アップル(Apple)の業績・株価の今後の予想(見通し)

米国アップル(Apple, AAPL)社のこれまでの業績と株価と市場環境を振り返り、今後の業績と株価を予想したいと思います。

 

米国のアップル(Apple, AAPL)社は時価総額世界最大の会社です。アップル以外のグーグル、アマゾンなどの多くのIT企業も世界の時価総額ランキングに入っていて、IT企業は世界のビジネスを席巻しています。

 

アップル(Apple)は、今は亡きスティーブ・ジョブズがマッキントッシュパソコンの開発で立ち上げた会社です。アップルは当初、強力ライバルのマイクロソフト・ウィンドウズとは一線を画したマッキントッシュパソコンで存在感をだしていました。そして、10年ほど前にスマートフォンの「iPhone」の大ヒットがあり、それ以来収益を拡大し続けています。ここ10年は、iPhoneの新製品投入による買い替え需要でアップルは業績を伸ばしてきたといえるでしょう。

 

今後のアップルの業績、株価を予測するために、まずこれまでの業績と株価を振り返ってみましょう。まずは、アップルのこれまでの業績の推移をみてみましょう。以下の図が、アップル(Apple)の一株あたりの売上高(緑)、EBITDA(青)、純利益(赤)の推移です(下図)。

 

アップル売上高2018

上図で、売上高(緑色)が2010年以降急激に伸びています。2010年というとiPhoneの初期型が発売された時期で、それ以降現在に至るまでiPhoneがスマホ市場を席巻しています。j上図のように売上高、純利益などが伸び続けているのは、ユーザーが定期的にiPhoneの新規購入・買い替えをしていることを示しています。

 

また他にも注目したいところは、売上高に対する純利益の割合が大きいことです。言い換えると、アップル(Apple)の利益率はハードメーカーにしては高いということですね。これはアップルのブランド力により、アップル製品を高値で売ることができているからです。他のアンドロイドスマホに比べて、単価が高いのは店頭でも感じるところです。ブランド力はビジネスでは重要ですね。

 

次にアップルのキャッシュフローの推移をみてみましょう。下図はアップルの営業キャッシュフロー(青色)、投資キャッシュフロー(赤色)、財務キャッシュフロー(黄色)の推移を示しています。

アップルキャッシュフロー2018

2015年までは、営業キャッシュフローは順調に増えています。しかし、2016年以降は、営業キャッシュフローが少し伸び悩んでいます。2016年以降も増収増益ですが、営業キャッシュフローが伸び悩んでいることには注意しておいた方が良さそうです。売上高や利益は会計操作が可能で数字をよく見せることが可能ですが、営業キャッシュフローは会計操作が難しく、はっきりと企業の実態が見えることが多いからです。

 

次に、アップル(Apple)のセグメント別、地域別の業績をみてみましょう。次の図が製品別(セグメント別)の売上高です。一番左の列から2018年、2017年、2016年の売上高が示されています。(アップル(Apple)の年間報告書より引用。)

アップルプロダクト別業績2018

どの年をみてもアップル(Apple)の売上高の半分以上は、iPhoneの売上が占めています。iPhoneはアップル(Apple)のキラーデバイスですね。ただ一方、アップルは業績の大部分をiPhoneに頼っているので、iPhoneの新規製品の新鮮さがなくなり買い替え需要が減ると、アップルの業績が落ち込むことことが予想されます。

 

iPhoneの使用者ならばわかると思いますが、カメラ、インターネット、メール機能など基本的にスマホの機能はiPhone6の頃からそれほど使用感に差を感じません。iPhoneは今後も素晴らしい製品であり、人々の生活を支える重要なデバイスであることは間違い無いですが、iPhoneの進化が飽和してきて買い替えの間隔が長くなるとアップルの業績を押し下げると予想されます。この辺が、デバイスなどのハードウェア企業のビジネスの難しいところですね。

 

次は、直近(2018年、2017年、2016年)のアップル(Apple)の地域別(国別)の売上高をみてみましょう(下図)。

アップル地域別業績2018

iPhoneをはじめとするアップル(Apple)商品は、売上高、営業利益ともにアメリカが最大となっています。そして、ヨーロッパ、中国、日本の順で売上高があります。ただ、それ以外の地域では新興国を含めてあまりアップル製品が売れていないようです。

 

新興国でiPhoneが売れてないということをどういうことでしょうか?
次の図がスマートフォン市場のOS別のシェアを表しています。青色がアンドロイドスマートフォンで、オレンジ色がiPhone(iOS)のシェアを表しています。

世界スマホ市場シェア2017-10-20

この図を見ると、ここ数年でアンドロイドとiOS(iPhone)以外はほぼ絶滅状態になりました。日本では、iPhoneのシェアが7割程度と非常に高く、iPhoneは大人気です。ところが、世界的に見るとiPhoneのシェアはそれほど高くなく、2016年にはiPhoneのシェアは世界的にはわずかに13%です。これは、新興国など所得の低い国では、安価なアンドロイドが好まれているという事情があります。

 

次の図が、国別のトップシェアのOSを表しています。蒼色がiOS(iPhone)が最大シェアの国、緑色がアンドロイドが最大シェアの国を表しています。

地域別スマホシェア2017-10-20

この図で、どの地域でiPhoneが売れているのかがわかり、非常に興味深いですね。上図に見るとわかる通り、iPhoneが売れているのは、北米、西ヨーロッパ、オーストラリア、日本などの所得が高い国です。一方、アンドロイドが人気の国は、南米、アジア、西ヨーロッパなどの所得が低い国です。

 

見事に二分化していて非常に面白いですね。新興国の人口の方が圧倒的に大きいので、世界的に見るとアンドロイドのシェアが大きくなっていることがわかります。

 

ただ、今後新興国が豊かになってくると、安価なアンドロイドではなく高価なiPhoneが売れていくことも十分に予想されます。アップル(Apple)の業績は成熟(飽和)状態にあるわけではなく、成長余地がまだまだ十分にあることがわかります。しかし現在までのところ、アップル(Apple)は高価なので、まだまだ新興国には裾野が広がっていません。

 

 

これまでのアップル(Apple)のファンダメンタルの分析を踏まえて、今後の株価を予想してみましょう。下図はアップルの株価(緑色)と理論株価(青色)の推移です。ここで、理論株価は、一株あたりの純利益を15倍して計算しています。

アップル株価2020-1

ここ直近株価が理論株価を大幅に上回っていますが、それまでは株価と理論株価の推移は見事に一致しています。アップル(Apple)の株価は、基本的に業績に完全に連動するように動いていることがわかります。最近急に株価が急上昇して理論株価から乖離しています。iPhone以外のアップルストアやアップルミュージックなどのサービスが伸びており、投資家の注目を集めているようです。アップル(Apple)の株価自体は、理論株価と比べるとだいぶ高めといったところでしょう。

 

さて、アップルの今後の株価と業績について考えてみましょう。

 

IT企業は大きく分けて二種類に分類できます。ひとつはインテルやIBM、マイクロソフト、アップルのようなインフラ・ハードウェア系です。もう一方はグーグル、フェイスブック、アマゾン、ネットフリックスなどのソフトウェア系です。

 

この二種類のビジネスには根本的な違いがあります。アップルなどのハードウェア系は、iphoneなどの定期的な買い替え需要により売上があがります。これは顧客と企業の間に本質的な利益の相反があります。つまり良い機能を持った耐久性の高い良い製品を出すと、次の買い替え需要が減ってしまうということです。実際に最近のiPhone は高性能になって、新しいバージョンが新製品として登場しても、それほど利便性などが向上しなくなってきました。iPhone11がでましたが、充電池さえ長持ちすれば、iPhone 8など古いモデルでも特に不自由は感じないですね。

 

アップルのようなハードウェア企業が定期的に買い替え需要を起こすように革新的な新機能を付け加えていくのは研究開発費用もかかるし大変なことです。同じことがパソコンの基本ソフトであるOSの世界でも起きています。マイクロソフトのウィンドウズも十分に高機能になって、定期的な買い替え需要がなくなっています。ウィンドウズ10を無料で配ったのは買い替え需要がなくなってきたための苦肉の策でしょう。

 

このために、ハード系の企業は一旦成長しきって成熟すると安定はしますが、そこから業績を大きく伸ばしていくのは難しくなります。これが、ハードウェア系企業(IBM、インテル、マイクロソフト)のPER(一株あたりの純利益)があまり大きくない理由です。そのため、IBMやマイクロソフトのようなインフラ・ハードウェア系企業はクラウドなどの分野に舵を取り、生き残りに必死です。

 

一方、グーグル、フェイスブック、アマゾン、ネットフリックスなどのソフトウェア系企業はハードウェア系企業とは全く違うビジネスモデルです。特に新サービスを打ち出さなくても、広告収入や定期サブスクリプションなどで、定期的なキャッシュフローが入ってきます。そして、利益率が高くスケールしやすい性質があります。このためソフトウェア系IT企業のPERは高いことが多いですね。

 

今後のアップルの成長シナリオとしては次のようなものが考えられます。

 

1、iPhoneの新製品を出しても買い替えが進まず、IBMなどのハードウェア系の企業のように成長がジリ貧となる。

2、iPhoneなどの高価なアップル製品が買えなかった新興国に需要が広がり、さらなる業績向上になる。

3、これまでとは異なる新規のサービス(カード事業(Apple card),アップルミュージック、Airpods)のヒットで業績がさらに成長する。

 

現在3番目のシナリオが株価に織り込まれつつあり、アップルの株価が急騰しています。

 

長期的には2番目のシナリオの展開も想定できるでしょう。つまり、iPhoneが広がっていない新興国でiPhoneの新規購入が広まり業績が伸びるというシナリオです。

 

今後のアップル(Apple)の株価ですが、3番目のシナリオの織り込みでかなり高騰しています。アップル株は高値掴みをしないように(PER15倍程度になるまで)しばらく様子見したほうが良いでしょう。

アマゾン(Amazon)の業績と株価の今後の予想(見通し)

日本でもおなじみの、ECショッピングサイトを経営しているアマゾン(Amazon)ですが、株価がいったん最高値を付けたところから急落して、最近徐々に以前の最高値に戻りつつあります。これまでアマゾン株は非常に高いところまで買われてきました。絶好の買い場でしょうか?この記事の主要なポイントは次の2点です。

 

(1)アマゾンは大きく利益を出しているが、それをガンガン新規投資に回して会社が急成長している。

(2)株価は非常に高値水準で、現在の売り上げ規模の5倍程度までの成長まで織り込み済みである。

 

詳細は以下の記事をどうぞ。

 

アマゾンは米国のインターネット通信販売の最大手ですが、実はクラウド分野でも非常に強いです。クラウドとは、クライアント側(この場合だとアマゾンの顧客企業)のコンピューターにシステムを置くのではなく、サービス側(この場合だとアマゾン)にシステムをおくITシステム構築の方法です。これにより、自社でコンピューターのメンテナンスをしなくてすみ、負担が減るので、最近の企業はこのクラウドにシステムを移行するところが多くなってきています。アマゾンは、このクラウド分野でも急成長しています。

 

 

下図がアマゾンの一株あたりの売上高(緑)と利益(青)です。

amzn-revenue-2019-5

ここ10年以上にわたって、アマゾンの売上高は急拡大しており、今後もさらに拡大していきそうな雰囲気です。一方、利益の方は、売り上げ程には伸びておらず、ほぼ横ばいといった感じです。そして、アマゾンは配当も出していません。

 

この現象をどう考えたら良いでしょうか?二つの可能性が考えられます。

 

(1)ひとつはセールスやキャンペーンなどの安売りで、売値を下げ利益を削って、売り上げを拡大させている可能性です。

(2)もう一つの可能性は粗利という形では十分利益がでているが、新規投資をたくさんやっていて、沢山ある利益を投資に回して表面的に利益が少なく見えている可能性です。

 

この二つの可能性がありますが、アマゾンの場合はどっちでしょうか?

amzn-cashflow-2019-5

結論的にいうと(2)です。この理由を知るには、上図のキャッシュフロー計算書を見るとわかります。アマゾンのキャッシュフロー計算書を見ると面白い事がわかります。具体的には営業キャッシュフローと投資キャッシュフローです。アマゾンの営業キャッシュフロー(上図青色)は右肩上がりに上昇してきますが、投資キャッシュフロー(上図赤色)はマイナス方向に右肩下がりに減少しています。この形はまるでワニの口のような感じす。

 

これでわかることは本業ではしっかり儲けて、大きな営業キャッシュフローを出しているが、この儲け分をそっくり新規投資つまり投資キャッシュフローに回しているということです。このガッツリもうけて、さらに新規投資に回すサイクルがアマゾン急成長の原動力ですね。

 

次の表がアマゾンのセグメント別の売上、利益の表です。

amzn-segment-2019-5

アマゾンをセグメント別で見ると、北米と海外、AWSの3つのセグメントがあります。最初の項目の「北米」とは、北アメリカ(アメリカ、メキシコ)などでのアマゾンEC(アマゾンショッピング)のセグメントです。このセグメントでは、売り上げも利益も順調に伸びています。2018年の年間報告書では、北米セグメントの売り上げが141ビリオンドル(14兆円くらい)で、営業利益が7.2ビリオンドル(7200億円位です。)、利益率では5.1%くらいでEC事業としてはまあまあでしょうか。(営業利益は社員向けなどのストックオプション分を引いた後の数字で見ていますので、実際の営業利益はもう少し大きいです。)

 

2番目の項目の「海外セグメント」は海外でのアマゾンECのビジネスです。日本のアマゾンショッピングもこれに含まれます。海外売り上げは北米の半分程度で65ビリオンドルです。利益は赤字で2ビリオンドルです。海外ECは、投資がまだまだ進行していて、利益が出るのはまだまだこれからになりそうです。

 

最後の「AWS」のセグメントです。AWSとは何かご存知ない方もいると思いますので、少し解説します。AWSはいわゆるクラウドサービスで、サーバーなどのコンピューターリソースを顧客企業にレンタルするものです。レンタルサーバーといった感じですね。今は、大手の企業も自社のITシステムを自社内ではなく、アマゾンからサーバーを借りて運用(AWS)しています。AWSが通常のレンタルサーバーと異なるのは、サーバーの容量などの能力を簡単にスケールさせることができることです。このために、大手企業などがこぞってAWSでシステムを運用し始めています。クラウド分野はこれからのIT業界の主戦場になりそうです。

 

AWSのセグメントの売り上げは25ビリオンドル(2兆5千万円くらい)で、営業利益は7.2ビリオンドルです。営業利益率で28%と非常に高いです。AWSセグメントは、アマゾンECを上回る利益を稼ぎ出しており、これからも非常に有望なセグメントです。

 

海外のECビジネスは成長の余地が大きく、さらに投資をどんどん加速して成長を続けそうです。また、AWSクラウドの成長率は驚異的で利益率も高くECビジネスを抜いてアマゾンの主要セグメントになっています。アマゾンは今後も高成長を続けるでしょう。

 

リーマンショックの時にもアマゾンは業績にそれほど影響はありませんでした。アマゾンは成長段階にあったので、景気の影響を受けなかったのかもしれません。ただし、EC市場が成熟してしまうと少なくともECビジネスの方は景気循環の影響を受けるかもしれません。一方、AWSクラウドビジネスは今後も景気の影響は受けにくいディフェンシブなビジネスであり続けると思われます。理由は、アマゾンの顧客は、AWSクラウドを導入している自社のシステムを、景気が悪いからといって止めるわけにはいかないからです。携帯電話ビジネスが、景気に強いディフェンシブなビジネスであるのと同じ理由です。

 

自己資本比率は27%と米国の会社らしく低い数字です。また、ROEは来期予想で30%と良い数字です。資本効率が良いですね。下図がアマゾンの株価です。
amzn-stockprice-2019-5

 

現在(2019/12/20)のアマゾンの株価は1792ドルで、EPSが23.9ドルなので、PERは75倍と非常に割高水準です。PBRを見ても18倍と割高です。この株価は、アマゾンの今後の成長を織り込んだ価格になっています。では、一体アマゾンの今後どれくらいの成長まで、この株価に織り込まれているでしょうか?

 

一つの考え方としては、一般論として総売上高、総資産と時価総額がだいたい同じオーダーの数字になるという考え方があります。この考え方を使うと、今アマゾンの一株あたりの売り上げが482ドルなので、これがアマゾンの現在株価の1792ドルまで成長すると考えると、約3.7倍までの成長が現在の株価に織り込まれていると考えられます。

 

ここで、利益ではなくて売上高で、今後の成長の織り込み度合いを測ったのには理由があります。それは、現在アマゾンは儲けた利益を積極的に投資に回しており、利益ではアマソンの現在の実力を正確に測れないと考えたからです。

 

まとめると、アマゾンは急成長を続けており、今後も成長が期待できます。一方、株価は今後の3.7倍程度までの成長を織り込んでおり、だいぶ割高水準かもしれません。しかし、最近の株価の調整場面で少し割安感が出てきましたので投資しても良いかもしれません。

 

投資のリスクとしては、アマゾンの今後の成長が想定より良くならない場合です。ECサイトだと、アリババやその他の競合が市場に食い込んできた場合などが成長の阻害要因になるでしょう。また、クラウドでも、グーグルやIBMなどの競合がこの市場でのし上がろうとしています。ECサイトもクラウドも競争の激しい分野ですので、今後のアマゾンの動向には目が離せません。

SUMCOの決算から半導体需要の動向を探る(今後の業績と株価)

SUMCOは信越化学工業と並ぶ半導体用シリコンウェーハの大手で、世界シェア3割を握る企業です。SUMCOのビジネスモデルは、シリコンウェーハ事業の一本足打法であり、半導体市況の影響を強く受ける企業だという点です。今回はSUMCOの決算を通して、新型コロナウィルスの影響が半導体市況にどのように影響を与えるのかを確認することで、半導体業界全体の動きを確認していきたいと思います。

 

SUMCOは12月決算の会社です。したがって新型コロナウィルスの影響を確認するためには2020年第一四半期(2020年Q1)の決算を確認することになります。

 

SUMCOの2020年Q1決算は、売上が722億円で昨年のQ1決算と比べると12.0%減、営業利益が116億円となり昨年のQ1と比べると41.2%減となりました。非常に大きな減収減益決算となっています。しかし半導体用シリコンウェーハ市場は、300ミリ、200ミリともに前四半期を底に緩やかな回復基調となり、想定通りの内容だったと会社側は説明しています。

 

四半期業績推移グラフでこれまでの業績推移を確認してみると売上、利益ともに底打ちし、反転増加してきていることが確認できます。半導体の市況は、会社側の説明の通り2019年Q4で底うちし最悪の状況は脱したといえるでしょう。

 

同じ結論ですが、SUMCOの営業利益の増減分析を対前年比で比較した資料からも販売、生産関係の減少から利益が下押しされているのがわかります。そして今後の2020年Q2の決算見通しでは、販売、生産量の増加トレンドが維持されると予想されています。つまり、会社側は新型コロナウィルスの影響が出ている2020年4月〜6月の期間でも、マイナスの影響が出ないどころか順調に売上げが回復すると想定しているのです。

 

また2020年Q2の決算見通しでは、減価償却費が増加していることがわかります。新たな需要が膨らむ可能性をみて、設備更新や修繕などを増やしている可能性すらあります。これは会社側の攻めの姿勢が表れていると解釈できます。

 

地域別に比較した資料を確認すると、SUMCOの売上げはアジアが半分以上を占めていることがわかります。そのアジアでの売上げは、2019年Q1をピークに売上げの下落が目立っていました。またSUMCOの売上げのおよそ四分の一を占める日本も、2019年Q1をピークに売上げが下落していました。しかしアジア、日本国内向けの売上げの下落が、足元では落ち着いてきたようです。その一方で、欧州、北米向けの売上げは低迷したままとなっています。

 

ところで自動車は、たくさんの部品を組み合わせて作られている製品です。したがって一部の部品が納入されないために、全ての生産工程を停止しなければならないサプライチェーンのリスクをはらんでいます。今回のようにパンデミックが発生し世界のどこかで都市機能や工場の生産能力がマヒすると、その都市や工場から部品供給がなされず、日本の自動車メーカーに影響が出るのです。この動きが自動車向けの半導体分野にも波及した可能性があります。自動車向けの半導体分野は200ミリウェーハを利用する設備が多く、そうした需要に大きく左右されるのですが、2020年Q2の決算見通しにも新型コロナウィルスによりサプライチェーンに影響が出ていると説明があります。そして2Q年後半にかけてウェーハ需要にどう影響するかは不透明であり、それ以降も自動車・産業関連需要の回復が先行き不透明であると述べられています。

 

しかしSUMCOにとって、新型コロナウィルスの影響は負の側面ばかりではありません。テレワークが普及したことで、二つの側面から半導体の需要増加が期待できるのです。

 

一つ目の側面ですが、2020年Q2の決算見通しのところでも、テレワークの普及によりPC・タブレット・データセンター等には強い需要が発生していると説明されています。そしてシミュレーションも提示されています。世界の人口のうち、2019年のテレワーク人口は3億9000万人です。このテレワーク人口が2割増加し新規PCを購入するケースでは、300ミリウェーハに換算して月18万枚の需要が生まれると試算されています。また、テレワーク人口が5割増加し新規PCを購入するケースでは 、300ミリウェーハに換算して44万枚の需要が発生すると説明されています。

 

半導体の需要増加が期待できる二つ目の側面は、通信量が拡大する点です。SUMCOでは通信関連の報道をベースにし、2020年の通信量は2019年の2倍になると予測しています。この通信量の増大により、サーバー関連のシリコン需要推定は2020年に18万枚の増加予想となっています。

 

テレワーク人口が増加し、2020年の通信量が2019年の2倍になるだけで合計300ミリウェーハに換算して月36万枚〜月62万枚の増加予想となります。これだけでも大きな数字であるといえます。

 

そして今後の通信量の増加に関してSUMCOの資料では、ケース(A) 2021年以降は通信量フラットになるケースと(B) 2021年以降も通信量の成長率を維持するケースを提示しています。これによると、(B) のケースでは2021年〜2022年にかけて月50万枚の増加が示唆されています。(B) のケースでは、さらに半導体の需要が増加するということです。

 

次に第5世代移動通信システム(5G)が半導体需要にもたらす影響も確認していきます。SUMCOのアニュアルレポートでも、会長兼CEOの橋本眞幸は「5Gにより、社会のコミュニケーションのあり方などが大きく変わることになります。そして、この実現のために欠かせないのが、大容量・超高速の情報伝達を担うロジック、メモリ向け300ミリウェーハの技術です」と述べています。5Gは数少ない日本の成長分野といえます。

 

SUMCOの資料ではスマートフォンの出荷予想が掲載されています。これによると、2020年におけるスマートフォンの出荷台数は前回の予想よりも下方修正されています。ただし興味深いのは、2020年から5G対応のスマートフォンの割合が急増していくという点です。スマートフォンに占める5Gの割合は2020年に14%程度ですが、2023年には50%を超える予想となっています。これにより、5Gに対応した高性能のスマートフォンが出荷されることになっていくのです。これまでの機種に比べて、使用される300ミリシリコン面積は1.7倍になると説明されています。出荷台数が横這いでも、スマートフォンの高性能化により、半導体需要は増加していくのです。

 

SUMCOの決算資料から半導体用シリコンウェーハ市場の市況と今後の予測を確認したところ、300ミリ、200ミリともに2019年10〜12月期を底に緩やかな回復基調となっています。今後の市場予測に関しては、新型コロナウィルスの影響により、自動車・産業関連需要の回復等が不透明なことから、200ミリ以下の需要の予測は困難な状況です。しかし、テレワークの普及によりパソコン・タブレット・データセンター等において、今後とも底堅い需要が期待できます。また5Gの浸透により、スマートフォンなどの高性能化が進めば、必要な半導体も増えていくとのことです。

 

参考URL
SUMCO決算説明会資料

https://www.sumcosi.com/ir/library/presentations/

SUMCOアニュアルレポート

https://www.sumcosi.com/ir/library/annual/

 

