金融緩和すると、インフレ率は上昇するか?

黒田金融緩和以来、インフレ率(消費者物価指数の前年同月比)がどうなるか注目を浴びている。

黒田日銀としては、金融緩和でインフレ率を2パーセントに持っていこうとしている。理屈としては、金融緩和で、マネタリーベースを増やし、国債、ETFなどを買って、市中にお金をジャブジャブにすれば、物価が上昇していくだろうということである。

お金をジャブジャブにすれば、当然に物価は上昇して、インフレになるはずだが、いまのところなかなかインフレ率は上昇していない。どういうことであろうか?

今回は、市中に流通するお金の量と、物価の関係について考えてみたい。

思考実験をしてみよう。仮に家計や企業にあるお金が、ある日突然2倍になったとしよう。もちろん、こんなことは絶対に起こらないが、仮に起きたとしてみよう。

理論的に言えば、物価も株価も全部2倍になれば、すべて丸く収まるはずだ。当然といえば当然だ。

しかし、お金が増えたことをお互い知らないとした場合(つまり自分の資産だけ2倍に増えたと思い込んだ場合)、本当にそうなるだろうか?

基本的に、物の値段は取引の主体(買い方と売り方)が合意をすれば、いくらであってもかまわない。例えば、おにぎりは一つ100円くらいが妥当だと思うが、別にお互いが合意すれば、1000円で売ってもかまわない。

家計で考えてみよう。自分の資産が1000万円あったとして、それが急に2000万円になったとして、いきなり食費を2倍にするだろうか?

おそらく起こることは、多少高めの食材を買うかもしれないが、実際には増えた資産をすぐには使わないであろう。増えた分は、貯金してしたり、高級車をかったり、株などを買ったりするかもしれない。

おそらく、消費者物価は2,3割増える程度で、2倍にはならないことは容易に想像がつく。

つまり、おかねの量がふえても、一律に物価があがるのではなくて、 株や、土地などの資産の価格が上がる。(資産インフレがまず起こる。)これは、実際に黒田金融緩和以降に実際におこっていることだ。

お金の量が増えたときに、相対物価(2つの物価の相対的な比率)が一定ではないのだ。

配給が十分にあるときは、市中にお金が増えたとしても、消費者物価は、金融資産価格(株、土地など)に比べて、上がりにくい。

消費者物価上昇率 < 金融資産(株、土地など)価格の上昇率

お金の量と物価は比例の関係であれば、とてもわかりやすいのであるが、実際には人間の心理が絡まって、その関係を理解するのは簡単なことではない。

この辺が、金融緩和後、お金をジャブジャブにしても、なかなかインフレ率が高くならない理由である。

ただ、地震や何かの危機がおきて、消費財の配給能力が毀損した場合(またはそのような恐れがある場合)は、物価が急上昇することがあるだろう。(金融緩和後のほうが、よりひどいインフレになると思われる。)

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