前回のプログからの続きで、2015年3月期のトヨタ(7203)の決算短信の分析を進めます。
トヨタには、自動車セグメントと金融セグメントの2つのビジネスが共存しています。前回からの続きで、セグメントごとの分析を進めていきます。
(セグメントごとの損益計算書)
トヨタの連結とセグメントごとの売上高税引前当期純利益率と総資産税引前当期純利益率は以下の通りです。本当は経常利益率を見てみたいのですが、決算が米国基準で経常利益がないので、税引前当期純利益率をみてみます。
まず、左図の売上高税引前当期純利益率に注目してみますと、自動車セグメントに比べて、金融セグメントのほうが2倍程度も売上高に対して利益率が大きいことがわかります。
売上高に対する利益率が10パーセントを超えていることは儲かりやすいビジネスであることを示しています。なので、金融ビジネスはとても儲かりやすいことがわかります。
ただ、金融セグメントの利益の事業全体に多する割合はあまり大きくないので、連結でみると、売上高税引前当期純利益率は自動車セグメントとあまり変わらなくなってしまいます。
一方、右図の総資産税引前当期純利益率をみると、今度は自動車セグメントのほうが、金融セグメントより利益率が高くないます。左図とは逆の結果になりました。
これはどうしてでしょうか?
答えは、金融セグメントは、貸出資産などで、大きく資産が膨らんでいるからです。資産効率が悪いのは銀行などの金融ビジネスの特徴です。
まとめると、金融セグメントは、売上高に対しては、利益率が高いけど、総資産に対しては利益率が低くなるのです。
一見矛盾した結果ですが、売上高税引前当期純利益率と総資産税引前当期純利益率は同じ利益率でも、分母が違うので、逆の結果がでるのです。
トヨタの決算書は、金融ビジネスと自動車ビジネスの対照的な特徴が同時に出ていて面白いですね。
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