*本稿は協力執筆者による記事です。

*投資は自己責任でお願いいたします。

「若者の車離れ」の中で残存者利益を狙う【9882】イエローハット株

株式市場がコロナショックから立ち直りつつある中、カー用品ショップ大手のイエローハットの株価は割安に評価されています。イエローハットの業界では若者が自動車を持たなくなってきているといわれ、衰退するとの声があります。しかし実態を調べてみると自動車の需要は十分にあり、自動車整備業界では人材不足に悩まされているのです。そのような状況でイエローハットは市場の変化を的確に捉えた戦略で業績を伸ばし続けています。

 

この記事ではイエローハットに株式投資をする価値があることを、業界の動向、同社の経営戦略と業績、そして株価の割安性の観点から解説します。

イエローハットはカー用品販売とメンテナンスで業界2

株式会社イエローハットは東京都千代田区に本社がある自動車用品販売と卸売を行う企業です。昭和37年に設立以降店舗を増やし続け現在は国内738店舗、海外に3店舗を展開しています。地域のカーライフをサポートする企業として、消耗品(オイル・タイヤ・バッテリーなど)の交換や車検サービスを中心に営業しています。

 

自動車整備市場は約5.5兆円の規模がある

 次に自動車整備業界の展望について解説します。イエローハットが属している自動車整備業界は自動車が普及している日本では一定の市場があります。国土交通省の調査によると自動車整備業界は平成16年から平成26年にかけて5兆円から6兆円規模の市場があったとしています。

 

自動車保有台数は今でも伸びている

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【出典】自動車検査登録情報協会公式ホームページより引用

https://www.airia.or.jp/publish/file/r5c6pv000000ogxg-att/(1).pdf

 

若者の車離れが叫ばれていますが、国内の自動車数は増えています。自動車検査登録情報協会によると、2019年の自動車保有台数は約8,200万台です。保有自動車数の増加傾向は過去数十年間続いており、今後は人口減少の影響を受けるものの急激な減少は無いと見られます。

 

自動車使用年数は長くなっている

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【出典】自動車検査登録情報協会公式ホームページより引用

https://www.airia.or.jp/publish/file/r5c6pv000000ogyc-att/(3).pdf

 

一方で自動車を使用し続ける期間は長くなっています。自動車検査登録情報協会によると平成31年の乗用車の平均使用年数は13.26年です。これは平成21年と比較して1.58年伸びています。

 

これは自動車の性能が向上したことが原因として考えられます。そして車を長期間使用することは消耗品であるオイル・タイヤそして、法定点検に対する需要を後押します。

 

三大都市圏以外は自動車がメインの移動手段

 

●交通手段として自動車を使用する分担率(平成22年)

三大都市圏

21.4

地方中枢都市圏

(札幌・仙台・広島・福岡・北九州)

44.9

地方中核都市圏

(人口30万~40万人)

62.3

その他の地方都市

71.2

【出典】国土交通省 平成22年全国都市交通特性調査集計

https://www.mlit.go.jp/common/001095345.pdf

 

都会で自動車を保有することは駐車場代など維持費が高くなります。さらに都会では鉄道網が発達しているので自動車を保有しない人が多くいるのです。国土交通省が平成22年に調査した結果では三大都市圏で自動車が交通手段としての役割を果たしている比率は21.4%でした。

 

ところがそれ以外の地域では交通手段として自動車が担っている比率は高くなります。人口30万~40万程度の地方中核都市やさらに人口の少ない地域では自動車を交通手段とする比率は60%を超えているのです。例えば地方都市に住む家族では大人1人につき1台の自動車を保有していることも多く見られます。

 

自動車整備企業の8割が中小・零細

次に自動車整備業界の内情について解説します。国内で自動車整備業を営むには国道交通省から認証工場もしくは指定工場として認可を受ける必要があります。国土交通省による平成25年の調査では国内の事業者数は7.4万、そして認証工場は約9.2万あるとされています。さらに事業者の規模を従業員の人数で分類すると約77%の事業者は従業員10人以下で運営されているのです。

【参考】https://www.mlit.go.jp/common/001095345.pdf

 

整備士学校への入学者は半減している

近年の自動車整備業界では人材供給不足が問題になっています。国土交通省の調査では自動車整備士の高齢化と志望する若者の減少が顕著になっています。自動車整備要員の平均年齢は平成10年から平成26年の間に5歳以上高くなったのに対して、平成15年から平成26年にかけて自動車整備士養成校への入学者数は半減しているのです。

 

また業界全体として十分な人員を確保できない企業が過半数を占めています。実際ある自動車ディーラーに働く整備士も休日の確保に苦労するくらい人手不足だと言っています。

【参考】https://www.mlit.go.jp/common/001095345.pdf

 

高度化する自動車技術への対応力とカー用品の内製化

一方で自動車整備業界は活躍できる市場が狭められています。近年の自動車はハイブリッドカーを始め電子制御されているものが多く、整備には専用の機器が必要です。そのため整備業界では機器の導入と整備士の知識向上に投資する必要があるのです。

 

また自動車整備業界の利益を支えていた各種カー用品は自動車メーカーによる純正品が普及したため、カーショップでの売上が低迷しています。またスマートフォンなど通信機器の発達も市場を狭めているのです。

 

例えば、かつてはカー用品の定番だったドリンクホルダーですが今では自動車に標準装備されています。またカーナビに関してもスマートフォンで代用するドライバーが多くなっているのです。したがって自動車整備業界では車検とタイヤ・オイルといった消耗品を軸にして、時代に合わせた商品戦略を立てていく必要があるのです。

 

後継者不足は廃業や事業の売却が進む

このような現状に自動車整備業界では事業の継続をあきらめるケースが増えています。後継者が不足した状態を改善するには自動車整備士養成校への入学者数が増える必要があります。また中小の整備事業者では商品を格安に仕入れるだけの規模がありません。したがって自動車整備業界の廃業や事業譲渡は今後も続くものと推測できます。

 

イエローハットは地方のカー用品店をМ&Aで子会社化

自動車整備市場に持続性がある中で、人材不足になっている現状に対してイエローハットはМ&Aを用いて事業を拡大する戦略をとりました。

 

●イエローハットの主な企業買収事例

年度(平成) 買収先企業名 現社名

平成22

株式会社イッシン

福岡イエローハット

株式会社ジョイフル

 

平成23

株式会社モンテカルロ

広島イエローハット

平成24

株式会社ドライバースタンド

2りんかんイエローハット

平成25

株式会社アップル

栃木イエローハット

平成26

株式会社ウィル

SOX・イエローハット

平成28

株式会社ベストウィング

山形イエローハット

平成30

株式会社ホップス

新岐阜イエローハット

【出典】イエローハット公式ホームページより引用

http://www.yellowhat.jp/corp/about/history.html

 

このようにイエローハットでは地方で活躍していたカーショップを次々と買収しました。その結果イエローハットは急速に全国展開を進めることができたのです。

 

イエローハットは商品を仕入れることに専念している 

積極的な買収を進めたところで、業績が伴わなければいけません。イエローハットでは買収先の企業に対して従来の経営陣やスタッフで事業を継続させる方針をとっています。そして各買収先の企業にはイエローハットが一括仕入した商品を販売してもらうのです。

 

そのため買収先の自動車整備会社はこれまで通り地域顧客との関係を継続しながら、共同仕入れによって消耗品や流行の商品を安い価格で販売できるようになったのです。こうして買収先の企業から顧客が離れることを防ぎ、イエローハット全体として業績を伸ばすことができたのです。

 

シェアトップの【9832】オートバックスセブンよりも良好な業績推移

ところで自動車整備業界ではイエローハットの上を行く「オートバックスセブン」という会社があります。オートバックスセブンとイエローハットでは業績にどの程度違いがあるのでしょうか。

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【出典】オートバックスセブン・イエローハット各社公式ホームページより引用

https://www.autobacs.co.jp/ja/ir/finance/pl.html

http://www.graphbutler.jp/graph/E02735/jp/

 

実はこの10年間オートバックスセブンでは売上が伸び悩んでいます。一方でイエローハットは買収戦略が功を奏し増収を続けているのです。

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【出典】オートバックスセブン・イエローハット各社公式ホームページより引用

https://www.autobacs.co.jp/ja/ir/finance/pl.html

http://www.graphbutler.jp/graph/E02735/jp/

 

利益面でも両者の違いは顕著です。2014年までは両社ともに利益成長が見られました。ところがそれ以降、オートバックスセブンは利益が低迷する中でイエローハットは利益を保持しているのです。

 

株式市場では成長しないと思われている

ではイエローハットは株式市場でどのような評価を受けているのでしょうか。イエローハットの2020526日の終値は1573円でした。これはPER9.8倍そしてPBRでは0.86倍となります。株式市場はイエローハットの成長性は期待されていないと分析できます。しかし今後もイエローハットは着実な成長ができると信じられる方は、今なら割安な株価で投資することができるのです。

 

アフターコロナではイエローハットの今後の成長に期待できる

 

今回は成熟した自動車整備業界で成長し続けているイエローハットについて解説をしました。記事のポイントは以下の通りです。

 

l自動車整備業界は今後も需要が堅調

l自動車整備業界では人材不足

lカー用品は時代に合わせた機動力のある商品戦略が必要

lイエローハットは買収戦略で人材不足と商品戦略を解決した

l最大手のオートバックスセブンを凌ぐ利益をあげている

l今の株価は成長性を加味されていない

 

このようにイエローハットは業界の残存者利益を得るために着々と戦略を実行し、成果を上げています。さらに今後は新型コロナウィルスの予防に向けて、郊外や地方への移住や自動車通勤が増えて自動車整備への需要が高まることが期待できます。イエローハットのさらなる成長に期待したいものです。

 

*本稿は協力執筆者による記事です。

*投資は自己責任でお願いいたします。

コロナショックは怖いが【5909】株式会社コロナへの投資はほぼ安全だといえる理由

コロナショックは株式市場に大きな暴落をもたらしました。株価を戻している銘柄もありますが、経済の先行きは不透明です。そんな中で財務が健全で株価も割安な、安心して投資できる企業はあるのでしょうか。

 

実はコロナショックでも安全な投資先候補として「コロナ」という会社がることをご存知でしょうか。偶然にもコロナウィルスと同じ名前の会社ですが、ニッチなビジネスで高いシェアを有しています。さらにコロナは借金もほとんどない堅い財務を貫く会社で、株価に関しても保有する資産よりも割安になっているのです。

 

そこで今回の記事では、安全な投資先候補として「コロナ」という会社を紹介します。

 

コロナは新潟県三条市に本社がある東証一部上場企業

はじめに【5909】コロナの概要を解説します。株式会社コロナは1937年、石油コンロの製造する個人事業として創業しました。その後日本初の加圧式石油ストーブの生産を開始、さらに石油ファンヒーター、エアコン、そして住宅設備機器の製造に事業を広げたのです。

 

そして1992年会社名を現在の株式会社コロナに変更しました。株式上場は1996年に新潟証券取引所で上場しました。さらに2000年に東証二部、そして2006年には東証一部に指定され現在に至っています。

 

コロナは石油ファンヒーター大手の一角

株式会社コロナのビジネスは大きく3つに分けられます。1つ目は石油暖房機器です。株式会社コロナの石油ファンヒーター・石油ストーブは市場で高いシェアを有しています。ただし国内の石油暖房機器市場は成熟しており、一定の買い替え需要が見込まれる程度です。

 

省エネ社会に対して「エコキュート」を育成

株式会社コロナは住宅設備機器事業にて、2001年からエコキュートの製造を始めています。エコキュートとは電気代が割安な夜間にお湯を作る給湯器で、近年は多くの住宅で用いられています。エコキュートはオール電化住宅や太陽光発電とも相性が良く、今後も一定の需要が見込まれます。

 

廉価で寒冷地に強いエアコンメーカーとして一定のポジション

株式会社コロナではエアコンの製造も行っています。エアコン市場は大手メーカーで8割のシェアを占めています。しかし株式会社コロナのエアコンは割安なエアコンとして一定のシェアを保持しているのです。

 

3つのビジネスが均等に収益を上げている

株式会社コロナではこれら3つのビジネスそれぞれが収益の柱になっています。2019年3月期において各ビジネスが売上に占める割合は暖房機器(石油ファンヒーターなど)33%、家電・空調機器(エアコンなど)24%、そして住宅設備機器(エコキュートなど)35%となっています。

 

【図表】過去5年間における製品ごとの種類別売上高の推移
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※横軸は年・縦軸は単位百万円

 

2020年3月期末は消費税増と暖冬で大幅減益の予想

ところが株式会社コロナの2020年3月期末の業績は低迷する見込みです。同社の発表では2020年3月期末の予想利益は5億円(前期比60%減)となっています。これは消費税増と記録的な暖冬によって暖房機器と空調機器の売上が低迷したことが影響しているのです。

 

コロナショックも加わって株価は900円前後へ

暖冬での業績低迷が見込まれていたため1100円前後で推移していた株式会社コロナの株価は2019年末から徐々に下がっていきました。さらに2020年2月に入りコロナショックのあおりを受けて株価はさらに下落したのです。そして3月13日に771円という株価を記録しました。その後株価を戻して、5月1日は943円の取引で終了しています。

 

株式会社コロナは「成熟安定株」として魅力あり

このように株価の低迷している株式会社コロナですが、投資先としてどのような魅力があるのでしょうか。株式会社コロナの魅力は以下の3点が挙げられます。

 

 成熟した産業で一定のシェアを持っている
 借金を最小限にした堅牢な財務
 多くの自己資産を保有しながら割安な株価

 

ここからは、投資先として株式会社コロナの魅力について、これら3点を軸にして解説します。

 

売上は一時の落ち込みを取りもどしている

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※横軸は年・縦軸は単位百万円

株式会社コロナの売上高は2016年に低迷したものの2019年には回復しています。これは株式会社コロナの売上は天候や経済の好不況など外部環境の影響を受けながらも一定の需要のあるビジネスであると分析できます。

 

利益変動が大きいが黒字をキープ

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※横軸は年・縦軸は単位百万円

株式会社コロナでは利益面でも売上高と同じような傾向が見られます。また株式会社コロナは金属製品を扱うメーカーなので原材料費の価格変動が利益に影響しやすいと分析できます。

 

キャッシュの確保も行われている

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※横軸は年・縦軸は単位百万円

株式会社コロナのキャッシュフローは在庫調整で利益を下回る年がありますが、おおむね純利益より多い営業活動によるキャッシュフローを得ています。株市会社コロナではリスクの低い資金繰りで運営されていることが分析できます。

 

高い自己資本比率

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※横軸は年

株式会社コロナは無借金経営が行われており、自己資本比率は高い水準を保っています。株式会社コロナは堅実な財務で経営していると分析できます。

 

「清算価値」をざっくり計算 1389円

このように株式会社コロナは安定したビジネスを健全な財務で行っているため、倒産リスクの低い企業であることが分かりました。では株式会社コロナの株価はどの程度割安になっているのでしょうか。

ここでは「バリュー投資」と呼ばれる投資法に基づいて株式会社コロナの「清算価値」を試算し、株価との差額を分析します。

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※単位百万円

この分析では株式会社コロナの清算価値(会社をたたまざるを得なくなったときの企業価値)を想定して資産額を調整しました。そのような調整をしたにもかかわらず、株式会社コロナの時価総額(=株価×発行株式数)は清算価値よりも安くなっているのです。

 

低いROEは株価を低迷させる

ではなぜ株式会社コロナの株価はこれほどまでに安くなっているのでしょうか。これには株式会社コロナの経営の効率性に原因があります。
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※横軸は年

自己資本利益率(ROE)とは株主に対するリターンを表します。株式会社コロナのROEはお世辞にも良いとはいえません。低いROEは投資家に「経営の効率が良くない」と評価され株価が低迷すのです。

 

暴落時でも安心して投資できることがメリット

ただし株式会社コロナへの投資では別のメリットがあります。それは株式市場全体の暴落や景気低迷時でも株価が下がりにくいことです。すでに資産よりも大幅に安い株価なので衰退することが明確なビジネスでなければ株式を買う需要が残るのです。

 

また株主も「清算価値よりも安く株を買っている」ということが確信しているので、株価が動いても心理面で揺さぶられにくい点も見逃せないメリットです。

 

コロナとは「燃える炎」をイメージして命名

ところで株式会社コロナはなぜこのような社名を付けたのでしょうか。これは創業者が自社の石油コンロが灯す青い光を見て、学生時代に見た「コロナ放電」が発する光と似ていることと、太陽の周囲に見えるコロナのイメージを重ね合わせて命名したのです。

 

ちなみにコロナウィルスも顕微鏡で見た形状が王冠(コロナ)を付けたようになっていたことが名前の由来とされています。

 

まとめ:急成長を望まなければコロナへの株式投資は安全性が高い

 

今回は株式会社コロナの経営状況と株価の割安性に解説してみました。今回のポイントは以下の通りです。

 

 株式会社コロナは新潟県に本社を置く石油ファンヒーター大手
 株式会社コロナはエアコンやエコキュートも主力製品
 株式会社コロナは業績不振とコロナショックで株価が低迷
 株式会社コロナは健全な経営を続けている
 株式会社コロナの株価は清算価値より安くなっている
 株式会社コロナは経営の効率性に目をつぶれば安心した投資先

 

新型コロナウィルスの影響で世界中の経済が停滞しています。このようなとき普段は儲かっている企業でもリスクの高い財務で経営していた企業は経営が苦しくなります。一方で株式会社コロナのように財務が健全な企業であれば数年続くかもしれない苦境を乗り越えるだけの体力があるのです。

 

皆さんもコロナショックを機に、地味なビジネスでも健全な企業へ投資されてみてはいかがでしょうか。

 

【引用①】株式会社コロナ第71期有価証券報告書
https://www.corona.co.jp/ir/32960375917aadb4e87f54513fcc9924f970c8cc.pdf
【引用②】株式会社コロナ第69期有価証券報告書
https://www.corona.co.jp/files/ir/library/yuho_69_4.pdf
【引用③】株式会社コロナ2020年3月期第3四半期決算短信
https://www.crona.co.jp/ir/9cfc464b9c13f0b7e926a77b0ad0e6fc78aabb59.pdf

*本稿は協力執筆者による記事です。

*投資は自己責任でお願いいたします。

株価急上昇、暴落、平常時の証券会社社内の様子はどんな感じ!?

株の売買をしている中でつい短期的に一喜一憂してしまうことはないでしょうか。自分が所有している株が上昇すれば嬉しいですが、買おうと検討している株が上がってしまうのは損した気持ちにもなり複雑です。この感情は証券マンも同じです。

 

長期的な投資を勧めてはいますが、短期的な相場の上げ下げに目がいってしまうこともあります。しかし証券会社の場合は相場の上下によって個人の感情だけでなく社内の雰囲気も変わります。上昇時と下落時では雲泥の差です。そこで本稿では相場別証券会社社内の様子を元証券マンが解説します。

 

1日のスケジュール

まず証券会社の1日のスケジュールについて紹介します。午前・午後・大引け後で解説します。大引け後とは株の売買できる時間が終わった15時以降のことを指します。

 

午前

株の取引ができる9時になるまでは情報収集に費やします。昨日のあった出来事や海外のニュース等を整理し、その日の売買のネタになりそうな話題をピックアップします。日経新聞はマストで読み、地方の場合は地方紙、証券雑誌が出た日には参考程度に目を通します。

 

自分の相場観を信じてお客様に勧めるのも良いですが、会社としてのおすすめ銘柄も開示されます。それら全ての情報も網羅するとなると1時間〜2時間はすぐに過ぎてしまいます。そのため証券マンの朝は早くなりがちです。

そして9時になり売買ができるようになると一斉に電話をとります。海外の影響を受けて相場が上下しやすいのと、お客様もその日の情報を気にしているからです。担当しているお客様に1件1件電話していると午前中は慌ただしく、あっという間に午後になってしまいます。

 

午後

午後になると個々に動きの違いが見られるようになります。社内でそのまま電話をするものもいれば、お客様の下に足を運ぶものもいます。しかし午前ほどバタバタしている様子はなく基本落ち着いています。日本では重要な指標が午後に発表されることが多いので、その時間帯は気を張っているくらいです。

 

大引け後

大引け後はこれからの投資の戦略を立て直したり、海外の相場も動き出すので再度情報収集したりをします。役職が低い人や、担当しているお客様の数が少ない人ほど外出をして社内に残っていることは少ないです。理由は社内にいてもやることがないので新規のお客様を開拓しに出かけるからです。

 

またその日のノルマの調整をします。目標に対して足りない場合は外国債券等を勧めてノルマを達成できるような動きをとります。

 

以上が1日の大まかなスケジュールになります。ではこれに基づき相場別に社内の様子について解説します。

 

相場上昇時

相場上昇時はもちろん社内の雰囲気は明るいです。多少ミスをしたとしてもお客様に利益が出ていれば問題ありません。

 

午前

平常時より社内は活発になります。利益が出ている分、お客様も気分が良いです。電話越しにも伝わります。そのためここぞとばかりに追加の資金導入を狙い、より取引してもらえりように営業をかけます。午後に電話をしていては銀行も閉まってしまうので午前中に電話をして午後に振り込みに行ってもらい、次の日には新しい銘柄を購入してもらう流れです。

 

午後

午後には売買をしてもらうことや資金導入してもらう可能性が低いお客様にもわずかな希望を抱いて連絡をします。またこれまで温めて来た新規の取引をしてもらえるお客様にも連絡をし株を購入してもらうよう勧めます。

 

大引け後

基本ノルマを達成できていることが多いので社内は和気あいあいとしています。そのため外出して暇そうにしている人もいますし、今がチャンスと捉えたくさんのお客様に会いに行こうとする営業マンもいます。

 

やはり相場上昇時はお客様の機嫌も良いので上司の機嫌もよくなり仕事がしやすい雰囲気になります。ここからわかる通り、証券会社の社内の様子は相場の状況によって全てが決まってしまいます。

 

相場横ばい時

続いて相場横ばい時です。相場が動かなければ証券マンもやることが少ないです。証券マンがどれだけ行動しても株価が変わるものではないので、横ばいの時特有の難しさがあります。

 

午前

9時になっても社内は静まり返っている時があるくらいです。相場が横ばいということは目新しい情報もないのでお客様に伝えることもなく連絡をする理由がないからです。

 

午後

大引けの時間に近づくほど社内は騒がしくなります。拠点のノルマが達成できないからです。相場が動かないので株の売買ができるはずもなく、上司の苛立ちのみが上がっていきます。

 

大引け後

大引け後は外出する社員が増えます。社内にいたくないからです。理由は引け後に拠点長はその日の収益等を報告する会議があるので、終わった後機嫌が悪くなっているのが目に見えているからです。そのため社内の雰囲気は悪くなるので外出してお客様と会話をしている方がまだましです。

 

相場下落時

社内の雰囲気は良いものではないです。さらに下落が3日ほど続いたり暴落が起きたりすると最悪になります。一部のスーパー営業マンは暴落を好機と捉える人もいますが、イキイキしているのはごくわずかです。

 

午前

出社直後はそこまで雰囲気は悪くないです。徐々に上司が出社するにつれて雰囲気は悪くなっていきます。いつもはこちらから電話をすると嫌がるお客様でも、珍しくお客様から電話がかかってきます。ピークは10時〜11時の時間帯です。お客様対応をすればするほど営業マンのメンタルは削られていきそれが終わる時間帯です。

 

午後

午後は優良なお客様のところに皆訪問するので、社内は落ち着いています。またお客様のフォローも一通り終わっているので、一息つくことができます。

 

大引け後

大引け後は2つのパターンがあります。ある程度の下落の場合は損切りをして違う銘柄を勧めたり、同じ銘柄を買い増してもらったり等の提案ができるため、ノルマは達成することができます。

 

しかし暴落してしまった場合は提案もできず、ノルマも達成できないためとてつもない雰囲気になります。営業のため外出してもそのまま直帰を選択する社員もいるほどです。こうなると時が過ぎるのを待つのみです。

 

まとめ

証券会社の社内の雰囲気を決めるのは相場ですが、あくまで要因です。結局はお客様の損益の状況とノルマを達成できているか否かです。良い上司に当たればこのようなことはないですが、なかなかそうもいきません。どうしても相場の状況に影響を受けてしまいがちになります。証券会社の社内の雰囲気は外部要因にかなり依存しています。

 

*本稿は協力執筆者による記事です。

*投資は自己責任でお願いいたします。

投資の王道は「人の逆をいく」にあり!今だからこそ仕込みたい株とは?(地銀の「じもとHD」の魅力)

リーマンショック以降、世界経済は驚きのスピードで回復して拡大してきました。しかし、世界中を恐怖に陥れているコロナウイルスのせいで、再び経済危機に突入してしまう可能性が高くなっています。こんな時、多くの投資家は市場から逃げ出すことを考えてしまいます。どこが底か分からない恐怖に怯え、冷静な判断ができなくなってしまうのです。

 

しかし、振り返ってみれば多くの成功している投資家は、ピンチだといわれている時に、資金を注入して、資産を拡大してきたのも事実。では、こんな状況の中、私たち個人投資家はどのように市場と向き合えばいいのでしょう?今回は、経済危機が来るかもしれないといわれている、現在だからこそ仕込んでおきたい業種と銘柄について紹介していきます。

 

地銀の未来とは?

