バフェット指標から見たアメリカ経済と株価

アメリカ経済はリーマンショックの頃から回復して好調です。労働市場の雇用状況も改善されていて、FRBがさらなる利上げを検討しているところです。また、ダウやS&P500などのアメリカの株価も過去最高圏を推移しています。このような状況の中で、さらにアメリカ株に投資していっても良いのでしょうか?

今回は、著名米国投資家のウォーレン・バフェット氏が考案したバフェット指標を用いて、米国株価の今後を予想してみたいと思います。

バフェット指標とは何か?

バフェット氏自身、バフェット指標を「it is probably the best single measure of where valuations stand at any given moment.(いかなる時でも、バフェット指標は株価の評価をするときに最も良い指標である)」と言っています。

各国の株式の時価総額を、その国のGDP(国内総生産)で割った値がバフェット指数です。通常は、この値を100倍してパーセント表示します。バフェット指標を用いると、その国の株価が全体として割高か割安かを判断することができます。

なぜバフェット指標を用いると各国の株式が買われ過ぎか売られ過ぎかを判断することが出来るのかを少し解説してみたいと思います。

まず、国のGDPと時価総額には強い相関関係があります。その国の会社が生み出した付加価値(利益)の総額が、GDP(国内総生産)です。一方、その国の上場会社の時価総額を全て足したものが、その国の株式の時価総額になります。会社の時価総額と利益はおおよそ比例します。よって国の時価総額は、その国の会社の利益の総額にだいたい比例します。「利益」をキーワードにして、国の時価総額とGDPには強い相関関係があるというわけです。

また国のGDPは比較的安定的に推移します。それに対して、市場のセンチメントに影響を受けてその国の株式の時価総額は大きく変動します。変動の激しい時価総額を安定的なGDPと比較することにより、バフェット指標は、その国の株価が割高か割安かを判断することができるわけです。

だいたい100%前後の値を、バフェット指標は推移します。

アメリカのGDPと時価総額の推移

まずは米国のバフェット指標の分母と分子となるアメリカのGDPと時価総額の推移を見てみましょう。

アメリカGDPと時価総額

緑のラインが米国の時価総額で、青色のラインが米国の時価総額です。

上図を見ると、大きな流れで見ればアメリカのGDPも時価総額も両方とも上昇しています。ところが、アメリカのGDPは安定的に上昇しているのに対して、時価総額は激しく変動しながら上昇しています。

この50年間の間に、アメリカの時価総額は2回大きなピークをつけています。一回目は2000年頃のITバブルです。二回目は2007年頃までの住宅バブルです。そして、現在三回目のピークをつけに行っているように見えます。

アメリカのバフェット指標

次に、これをバフェット指標で確認してみましょう。
バフェット指標

緑のラインがバフェット指標(時価総額/GDP)を表しています。上図を見ると、ITバブル(2000年)頃と米国住宅バブル(2007年)頃に、バフェット指標はピークをつけています。現在、三回目のピークをつけに行っているように見えます。

米株に投資すべきか?

バフェット指標を見る限り、アメリカ株は高値圏を推移しているように見えます。今後予想されるFRBによる利上げにより米株が大きく調整する可能性が高そうです。また、債務問題を抱える中国で信用不安などが起きれば、アメリカ株は一気に下落トレンド入りする可能性もありそうです。

日本株は米株と強く相関していますので、米株が調整や下落トレンドに入れば日本株も大きく下落するでしょう。その場合、日経平均で1万円台前半も覚悟しておいたほうが良いでしょう。

投資は慎重に!