしょう。

 

個人的には1と2のシナリオの両方が実現するような展開を想定しています。つまり、先進国ではiPhoneの買い替え需要が減って業績が伸び悩むが、iPhoneが広がっていない新興国でiPhoneの新規購入が広まり業績が伸びるというシナリオです。

 

このシナリオ通りになれば、今後のアップル(Apple)の株価ですが、まだまだ少しづつ上昇していくと予想されます。株価が調整している時に、アップル株を少しづつ仕込んでも良さそうです。

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