地銀に投資しませんか?もし、証券会社の営業にこのように言われると、多くの方は眉をしかめるかもしれません。それも、現在の経済状況を考えれば当然といえるでしょう。数ある業種の中でも、銀行を取り巻く環境は決していいものではないからです。

 

いつまで続くか分からないマイナス金利。少子高齢化による、顧客数の減少。不況による貸出先の減少。
これらの要因が重なり、銀行株は長い間PBR1倍を上回れずにいたのです。中でも地銀の株価は底這いを続けているといっても納得できるほど。実際、低PBR銘柄を検索すれば、多くの地銀が名を連ねています。

 

しかし、本当に銀行株、地銀株は投資価値がないのでしょうか?
そんなことはありません。なぜなら、銀行というのは経済になくてはならない業種だからです。
まして、地銀となると地方経済を支える中心。置かれている状況に対して悲観しているだけでは、本来の役割や目的を見失ってしまいます。最初に紹介した通り、誰もが見抜きしなくなった時こそ大きなチャンスだということは、過去の歴史を振り返ってみれば分かること。

 

次章では、地銀に投資に魅力がある理由を紹介していきます。

 

地銀に投資の魅力がある理由

地銀の役割は、地方経済のお金の流れを支えるという部分にあります。つまり、地方経済の土台ということ。そのような、大切な役割を持っている業種なので、大きな倒産リスクがあると、それだけで地方経済は足枷をされることになってしまいます。

 

また、万が一、倒産してしまうと世界経済にも影響を与えかねません。現在、円が世界で評価されているのは、それだけ日本という国が各国から信頼されているからです。仮に、地銀とはいえ、銀行が倒産したというニュースが流れれば、その信用に疑問符が付く事になってしまうのです。この影響は計り知れないので、国としても倒産されると困るという部分があります。

 

銀行が倒産する。そうなると、多くの預金者も慌てます。また、倒産した銀行以外も危ないかもしれないという噂が立つ事も考えられます。そうなると、多くの人が自分のお金を手元に戻す為に銀行に押し寄せることでしょう。このような状態になると、経済は簡単にパニック状態になってしまうのです。

 

銀行は、それほど重要な業種といえます。裏を返せば、簡単に潰すことができない業種だということが分かるでしょう。実際、他業種と比べてみると、それは明らかです。つまり、倒産リスクを他業種と比較した時に小さくなるということ。これが、地銀をおすすめする最初の理由です。

 

将来性と配当利回りの高さ

また、大切な部分を見落としてはいけません。それが、企業努力の部分。現在、地銀を取り巻く環境はとても厳しいもの。それは、当事者である地銀関係者が誰よりも理解しています。だからこそ、多くの地銀は現状の中でも利益を確保しようと、必死に経営努力をしています。つまり、厳しい現実を乗り越えられるだけの力を身に付けようとしているということ。

 

もし、乗り切る体制が整い、無事に環境が戻るようなことがあれば、多くの地銀が好決算を出すこと事が予想されます。更に、現在の地銀には大きな魅力があります。

 

それが、配当。配当利回りの高い銘柄を検索すると、低PBR時と同じように多くの地銀が名を連ねています。
例えば、じもとHDもその一つ。

 

地銀のおすすめ銘柄

じもとHDは、きらやか銀と仙台銀の経営統合で12年に誕生した地銀です。公的資金が注入された事でも知られていますが、同時に復興支援の資金供給機能を強化した地銀としても知られています。

 

ただでさえ、進んでないと言われる復興状況において、その復興を支える地銀を潰すという事は考えにくいといえるでしょう。なぜなら、復興支援を強化している銀行を潰すという事は、復興を遅らせる事に繋がりかねないからです。このような背景を考慮して、じもとHDの現状を見てみましょう。

 

じもとHDの2020年4月24日時点の終値は93円。
PBRは0.15倍。
配当は5円。
配当利回りは5.38%となっています。

 

この5.38%という利回りは、決して小さなものではありません。もちろん、配当が下がってしまうというリスクはあります。しかし、それでもトライするだけの価値はあるといえるでしょう。そして、もう一つ大切なのは、例え株価が今よりも下がったとしても、決済しなければ損をしないということ。

 

景気には波があります。いい時もあれば、悪い時もある。そして、大切な事は景気はいつまでも同じ状況を保ち続けられないという部分にあるのです。配当という利益を享受しながら、来たるべき時を待ち続ける。しかも、享受できる配当は利回りで考えた場合、決して小さなものではないのです。

 

乱高下している現在の市場を相手に、下手な投資を繰り返しリスクを増やすよりも、腰を据えて配当という利益を受け取りながら待ち続けるという方が、リスクは小さいと思いませんか?他業種と比べた時の倒産リスク。いつまでも続けられない低金利政策。現在の金利に耐えうるだけの企業努力。復興支援に力を入れている現状。これらの状況を考えれば、いまこそ放置されている「じもとHD」に投資してみる価値はあるといえるでしょう。

 

まとめ

もし、長期的な保有を目指すのであれば、危機的な現状だけを見るのではなく、冷静な目で現状分析と将来を見据える力が必要になってきます。
長期保有を目的としていれば、目の前の株価に惑わされる事もありません。配当を受け取りながら、来たるべき時を待てばいいのです。銀行預金で得られる金利に比べれば、配当利回りの数字は驚くばかり。

 

本来、投資というものは、目の前の値段だけを追いかけるものではないのです。将来を見据え、その将来に対して資金を投じるもの。それが、本来の投資といえるのです。大切な資金を失わない為にも、将来を見据えた投資が大切になってくると思いませんか?

 

*本稿は協力執筆者による記事です。

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コロナショックでプロの投資家が仕込んだ優良銘柄を調査

マーケットが急落する局面は、もちろん多くの投資家にとってピンチです。しかしその一方で、安く株を買うことのできるチャンスでもあります。このタイミングで投資のプロである機関投資家たちが、どのような銘柄を買っていたのでしょうか。機関投資家の運用レポートを確認することで、プロたちが今回の下落局面で買い向かった銘柄を調べてみました。

 

2020年は日本にとって国内で開催されるオリンピックイヤーであり、また昨年まで懸念されていた米中貿易摩擦の問題も解決には至らないものの落ち着きをみせていました。株式のテーマでは5Gをはじめ、本格化するIOTやAIなど期待の大きい一年となるはずでした。しかし、1月から武漢を中心として新型コロナウイルス感染症COVID-19が発生し、世界中が大混乱に陥りました。この影響を受け、1月20日には24083円だった日経平均株価は、3月18日には16552円を付けています。

 

この大暴落により個人投資家たちの多くは巨額の損失を出し、またマーケットからの退場を余儀なくされた方もいらっしゃったようです。このタイミングで投資のプロである機関投資家たちが、どのような銘柄を買っていたのでしょうか。

 

機関投資家には、アクティブファンドとパッシブファンドがあります。アクティブファンドは、投資のプロであるファンドマネージャーが銘柄を選定しています。それに対してパッシブファンドは、例えば日経平均株価やTOPIXのような指数に連動するように売買を行います。したがって、パッシブファンドには、暴落局面だからといって銘柄を選別する余値は残されていません。そのためパッシブファンドの動きを考察しても参考にはなりませんので、アクティブファンドの動向を探ることにしました。

 

調査対象は日本国内の個別銘柄をメインに投資しているファンドとし、3月の組入銘柄が読み取れるよう、2月末と3月末時点でのレポートがインターネット上に公表されている投資信託としています。これを比較することで、彼らが3月に買い向かった銘柄を調べてみました。

 

レオス・キャピタルワークス(以下、レオスと表記します)が運用するひふみ投信は、人気の投資信託です。また積極的にFacebookやTwitterなどメジャーなSNSを用いて情報をオープンにしていますので、毎月のひふみ投信の保有銘柄を確認することは容易にできます。

 

2月末の時点での運用状況は、3月上旬に公表される月次運用レポートで確認することができ、3月末の時点での運用状況は、4月上旬に公表された月次運用レポートで確認できます。これらを比較すると、レオスは2月末の時点で、現金比率を31.2%にまで高めていました。2月25日のレオスのHP「最高投資責任者 藤野英人より」の冒頭には「現金の比率を過去の運用の中でも最大規模に高めています」とのメッセージがあります。この現金比率は3月末の時点で19.3%まで引き下げられています。現金比率が減ったということは、つまり3月中に株などに投資したということです。ひふみ投信の純資産総額は6000億円強なので、約660億円を投資に振り向けたという計算になります。

 

ひふみ投信の3月末時点の組入れ比率上位10銘柄を確認すると、2月に組み入れられていたZoom Video Communications(クラウドベースのビデオ会議システム提供)の姿が消えています。New Oriental EDR(中国全土で英語教室やオンライン教室を展開)も消えています。この海外の2銘柄が上位から姿を消した一方で、KDDIとNTT、テルモ、シスメックスという日本の4銘柄が新しく上位に入ってきました。KDDIとNTTのような情報通信業は、人々のライフスタイルが家にこもってインターネットを利用する機会が増えるとの見方でしょう。そして感染拡大により必要となる人工心肺や体温計を生産するテルモ、検査キットで注目を集めたシスメックスのような医療機器関連の会社に目を付けたといえます。藤野氏は「新型コロナウイルス感染症の影響はしばらく続く」とコメントしており、コロナと共存する「with コロナ時代」を見据えた銘柄を選択していると言えます。

 

アセットマネジメントOneのMHAM日本成長株オープンの、2月末の時点での運用状況と3月末の時点での運用状況を比較します。3月末には新たにイー・ギャランティー、GMOペイメントゲートウェイ、エムスリー、日東紡績が新しく上位10銘柄のなかに組み込まれています。イー・ギャランティー は売上債権関連のサービスを手掛けており、リーマンショック後の不景気でも株価が上昇した銘柄です。GMOペイメントゲートウェイは電子商取引決済処理サービスの大手で、ネット通販・サービスの増加を見越した銘柄選定と言えます。エムスリーは医療従事者向け専門サイトを運営し、オンライン診療を見越した銘柄選定と言えます。日東紡績はグラスファイバーの大手ですが、5Gの進捗により大容量高速通信の基板用スペシャルグラスの需要が期待されています。MHAM日本成長株オープンでも、今年のテーマに沿った銘柄を選んでいると考えられます。

 

明治安田アセットマネジメントの新成長株ファンド(グローイング・カバーズ)の、2月末時点での運用状況と3月末の時点での運用状況を比較します。3月末には新たにエランとメディアドゥが新しく上位10銘柄のなかに登場しています。 エランは病院や介護施設と提携し、入院・入所時のパジャマやタオルなどのセットを提供しています。メディアドゥは、電子書籍のディストリビューションの提供をしています。グローイング・カバーズもやはり、入院患者の増加やインターネットサービスといった「with コロナ時代」を見据えた銘柄を選択していると言えます。

 

日興アセットマネジメントの日興グローイング・ベンチャーファンドの、2月末の時点での運用状況と3月末時点での運用状況を比較します。3月末の月次運用レポートでは、KEEPER技研がトップにきています。アセンテックも8位入っています。アセンテックは仮想デスクトップのトータルソリューションベンダーです。株式市場ではテレワーク関連銘柄と位置づけられています。KEEPER技研は、自動車用コーティングや洗車の専門店の運営等を行っています。金融資産が下落する局面で、中古の高級車をピカピカにする需要を狙っているのかもしれません。あるいは「with コロナ時代」を見据えた銘柄とは考えにくいことから、将来性のある銘柄なのでこのタイミングでも買い向かったのかもしれません。

 

いずれのファンドでも、新型コロナウイルスの影響を意識した投資行動であったと言えます。その直接の影響として、医療機器関連の評価が上がるとの見方をしています。そして、在宅ワークなど自宅にこもる生活がしばらく続くことを前提とした生活の変化に着目していると言えます。その結果、インターネットサービスや通信量の増加を見越した銘柄を選択しているようです。また新型コロナウイルスの影響が実態経済にも大きな影響を及ぼし、本格的に不況が訪れるとの見解に基づいた投資行動を取っているファンドもありました。

 

(参考URL)

レオス・キャピタルワークス
運用レポート・運用報告書
https://www.rheos.jp/toushin/about/report/

アセットマネジメントOne ファンド情報 MHAM日本成長株オープン
http://www.am-one.co.jp/fund/summary/110002/

明治安田アセットマネジメント新成長株ファンド(グローイング・カバーズ)
https://www.myam.co.jp/fund/growing_c/

日興アセットマネジメントの日興グローイング・ベンチャーファンド
https://www.nikkoam.com/products/detail/952354/character/

 

*本稿は協力執筆者による記事です。

(株式投資)5Gで有名なアンリツ株が、何故いま買い時なのか?

今回のコロナ禍は凄まじいですが、少しづつ感染者が減ってきています。それとともに、このコロナショック後の株式市場がどうなっていくのだろうかという事にはとても興味をそそられます。どのような産業が、どのような会社が伸びていくのでしょうか、ゆっくり考えてみましょう。

 

コロナ禍

誰もが、今回のコロナ禍の凄まじさには驚かされ、恐怖を感じ、ただただ恐れおののいていることと思います。株式市場でも、これまでには経験したことのないような世界的な恐慌が起こっています。今回のコロナショックは、従来までのバブルの結果としての恐慌と大きく異なり、新型コロナウィルスの感染を防ぐために、自らが経済活動を縮小した事による恐慌です。実体経済のほぼ全面的な活動中止に近いもので、社会の中のほとんどの産業が活動中止に追い込まれています。

 

コロナショック後の世界

現在コロナ禍は凄いものの、少しずつですが日本でも感染者の数が減ってきていて、コロナショック後の世界について考えられるようになって来ました。先のことを予想するのはたいへん難しいことですが、投資家はいつも少し先のことを予想しながら行動しなければなりません。おそらく、コロナショック以後の世界はこれまでの世界とは大きく異なってくるでしょう。

 

例えば、今は人との接触を減らすためにテレワークがかなり強制的に広がり始めています。この流れは、さらに加速すると考えられます。仕事の種類がテレワークで可能なものとそうでないものがはっきりと分類され、多くの仕事が会社に出社しなくても可能となるでしょう。国際会議などもテレワークのような形に変わっていくでしょう。

 

また、アマゾンや楽天やヤフーなどの電子商取引が、さらに盛んになると思われます。これに対して、リアルの店舗販売はかなり衰退するのではないでしょうか。また、レストランなども衰退が始まり、高級品のテイクアウトや出前などが盛んになり、それと共に宅配業や出前業などがかなり隆盛を極めることになるでしょう。産業構造も大きく変わっていくかもしれません。また、中国に依存していた素材産業のうちで必須の部分は日本に回帰するでしょう。今回のようなことが起こった時に、中国からの部品だけでなく素材が来ないために完成品ができないことがないようにと、経営者の心には深く刻まれたことでしょう。

 

コロナショックに強い会社

それでは、コロナショックを乗り越えて、新たに日本の産業の牽引役なるのは、どのような産業なのでしょうか。それは、現在の状況をよく考えてみればわかってきます。

 

一番わかりやすいのは、今多くの会社で行っているテレワークです。これまでも、テレワークの必要性は何回も言われて来ましたが、その割にはなぜあまり普及しなかったのでしょうか? 理由はいろいろありますが、大きな理由の一つが通信回線の細さです。これは、テレワークがテレビ会議など、主として動画を使う場合が多いからです。動画が多い通信は通信量が多く、現在でも通信回線に負荷が大きく、なかなか常用というところまで行きにくいのです。

 

また、教育分野でのテレワークとして、例えばeラーニングというシステムが開発されていますが、これも実際の授業と比較するとかなり使いにくいものです。ノートと動画が別々の領域を占めているからです。本来であれば、動画の中でノートも見せられるようになっていないと不便です。しかし、それはかなり難しく、その原因も通信回線が細いことに由来します。また、学生が一度に50人も同時にアクセスすればかなりの遅延が生じることも問題になっています。

 

これらの問題を解決するには、5Gの通信回線が必要になって来ます。幸運なことに、今年から5Gの商業利用が始まり、大きな変革が起こると思います。

 

5Gの影響

普通、5Gと言えば映画のダウンロードが格段に速くなるくらいだと思っていませんか? 確かに、これまで5分くらいかかっていた映画のダウンロードが3秒くらいになるので便利だということはあります。しかし、このような事は実は些細な事です。

 

5Gは、多くの産業に計り知れないほど大きな影響を与えることになります。例えば、車などの設計そのものは、今やコンピューター上でされています。設計したものから3次元の車体を作り、その欠点を見つけ、設計にフィードバックするというようなことは、それぞれが特別なコンピュータ上でやるために情報の転送容量が問題となります。5Gは、このような欠陥を全て取り除けるために、車の設計は信じられないくらい速くなるでしょう。

 

また、服や靴なども個人の寸法を測り、デザインを決め、縫製をするまで、5Gの登場で数時間に短縮されるようになるでしょう。もはやアパレル類のストックは必要なくなります。そのほか、ダビンチなどの手術用器械を使うような遠隔地の手術や医療、車の自動運転、無人工場など、多くが通信環境の大幅な改善により現実となります。その根本には、通信技術の画期的な向上があります。

 

5Gがこれまでの4Gと大きく違うのは次の3点です。その特徴は、超高速、超多数同時接続、超低遅延と言われています。

 

(1) 5Gの通信速度は、理論的には4Gと比較して100倍くらいの速さがあります。このため、従来5分くらいかかっていた映画のダウンロードが3秒くらいに短縮されます。

 

(2)また、同時に接続できる端末数が格段に増えます。4Gの場合は、スマホやPCなどの数台の接続が限度ですが、5Gであれば、100個程度の機器やセンサーのネットへの同時接続が可能になります。

 

(3)さらに、5Gでは超低遅延が可能となります。ちなみに4Gによる遅延は0.05秒かかりますが、5Gによる遅延は0.001秒ですみます。この差は大きくないように見えますが、自動運転や遠隔地医療や無人工場など、人命に関わることや大きな事故につながるようなテレワークの場合には、特に重要となります。超低遅延の実現によって、ネットを利用する際にタイムラグが発生することがなくなります。

 

アンリツ [6754]の勧め

それでは5Gの広がりと共にどのような企業が発展するのでしょうか? NTTやauやソフトバンクのような通信会社が利益をあげそうな事はすぐに予想がつきます。他に伸びそうな企業はないのでしょうか?

 

米国でゴールドラッシュが起こった時に最も利益を上げたのは、金を掘り当てた人々ではなくて、スコップや長靴やジーパンを売った業者だと言われています。同じように、5Gではこれから全国にこの通信網を広げていかなければならないのです。ですから、通信敷設会社や通信機器製造会社などが大きな利益を上げて行く可能性が高いのです。アンリツは、まさにその系統の有力企業です。

 

アンリツ[6754]は、四季報では通信系計測機器メーカーとして分類されています。5G関連チップや端末の開発で多くの利益を上げ始めています。株式の時価総額は2500億円を超えており、この系統の会社としては大手と言って良いでしょう。また、自己資本比率は、68%と十分安全な領域にあります。売上高の伸びは5%程度で少し物足りませんが、営業利益の伸びは50%を超えています。売上高がそれほど伸びいていないにもかかわらず利益が急激にあがるのは、単価の高い5G関連機器の売り上げが多くなっているからです。ROEも11%近くあり、営業キャッシュフローも潤沢です。将来性も十分なのに、現在のPERは22前後にあります。このような有望な会社が、PERで22前後に低迷しているのは、明らかにコロナショックで株価全体が下がっているためです。総合的に考えて、アンリツは安い買い物でしょう。

 

まとめ

コロナショックショック後の産業構造は大きく変わります。そこで、特に5G関連は、産業構造の更なる情報化を進めるために必要になってきます。このような状況の中で、アンリツは、非常に有利な立ち位置にいます。ファンダメンタルからも、アンリツの割安性は強く支持されています。

*本稿は協力執筆者による記事です。

配当利回り7.8%の大人気のJT(日本たばこ産業)の株は本当に買いか -リスクの徹底分析と推奨有無-

配当利回りが脅威の7.8% (2020年4月21日現在)を超え個人投資家に大人気のJT株(日本たばこ産業[2914])。東証1部の平均配当利回り(2.28%)の3倍を優に超える配当株の王様のようなJT株ですが不安材料も多く聞こえてきます。利益は減少していないか、タバコは時代に逆風なのでは、コロナで更に厳しくなるのでは、こんなに高い配当を維持できるのか。この記事では大注目のJT株をリスクとプラス材料を網羅しながら徹底分析したいと思います。

 

株式の鉄則であるファンダメンタルズ分析をベースに先ずはリスクから分析していきます。

 

リスク1:止まらぬ減益

2020年2月に発表された2019年12月期の売上高は微減、営業利益、経常利益、EPSが前期比減、連結最終利益は3481億円となり前期比9.7%減となりました。2020年12月期は更に3050億円に減る見通しとなり5期連続減益となる可能性が高いです。止まらぬ減益はJT株最大のリスクの1つです。

 

リスク2:減配リスク

上記の通り当期純利益が減っている中でも際立つのが配当の高さです。利益の8割を配当に回していることになり、後述の通りプラスの側面もありますが減配リスクは常に意識する必要があります。為替リスクもあることから配当利回りの高さのみで投資をすると日産のように株価暴落と大減配のリスクがあるため危険です。

 

リスク3:国内たばこ市場の縮小

事業別の売上収益を見てみると国内たばこ事業は4期連続で減少しています。禁煙の波は会社や飲食店を始め日本全体で加速の見通しであり、国内たばこ事業の苦戦は続くでしょう。昨今の新型コロナウイルスにより禁煙が更に進めば今後の市場縮小に拍車がかかる可能性もあります。
加えてたばこ税も増税の一途であり、これはたばこの販売に対してJTの取り分が減ることになります。喫煙率は低下し販売本数も減少傾向の国内たばこ市場は非常に厳しい状況と言えます。

 

リスク4:ESG投資の逆風

国内たばこ市場に加えて世界の投資傾向としても厳しく、昨今のESG投資のように機関投資家にとってJTはリスクとみなされ投資方針から外される可能性が高く、日本でもGPIFなど巨大な機関投資家の方針から外れる傾向があります。実際に外国法人等の株主比率は5年で約半減しております。(2019年12月で約15%)

 

リスク5:減損リスク

JTは海外のたばこ会社のM&Aを進めており日本有数ののれんを抱えています。貸借対照表を見ると現在のれんは約2兆円であり今後M&Aが失敗とみなされるなど巨額の減損リスクを抱えております。

 

ここまで読むと市場は縮小し世の中も投資戦略も逆風で、事実利益も減っているJT株はとても買う気になれないと思いますが、次にプラス材料を分析していきます。

 

プラス材料1:海外たばこ事業の伸び

リスクの項目で国内たばこ事業の縮小を分析いたしました。確かに国内は縮小の一途であり今後も縮小、よくて横ばいの可能性が高いでしょう。しかし、実はそもそもJTは海外たばこ事業の方をメインとしており国内たばこ事業の1.6倍、自社製品の売上収益においては国内の倍以上となっております。

 

そのためJTの利益は海外のたばこ市場をより分析する必要があります。その海外たばこ市場について、日本のような先進国ではなく新興国や発展途上国、アフリカなどのまだたばこすら買えない国の市場は今後の経済発展に伴い拡大していきます。人口減少の日本と異なり世界全体の人口は増加していきます。実際にJTの海外たばこ事業における自社製品売上収益は4年連続で増益となっております。JTの経営を考える上では国内ではなく海外こそ注目すべきではないでしょうか。

 

プラス材料2:営業利益率の高さと独占市場

リスクの項目では売上高、営業利益、経常利益、EPS、連結最終利益全てが減少とお伝えしました。確かに決して良好な指標とは言えず、JT株を推奨していない多くの方がこの利益の悪化を理由としております。ただ、減少傾向にあるもののそもそもJTの営業利益率は高く20%を超えております。これはたばこ事業そのものがJTの独占状態にあるためであり、ビジネスモデルとして有利な状況に変わりはありません。

また、実はたばこ産業というのは利益率が高くキャッシュフローも安定し、配当性向も高い傾向があります。世界最大のたばこ企業であるアルトリアはJTと同じく利益は下げっているものの利益率は30%に達しており、利益はその性質まで見る必要があると思います。

 

プラス材料3:経営層の株主意識

このように売上から利益まで軒並み減少している状況においても現状高配当は維持されております。確かに減配リスクには注意が必要ですがこれは経営層の株主還元意識とも捉えられます。配当に利益の8割を使わず再投資に使うべきという意見もありますが、依然として日本の多くの企業のように株主意識が低いよりも投資家としては良いのではないでしょうか。

 

プラス材料4:政府筆頭株主

これは賛否が分かれる点ではありますがJTの持ち株の33%が事実上日本政府となっております。前述の通り海外法人等の株主比率が下がる中で株価の下支えになると共に、昨今の日銀によるETF買入で数々の日本企業の筆頭株主が日銀となるなど投資環境も変わってきている中では筆者はプラス材料と判断しております。

 

プラス材料5:M&A戦略

日本企業は日本電産などのごく一部を除いてはM&Aが非常に苦手であり失敗例と巨額損失が度々報道されております。JTも巨額ののれん減損リスクは抱えており例外ではありませんが、ここまで述べてきた通り海外市場開拓が必須の状況において必要な手段だと考えます。リスクとリターンは表裏一体であり海外収益が成長し続ける限りはプラス材料と判断しております。

 

まとめ

JT株は非常に幅広い層から注目の高い株の1つです。初心者の方には何より圧倒的な配当利回りが魅力的であり、時価総額3兆円を超える大企業が継続して高配当を出していれば買いたくなる気持ちはよく分かります。しかし、たばこという社会的にも好き嫌いの分かれる事業を扱うことや利益の減少から、実は否定的な投資家の方が多い印象を受けます。事実、新型コロナの影響もあるものの株価は2年半で半減いたしました。JTは高配当で初心者が騙される株のように書かれている記事をいくつも見てきました。

ただ、この記事にて分析してきた通り、可能な限り網羅的にリスクもプラス材料も考えた場合、リスクである国内市場の低迷を覆う形で海外市場に注力していること、たばこという根強いビジネス形態、すでにその結果が海外で出始めていると思われることからも、このまま株価が下がり続けることは外部要因を抜きにしては低いと考えております。

投資判断のご参考にしていただければ幸いです。

 

※参考ページ
有価証券報告書https://www.jti.co.jp/investors/library/securities_report/index.html
決算短信https://www.jti.co.jp/investors/library/result/index.html
業績・財務状況https://www.jti.co.jp/investors/individual/finance/index.html
決算通信https://www.jti.co.jp/investors/library/report/pdf/tsushin_19Q4.pdf
その他株主向け資料(筆者も株主のため入手)

 

*本稿は協力執筆者による記事です。

初めての株式投資は沖縄セルラー電話(9436)をおすすめできる理由

初めて株を買うとき、誰もが緊張するものです。「買ってから株価が下がったらどうしよう」「この株の会社、本当に大丈夫だろうか?」思いを巡らせるときりがありません。また今後人口が減少する日本で有望な企業なんて無いのではと思われている方もいらっしゃいます。

しかし日本株でも安全で安心できる企業を、割安な株価で投資できる企業があることをご存知でしょうか。それは【9436】沖縄セルラー電話です。

今回の記事では沖縄セルラー電話について、企業としての安全性や将来性を解説します。そして今の株価でも十分割安であることを解説します。ぜひ最後までご覧ください。

 

沖縄セルラー電話は沖縄県で展開する「KDDI」

はじめに沖縄セルラー電話の概要を解説します。沖縄セルラー電話は1991年、「沖縄懇話会」と呼ばれる会にて、「携帯電話会社の設立」が提案されたことを機に創設されました。沖縄懇話会とは沖縄経済の発展のために関東・関西、そして沖縄の財界人によって1990年に結成されました。

その当時、沖縄懇話会には京セラの創業者である稲森和夫氏いました。稲森氏は第二電電(現:KDDI)を設立し全国展開を進めていたこともあり、沖縄にも携帯電話会社を設立することを提案したのです。そして第二電電と沖縄の有力企業が共同出資することで、沖縄セルラー電話が誕生したのです。

このため現在でも沖縄セルラー電話はKDDIの子会社として沖縄県でauブランドを展開しつつ、企業としての独立性が保たれているのです。

 

沖縄シェアトップの通信インフラ企業として長期的な需要は確実

携帯電話キャリア市場において、全国的にはNTTドコモがシェアトップです。ところが沖縄県においては、沖縄セルラー電話(au)が50%程度のシェアを有しています。なぜ沖縄県では沖縄セルラー電話が強いのでしょうか。これには以下の理由が挙げられます。

 沖縄県は長くアメリカ領であったため、NTT(旧電電公社)が先にインフラ整備することができなかった。
 沖縄財界がバックアップしているため資金力がある。
 基地局の配置がよく、離島でも受信範囲が広い。
 沖縄県の顧客だけに合わせたサービス展開が容易である。

また沖縄セルラー電話は携帯電話のみならず、インターネットやテレビなどの固定回線サービスや格安SIM事業も展開しています。そのため沖縄県民の生活に欠かせない企業として、今後の需要も見込まれるのです。

 

沖縄県は他都府県とは異なる人口推移・人口構成

ところで日本は少子高齢化による人口減少が始まっています。そのため国内市場では限られたパイを奪い合うような動きが見られます。ところが沖縄県だけは違った様相なのです。

総務省が発表した2018年のデータでは人口が増加した都道府県は、沖縄県や東京都など7都県ありました。ところが人口が自然増加(出生者数-死亡者数>0)したのは沖縄県だけだったのです。

さらに沖縄県は他都府県と比べて、合計特殊出生率や若年層の人口比率が高いため長期的にも人口の減少はゆるやかだと推測されています。したがって沖縄セルラー電話の市場は長期的にも十分存在するのです。

 

沖縄以外の地域に進出できない点が弱点

一方で沖縄セルラー電話にも弱点があります。それは沖縄県以外の地域への進出が難しいことです。KDDIの子会社なので、他の都府県への携帯電話キャリアとしての進出はありえません。同様に単独での海外進出も困難です。

したがって沖縄セルラー電話は沖縄県内の強い基盤で、どのように利益を上げ続けられるかが業績のポイントになります。

 

携帯電話キャリアらしい潤沢なキャッシュフロー

※以下の財務諸表データは沖縄セルラー電話の有価証券報告書より引用しました。
https://ssl4.eir-parts.net/doc/9436/yuho_pdf/S100FZCP/00.pdf
https://ssl4.eir-parts.net/doc/9436/yuho_pdf/S1001ZRK/00.pdf

次に沖縄セルラー電話の財務諸表を分析してみましょう。株式投資で最大のリスクは「投資先企業の経営破綻」です。投資先の倒産リスクを判定するにはキャッシュフローの状況を分析することをおすすめします。

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沖縄セルラー電話の純利益と営業活動によるキャッシュフローの比較推移です。沖縄セルラー電話は過去10年間、常に純利益を上回るキャッシュフローを得ています。これは沖縄セルラー電話が安定したキャッシュを得ながらビジネスを継続できている証拠です。

何故かというと、沖縄セルラー電話のビジネスは顧客から携帯電話やインターネット回線の使用料が定期的に入金される仕組みになっています。そのため安定したキャッシュフローを構築できるのです。

 

借金をする必要が無い堅牢な財務

投資先の倒産リスクを測る指標として自己資本比率があります。自己資本比率が高い水準であれば貸借対照表での借金が少ないため、急激な資金繰りの悪化が生じても倒産する可能性が低くなるのです。

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沖縄セルラー電話の自己資本比率は常に高い水準を保っています。さらにこの10年間で自己資本比率は高まっています。先ほどのキャッシュフローと合わせて、沖縄セルラー電話の倒産リスクは低いと評価できます。

 

増収増益も順調に進んでいる

株式投資では投資先が成長することで多大な恩恵を受けることができます。企業の成長性を判断する指標として売上や利益の推移を分析することが重要です。

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沖縄セルラー電話の営業収益(売上高)と利益は上昇傾向にあります。沖縄という限られた地域のビジネスですが、新規事業の拡大に取り組んできた成果が出ています。将来的にも5G回線の導入など需要は高まる一方です。

 

資本効率も優等生

株主が投資先から恩恵を受けるためには、企業には資本を効率的に運用してもらうことが必要です。資本の効率性はROEという指標で測ることができます。

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沖縄セルラー電話のROEは10%以上を保ち続けています。一般的に企業が大きくなると資本の効率性が低下するものです。しかし沖縄セルラー電話は成長しながらも適切な資本配分が実現していることが分かります。

このように沖縄セルラー電話は安定した財務を維持しながら、高い収益性と成長を実現している企業なのです。

 

配当金も連続増配中

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※沖縄セルラー電話公式ホームページより引用
https://www.au.com/okinawa_cellular/ir/dividend/

投資家にとって配当金は大切な収入源です。沖縄セルラー電話は業績に合わせて配当金を増やし続けています。2020年3月期末予想では19期連続増配を見込んでいるのです。19年連続なので、いわゆる「リーマン・ショック」の不況期にも増配していたことは、特筆すべき点です。

 

KDDIと同等の株主優待

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※沖縄セルラー電話公式ホームページより引用
https://www.au.com/okinawa_cellular/ir/status/ir_stock_yutai/

日本では株主優待を実施している上場企業が多くあります。沖縄セルラー電話は親会社であるKDDIと同等の株主優待を実施しています。内容は47都道府県のカタログギフトです。100株保有の株主であれば3000円相当の品物から選ぶことができます。

 

株価はROEのわりに低いPBR

最後に沖縄セルラー電話の株価と割安度について解説します。2020年4月22日の終値は3910円でした。これを最新の決算短信にある純資産を用いてPBR(株価純資産倍率)を産出すると1.22倍になります。

【参照】沖縄セルラー電話 2020年3月期第三四半期決算短信
https://ssl4.eir-parts.net/doc/9436/tdnet/1786532/00.pdf

沖縄セルラー電話は前述の通り10%以上のROEを維持してきたビジネスです。仮に今後もROE10%を維持できれば、1.22倍のPBRに対してPERを算出すると12倍程度になります。PERは15倍以下であれば割安と判断されます。したがって沖縄セルラー電話の株価は割安だといえるのです。

 

まとめ:沖縄セルラー電話は安心して長期投資できる銘柄としておすすめ

今回は沖縄セルラー電話が優良な投資先であることと、株価が割安であることを解説しましたがいかがでしたでしょうか。今回の記事のポイントは以下の通りになります。

 沖縄セルラー電話は沖縄県に携帯電話を普及させるために設立された
 沖縄セルラー電話は沖縄県の携帯キャリアトップシェア
 沖縄県は日本では貴重な「人口増加県」で出生率も高い
 沖縄県外への進出は難しいが県内で着実な成長が可能
 倒産リスクの低い財務状態
 長期にわたる増収増益と高い資本効率
 増配実績と株主優待で高い株主還元
 株価は高収益のわりに割安なPBR

日本は人口が減少して経済は衰退するといわれています。しかし企業ごとに見れば優良な企業がたくさんあることが分かります。皆さんもこれを機会に沖縄セルラー電話への投資を検討されてみてはいかがでしょうか。

※この記事を基にした株式投資は自己責任にてお願いします。

*本稿は協力執筆者による記事です。

株式投資におけるキャッシュフロー計算書の見方。キャッシュフローの理想形とは?

キャッシュフロー計算書は、損益計算書に比べて、分かりにくくしっかりと確認しないことが多いですが、投資にとって非常に重要な情報を含んでいます。今回は、このキャッシュフロー計算書の見方について分かりやすく解説します。

 

この記事をざっくりとまとめると次のようになります。

(1)単年度で見ると、大きくプラスの営業キャッシュフローに、その大きさ(絶対値)以下のマイナスの投資キャッシュフローとマイナスの財務キャッシュフローが理想的である。

 

(2)複数年度でキャッシュフローの推移を見るとき、成長している企業はプラスの営業キャッシュフローとマイナスの投資キャッシュフローが上下にワニ口のように広がることが多い。

 

なぜキャッシュフロー計算書の見る必要があるのか?

株式投資をするときに、売上高や営業利益、経常利益、純利益などの損益計算書の数字はしっかり見ることが多いと思います。しかし、損益計算書だけでは、その会社の本当の実態は見えてきません。なぜなら、売掛金や買掛金、減価償却費などがあり、実際のキャッシュ(現金)の流れと損益計算書の各種の指標の数字が食い違うからです。

 

また、キャッシュフロー計算書に比べて、損益計算書は経理担当者の作為で色々と数字の操作がしやすいこともあり、粉飾決算などを見破るためにも、経理担当者の恣意的な操作が難しいキャッシュフロー計算書をしっかりと見ることが重要です。キャッシュフロー計算書は、損益計算書と違って会計操作が難しく、企業の現金の流れをごまかされずに見ることができます。

 

損益計算書の数字だけを盲信するのではなくて、キャッシュ・フロー計算書も確認することが重要ですね。

 

営業、投資、財務キャッシュフローの意味

まず、キャッシュフローの3つの項目である営業キャッシュフロー、投資キャッシュフロー、財務キャッシュフローの意味を確認しましょう。

 

営業キャッシュフロー:本業で稼いできた現金(キャッシュ)です。商品を売って、利益には計上されているけど、売掛金になって代金を回収できていない場合は、この営業キャッシュフローには計上されません。

 

投資キャッシュフロー:設備投資などで使った現金(キャッシュ)や、逆に土地などを含めた設備を売った現金(キャッシュ)などが計上されます。設備投資をした場合はマイナス、逆に設備(土地など)を売って現金を得た場合はプラスになります。

 

財務キャッシュフロー:借入金などでお金を借りると財務キャッシュフローにはプラスになります。逆にお金を返済すると財務キャッシュフローはマイナスになります。

 

このようにキャッシュフロー計算書を見ると、営業キャッシュフロー、投資キャッシュフロー、財務キャッシュフローの3つの数字があります。それぞれの項目は、プラスになったりマイナスになったりしますが、初学者には、どのようにキャッシュフローの数字を見れば良いのかわかりにくい面があります。

 

キャッシュ・フロー計算書で一番重要なのは、営業キャッシュフロー、投資キャッシュフロー、財務キャッシュフローの3つの項目のバランスが取れていることです。このことを以下で解説します。

 

単年度のキャッシュフロ〜の理想的な形(バランス)

単年度のキャッシュフロー計算書を見たときに、その企業(または株主)にとって、一番理想的な形は何でしょうか?

 

結論から言うと、理想的なキャッシュフローは、以下の(1)と(2)の両方の条件を満たしている場合です。

 

(条件1)
営業キャッシュフローがプラス(+)
投資キャッシュフローがマイナス(ー)
財務キャッシュフローがマイナス(ー)

 

(条件2)
営業キャッシュフローのプラスの金額が、投資キャッシュフローと財務キャッシュフローのマイナスの合計(絶対値)を大幅に上回ってる。

 

この(条件1)と(条件2)を図にするとこんな感じです(下図)。

 

cash_flow_statement

 

上図は、条件(1)と(2)を満たしており、これは次のことを示しています。

 

まず上図の一番左の縦棒を見ると、営業キャッシュフローが大きくプラスになっています。これは、その企業が本業で沢山の現金を稼いでいることを示しています(大幅にプラスの営業キャッシュフロー)。

 

上図で真ん中の縦棒を見ると投資キャシュフローがマイナスになっていることがわかります。また投資キャッシュフローの大きさ(絶対値)が営業キャッシュフローの大きさ(絶対値)以下になっていることも確認できます。これは、営業キャッシュフローの範囲内で、現金を新しい設備などに投資していることを示します(マイナスの投資キャッシュフロー)。

 

一番右端の縦棒を見ると、財務キャッシュフローがマイナスになっていることがわかります。また、この財務キャッシュフローの大きさ(絶対値)が営業キャッシュフローの大きさ以下になっています。これは、営業キャッシュフローの範囲内で、過去の借金を返済している状態を表しています(マイナスの財務キャッシュフロー)

 

上図のキャッシュフローは要するに、本業でたくさんお金を稼いできて、それを将来新規投資と借金返済に回しているということです。上図で示された営業キャッシュフロー、投資キャッシュフロー、財務キャッシュフローのバランスのとれた形が企業にとっては理想的なキャッシュフローの状態ですね。

 

とりあえず株式投資の初心者は、上図で示されたキャッシュフローが理想的であることを覚えておくと良いでしょう。状況によっては、企業のキャッシュフローの形が上図からずれても問題ないことも多いですが、それは経験を積んでいくうちに柔軟に解釈できるようになるでしょう。

 

また、色々な会社の決算短信などのキャッシュ・フロー計算書をこの理想形と比べるようにして見ていくと良いでしょう。

 

複数年のキャッシュフローの推移の理想形

先ほども述べたように、単年度のキャッシュフローの理想形は、大きくプラスの営業キャッシュフロー、そして、その範囲以内でのマイナスの投資キャッシュフローでした。さて、中級者向けに先ほどの内容を発展させて、複数年にわたるキャッシュフローの理想的な形について考えてみたいと思います。

 

複数年にわたる推移としてみた場合、どのようなキャッシュフローの推移が理想形になるでしょうか?

 

この問いに答えるために、まず世界の代表的な高成長の超優良企業であるアップル、アマゾン、フェイスブック、アリババのキャッシュ・フローの推移の様子をみてみましょう。

 

下図はiphoneで有名な米国を代表とする国際企業のアップル(Apple)のキャッシュフローの推移です。

Appleキャッシュフロー2017-10-20

上図で、青色がアップルの営業キャッシュフロー、赤色が投資キャッシュフロー、黄色が財務キャッシュフロー(黄色)を示しています。

 

各年度で営業キャッシュフロー(青色)がプラスで、投資キャッシュフロー(赤色)がマイナスになっていることがわかります。さらに、ほとんどの年で営業キャッシュフローの大きさ(絶対値)が、投資キャッシュフローの大きさ(絶対値)よりも大きいですね。アップルは、ほとんどの年度で先ほどの理想的なキャッシュフローの形を満たしています。(ここで財務キャッシュフローについては無視します。)

 

また、もう一つ重要なのが、営業キャッシュフロー(青色)と投資キャッシュフロー(赤色)がワニ口のように上下に広がっていることです。これは、投資をどんどん加速させ、そしてさらに大きな営業キャッシュフローを得ているという成長の好循環を示しています。

 

ワニ口に上下に広がる営業キャッシュフローと投資キャッシュフローの推移は高成長優良企業の特徴なので覚えておくと良いでしょう。このワニ口の形を他の世界的優良企業でも確認して見ましょう。

 

次に世界的なEC企業であるアマゾン(Amazon)のキャッシュフローの推移をみてみましょう。

アマゾンキャッシュフロー2017-08-21

上の図で青色がアマゾンの営業キャッシュフローで、赤色が投資キャッシュフローの推移を表します。(財務キャッシュフローについては省略しています。)

 

やはりアマゾンも各年度で営業キャッシュフローがプラス、投資キャッシュフローがマイナスです。さらに営業キャッシュフローの範囲内で投資(投資キャッシュフロー)が賄われています。先ほどのキャッシュフローの理想形の通りですね。

 

また、アマゾンも先ほどのアップルと同様に営業キャッシュフローと投資キャッシュフローの推移がワニ口のように上下に広がっています。

 

次にフェイスブック(Facebook)のキャッシュフローの推移をみてみましょう。

フェースブックキャッシュフロー2017-10-05

青色がフェイスブックの営業キャッシュフロー、赤色が投資キャッシュフロー、薄青がフリーキャッシュフロー、黄色が純利益を表しています。

 

フェイスブックの場合も、ほとんどの年で営業キャッシュフローがプラス、投資キャッシュフローがマイナス、そして営業キャッシュフローの絶対値が投資キャッシュフローの絶対値より大きくなっています。各年度でキャッシュフローの理想形を満たしています。

 

さらに、アップル、アマゾンと同様にフェイスブックの場合も営業キャッシュフローと投資キャッシュフローの推移がワニ口のように上下に広がっています。

 

最後に中国で急成長しているアリババ(Alibaba)のキャッシュフローの推移を見てみましょう。

alibabaキャッシュフロー青色がアリババの営業キャッシュフロー、赤色が投資キャッシュロー、黄色が財務キャッシュフローの推移です。

 

やはりアリババの場合も、各年度で営業キャッシュフローがプラス、投資キャッシュフローがマイナスです。ただアリババの場合はこれまでの3社とは違い投資キャッシュフローの絶対値が、営業キャッシュフローの絶対値を超えている年が多く、少し背伸び?をして頑張って投資していることがわかります。

 

アリババの場合も、営業キャッシュフローと投資キャッシュフローの推移が上下にワニ口のように広がっています。

 

これまで、世界の超優良企業であるアップル、アマゾン、フェイスブック、アリババの4社のキャッシュフローの推移を見てきました。

 

これらを見てもわかる通り4社とも共通して、まず単年度で営業キャッシュフローが大きくプラス、そして投資フローがマイナスになっています。これは各年度でしっかり本業でキャッシュを稼ぎ出し、それをしっかり投資に回して、成長エンジンを加速させていることがわかります。

 

その結果として、これらの超優良企業は毎年の営業キャッシュフローが増加していて、それとともに投資キャッシュフローによる投資もしっかり増加させています。これにより高成長の超優良企業は営業キャッシュフローと投資キャッシュフローの推移が広がっていくワニ口の形になるわけです。

 

成長している優良企業は営業キャッシュフローと投資キャッシュフローがワニ口のような形で広がっていくことを覚えておくと良いでしょう。

知っているつもりの日経平均株価のファンダメンタルズ指標(PER,PBR)を解説

テレビや新聞では日経平均株価やTOPIXの数値、そしてチャートを用いて直近の株価の動きが示されます。そして株価が大きく下落する局面では、PERやPBRの指標から「いまの日経平均株価は割安な水準にあります」といった説明がなされることがあります。しかしこれらの説明は本当に正しいのでしょうか。少し詳しく確認していきます。

 

「日経平均株価」「TOPIX」「PER」「PBR」といった用語は、投資に興味があったりすでに投資の世界に足を踏み入れている方であれば、よく耳にする用語だと思います。今回はこれらの用語を、日経の指数公式サイトである「日経平均プロフィル」を確認しながら少し詳しく解説していきます。この日経平均プロフィルでは、日経平均株価をはじめとした日本経済新聞社が算出、公表する指数に関する情報を提供してくれています。

 

さっそく日経平均プロフィルのページで「日経平均株価」という用語を確認してみましょう。「日経平均株価とは、日本経済新聞社が算出する東京証券取引所市場第一部に上場している225銘柄の平均株価指数です。日経225ともいいます。」とあります。式で表すなら「225銘柄の株価の合計/225」となります。実際には株式併合や銘柄入替にともない除数で割って算出し、単純な平均とも違うことから指数ベースが使われます。ここで重要なことは、日経平均株価は225社による平均が計算の基本なのだという点です。そのため日経平均株価は、株価の数字が大きないわゆる値がさ株の影響が強くなります。ファーストリテイリング、ソフトバンクグループ、東京エレクトロン、KDDIなどが日経平均株価に影響の強い個別銘柄です。日経平均株価への寄与度の大きな銘柄と呼ばれます。

 

次に、東京証券取引所の運営を行っている日本取引所グループのホームページでTOPIXの計算式を確認してみました。TOPIXは東証株価指数ともいい、東京証券取引所が算出している指数です。昭和43年(1968年)1月4日の時価総額を100として、その後の時価総額を指数化しています。「算出時点の構成銘柄の時価総額/基準時価総額×100」と計算されますが、もう少し詳しく説明すると、TOPIXでは銘柄の株価変化率を計算し時価総額のシェアをかけたものを合計します。重要な点は時価総額によって計算されている点で、そのため時価総額の大きな銘柄の影響が強くなります。

 

日経平均株価が平均を用いていますので、株式時価総額の割に株価の数値が大きな銘柄があると時価総額以上の影響を受けてしまいます。その代表銘柄がユニクロなどを経営するファーストリテイリングです。時価総額ベースでは、ファーストリテイリングは東京証券取引所に上場している銘柄のなかで10位にも入っていません。しかし日経平均株価の構成率でみれば8%以上あり最も影響力のある銘柄です。

 

逆に時価総額の割に株価の数値が大きくはない銘柄は、時価総額の大きさほど日経平均株価には影響しないことになります。トヨタ自動車の時価総額はTOPIXのなかで最も大きいですが、日経平均株価の構成率でみれば10位にも入っていません。例えばある日、トヨタ自動車をはじめ多くの銘柄の株価が上昇し多くの人の含み益が増加したとします。しかしファーストリテイリングの株価が大きく下落することで、この日の日経平均株価はマイナスになることはあり得るのです。

 

このように、日経平均株価は株価の高い寄与度の大きな銘柄の影響が大きいため、投資家の実感と異なることがあるのです。そして日経平均株価よりも時価総額ベースのTOPIXが実態に近いと言われるのです。なお最新の日経平均株価へのウェートは、日経平均プロフィルにて確認することができます。

 

ここで、日経平均に採用されている225銘柄だけに絞ってみても同じように、加重平均を用いて算出するか単純平均を用いて算出するのかによって二つにわけた上で株価水準を考えてみます。

「PER=株価/1株当たり利益」
「PBR=株価/1株当たり純資産」

と算出します。PERやPBRは株価の割安/割高を判定する代表的な指標です。これを応用してPERやPBRを日経平均のような株価指数についても計算することができます。ただし、日経平均株価のPERやPBRといった株価の水準を示す指標が、225銘柄の加重平均を用いて考えるのか、225銘柄の平均を用いて考えるのかによって違った数字になるのでした。よってPERもPBRも加重平均と指数ベースのものと用意すると、以下の4つの計算式となります。

 

(加重平均) PER=時価総額合計/予想利益合計
(指数ベース) PER=日経平均/日経平均EPS
(加重平均) PBR=時価総額合計/自己資本合計
(指数ベース) PBR=日経平均/日経平均BPS
※正確な計算式は日経平均プロフィルのユーザーズガイドをご覧ください。

 

ここでも日経平均株価と加重平均であるTOPIXの違いと同じで、日経平均という指数ベースで考えると値がさ株の影響が大きくなります。

 

そして、加重平均、指数ベースによるそれぞれのPERやPBRも、日本経済新聞社の日経平均プロフィルにて確認することができます。すると、(2020年3月27日大引けの数値によると)加重平均のPERは12.76倍なのに対して、指数ベースのPERは16.02倍です。そして加重平均のPBRは0.96倍なのに対して、指数ベースのPBRは1.43倍です。加重平均ベースのPERやPBRと、指数ベースでのPERやPBRはだいぶ違った印象に見えます。こうして考えると、例えば日経朝刊の日経平均株価では加重平均が用いられていますが、テレビや新聞などで解説されている日経平均株価のPERやPBRが本当に割安な水準とも言えないのかもしれません。

 

このようにテレビや新聞の解説を鵜呑みにするのではなく、日経平均株価とTOPIXの両方を確認します。日経平均でも加重ベースの指標だけでなく、指数平均ベースの指標も確認することをお勧めします。

 

もう一点注意していただきたいのは、今回は日経新聞社の日経平均プロフィルのデータを参照にしました。ここでは日経新聞社の予測に基づく利益によってPERを計算しています。しかし上場している各会社が出してくる予想に基づいたEPSは、別の数字になるかもしれません。そして今後の経済状況によっても、利益は大きく変わる可能性があります。
ファンダメンタルに基づく投資は、一つの数字をみても簡単に利益がでるものではありません。しかしできるだけ色々な角度からのデータを確認することで、負けにくい株式投資へと一歩近づくことはできると思います。

 

参考URL
日本取引所グループhttps://www.jpx.co.jp/
日経平均プロフィルhttps://indexes.nikkei.co.jp/nkave
per (副) ~あたり、~につき

 

*本稿は協力執筆者による記事です。

Netflix(ネットフリックス)の業績と今後の株価の予想・見通し・投資判断!業績急拡大中!!

米国株(外国株)のNetflix(ネットフリックス:NFLX)のこれまでの業績と株価と同社を取り巻く市場環境をみて、今後の業績と株価を予想・見通しを立てたいと思います。この記事の内容をザックリとまとめると、次の2点になります。

 

(1)Netflix(ネットフリックス)は急激な成長期にあり、動画コンテンツに大規模な投資をしている。

(2)Netflix(ネットフリックス)の株価は現在高過ぎるように見えるが、将来の成長を考えると適正水準にあり、決して高すぎるとは言えない。

 

Netflix(ネットフリックス)は、映画やドラマなどの動画コンテンツ配信の世界最大の会社です。競合としては、Huluやアマゾン・プライムの動画配信サービスがあります。創業は1997年で、当初はDVD宅配が事業の中心でした。2011年にNetflix(ネットフリックス)は事業転換をして、月額有料定額の動画コンテンツ配信サービスを開始して現在急成長をしています。

 

Netflix(ネットフリックス)はオリジナルコンテンツ制作にも力を入れており、エミー賞を受賞した「ハウス・オブ・カード」などが有名です。米国国内のみならず世界進出にも積極的で、2016年には動画配信事業で160ヶ国に進出しました。現在では、中国を除く全世界で動画配信サービスをしています。(話はそれますが、中国は相変わらず、インターネット鎖国を続けており、アマゾン、グーグルをはじめとする米国の巨大IT企業の進出を阻んでいますね(笑))

 

Netflix(ネットフリックス)の動画配信サービスの契約者数は1億人を突破して、海外事業の売上比率は36%にもなっています。

 

早速、Netflix(ネットフリックス)のこれまでの業績を振り返ってみましょう。

 

Netflix(ネットフリックス)の売上高、EBITDA、純利益の推移

まずは、Netflix(ネットフリックス)がビジネスとしてちゃんと売上、利益を出しているのか、損益計算書の重要項目である売上高、EBITDA、純利益の推移を見てみましょう。

netflix売上高

上図が、Netflix(ネットフリックス)の売上高(青色)、EBITDA(赤色)、純利益(黄色)です。売上はすごい勢いで伸びていますね。ただ、EBITDAと純利益がいまいち伸びていないですね。。。

 

上図で売上高を抜いて、EBITDA(赤色)と純利益(黄色)の推移を表示させたのが下図です。

netflix純利益

上図をみてもやはり、売上高ほどにはEBITDA(赤色)、純利益(黄色)は伸びていません。これはどういうことでしょうか?

 

売上に比べて利益が伸びていない理由を結論から言うと、動画コンテンツの取得・制作に莫大な費用を投じているからです。

 

このことを確認するためにNetflix(ネットフリックス)のキャッシュフローをみてみましょう。

 

Netflix(ネットフリックス)のキャッシュフローの推移

キャッシュフローは、営業キャッシュフロー、投資キャッシュフロー、財務キャッシュフローの3つあり、実際の現金の流れを表しています。これを見ることによって、企業の経営状態をより深く理解できるようになります。

 

次の図が、Netflix(ネットフリックス)のキャッシュフローの推移です。

netflixキャッシュフロー

青色が営業キャッシュフロー、黄色が投資キャッシュフロー、赤色が財務キャッシュフローの推移を表しています。これをみて、特に目がつくのが、営業キャッシュフローが大きくマイナス方向に落ち込んでいることです。。。

 

売上高がどんどん右肩上がりの上昇していて、純利益も微妙にプラスにも関わらず、営業キャッシュフローがマイナス方向に大きく減少しているのはなぜでしょうか?

 

これは、先ほども行ったように動画コンテンツの取得・制作などに多大な投資をしているのが原因です。もう少し詳しく説明しましょう。

 

そもそも営業キャッシュフローとは何かと言うと、企業が本業で得た(失った)現金の量です。一方、純利益は実際の現金の動きとは異なることが多いです。企業が何か設備などに大きく投資をした時に、一時的に現金は大きく使われますが、通常その費用をその年に一気に計上(償却)してしまうことは多くありません。それではどうするかというと、例えば10年くらいに渡って分割してその設備投資にかかったお金を少しづつ費用化していきます。これが、営業キャッシュフローと利益(営業利益や純利益など)の額が食い違ってくる大きな原因の一つとなります。

 

Netflix(ネットフリックス)の場合は、動画コンテンツに莫大な投資をしており、これが営業キャッシュフローを大きくマイナスにしている原因となっています。ただ、償却を長期にすることにより、純利益が微妙にプラスなっているわけです。

 

Netflix(ネットフリックス)は、今が勝負時と言うわけで、動画コンテンツに現金をガンガンつぎ込んでいるわけですが、一体どれくらいの額を投じているのでしょうか?

 

これについては、Netflix(ネットフリックス)のコンテンツ部門の責任者であるTed Sarandosが次のように言っています。

 

「Netflix would spend $7 billion on content next year — up from more than $6 billion over the past year and $5 billion in 2016.」

(訳:2018年には7ビリオンドル(約7千億)をコンテンツに投資する。2017年には6ビリオンドルで(約6千億)、2016年には5ビリオンドル(約6千億)で年々上昇させている。)

(https://www.cnbc.com/2017/10/16/netflix-earnings-how-much-is-netflix-spending-on-content.htmlより引用)

 

2017年の売上高が8ビリオンドルなので、来年のコンテンツへの投資額が7ビリオンドルと言うのは非常に大きいですね。売上高をほとんど全部、動画コンテンツへの投資に回している感じです。

 

これが、売上高がガンガン右肩上がりに上がっているにも関わらず、純利益がほぼゼロ、そして営業キャッシュフローがマイナスとなっている原因ですね。要するに、Netflix(ネットフリックス)は、今は高成長段階にあり、利益を出さずにガンガン投資をしている段階と言うわけですね。この攻撃的な戦略はアマゾンの経営を思い出させます。

 

ちなみに、このコンテンツに超積極的に投資している様子を海外メディアは「Netflix is burning money. (Netflixは金を燃やしている)」と表現しています(笑)。

 

Netflix(ネットフリックス)の総資産、流動資産、負債の推移

次にNetflix(ネットフリックス)の貸借対照表(バランスシート)の主要項目である総資産、流動資産、負債の推移を見てみましょう。流動資産に注目するのは、実際に現金化できる資産を大雑把にみておきたいからです。

netflixバランスシート推移

上図で、青色がNetflix(ネットフリックス)の総資産、赤色が負債、黄色が流動資産の推移を表しています。どの項目もここ数年で大きく伸びています。事業急成長中なので総資産が伸びているのは当然として、気になるのが負債の比率ですね。流動資産に比べて、負債の方が大きく膨らんでおり、コンテンツへの投資のためにガンガン負債を増やしていることがわかります。いかにもアメリカ企業らしいレバレッジ経営です。

 

Netflix(ネットフリックス)の契約者の推移

Netflix(ネットフリックス)の成長を様子を、契約者数の推移を見ることによって確認してみましょう。

 

下図は四半期ごとのNetflix(ネットフリックス)の契約者数の推移を表します。(https://www.statista.com/statistics/250934/quarterly-number-of-netflix-streaming-subscribers-worldwide/から引用)

netflix会員

このNetflix(ネットフリックス)の契約者数の推移をみて見ると、順調に伸びていることがわかります。現在(2017年第三四半期)の時点で、契約者数は約1億人くらいになっています。アメリカの人口だけで3億人います。Netflix(ネットフリックス)が動画コンテンツビジネスで、世界展開していることを考えると、今後契約者数はまだまだ伸びていきそうです。

 

もしこのまま動画コンテンツ分野でフェイスブックやグーグルのように世界の覇権を握るとすれば、契約者数はあとどれくらい伸びるでしょうか?

 

無料のSNSサービスを展開しているフェイスブックで、月間利用数が20億人程度です。ただし、Netflix(ネットフリックス)の場合は有料(一ヶ月千円弱)なので、この規模まで契約者数が伸びることは多分ないでしょう。ただ、フェイスブックの10分の1くらいの規模と考えても、Netflix(ネットフリックス)は少なくともあと2倍は成長できそうです。

 

Netflix(ネットフリックス)の時価総額、総資産(自己資本)、売上高(純利益)の規模の比較

それでは、(1)売上高(純利益)(2)総資産(自己資本)(3)時価総額の規模を比較してみましょう。このことによって、3つの異なる方向から企業を立体的に見ることができます。すなわち、

 

(1)どれ位儲けたのか(売上高(純利益))、

(2)その儲けを出すのに、どれ位の資本が必要であるか(総資産(自己資本))、

(3)その結果、投資家からどれくらい評価を得たのか(時価総額)

 

を見ることができます。

 

それでは、Netflix(ネットフリックス)の(1)売上高(純利益)(2)総資産(自己資本)(3)時価総額をみてみましょう。

 

売上高:8ビリオンドル(純利益:0.18ビリオンドル)

総資産:13ビリオンドル(自己資本:2.6ビリオンドル)

時価総額:95ビリオンドル

 

そして、これらの数字から投資に重要な指標を次のように計算することができます。

 

売上高純利益率:2.25%

自己資本比率:20%

ROA:1.3%

ROE:6.9%

PER:527倍

PBR:36倍

 

まず、目につくのがNetflix(ネットフリックス)のPERの高さです。通常、PERは20倍程度の値となるので、500倍を超える数字はPERとしては異常とも言えるほど高いです。また、売上高純利益率、ROA、ROEの値も、成長中の企業としては総じて低いです。

 

これらの投資の指標の数字が悪い原因は何でしょうか?それは、これまでも述べてきたようにNetflix(ネットフリックス)の利益が小さすぎることと、株価が高すぎることが原因です。

 

Netflix(ネットフリックス)の株価と理論株価の推移

それでは、Netflix(ネットフリックス)の株価と理論株価の推移をみてみましょう。ここで理論株価は、一株あたりの純利益の15倍で計算されています。この15倍という数字は、株価インデックス(日経平均やS&Pなど)のPERが歴史的に平均で15倍程度の値になることからきています。

netflix株価

上図で、緑色がNetflix(ネットフリックス)の株価の推移を表し、青色が理論株価を表します。理論株価に比べて、実際の株価が異常に高くなっていますね。これは、何度も繰り返しになりますが、Netflix(ネットフリックス)の純利益が小さすぎることと、株価が高すぎることが原因です。

 

一体この高い株価にはNetflix(ネットフリックス)のどれ位の今後の成長が織り込まれているでしょうか?

 

現在のPER527倍を平均的なPER15倍で割ると35になります。つまり、Netflix(ネットフリックス)の株価には純利益で今後35倍までの成長が織り込まれているということです。

 

現在の動画コンテンツへの集中投資期が終わって安定期に入り売上高純利益率が25%程度になり、契約者が3億人(現在の3倍)になったすると、だいたい30倍強の成長となります。現在のNetflix(ネットフリックス)の株価にはこれ位の成長が織り込まれていると考えて良いでしょう。

 

Netflix(ネットフリックス)が今後順調に成長して、独占状態に入った巨大IT企業としては売上高純利益率25%というのは平均的な数字です。また、現在の契約者数の伸びを見ると、3億人という数字も現実的な数字です。なので、上記の見積もりはそれほど甘いものではありません。

 

こう考えると、Netflix(ネットフリックス)の高すぎる株価も、将来の成長を織り込んだ適正な株価に見えてきます。ただ、株価水準は割安とも言えませんのでご注意を。。。

 

Netflix(ネットフリックス)への投資戦略としては、様子見で良いでしょう。一時的な原因で株価が下がることがあれば、打診買いをしても良いかもしれません。

ダイキン工業の業績と株価の今後の予想(見通し)


ダイキンロゴ
ダイキン工業(銘柄コード:6367)のこれまでの業績と市場環境を調べて、今後の業績と株価の予測をしたいと思います。

 

ダイキン工業はエアコンで世界トップのシェアを誇ります。国内では業務用エアコンで他社を圧倒しています。海外売上比率が75パーセントと非常に高く、世界で戦っているグローバル企業です。

 

ダイキン工業は販売力や営業力を強化させると共に、世界で原材料部品を調達してコストダウンを図っています。主役の空調事業においては、日本、米国、中国、アジア、欧州地域で販売を拡大していて、過去最高の業績を更新中です。

 

ダイキン工業の損益計算書の指標の推移

下図はダイキン工業の売上高、EBITDA、純利益の推移を表しています。

ダイキン工業売上

青色が売上高で、赤がEBITDAで、黄色が純利益です。

 

売上は右肩上がりに順調に伸びています。ただ、リーマンショック直後の2009年、2010年には売上を少し落としており、景気循環の影響を受けるビジネスであることがわかります。景気が悪くなると、企業の空調などの設備改善はやはり後回しになって、ダイキンの空調も売れなくなるのは納得できますね。

 

次に、上図で売上高の推移を抜いて、ダイキン工業のEBITDAと純利益推移だけを見てみましょう(下図)。

ダイキン工業利益

赤色がダイキン工業のEBITDAで、黄色が純利益の推移です。こちらも大きく見れば、順調に右肩上がりに伸びています。いい感じですね。

 

ただ、やはり売上高の推移と同じように2008年直後のリーマンショックでEBITDAも純利益も落ち込んでいて高値を越えるのに6年ほどかかっています。

ダイキン工業のキャッシュフローの推移

次にキャッシュフローの推移について見てみましょう。

ダイキン工業キャッシュフロー

青い色は、営業キャッシュフロー、赤色が財務キャッシュフロー、黄色が財務キャッシュフローです。

 

まず、青色の営業キャッシュフローを見てみると、右肩上がりに順調に伸びていています。ダイキン工業のキャッシュを稼ぐ力は年々増しています。

 

赤色の投資キャッシュフローを見てみると、2007年と2013年に大きくマイナスになっています。

 

最初の2007年の投資キャッシュフローが大きくマナナスなのは、マレーシアのOYLインダストリーズ社の買収によるものです。買収金額は2400億円にのぼります。この OYLは、米国、欧州、アジア、中国にグループ企業を傘下に押さえており、ダイキン工業はこの買収により空調分野で、世界トップ級の企業になりました。

 

さらに、2013年に投資キャッシュフローが大きくマイナスになっているのは、ダイキン工業が2012年の8月に、米国の家庭用エアコンの最大手グッドマン・グローバルを37億円で買収したことによるものです。

 

ダイキン工業は、M&Aを繰り返して規模を拡大してきており、エアコンで世界でトップのシェアを誇るようになりました。ダイキン工業はグローバルで戦っている良い企業ですね。

 

ダイキン工業のバランスシートの推移

下図が、ダイキン工業の総資産(青色)、自己資本(赤色)、流動資産(黄色)、負債(水色)の推移です。

ダイキン工業バランスシート推移

ダイキン工業の総資産(青色)をみると、2007年と2013年に大きく伸びています。これは、先ほども述べたように、2007年のマレーシアのOYLインダストリーズ社の買収、2012年の米国の家庭用エアコンの最大手グッドマン・グローバルの買収によるものです。

 

総資産の膨張と共に、自己資本、流動資産、負債も大きく膨らんでいます。キャッシュフローの項目の推移をみると、ダイキン工業が拡大路線を進んでいることがわかります。

 

ダイキン工業のセグメント別売上高と利益

さて、ダイキン工業のセグメント別の売上高と利益を見て、ビジネスの詳細を見てみましょう。

 

下図がダイキン工業の決算短信から抜粋してきた報告セグメントです。

ダイキン工業セグメント

ダイキン工業には「空調、冷凍機事業」と「化学事業」の2つのセグメントがあります。売上高をみると、空調・冷凍機事業の方が、化学事業に比べて10倍以上を圧倒的に大きいですね。

 

それぞれのセグメントの利益率をみてみると次の通りです。

 

空調・冷凍機事業:11%

化学事業:11%

 

売上高の規模は違いますが、営業利益率は両方とも10%を超えており、十分利益率の高いビジネスをしていますね。

 

ダイキン工業の地域別の売上高

次にダイキンの世界における地域別の売上高をみてみましょう。これをみると、ダイキン工業がどれだけ世界的にビジネスをしているかわかります。

 

下図は、ダイキン工業の決算説明会の資料からの抜粋です。

ダイキン工業の空調事業の地域別売上高

直近の2016年度の各地域での売上高をみてみると、日本、ヨーロッパ、中国、米国、アジアの主要の5つの地域でバランスよく売上を立てています。さすがに、エアコン世界首位の会社ですね。世界で圧倒的なブランド力がありますね。

 

BtoC向けの企業では、世界的な目立つ日本の企業はだいぶ減ってしまいましたが、BtoB向けの事業であれば、まだまだ日本にも世界的な企業がありますね。

 

また、各地域の売上の伸び率をみてみると、日本国内は停滞している感じがありますが、国外のヨーロッパ、中国、米国、アジアのいずれの地域も順調に成長しています。

 

ダイキン工業は海外売上比率が75パーセントで、海外が主戦場になっています。人口減を迎える国内市場は停滞・成熟段階に入っていますが、海外市場ではまだまだ成長しそうです。総じて、ダイキン工業はこれからもますます成長していくことが期待できます。

 

ダイキン工業の時価総額、総資産(自己資本)、売上(純利益)の比較

 

ダイキン工業の時価総額、総資産(自己資本)、売上(純利益)を比較して、主要な株価の指標を計算してみましょう。

 

時価総額:3.8兆円

総資産:2.4兆円(自己資本1.1兆円)

売上:2.2兆円(純利益1600億円)

 

これから、主要な株価の指標を計算すると以下のようになります。

 

自己資本比率:45%

売上高純利益率:7.2%

ROA:6.6%

ROE:14.5%

PER:23倍

PBR:3.4倍

 

どの数字もなかなか良い数字で、特にROEは10%を超えており成長企業らしい数字になっています。ただ、PERが少し高く、株価は割高水準にあると思われます。

 

ダイキン工業の株価と理論株価

これまで、ダイキン工業の業績や市場環境を分析してきたので、いよいよ株価をみてみたいと思います。

 

下図がダイキン工業の株価(緑)と理論株価(青)の推移です。理論株価は一株あたりの純利益の15倍で計算されています。

ダイキン工業の株価と理論株価

まず、注目すべきなのは2008年から2012年あたりの株価と理論株価の動きです。リーマンショックのあった2008年から、実際の株価も業績(理論株価)も落ち込んでいることがわかります。これは、ダイキン工業が製造業特有の景気循環株であることがわかります。

 

今は、景気が良いので大丈夫ですが、景気が悪くなった時にダイキン工業の株価は大きく下落することが予想されます。

 

2013年以降は、世界経済の回復と共にダイキンの株価も上昇を続けています。現在は理論株価からだいぶ乖離して株価は割高水準にあると思われます。

 

ダイキンは、世界で戦っていて、さらに成長していく優良企業であると思いますが、株価が割高水準にあるということと、景気循環株であることを考えると、現段階では投資は様子見で良いかと思います。

 

この手の景気循環株は景気が悪くなって、株価が安値圏にきた時に仕込んで景気が回復するまで数年寝かせるという投資が良いかと思います。

今回のコロナ騒動と過去の金融ショック(1990年のバブル崩壊、2001年のITバブル崩壊、2007年のリーマンショック)などの解説

コロナショックにより2020年2月末から世界的に株価が大暴落しています。日経平均株価は、2020年1月に付けた24,000円代から一時16,000円まで急落しました。またニューヨークダウも、29,000ドル台から一時18,000代まで急落しました。株価の大暴落は過去に何度もありましたが原因は様々です。また、このような金融ショックを受けると投資商品を販売している銀行などの金融機関は、顧客のフォローに追われることになります。筆者は、メガバンクの現役行員です。リーマン・ショックの時も顧客フォローを行いましたし、現在も顧客フォローの真っ只中です。そこで今回は、代表的な金融危機であるリーマン・ショックとコロナ・ショックについてとリーマン・ショックとコロナ・ショックの時に銀行の顧客フォロー方法について説明します。

 

リーマン・ショックの原因

リーマン・ショックが起こった原因には様々な原因がありますが、リーマン・ショックを引き起こした最大の原因は、「サブプライムローン」です。リーマン・ショックは2008年に起きた金融ショックですが、サブプライム・ローンは、この2年前の2006年頃から本格的に販売されていたローンです。サブプライムローンとは、返済能力や信用力の低い個人にお金を貸す住宅ローンのことをいいます。

 

当時のアメリカは、ITバブルの後処理を行うため金利を引き下げており、市場にお金が余っている状態でした。多くの銀行はお金を貸す相手を探しており、そこで目を付けたのが本来、住宅ローンを組むことができない信用力が低い個人です。当時、アメリカの住宅価格は、右肩上がりで上昇しており、家を買って売却すればすぐに利益を取れる状況でした。住宅市場が好調なことも後押しして、多くの銀行は、信用力の低い人にどんどんお金を貸して行きました。

 

なぜ信用力の低い個人のお金を貸したかというと先ほど説明したお金が余っていたことと、信用力の低い人にお金を貸せばそれだけ高い金利を取ることができるからです。また企業に融資する場合に比べて、住宅ローンは小口なので仮に回収できなくても損失が少なくて済むことも理由になりました。サブプライムローンは飛ぶように売れていき、多くの銀行は高い金利を受け取ることができました。

 

しかしこのサブプライムローンですが、住宅ローンを組んだ当初の金利は比較的抑えられていますが、ある一定期間経過すると金利が爆上がりする商品性になっていました。サブプライムローンを組んだ人の多くは、収入の少ない信用力が低い人たちです。金利が比較的抑えられていたうちは問題なく返済することができましたが金利が爆上がりしたタイミングで返済できない人が続出しました。

 

当時、銀行は返済が滞っても住宅を売却させれば資金を回収できると踏んでいました。なぜなら住宅価格は右肩上がりで上昇していたからです。しかし、住宅市場に陰りが見え始めると事態は一変します。住宅を売却しても資金を回収することができなくなり。金利の上昇のせいで住宅を手放す人も急増しました。多くの住宅が売りに出されると当然ですが、住宅価格は更に下がります。この状況になるとローンの回収は難しくなります。

 

このサブプライムローンで最も大きなダメージを受けたのがリーマン・ブラザーズです。リーマン・ブラザーズは、サブプライムローンを、証券化して多くの投資家に販売しました。しかしサブプライムローンが破綻したことによって莫大な損失を負うことになり、倒産してしまったのです。当時、アメリカの大手証券会社が倒産するなど誰も予想していなかったため、市場は衝撃を受けました。結果、市場に大きな不安感が広がりリーマン・ショックが起こったのです。

 

リーマン・ショックの時の銀行の顧客フォロー

銀行は2001年に投資信託の販売が全面解禁されており、たくさんの人に投資信託を販売してきました。銀行は、証券会社に比べて身近ですし預金があるので多くの人は銀行で投資信託を購入しました。投資信託だけでなく投資型保険や証券仲介など様々な金融商品を銀行で販売できるようになり、銀行は金融商品の販売にものすごく力を入れていた時期です。そんな中リーマンショックが起きたので大変な状況になりました。そもそも銀行員は、投資のプロではありません。適当なことをいって販売していたケースもあり、多くの顧客は銀行にクレームを入れました。

 

当時、筆者が在籍していた支店では毎日、窓口で大声を出す顧客がいるなど大変な環境の中、フォローをしていたことを思い出します。支店長や課長と大口の顧客からフォローしていき、多くのお叱りの言葉を受けました。しかし逃げることなく、誠実に対応した銀行が多かったと思います。

 

コロナショックの原因

コロナショックが起きた原因は、リーマンショックとは全く異なります。経済・金融の状況は決して悪くなく、むしろ好調でした。しかし、中国武漢発のコロナウィルスという外的な要因のせいで、状況は一変しました。コロナウィルスが猛威を振るいを多くの方が亡くなり、また感染力が異常に強く、経済どころの騒ぎではなくなってしまい先行きに不安を覚えた多くの投資家が投げ売りに近い状況で株式などを売却をしたことによってリーマンショック並みに金融ショックになってしまいました。

 

しかし経済・金融を起因とした金融ショックではないためコロナウィルスが終息すればV字回復する可能性は十分にあると見ているアナリストもいます。今後どうなるか分かりませんがコロナウィルスが一刻も早く終息することを心から願ってします。

 

コロナショックの時の銀行の顧客フォロ

コロナショックの時の銀行の顧客フォローは、リーマン・ショックの時とは全く異なります。リーマン・ショックの時の顧客フォロー方法はとにかく対面してフォローすることでした。しかしコロナショックは、コロナウィルスを顧客に移す可能性があるため、面談でのフォローは行っていません。またリーマン・ショックの時対比銀行の経営は厳しくなっているので、支店に在籍する営業員の数は少なくなっています。多くの銀行がコールセンターを持っているのでコールセンターからのフォローが主になっています。コールセンターに在籍している人は行員だけでなく非正規雇用のスタッフもいます。明らかにリーマン・ショックの時と比べ顧客フォローはおざなりになっています。

 

まとめ

今回は、リーマン・ショックとコロナショックを比較しそれぞれの金融ショックについて説明しました。金融危機は過去に何度も起きています。しかし時間がかかっても株価などは回復してきました。コロナショックが終息したあとどうなるか分かりませんが、過去のケースを見ると、回復する可能性の方が高いと思います。このタイミングで長期で株などを保有できる人は購入するにはいいタイミングであると思います。

 

また銀行のフォローは、銀行の経営状況によって大きく変わります。リーマン・ショックの時は対面でフォローしてくれましたが今は、電話でのフォローです。金融機関のフォローはこのように時代によって大きく変わるので正直あてにできません。株などの投資商品を購入する際は、金融機関のフォローはあてにしないのが良さそうです。

 

*本稿は協力執筆者による記事です。

サイバーダイン(CYBERDYNE)は買いか?業績と株価の今後の予想(見通し)

サイバーダイン株式会社(7779、CYBERDYNE)のこれまでの業績と株価を見て、今後の業績と株価を予想(見通し)をしたいと思います。

 

この記事の内容をザックリまとまると次の4点になります。

 

⑴ サイバーダインが研究開発しているロボット技術は、インターネット、人工知能に続く次世代の主要産業になるだろう。

 

⑵ サイバーダインは研究開発に多くの資金を投入しており、売上高は徐々に上がっているが大きな研究開発費がかかっていて、まだ利益は出ていない。

 

⑶日本人技術者は伝統的にロボットのような精密技術に強く、この点でサイバーダインも将来が期待できる。

 

⑷ サイバーダインの手がけるロボット技術の研究開発は、新薬開発に似ており、当たれば業績を大きく飛躍させることができるであろう。

 

サイバーダインのビジネスの概要

サイバーダイン(CYBERDYNE)は大学発のベンチャーで、HALのブランドで知られるサイボーグ型のロボットを研究・開発しています。特に、脳から筋肉に流れる神経信号をセンサーで把握して、人間の腕や足などの動きを補強、増強させたりするロボットの開発で世界的に知られています。このHALの技術は医療ロボット、清掃ロボット、搬送ロボットなどに応用されており、医療、清掃、搬送用として開発したロボットのレンタルサービスなどを提供しています。

 

サイバーダインは2004年に設立され、2014年に東証マザーズに上場したまだ若い会社です。今後、世の中はインターネットの時代から人工知能そしてロボットの時代がやってくると予想されます。サイバーダインはロボット産業のパイオニアとして、その将来の成長が期待されています。

 

サイバーダインの決算書の業績を、損益計算書(PL)、貸借対照表(BS)、キャッシュフロー計算書の3つの財務諸表の主要項目の年ごとの推移を順番に見てみたいと思います。ファンダメンタル投資では(実は短期投資でも)決算書の主要項目の変化をみていくことは重要ですね。

 

サイバーダインの売上高、純利益の推移

まず、下の表がサイバーダインの最近5年間の損益計算書の主要項目の売上高、経常利益(損失)、純利益(純損失)、包括利益の推移です。下の表はサイバーダインの有価証券報告書からの引用です。

cyberdyne売上推移

サイバーダインの売上高は右肩上がりに上がっていますが、純利益はマイナスのままで黒字化できていませんね。後でも詳しく書きますが、研究開発費が多くかかりまだまだ利益を残す体制にはなっていません。

 

ただ、サイバーダイン(CYBERDYNE)はロボットのような新しい技術で勝負しているので、今の段階では利益を残すことを考えることより、どんどん研究開発に資金を投入した方が良いと思われます。アマゾンのような巨大企業でも、利益よりも新規投資に資金を回しており、売上高は多くなっていますが利益はほとんど出てきません。というよりアマゾンは利益を出さないようにしていると考えるべきでしょう。

 

サイバーダインも今は赤字が続いていますが、新しい技術による新興企業で研究開発費に投資する時期なので、それほど気にする必要はないでしょう。

 

サイバーダインの総資産・純資産などの推移

次の表は、サイバーダインの貸借対照表(バランスシート)の主要項目である総資産、純資産、一株あたりの純資産、一株あたりの純利益(EPS)、自己資本比率の最近5年の推移です。

cyberdyne資産推移EPS

純資産と純資産が2015年に大きく上昇しています。これは、2014年11月に実施された410億円にのぼる資金調達によるものです。資金調達の内訳は公募増資が約210億円、CB(転換社債)で約200億円によるものです。CBでの調達を引き出すには契約で、HAL医療用の米国や日本の政府機関(FDAなど)からの承認が必要となっています。

 

サイバーダインの決算説明の資料などで、日米欧などの政府機関からの医療器具としての承認を得たことを強調しているのは、このCBでの調達の契約が背後にあるようです。

 

2017年では、総資産は変わらずに純資産が大きく上昇しています。(それとともに自己資本比率も55%程度から98%くらいまで大幅に増えています。)これは先ほどの2015年の転換社債などの権利行使による株式転換によるものです。

 

サイバーダインのキャッシュフローの推移

次の表は、サイバーダインのキャッシュフローのここ5年間の推移です。

cyberdyneキャッシュフロー推移

ビジネスで重要な営業キャッシュフローがほとんどの年でマイナスになっていませんね。。。

 

営業キャッシュフローは大雑把に行って、営業利益に原価償却費を足したものなので、通常は営業利益よりも営業キャッッシュフローの方が大きくなります。なので、営業利益がマイナスでも営業キャッシュフローがプラスであれば、今後の成長が見込めます。ここ2年間で営業キャッシュフローのマイナスの幅が小さくなっていますので、この点は評価できますね。

 

投資キャッシュフローは、ほとんどの年で大きくマイナスですが、これは有形固定資産の取得など先行投資によるものです。成長している(成長しようとしている)新興企業では、よく見られる現象なので、特に問題ないでしょう。

 

サイバーダインの研究開発費

サイバーダインの売上高が上がっているにも関わらず、営業利益や営業キャッシュフローがマイナスの原因の一つに、研究開発費が挙げられます。下の図が、サイバーダインの売上高、研究開発費、営業利益などの表です。

 

サイバーダイン研究開発費

 

上の図で赤丸で囲ったところを見てもわかる通り、研究開発費は、プラスの売上純利益を帳消しにしています。このほかに一般的な販管費がかかりますので、営業利益は大きくマイナスになっています。

 

 

このようにサイバーダインは研究開発型のビジネスをしていますので、常に莫大な研究開発費がかかります。この辺が、日用品や食品などをビジネスにしている企業との大きな違いです。どちらかというと、新薬製薬会社に似ているでしょうか。

 

サイバーダインは、まだまだ売上をあげても、それをさらに研究開発につぎ込んでロボットの改良をしていく必要があります。ロボットはこれからの分野ですので、いくら研究開発に費用をつぎ込んでも足りないくらいでしょう。

 

サイバーダインのような研究開発型の企業は社会的意義は高いですが、投資家目線から見るとそれほど美味しい投資分野ではないかもしれません。。。

 

ちなみに、研究開発費は営業キャッシュフローとして分類されますので、莫大な研究開発費用は営業キャッシュフローのマイナス要因になります。

 

サイバーダインのバランスシート,損益計算書,時価総額の比較

企業を損益計算書、貸借対照表、時価総額の3つの異なる視点から比較すると、その企業を立体的に見ることができます。

 

サイバーダインの貸借対照表(BS)の最も重要な数字(総資産、自己資本)、損益計算書(PL)の最も重要な数字(売上高、純利益)、そして株価に比例する時価総額を下記で見てみましょう。

 

(サイバーダインの2018年3月期決算書より)

(1)BS(貸借対照表)

総資産 463億円、  自己資本 455億円

(2)PL(損益計算書)

売上高 17.2億円、 純利益 −5.9億円 (来期予想 −0.4億円BD)

(3)時価総額 1800億円 (2018年9月5日)

 

BSの総資産、PLの売上高、時価総額の3つの数字はだいたい同じオーダー(桁数)になることが多いですが、サイバーダインの場合は総資産、売上高に比べて時価総額が大きく、サイバーダインへの投資家の期待が現れています。

 

また、サイバーダインは売上高に比べて総資産が大きく、会社としては、まだまだ売上を伸ばして総資産にに見合うレベルまで引き上げなければならないでしょう。この総資産のレベルだとあと10倍程度の売上高が欲しいところです。サイバーダインはまだまだこれからといったところですね。

 

これらの数字から、投資に重要な指標を計算すると以下の通りになります。

 

自己資本比率:98%

売上高純利益率:−34%

ROA:−1.2%、

ROE:−1.3%

PER:−305倍

PBR:3.8倍

 

自己資本比率が非常に高く、まだまだ研究開発に資本をつぎ込むことができそうです。ただ、残りの数字はPBRを除いてマイナスです。純利益がマイナスなので、こうなるのは当然なのですが、サイバーダインはビジネスとしてはまだ成立していないことがわかります。サイバーダインの今後の成長に期待ですね。

 

サイバーダインの株価の推移

ここまでサイバーダイン(CYBERDYNE)のファンダメンタルを分析してきましたが、次は株価の推移をみてみましょう(下図)。

サイバーダイン株価

 

サイバーダイン(CYBERDYNE)は、まだまだ売上も小さく、利益も赤字の為に一株純利益から導出する理論株価が計算できません。(言い換えるとPERが良い指標ではないですね。ちなみに理論株価は一株あたりの純利益を15倍して計算します。)

 

そこで、サイバーダインの資産面から株価の水準を評価してみましょう。サイバーダインのPBRの方を見ると3.8倍とそれほど高くはありません。よって、サイバーダインがこれからも成長を続けることができれば、株価は決して高すぎる水準ではありません。

 

インターネット革命、人工知能と新しい技術が出てきて、世の中の技術産業の変化が激しいですね。ロボットは次世代の技術の中心になるでしょう。

 

インターネットや人工知能はソフト技術であり、日本は欧米に遅れをとっていました。しかし、ロボットのような精密技術が必要になるハード分野では伝統的に日本人は強いですね。自動車やコモディティ化する前までの家電も日本は世界で強さを発揮していました。サイバーダインは次世代の主要技術になるであろうロボット開発をしていますので、今後の伸びが期待できます。

 

ただ、懸念としてはロボットのような新しい技術には莫大な研究開発費が必要で、また今後ロボット分野に次々と新しい競合も出てくると思いますので、これからサイバーダインは先行者利益がどれくらい取れるかを注視する必要があります。

 

投資家として見ると、研究開発費が多くかかるサイバーダインへの投資は、新薬開発をする製薬会社への投資に似ていますね。当たれば大きな利益を得られますが、上手く研究開発が進まない場合は資金だけ食いつぶすリスクもあります。

 

個人的には、サイバーダインへの長期投資は様子見としたいですね。

 

ユニチャームの株価が下落している理由は何か?

ユニチャームの現状の業績と株価を分析して、将来の業績と株価の予測・予想をしたいと思います。

 

ユニチャームは、幼児用、大人用オムツでトップ企業です。子供がいる方ならば一度はユニチャームのオムツを使ったことがあるのではないでしょうか。海外進出にも積極的で海外売上が59%もある国際的な優良企業です。

 

ここ最近、ユニチャームの株価が下落傾向にありますが、その原因を含めて、ユニチャームの業績を調べて行きましょう。

 

ます、ユニチャームの(一株あたりの)売上(緑)、EBITDA(青)、純利益(赤)の推移を見てみましょう。(下図)

ユニ・チャーム売上2018

まず、売上を見ると順調に伸びていますね。ただ、2017年の売上が若干落ち込んでいます。これは、ユニチャームの会計方式がIFRS方式に移行したために売上が目減りしたためです。一方、のれんを償却しなくて良くなったので、営業益の方はかさ上げされています。

 

上の図では、EBITDAと純利益がスケールが潰れて見にくいので、上の図で売上を除いて、推移を表示すると以下のようになります。

ユニ・チャーム利益2018

黄色がユニチャームのEBITDAで、赤色が純利益です。両方とも一株あたりの金額です。EBITDAは聞いたことあない方も多いかと思いますが、だいたい純利益に減価償却を加えたもので、ほぼ営業キャッシュフローと同じものと考えればOKです。赤色の純利益が2010年に異常に大きくなっていますが、これは株式分割の影響がシステムに反映され損なっているミスで、実際はもっと滑らかな曲線になっているので、とりあえずこのコブは無視してください。

 

この図を見ると、EBITDAも純利益の方も順調に増えていますね。右肩上がりの見事な成長をしています。また、2008年のリーマンショックや2010年のユーロ危機のあたりも売上も利益も落とさず、景気に強い見事なデフェンシブ株です。

 

次にキャッシュフローも見てみましょう。キャッシュフローをチェックするのは、利益の裏付けとなる現金が実際に入ってきているかどうかを確認する意味があります。これにより、損益計算書に書かれている利益が、操作されている利益(インチキ利益)でないことを確認することができるので重要です。

 

下図が、ユニチャームの営業キャッシュフロー(赤色)と投資キャッシュフロー(黄色)です。

ユニ・チャームキャッシュフロー2018

こちらも、営業キャッシュフローが順調に伸びつつ、営業キャッシュフローの範囲内で、多すぎず少な過ぎずの適切な投資キャッシュフローとなっており、まさに理想的な形をしています。ユニチャームの経営は、キャッシュフローの現金の流れからも問題ないと言えるでしょう。

 

さて、所在地別の業績やセグメント別の利益を確認したりして、会社の利益構造の微細をチャックするのは、将来の業績予想にとても役にたちます。ユニチャームのセグメントは「パーソナルケア」と「ペットケア」、「その他」の3つありますが、大部分がパーソナルケアなので、セグメント別の解析は省略します。

 

今後のユニチャームの将来の業績の予測もしくは予想をするために、所在地別の業績をみてみましょう。以下は2017年のユニチャームの通期の決算説明会に書いてある所在地別の売上、営業利益の表です。(http://www.unicharm.co.jp/ir/library/investors/__icsFiles/afieldfile/2018/02/16/Final_J_Web_Presentation_Material_201712.pdfより引用)

ユニ・チャームセグメント情報2018

この表を見てまず、目がつくのはユニチャームは日本以外の海外(中国、その他の地域)の売上の割合が多いことです。ユニチャームはすでにグローバル企業に変身しつつあるというわけです。

 

日本、アジアでは増収増益になっている一方、その他地域(米国、サウジアラビア、ブラジル、オランダ)では増収減益になっています。

 

この表から実際に売上高営業利益率をみてみると以下のようになります。

日本:21.7%

中国:8.7%

その他地域:4.9%

これを見ると、ユニチャームは、日本では圧倒的な営業利益率を誇っており、ブランド力が確立していることがわかります。一方、中国やその他地域ではまだまだブランド力が強くなく、価格競争に巻き込まれていることが読み取れます。

 

実際に営業利益率の各年度の推移を下で見てみましょう。この図はユニチャームの2018年の決算説明資料にあったものです。

ユニ・チャーム営業利益率2018

この図を見ても、日本(緑色)の営業利益率は年々上昇して、ブランド力が確立して非常に儲かる商売になっていることがわかります。一方、アジア地域(赤色)では、年々営業利益率が小さくなっていて、苦戦していることがわかります。

 

ユニチャームは全体として見て見ると、日本での商売が絶好調であるのに対して、海外(特に中国)での商売で苦戦していることがわかります。これは、ユニチャームの将来の業績の伸びに対して、あまり良い兆候とは言えません。

 

なぜならば、今後日本は人口減でますますマーケットが縮小していうのは明白であるのに対して、海外の特にアジアのマーケットは賃金の伸びにしたがって、高級オシメの需要が伸びていくことが予測されるからです。

 

これからは、海外でのオシメ市場での競争に勝っていかないと、さらなる成長は難しいと思います。そんな環境の中で、中国やその他の海外地域で、営業利益率が小さくなっているのは大変に気になるところです。

 

この辺ところを投資家が気にして、最近のユニチャームの株価下落の一因となっていると思われます。(会社四季報を見ると、中国子会社費用計上時期をめぐって、社内調査、過年度決算を訂正するかもということでした。)何れにしても中国での今後の業績が気になりますね。

 

また、オシメ市場の海外の競合と言えばP&Gなどが思い当たります。海外市場で、ユニチャームとP&Gなどの競合との競争がどうなるか今後注目していきたいところです。

 

さて、実際にユニチャームの株価を見てみましょう。

ユニ・チャーム株価2018

株価の方は業績の伸びに合わせるように順調に伸びています。特に2010年あたりから株価の伸びは驚異的なものがありますが、2016年になってから業績の伸びの低迷に合わせるかのように株価も低迷しています。現在(2018年10月)、PERが30倍と結構割高になっています。適正PERが20倍と考えると、利益水準で、将来の1.5倍までの成長を織り込んでいると考えられます。これは一株あたりの純利益で130円くらいです。来期と再来期の四季報での予想では105円と110円なので、少し割高と感じますね。。。

 

次が理論株価(青色)と、実際の株価(緑)を比較した図です。理論株価は一株あたりの純利益の15倍で計算されています。

ユニ・チャーム理論株価2018理論株価(青色)が2010年あたりに大きなピークをつけていますが、株式分割によるデータ処理のミスですので、この山は無視してください。実際にはもっとなだらかな曲線になります。

 

理論株価はPER15倍水準なので、だいぶ慎重に見積もっているという事情もありますが、これをみてもやはりユニチャームの株価はまだまだ割高と感じますね。

 

海外での業績が少しづつ伸びてきているとはいえ、業績に比べて高い株価水準でユニチャームに投資していくのは、少しためらうところです。

 

ただ、ユニチャームのビジネスモデル自身は、海外の成長市場を取り込もうと努力している成長的で、景気に強いデフェンシブな業態ですので魅力的であることには変わりありません。

 

海外での業績がテコ入れできつつあるので、もう少し株価が下がってきたら投資しても良さそうです。また、少額で打診買いをするのも悪くないかもしれません。

花王の株価が急落、なぜ今、花王株を買うべきなのか?今後の業績と株価の予測・見通し

花王キャッチ画像

最近、株価が急落しましたが、花王は業績が景気に対して安定的で持続的に成長しているディフェンシブな成長株です。急落して株価が下がったので仕込みの時期と思われます。花王の現状の業績と株価を振り返り、今後の業績と株価を予想・予測してみましょう。

 

花王はトイレタリーなどファブリック、ホームケアの国内首位の会社です。これ以外にも化粧品やヘルスケア商品、事業者向けに化学などの事業もしています。花王がカネボウの化粧品部門を買収したことを記憶している方も多いと思います。

 

花王には大きく分けて4つのセグメント(ビューティーケア、ヒューマンヘルスケア、ファブリック&ホームケア、ケミカル)があります。どの部門もシャンプーのように毎日消費されていく日用品を対象にしていて、常に新しい購入需要が生まれていくところが、花王の日用品ビジネス領域の強いところですね。

 

車や電化製品などであれば、一回買ってしまうと、なかなか買い替えたりしないのと対照的に、花王ような日用品ビジネスは人間が生活している限りコンスタントに消費されそして新たな需要が日々生まれるので安定的なビジネス領域であると言えるでしょう。

 

また、車や電化製品などであれば景気が悪くなると古くなっても買い替えを控えたりしますが、花王のビジネス対象である日用品は景気が悪くなっても、シャンプーの頻度を減らすとか、洗剤を使わないように洗濯回数を減らすなどはしません。この意味でも花王の日用品ビジネスは景気の悪化に対しても業績が悪化しづらく、安定的に売上と利益を上げられる良いビジネス領域と言えます。

 

また、花王の扱っているシャンプー、洗剤などの日用品は、車やパソコンなどの製造業に比べて研究開発費がかからないのも良いビジネスの特徴です。シャンプーや洗剤の主成分はここ数十年と基本的には変化しておらず、また特に大改良が必要というわけでもありません。医薬品製造会社のように莫大な研究開発費をかけなくても済む日用品でビジネスをする花王は非常に有利な立場にいます。このために花王は2017年時点で28年連続で配当金が増配になっています(下図)。(2017年の花王の決算説明会資料から引用)

花王配当金推移

花王は、ほぼ30年に渡って増配とはすごいですね。また、花王のライバル企業でもある日用品業界の世界的な企業であるP&Gではなんと61年連続増配です。これを見てもいかに花王などの日用品業界が儲かりやすく安定的な業界であるかわかると思います。

 

今後、花王の業績が伸び続けると予想されます。確かに日本国内では人口減少、市場飽和でこれ以上成長していくのは難しいですが、花王は世界に進出していますので世界の成長を取り込んでいくことができます。

 

後で地域別の業績で詳しく見ますが、花王は特にアジアで業績を伸ばしつつあります。アジアはこれからも人口も所得も増えて豊かになってきており、日本の有名ブランドである花王製品は人気です。

 

一昔前はアジア諸国の平均所得は低く、なかなか高価な花王製品を買う中間層は少なかったですが、今やアジア諸国は日本に負けないくらい経済成長をしてきており所得も高く花王製品を買う層が増えてきています。花王は、今後もアジアを中心に業績を着実に伸ばしていくでしょう。

 

花王はハイテク企業などのように派手に株価が上昇したりしませんが、景気の悪化に対しても業績が悪化しづらく、着々と成長していく優良株ですね。

 

早速、企業の財務情報でもっとも重要な花王の一株あたりの売上高(緑色)、EBITDA(青色)、純利益(赤色)を見てみましょう。

花王売上2018

花王の売上(オレンジ)は順調に伸びていることがわかります。売上高が伸びているのはビジネスが拡大しているということでよい兆候です。ただし、大安売りをしたりして利益を削って売上高を向上させていては意味がないので、それを確認するために次に花王の利益(EBITDAと純利益)の推移を見てみましょう。

 

上の図でEBITDAと利益の方は軸の単位が大きすぎて見にくいので、売上高の線(緑色)を抜いて、EBITDAと利益だけで上図を書き直して見ると下図になります。ちなみにEBITDAは大雑把にいって営業利益に減価償却費を足したもので、だいたい営業キャッシュフローと同じものと考えてよいです。

花王純利益2018

青色が、花王の一株あたりのEBITDAで、赤色が一株あたりの純利益です。いずれも2010年あたりに少したるみがありますが、順調に伸びています。2010年あたりといえば、リーマンショック、それに続くユーロ危機で世界経済が荒れていた時期です。多くの製造業がこの時期に赤字になっているのに対して、花王は減益にはなってはいるものの、しっかりと黒字でこの世界的な金融危機を乗り切っています。花王はまさにデフェンシブ株の代表的な銘柄ですね。

 

先ほども言いましたが、花王の製品といえば、洗剤やトイレット製品など景気に関係なく消費される生活必需品が主な事業です。これが景気の循環に強い理由です。

 

次に、花王の営業キャッシュフロー(青色)と投資キャッシュフロー(赤色)、財務キャッシュフロー(黄色)を見てみましょう。

花王キャッシュフロー2018

2006年に投資キャッシュフローが大きく下げていますが、これはカネボウの化粧品部門を買収した影響です。残りの期間は、潤沢な営業キャッシュフローで投資キャッシュフローをまかなっていて、毎年潤沢なフリーキャッシュフローがうまれていることがわかります。研究開発費があまりかからない花王の日用品ビジネスのおかげで投資キャッシュフローを小さく抑えられ、潤沢なフリーキャッシュフローが生まれているわけですね。これで28年連続の増配という離れ業ができるわけです。キャッシュフローで見ても花王がとても安定的な経営をしていることがわかります。

 

次の図が花王の資産の各項目の推移です。

花王資産2018

青色が花王の総資産、赤色が流動資産、黄色が負債、水色が自己資本を表します。総資産、流動資産、負債、自己資本がだいたい同じ割合でスケールしており、特に問題はないですね。

 

さて、今後の花王の業績を詳細にみるために、セグメント別の売上高と営業利益を見てみましょう。決算書を見る上でセグメント別の情報を見るのは、その企業のビジネスの構造を把握して、利益の源泉を見るのに最適です。

 

花王には大きく分けて4つのセグメント(ビューティーケア、ヒューマンヘルスケア、ファブリック&ホームケア、ケミカル)があります。各セグメントの詳細は以下の通りです。

 

(1)ビューティーケア事業:「ソフィーナ」「カネボウ」「キュレル」などのブランドの化粧品事業と、「ビオレ」などのスキンケア製品、「メリット」「エッセンシャル」「ジョン・フリーダ」といったヘアケア製品などの美容事業セグメントです。

(2)ヒューマンヘルスケア事業:「メリーズ」などのベビー用紙おむつ等のサニタリー製品、「ヘルシア」などの健康機能飲料、「ロリエ」などの生理用品、「ピュオーラ」などオーラルケア製品などの健康事業セグメントです。

(3)ファブリック&ホームケア事業:「アタック」などの衣料用洗剤、「フレア フレグランス」で知られる柔軟仕上げ剤などのファブリックケア製品、「キュキュット」などの食器用洗剤や、「マジックリン」などの住居用洗剤などのホームケア製品の衣住事業セグメントです。

(4)ケミカル事業:他の事業会社向けの化学製品事業です。消費者は直接関係することはないので、目にすることは少ないかもしれません。

 

花王の各セグメント別の売上高比率は以下の通りです。

(https://www.kao.com/jp/who-we-are/business-fields/からの引用)

花王セグメント別売上高円グラフ

また上図と同じ情報を含んでいますが、次の表は2017年度と2016年度の各セグメント別の売上高と営業利益を表しています。(次の図は2017年度の通期の決算説明会の説明資料からの抜粋です。)

セグメント業績2018

それぞれセグメント別の売上高営業利益率を上記の表から抜粋すると以下の通りです。

ビューティーケア、9.8%

ヒューマンヘルスケア、13.1%

ファブリック&ホームケア、22.7%

ケミカル、9.8%

やはりと言うべきか、ファブリック&ホームケアが22%と圧倒的に高い売上高営業利益率を誇ります。ビューティー事業やヘルス事業は競合会社も多いですが、ファブリック&ホームケア事業は花王が圧倒的なブランド力を誇っていて、他社を寄せ付けずにこの高い営業利益率を維持しています。

 

「化粧品といえば花王」と言うことはないですが、「洗剤といえば花王」といえば、みんな「そうそう」と言う感じだと思います。これが著名米国投資家バフェットのいうブランド力ですね。花王ら他者を圧倒するブランド力があるので、ファブリック&ホームケアの部門では価格競争に巻き込まれなくて済み、利益率を高くすることができています。

 

次に地域別の売上高の実質増減率の推移(下図)を見てみましょう。(ここで、実質というのは為替の影響を抜いたという意味です。)

花王地域別売上高2018

この図をみて注目すべきなのはアジア(薄緑色)の売上高増加率(ビューティケア、ヒューマンヘルスケア部門)が他の地域に比べて高いことです。

 

日本はもはや人口減の時代を迎えて、これから売上を伸ばしていくのは難しいでしょう。実際に上の図でも日本の売上高増加率は小さくほぼ飽和状態を迎えていると思われます。これに比べて、アジアはまだまだ人口も伸びるし、ますます豊かになっていくので、花王ブランドの製品の需要はまだまだ伸びそうです。

 

ただ上の表を見ると、花王は米州や欧州の市場にはあまり食い込めていないようです。当面は日本ブランドがまだまだ通用するアジア地域で今後どれだけ成長できるかが、今後の花王の業績を左右することになりそうです。

 

さて、花王の株価の推移を見てみましょう。好調な業績にひきづられるように株価も上昇しています。

花王株価_理論株価2018

現在(2018/11/9)のPERが26倍です。今後のアジアでの成長を織り込んでいると考えれば適正株価ぐらいでしょうか。成長が期待できる優良株を割安で買うのは難しいので、今回株価が急落して、高値から適正水準くらいまで落ち込んでいます。花王株を少し仕込んでおく良い機会とも言えるでしょう。

 

(まとめ)花王は景気にも強いデフェンシブ株で、とても魅力的な投資対象です。また、これからアジアでの成長も期待でき、今後も業績、株価共にゆっくりと着実に成長していくでしょう。今回の急落で、株価に割高感がなくなってきたので、打診買いの良い時期かもしれません。さらに世界経済の危機などで花王の株価も大きく連れ下げになった時に、花王株を本格的に仕込むことを考えると良さそうです。

グーグル(アルファベット)株の今後の株価と業績の見通し

検索エンジンでお馴染みのグーグル(google:正式会社名アルファベット(Alphabet Inc))のこれまでの業績と株価とビジネスモデルを振り返り、今後の業績と株価の予想をしてみたいと思います。

 

グーグル(アルファベット,GOOGL)は、いわずと知れたインターネット検索の世界最大手です。インターネット検索エンジン、Youtube、グーグルマップなど利用したことがある人も多いのではないでしょうか。また、スマホ分野でiPhoneに並んで主流となっているアンドロイドのOSはグーグル製です。また人工知能分野の基本的なプラットフォームとしてpyhon上で動くTensoflowを提供しています。グーグル社のTensorflowは人工知能分野の言語の中で世界的シャアでナンバーワンで、これからの金の卵の人工知能分野でも覇権を握ろうとしています。

 

グーグル(google)は、最近になって会社名を「google(グーグル)」から「alphabet(アルファベット)」に変えました。ただ、「グーグル」という名称の方が馴染みが深いと思うので、この記事ではこの会社をグーグルと呼ぶことにします。

 

ITのみならず全ての分野を通じて時価総額最大の会社は、iPhoneで有名なアップルですが、このグーグル(アルファベット)は堂々の第2位です。グーグル(アルファベット)の時価総額は600ビリオンドル(日本円で60兆円位)です。これがいかに巨大かというと、日本の国家予算と同じくらいの規模あります。最近の世界の巨大IT企業は小さな国家よりも大きな存在感がでています。

 

さてさっそく、グーグル(アルファベット)の業績の一株あたりの売上高(緑色)と純利益(青色)の推移を見てみましょう(下図)。

グーグル一株あたりの売上2018

この図を見てもわかる通り、グーグルは売上高も純利益も右肩上がりに順調に成長しています。直近の純利益が減っていますが、これは税制改正による一時的な費用処理が原因で特に問題ありません。

 

上図の売上高、純利益のグラフを見ると、2009年頃に売上高と純利益が伸びていることは伸びていますが、伸び率が少し低いです。言い換えると、まっすぐな右肩上がりな曲線が、2009年ごろに少したるんでいます。これは、リーマンショックの影響です。グーグルの主な収益源は広告収入です。景気が悪くなってくると、企業は広告費を削ってくるので、グーグルの業績にも悪影響があります。どちらかというと、グーグルはディフェンシブ株というより景気循環株に近いですね。

 

一方、グーグルの売上高営業利益率も25%と高いです。ROEも来期予想で19%と申し分ありません。特筆すべきは、グーグルの自己資本比率は77%と、米国企業としては非常に高いことです。米国企業は通常、資本効率を高くしようとしますので、自己資本比率はそれほど高くないのが一般的です。ところが、グーグルの自己資本比率は他の米国企業に比べて高いです。これは、グーグルが過去から現在に到るまで大きく利益を出し続けており、その利益を順調に蓄えてきたことを物語っています。この潤沢な資金を使って、グーグルは人工知能など新しいビジネスに大きく投資できるわけですね。

 

次に一株あたりの営業キャッシュフローとフリーキャッシュフローをみてみましょう(下図)。

グーグルキャッシュフロー2018

営業キャッシュフローは、本業による実際の現金収入を表しており、売掛金などや減価償却費などとは異なり会計操作が難しく信頼できる会計の数字です。またフリーキャッシュフローは、営業キャッシュフローから投資キャッシュフローを引いた数字を表していて、企業が設備などに投資した後に、自由に使える現金収入を表します。

 

上の図をみてわかる通り、グーグルの営業キャッシュフローは力強く伸びており、まだまだ成長が続きそうです。また、フリーキャッシュフローをみても、人工知能や自動運転などの新規事業に投資した後でも、十分にキャッシュが入ってきています。ここまで、営業キャッシュフロー、投資キャッシュフローが右肩上がりの優良企業は少なく、グーグル(アルファベット)の成長の力強さが再確認できますね。

 

次に、グーグル(アルファベット)のビジネスの詳細をセグメント別の売上高をみて確認しましょう。グーグルには以下のように4つのセグメントがあります。最初の3つがグーグルブランドで、最後の一つがグーグルブランド以外の新規事業です。

 

1、Google properties revenues (google検索、gmailやyoutubeなどグーグル所有のサイトからの広告収入)

2、Google advertising revenues(googleの所有ではないサイトからの広告収入。adsenseなど。)

3、Google other revenues(グーグル事業で広告収入以外のビジネス。クラウド事業など)

4、Other Bets(グーグルブランド以外の事業。人口知能の自動運転への応用などの新規事業)

 

これらのセグメント別の売上高が下の表です。(アルファベットの年間報告書からの引用)
グーグルセグメント別売上

上の表をみても分かる通り、グーグルの売上高のほとんどは広告収入です。ただ、広告収入以外のクラウド事業などからの収入も大きく伸びてきています。また、Other Betsに分類されているグーグルブランドではない人工知能の自動運転応用などの事業からの売上も急激に伸びてきており、これから大きな成長が期待できます。今後はこのOther Betsに分類される人工知能事業による収入がグーグルをさらに大きく成長させるでしょう。

 

次に世界の地域別の売上比率をみてみましょう(下図)。

グーグル地域別売上

上の表でUnited Statesと書いてあるので米国、EMEAはヨーロッパ(Europe)、中東(Middle East)、アフリカ(Africa)を表します。また、APACはアジア(Asia)と太平洋地域(Pacific)を表します。

 

米国とヨーロッパ、中東、アフリカ地域の売上高が、アジアに比べて相対的に高いですね。アジアの比率が低いのは、人口14億人の人口大国の中国でグーグルが使えないからです。中国政府が政策でIT鎖国をしており、グーグルを締め出しています。中国では、中国固有の企業の検索エンジン(Baidu)が使われており、今後もグーグルはアジアでの売上を大きく伸ばしていくのは難しいでしょう。

 

成長著しいグーグルですが、どこまで成長できるでしょうか?現在、人工知能などの新分野に進出していますが、とりあえず検索エンジンビジネスの側面からグーグルの成長余地を考えてみたいと思います。

 

世界の検索エンジンのシェアは以下の図のようになっています。

検索エンジンシャア2017-09-02

グーグルが検索エンジンの8割のシェアを占めています。次に大きいのがマイクロソフトのBingでシェアで7%程度です。ウィンドウズパソコンを買うと、デフォルトで検索エンジンがBingになっているのが、マイクロソフトが第2位のシェアを握ることができている理由でしょう。ちなみに、グーグルはiPhone(Safari)のデフォルトの検索エンジンをグーグルにするために、アップルに対価を支払っています。

 

これからますますスマホシフトが進み、人々はパソコンを使わなくなっていくことが予想されます。なので、スマホで覇権を握っているグーグルがますます検索エンジンのシェアを拡大していく可能性が高いですね。当面、検索エンジンとしてのグーグルのビジネスは頑強であると言えるでしょう。

 

さて、それでは検索エンジンのシェアは独占できるとして、どこまでパイを広げることができるでしょうか?

 

下の表が世界のインターネット使用者の人口に対する割合を示したものです。

世界インターネット人口2017-09-02

この図を見るとやはり北アメリカやヨーロッパなどの先進国はインターネット使用率が高いことがわかります。一方、アフリカではまだまだインターネットの使用率が低く、人口の3割程度しかインターネットを使えていません。全世界的に見ると、およそ全世界の人口の半分がインターネットを使用できていますが、残り半分の人は未だにインターネットを使用できない環境にいます。

 

これからアフリカなどを中心に世界のインターネット普及率が増えていけば、グーグルの検索エンジンビジネスはまだまだ成長できるでしょう。検索エンジンビジネスは、単純計算で規模にしてさらに2倍の成長余地があると思われます。

 

グーグル(アルファベット)はすでに大きく成長していますが、まだまだ成長は飽和していなくて、さらに加速度的に成長していく思われます。理由は、グーグルは検索エンジンのみならず、今後あらゆる産業の主力となる人工知能分野への投資・開発にも力を入れており、現在この分野でも世界をリードしているからです。人工知能は、今後のIT業界のみならず、自動運転車など分野横断的に大きなインパクトを与えると予想されています。自動運転、自動翻訳、検索エンジンの高度化、コールセンターの自動化、IoT(Internet of Things)などその波及効果はとても大きいですね。

 

グーグルは、人口知能用のプラットフォーム「Tensorflow」などIT開発に置ける重要なプラットフォームを無料公開しており、グーグルのプラットフォームを無料公開してその分野の覇権をにぎるというビジネス手法は世界の市場を制するのに優れた手法です。これは、グーグルがアンドロイドOSを無料公開することにより、スマホ分野でも検索エンジンの覇権を握ったこと思い出します。

 

さて、これまでグーグルの業績をみてきましたが、グーグルの株価をみてみましょう。

グーグル株価・理論株価

緑色がグーグルの株価を表していて、青色が理論株価(一株利益の15倍の値)を示しています。(青色の線は、資産価値抜きの理論株価です。)なので、株価(緑線)が理論株価(青線)と同じであれば株価は適正水準、株価(緑線)が理論株価(青線)より上であれば割高です。

 

現在の株価を見ると、理論株価の2倍程度(PERだと29倍位)まで買われています。グーグルの株価は割高な水準に見えます。

 

現在、グーグルは株価としては割安ではないので、投資戦略としては様子見で良いと思います。ただ、グーグルは非常に魅力的な株ですので、何かの経済ショックなどでPERで30倍程度まで株価が落ちてくることがあればグーグル株を買っても良いかもしれません。

 

あと、グーグル(アルファベット)株を買う際の注意点があります。グーグル株は実は2種類あって、A株とC株というのがあります。(B株というのもあるのですが、経営陣が保有する株で我々は買うことができないので関係ありません。)

 

グーグルA株(「GOOGL」という名称)は、議決権のある普通の株です。一方、グーグルC株(「GOOG」という名称)は、議決権がない特殊な株です。(C株のその他の権利はA株と同じです。)A株の方が、C株より少し高く取引(2017/9/4で15ドルくらい)されています。

 

議決権のない株が株と言えるのか疑問符が残ります。C株の将来の価値の希薄化も念頭において、議決権のあるA株の方に投資をしておいた方が良いでしょう。

コロナショックの行方と株式投資 ~リーマンショックの時と比較して

株式投資に興味があり、これから始めようとする初心者やある程度株式投資に慣れた投資家などは、今回のコロナショックで株価が急落したので、さぞや驚いていることでしょう。この先がどのような結末になるかなんて、本当のことは誰にもわかりません。たとえ専門家と言われる人たちも、先の事は何もわかっていないのです。リーマンショックの時に、多くの経済専門家達も苦い思いをした事から明らかです。ここでは、リーマンショックの時と比較しながら、今回のコロナショック時における株価の結末がどのようになるかを探ろうとしたものです。

 

暴落の兆し

暴落でも特に大きい恐慌と言われる様な暴落の場合は、必ず兆候の様なものがあります。ただ、そうは言ってもこの兆候が分かるのは、恐慌が起こってから後からわかるというもので、結果論でしかありません。実際の株価急落が起こる前に、気がつくのはほんの少しの人で、多くの人にはわかりません。それでも過去の歴史を知っておくことは役に立つこともあります。

 

リーマンショックの時はその兆しは比較的早く、1年以上前からテレビの番組で小谷キャスターがビバリーヒルズで豪勢な家がたくさん売りに出ていて、「サブプライム問題は大丈夫なのか」と、多くのゲスト経済専門家に聞いているのを覚えています。専門家の多くの答えは、サブプライムローンの比率は低く、これがはじけても経済に与える影響は少ないと言うものばかりでした。

 

しかし、リーマンショックは起こりました。決定的になったのは、2007年8月のBNPパリバショックでした。これは、BNPパリバ傘下のミューチュアルファンドが顧客からの契約の解約を凍結し、そのために取り付け騒ぎが起こり、ECBがすぐに約15兆円の資金供給を行なった出来事のことです。このニュースは日本ではほとんど注目されませんでしたが、サブプライムローンの初めての破綻でした。そして翌年2008年3月にベアー・スターンズの破綻が起こりました。同年9月中旬にリーマン・ブラザーズが破綻してリーマンショックが始まりました。

 

これに対して、コロナショックの兆しはほとんどありませんでした。中国で、新種のインフルエンザが流行り始めたという事は、今年の1月にニュースで聞きました。コロナショックが始まったのは、たぶん2月20日前後ですから、兆しはほとんどなかったと言って良いと思います。

 

テレビで見たのですが、ニューヨークの投資家でコロナショックの前に株や債券などの資産を全て現金に換えたと言う人がいました。このような人は例外的で、ほとんどの人はこの波をまともに喰らったのではないでしょうか? 先の投資家は、自分は医者だからわかったのかもしれないと言っていました。

 

リーマンショックとコロナショックの違い

リーマンショックと今回のコロナショックの原因はかなり違います。リーマンショックの場合は、サブプライムローンという低所得者向けの住宅ローンがもっと質の良い住宅ローンと組み合わされて、良い格付けの債券として世界中に売られました。このサブプライムローンが焦げ付き、どの債券の中に含まれているかわからず、人々が疑心暗鬼になり、債券相場が暴落したのがきっかけです。実際には、サブプライムローンそのものの比率は多くはなかったのですが、一度収縮した信用は、あっという間に世界中に広がり、世界中の株価が暴落しました。その意味では、株価の暴落は必ずしも実際の経済を現してはいませんでした。

 

これに対して、今回のコロナショックは、新型コロナウィルスが起こしたパンデミックのために、人々の実際の経済活動が制限され、止まったことによって結果的に生じたものです。経済は、人々の活動によって動いて行くものであり、株価は実際の経済活動の結果として決まってくるものです。時に大きく変動することはありますが、実体経済の本当の姿を現すのが株価と言って良いと思います。

 

株価の急落

リーマンショックの前は、日本の株価は18100円台(2007.3.31)でしたが、バブルがはじけた後は、8100円台(2008.12.31)に落ちました。株式相場の格言に恐慌などの大暴落の時は、株価が「半値、八がけ、五割引」になるというのがあります。これは、大体元の株価の3分の1くらいになるという意味です。株価から見れば、リーマンショックの時と比べると今はまだ元の株価の3分の2くらいですから、まだ軽症です。

 

しかし、リーマンショックの時は言ってみれば「バーチャルな経済活動の低下」であって、実際の人間の活動がそこまで落ちたわけではありませんでした。その証拠に、飛行機は普通に飛んでいたし、レストランや百貨店も普通に開いていました。これに対して今回のコロナショックの場合は、飛行機は飛ばなくなるし、レストランや百貨店も閉まることが多くなっています。短期的に見れば、ずっと経済活動が低下していて重症です。実体経済に大きな影響を与えているので、長期化が進めば、その経済的な落ち込みはリーマンショックの時を大きく上回るようになるでしょう。株価もそれに見合ったところまで落ち込むでしょう。

 

投資家の行動

この様な恐慌の時の投資家の行動パターンは、次の3種類に分類できます。
最もベストな判断は、株価の大幅な暴落が起こる前に金融資産を全部売り切り、手もとに現金を用意する事です。そして、来るべき株価の暴落の時に大量に安く優良な株式を購入する事です。しかし、これは口で言うことは易しいですが、実際にはこの様な判断ができる人は、極めて少ないでしょう。

 

2つ目のパターンは、株価が暴落して慌てて、ほぼ底値で狼狽売りをする場合です。この種の投資家が最も多いと思います。しかし、これは最も危険なやり方です。何故なら、株価が急落していくのでオロオロし、気持ちが動転していて、正常な判断ができないからです。

 

そして最後のパターンは、起こったことは仕方ないと諦めて、これから先について考えながら行動するパターンです。株価の急落にあった投資家は、このくらい太っ腹でいて欲しいと思います。考えてみてください、株価は人の経済活動の結果として決まるものです。新型コロナウィルスの猛威は凄いですが、それでも世界の人口の半分とかが死に絶えるわけではありません。いずれ、この猛威が過ぎ去れば新しい経済活動が始まり、その規模は前とほとんど同じになります。それよりこの様な株価急落の時は、優良株もそうでない株も同じ様に急落しています。仮に自分の持株に不安が有れば、同じように底値にある優良株、コロナウィルスに強い株に買い換えて、時を持つことです。やがて正常な状態に戻る時に、優良株の戻りは早くなるでしょう。

 

コロナショックの行方

それではこのコロナショックはどうなるのでしょうか。先の事は誰にもわかりませんが、今ある情報から予想してみましょう。

 

新型コロナウィルスの治療薬は、いつできるのでしょうか? これについては、かなりはっきりしたことが言えます。有名な学術雑誌「Engineering」に、アビガンという富士フィルムの子会社富山化学の開発した治療薬が新型コロナウィルスにかなり有効ということが報告されています。これは、インフルエンザの治療薬のため、既に承認を受けたものです。新型コロナウィルスのための臨床試験を富山化学が始め、6月末に終わりには新型コロナウィルスのための治療薬として承認されるはずです。中国では治療薬として既に成果をあげているとも放送されています。さらに幸運な事に、日本では200万人分の備蓄が政府にあります。現在、富山化学ではさらなる大増産を進めています。また、中国でも富山化学からライセンス供与を受けた会社があり、中国政府の後押しがあればさらに大量に作る事が可能でしょう。これに対して、残念ながらワクチンは、1年ほどかかるでしょう。

 

治療薬が世界に広がり、致死率が現在の1〜2%から0.1%程度まで下がれば、インフルエンザと同じ程度になり、コロナショックは、そう遠くない将来に急速に収まるでしょう。

 

コロナショックは、実体経済の低下から生じたもので、その意味では株価は正直に今の経済状態を現しています。問題は、いつ新型コロナウィルスの治療薬やワクチンが広く行き渡るかという事で、治療薬アビガンについては比較的早く広がるはずです。

 

*本稿は協力執筆者による記事です。

エヌビディア(NVIDIA)の業績と株価の今後の予想(見通し)

米国株のエヌビディア(NVIDIA)のこれまでの業績と株価を振り返り、今後の業績と株価の予想をしたいと思います。

 

エヌビディア(NVIDIA)は、グラフィックス・プロセッシング・ユニット(GPU)の世界のリィーディングカンパニーです。ゲーム用や人工知能の深層学習用などにGPUを提供しています。

 

GPUとは、コンピューターで高速に画像処理を行うときに用いられるモジュールです。ゲームなど高速で画像処理をしなければいけないときに、コンピューターに拡張搭載されます。また、GPUは最近の人工知能の発展の原動力になっている深層学習(ディープラーニング)の高速化にも重要なモジュールです。

 

GPUのブランドとしては、GeForceやTegraなどがあります。Tegraは任天堂ゲーム機のSwitchにも採用されています。

 

さて早速、エヌビディア(NVIDIA)の一株あたりの売上高(緑色)、純利益(青色)の推移を見てみましょう(下図)。

nvidia売上高2019-6

売上はここ10年以上に渡って、右肩上がりに伸び続けています。力強い成長ですね。ただ、最近になって売上高、利益とも少し落ち込んでいます。これは、仮想通貨の価格の下落と、米国・中国間の貿易摩擦の影響です。NVIDIAの主力商品のGPUは、仮想通貨のマイニングをするのに使われますが、仮想通貨の価格下落でGPUの需要が落ち込んでしまいました。

 

上図で、特に純利益(青色)を取り出して表示させてのが下図です。
nvidia純利益2019-6

純利益は2008年のリーマンショックの後に大きく落ち込んでいますが、その後、持ち直しています。そして、最近に到るまで純利益の方も大きく伸びています。ただ、先ほども述べたように、仮想通貨の下落と、米中間の貿易摩擦で純利益の方も落ち込んでいます。。。

 

さて、実際の現金の流れを表すキャッシュフローの方も見ておきましょう。下図で、営業キャッシュフロー(青色)、投資キャッシュフロー(赤色)、財務キャッシュフロー(黄色)を表しています。

nvidiaキャッシュフロー2019-6

営業キャッシュフローを順調に伸ばしていますね。投資キャッシュフローも営業キャッシュフローと大体同じような範囲の大きさで、適切な額の投資をしていることがわかります。

 

最近になって業績が少し落ち込んでいますが、2016年あたりから本格的なブームが訪れている人工知能用のGPUが、エヌビディア(NVIDIA)の業績を伸ばしています。人工知能では、深層学習という技術が用いられています。深層学習では、コンピューターに学習用のデータを大量に与えて、人工知能の心臓部のパラメーターを最適化させます。このとき、非常に長い計算時間が必要で、データが大量になると学習に一ヶ月以上かかることも珍しくありません。

 

ところが、GPUを使うとこの計算時間を10分の1以下に短縮することができます。そのため、人工知能の開発ではこのGPUを用いることが必修になります。

 

エヌビディア(NVIDIA)は、人工知能の開発に欠かせないGPUの世界のリーディングメーカーです。

 

今、世界中の企業が人工知能の開発に手を出し始めていて、エヌビディア(NVIDIA)のGPUが飛ぶように売れているわけです。これがこれまでのエヌビディア(NVIDIA)の業績が2018年まで好調だった理由です。(先ほども述べた理由で最近少し業績が停滞していますが、、、)

 

さて、次にエヌビディア(NVIDIA)の財務面の分析をして見ましょう。一般に時価総額と総資産と売上はだいたい同じオーダーの額になります。そして、それらを比較することにより、その企業が成長・成熟・衰退のどの段階にいるのか推定できるので重要です。

 

エヌビディア(NVIDIA)の現在(2019年1月期)の時価総額、総資産(純資産)、売上(純利益)は以下の通りです。

 

時価総額:151ビリオンドル

総資産:13.2ビリオンドル(自己資本9.3ビリオンドル)

売上:11.7ビリオンドル(純利益4.1ビリオンドル)

 

これらの情報から主要な指標を計算すると以下のようになります。

 

自己資本比率:70%

売上高純利益率:35%

ROA:25%

ROE:36%

PER:36倍

PBR:16.2倍

 

エヌビディア(NVIDIA)は、売上高純利益率や、ROA、ROEも高く、儲かるビジネスをしていることがわかります。後ほどみるように株価は再上昇してきていて、PERとPBRはだいぶ割高かもしれません。

 

実際にエヌビディア(NVIDIA)の株価の推移を見てみましょう。

nvidia株価のみ

2016年頃から急激に上昇して、2018年までの2年で6倍以上になっています。この上昇は、人工知能ブームによる影響が大きいですね。実際にこの人工知能ブームで業績も伸びているのですが、それ以上に株価が上昇していました。ただ、昨年2018年末から急激に株価が落ち込んできました。これはさきほども述べたように仮想通貨のブームが去って、仮想通貨のマイニングに用いられるGPUの需要が減るなどと予想されていることと、米中間の貿易摩擦のために株価が落ち込んでいます。

 

その後、2019年後半から最近まで、一旦落ち込んだ株価は前回の最高値に付近まで再上昇しています。

 

次にエヌビディア(NVIDIA)の実際の株価(青色)と理論株価(黒色)を比較してみましょう(下図)。(理論株価は一株あたりの純利益の15倍で計算しています。)

nvidia株価2020-1

2018年位までは実際の業績の上昇に比べて、株価の方が異常に上昇していました。業績以上に株価が上昇してましたが、昨年2018年末にきて、理論株価の水準まで下落してきました。

 

2018年位までの株価の異常な伸びは、人工知能に対する期待が織り込まれていたと思われますが、昨年2018年末にきてその期待が剥落してきました。

 

最近、少し業績が落ち込んでいますが、今後、エヌビディア(NVIDIA)の業績は人工知能市場の伸びと共に、少しづつ上昇していくでしょう。ただ、株価のほうはだいぶ回復してきたとはいえ、前回最高値を抜けてこれまでのように第2弾の急上昇があるとは考えにくいですね。理由は、エヌビディア(NVIDIA)が提供しているGPUの使用用途にあります。

 

GPUは、人工知能を開発する時に必要なデベロッパー側のツールで、完成した人工知能(学習済みモデルと言われます。)には不要です。なので、一般消費者側(コンシューマー側)に売っていくわけではないので、どうしても売上に上限が出てしまいます。

 

そのために、繰り返しになりますが、人工知能は今後伸びていく分野ではありますが、前回高値を抜けて2018年位までのような株価の急上昇は難しいと思われます。ただ、人工知能はこれからも重要な分野ですので、今後も少しづつ着実に業績を伸ばしていくでしょう。

 

現在の株価はだいぶ理論株価に比べてだいぶ割高の水準です。これからのエヌビディア(NVIDIA)への投資戦略としては、今は様子見で、将来理論株価付近まで株価が下落するのを待って投資したほうが良いと思われます。

 

(注意)投資は自己責任でお願いします。

ソフトバンクグループの株はなぜ割安といえるのか?

ソフトバンクグループ(9984)の株価を評価する時に重要なことを解説していきます。

 

ソフトバンクグループ(9984)の業績、決算から株価を評価するときに二つのやり方があります。一つが売上、利益などが掲載されている決算短信など内容をもとに株価を評価する通常の方法です。これとは別の方法として、ソフトバンクグループがもっている株の価値で、株価を評価する株価評価の方法です。

 

(1)決算短信による株価評価。通常の事業会社に対する一般的な株価評価方法。損益計算書の売上や営業利益、純利益の推移や貸借対照表の資産、負債、純資産などをみて理論株価を推定する。主に使われる指標としてはPERやPBRなどがある。ここでは一株当たりの純資産で評価してみます。

 

(2)株主価値による株価評価。その会社が持つ株の時価総額から純利子負債を引いた金額を発行済み株式数で割った価で評価する方法。

 

通常の事業会社では(1〉の方法が用いられます。(2)はファンドなどの投資会社に用いられますが、一般的ではありません。

 

さて、ソフトバンクグループを事業会社と思うか投資会社と思うかが論点になりますが、とりあえずそれぞれの方法でソフトバンクグループの理論株価を計算してみましょう。

 

(1)一株当たりの自己資本は3290円

(2)一株当たりの株主価値11682円

((2)の計算についてはソフトバンクグループのホームページも参照https://group.softbank/corp/irinfo/stock/stock_value/

 

実際の株価(2020年3月)は5013円で、丁度(1)と(2)の間です。

一株当たりの自己資本と人か当たりの株主価値には3倍くらいの開きがありますが、どちらで考えるのが良い良いのでしょうか?そしてなぜこんな大きな開きがあるのでしょうか?

 

結論から言うと(2)です。そして、この大きな開きの原因は、会計制度にまつわるソフトバンクが保有するアリババ株の存在にあります。

 

以下ではこのことを解説していきます。

 

まずソフトバンクの決算を見るときに重要なのがまず全体像を把握するのとです。

 

ソフトバンクには以下の通りに直接投資と間接投資の二つの投資のやり方をしています。

 

(1)直接出資をしている会社

ソフトバンク(連結決算)
スプリント(連結決算)
アーム(連結決算)

アリババ(非連結)

(直接出資の含み益は決算の営業利益に反映されない。)

(2)間接出資をしている会社
ビジョンファンド
(この中にウィワーク、ウーバーが入っている。)

(間接出資の含み益は決算の営業利益に反映される。)

 

上記の通りに、ソフトバンクグループが直接投資をしている会社には携帯事業会社としてのソフトバンク(注、持株会社のソフトバンクグループとは異なる日本国内の携帯事業会社)、スプリント、アーム、アリババです。ソフトバンクはこれら直接投資している会社の株を持っていますが、その持株に含み益や含み損が出ても決算の営業利益には計上されません。

 

一方、ビジョンファンドを通じて投資しているウィワークやウーパーなどの株の含み益や含み損は決算の営業利益利益に計上されます。

 

さらにややこしいのが、直接投資している会社にも二種類あって、ソフトバンク、アリババ、アームなどの持ち株比率が50%を超えている連結子会社と、アリババのように持株比率が30%以下の非連結会社です。

 

携帯ソフトバンクやスプリント、アームのような連結会社であれば、決算内容が連結されて、営業利益や貸借対照表などが全て合算されます。なので、携帯ソフトバンクやスプリントやアームのような会社の株が上がろうが下がろうがソフトバンクの決算には反映されませんが、そのかわり営業利益などの損益計算書やバランスシートの数字は反映されるので問題ないわけです。

 

一方のビジョンファンドを通じたウィワークやウーパーのような投資は、もちろん連結決算ではないのでその投資した会社の業績が良かろうが悪かろうが、その株価だけが評価されてソフトバンクグループの営業利益に合算されます。

 

さて、ここまできて、読者の皆さんも奇妙なことにお気づきになったのではないでしょうか?そうソフトバンクグループの所有するアリババ株の存在です。

 

ソフトバンクグループの総資産が36兆円そして時価総額10兆円であるなか、アリババ株だけで約12兆円もっています。え、って感じですよね。仮にソフトバンクを買い占めて、アリババ株を売ったらそれだけで2兆円の利益になります(笑)

 

実はこのアリババ株が今の会計制度では、決算内容にしっかりと反映されていなくて混乱を招く原因になっています。

 

アリババ株はソフトバンクバンクグループの決算のどこに書かれているのでしょうか?

 

その答えは貸借対照表(バランスシート)の投資有価証券(持分法で会計処理されている投資)にアリババ株は分類されており、そこでは2兆7千億の簿価で評価されています。時価は、12兆円なので、10兆円近い大きな開きがあります(笑)

 

また、ソフトバンクグループはアリババ株の26%を保持してきますが、連結対象ではないのです。それゆえにアリババの営業利益などはソフトバンクグループの決算には反映されません。

 

要するに、ソフトバンクはアリババ株を12兆円という莫大な額もっているにもかかわらず、それはソフトバンクの営業利益などの損益計算書にも、簿価表示ということでバランスシートにも適切に評価されずにお化けのような存在になってしまってきます。

 

これが、この記事の最初の質問であるソフトバンクグループ株の(1)一株当たりの自己資本3290円での評価と、(2)一株当たりの株主価値11682円ので評価の大きな違いになったわけです。

 

ここまでお読みになった読者の方はもうおわかりと思いますが、ソフトバンクグループの株を評価するのには、アリババの時価を含んだ評価額である(2)一株当たりの株主価値11682円ので評価が適切と考えられます。

 

現在の株価が5013円ですので、非公開株の評価の問題もありますが、まあソフトバンクグループ株は割安と言えるんではないでしょうか。

 

※投資は自己責任でお願いします。

株式投資における理論株価の実践的な計算方法(初級編、中級編、上級編)

株式投資をする際に、どうやって株を買う・売るのタイミングをはかるのでしょうか?テクニカル派の人はチャートの形だったり、なんとなく株価が下がったから買ってみるかとか色々なやり方があるでしょう。

 

しかしよく考えてみましょう。株価は一体どうやって決まっているのでしょうか?株価は、短期的には需給関係で決まりますが、中長期的には企業業績に”確実”に連動しています。

 

理論株価は企業業績から計算されており、株式投資の売買判断でもっとも役に立つ指標の一つは理論株価になります。理論株価を計算すると、その株が割安なのか割高なのかわかります。理論株価を計算することは、少なくとも中長期投資にはテクニカル手法よりも確実に投資の役に立ちます。実際に理論株価を計算しないで、すくなくとも中長期ではどうやって株投資をするのか皆目見当がつきません(笑)。

 

また、理論株価を計算する際には、財務諸表など過去の業績を確認しなければいけませんが、このプロセスを自分自身で行うことで、その企業の業績の推移を知ることができるようになります。理論株価を計算するうえで企業業績を確認することが株価の割高、割安を評価をする際に重要になります。

 

どちらかというと、計算した理論株価自身よりも、それを導く過程で、その銘柄の会社の企業業績を確認するというプロセスが株価の評価にとても役に立ちます。

 

さて、理論株価をどう計算するのでしょうか?理論株価にはいろいろな計算の仕方があるが、その中でも、計算がやさしく実践的だと思われるものを初級編、中級編、上級編に分けて紹介していきます。

 

理論株価の計算の仕方(初級編)

まず、株価というのはその会社の「価値」を発行済み株式数で割ったものであるという考え方が基本となります。

 

それでは、会社の価値とは何でしょうか?

 

初級編では、会社の価値とは、「その会社が一年間に生み出すことのできる純利益」に比例するものと考えます。そして、15年経つと、投資した金額が全額戻ってくる(つまり元が取れる)のが妥当であると考えると次のような計算式になります。(15倍という数字は日経平均株価に採用されている銘柄のだいたいの平均値でもあります。)

 

会社の価値(利益価値)= 純利益  ×  15

 

よって、理論株価は「会社の価値(利益価値)」を発行済み株式数で割った価格と考えれば、理論株価は次のような式になります。

 

*初心者向けの理論株価の計算式*

理論株価 = (一株当たりの純利益) × 15

 

ここで、「一株あたりの純利益」は英語で「EPS (Earning Per Share)」と言います。

 

(計算例)それでは、実際に代表的な株式銘柄であるNTT(日本電信電話株式会社、銘柄コード:9432)の例をあげて、理論株価を計算してみましょう。理論株価には一株あたりの純利益(EPS)の値が必要です。この値は会社四季報や、インターネット上の株式情報サイトで簡単に確認できますが、ここでは、今後企業業績を深く理解していく最初のステップとして、本格的に決算短信から理論株価を計算してみましょう。

 

NTTのホームページに2017年(平成29年)3月期の決算短信があります。この決算短信の最初のページが次に図になります。

 

NTT決算短信最初のページ

注目すべきは上の画像で赤色で囲んだ数字(390.94円)です。これが、NTTの一株あたりの純利益(EPS)になります。よって、この数字を15倍して、NTTの理論株価を求めると次にようになります。

 

NTTの理論株価(初級編) = 390.94 × 15  = 5864円

 

NTTの現在(2017年11月18日)の実際の株価は5744円ですので、ほぼ理論株価通りですね。

 

まず、株式投資の初心者のうちは、この計算式で色々な株の理論株価を計算して、実際の株価と比べてみると良いと思います。

 

 

理論株価の計算の仕方(中級編)

 

初級編の理論株価の計算の仕方に慣れてきたら、もう少し理論株価の計算式を精緻にしてみましょう。中級編では会社の価値は、利益価値と資産価値の2つの要素からなると考えます。初級編からの違いは、会社の価値に資産価値を加えたことです。

 

1、会社の利益価値

2、会社の資産価値

 

ここで、それぞれの会社の価値は次で計算します。

 

資産価値 = 純資産 × 0.2

利益価値 = 純利益 × 15

 

ここで、会社の資産価値を純資産の20%と見積もったのには理由があります。実は会社の純資産の全てが換金可能なものではありません。のれん(ブランド料)など無形資産で、事実上実態のない資産もあります。そこで、経験的に純資産の2割位が換金可能ということがありますので、2割という値を使っています。(上級編ではこの値ももっと正確に計算します。)

 

よって、理論株価は次の式で計算されます。

 

理論株価 = (資産価値+利益価値)÷ 発行済み株式数

 

上記の式を、数学的に変形すると理論株価は以下のようになります。

 

*中級者向けの理論株価の計算式*

(理論株価)=(一株当たりの純利益)× 15 + (一株当たりの純資産)× 0.2 

 

この式の右辺の(一株当たりの純資産)を英語でBPS(Book Value Per Share)ともいいます。

 

(例)初級者編と同様にNTTのホームページに2017年(平成29年)3月期の決算短信の最初のページから中級編の理論株価を計算してみましょう。

 

NTT決算短信の最初のページ中級編

上の画像で赤色で囲んでいる数字が「一株あたりの純利益」です。そして青色が「一株あたりの純資産(株主資本)」です。この2つの数字から中級編の理論株価を計算してみましょう。

 

NTTの理論株価(中級編) = 390.94 × 15  + 4491 × 0.2= 6762円

 

初級編でも述べた通り、NTTの現在(2017年11月18日)の実際の株価は5744円ですので、中級編の理論株価で計算すると、現在の株価は少し割安ですね。

 

理論株価の計算の仕方(上級編)

 

それでは最後に上級編の理論株価の計算の氏からを説明します。初級編、中級編よりもだいぶ複雑になっていますので頑張ってついてきてください。まず、上級編の理論株価は、次の3つの要素からなっていると考えます。中級編との違いは、成長価値の項が追加されたことと、資産価値の計算方法がより精緻になっています。
1、 利益価値
2、 成長価値
3、 資産価値

 

ここで、それぞれの価値はつぎで計算できます。

 

利益価値 = 純利益 × 15

成長価値 = 純利益 × 係数A

資産価値 = 流動資産 ー 負債

 

ここで成長価値の式の右辺にある係数Aは、ー5から15の間の値をとります。成長過程にある企業は最大15で、停滞企業は最小ー5とします。各企業が、成長、成熟、衰退のどのステージにあるかを判断して、この係数Aを決めていきます。平均な成熟企業であればとしてはゼロとします。

 

ここで、この3つの価値をもう少し詳しく説明します。

 

上級編の利益価値

最初の企業の「利益価値」の式は初級編と同じです。利益価値とは、現在、その企業が毎年生み出すことのできる純利益に対する価値です。毎年、その企業がどれくらいの利益を生み出しているのかを測ります。先ほども述べましたが、15年で投資額を回収できるとかんがえると、純利益の15倍程度がその企業の利益価値を考えられます。(この15という数字は日経平均のPERの平均的な数字と同じです。)

 

上級編の成長価値

次の「成長価値」は初級編にはない項で、上級編で新しく登場しました。ここで先ほども述べたように、この項にある係数Aはー5から15の間の値をとります。この成長価値ですが、これは文字通り、今後その企業がどれ位成長余地があるかで計られます。

 

市場が飽和衰退して、競合が沢山あれば、この成長価値は小さいと考えます(係数Aは小さい)。一方、新しい市場で、まだまだ競合も弱かったり、少なければ、この成長価値は高いと考えます(係数Aは大きい)。よって、成長過程にある企業は15で、成熟企業はゼロ、衰退企業はー5としますそれぞれの企業の成長具合にあわせて、この係数を決定します。

 

また、成長価値はこれまでの業績を見るだけでなく、自社、競合など企業業績以外の側面からも総合的に判断する必要があります。

 

上級編の資産価値

最後の項の資産価値ですが、この部分の計算は中級編よりも精緻になっています。ここで、負債は固定負債と流動負債の両方を含んだ値です。

 

資産価値とは、今現在、その企業が持っている資産の価値です。個人でいえば、預金や家や自動車などの資産です。企業の場合は、貸借対照表の純資産にあたります。おおざっぱにいって、会社が解散したときに、すぐに現金化できる資産を表します。

 

ただし、貸借対照表の資産には、のれんなど換金性のないものもあり、書いてある資産を全部、本当の資産にはできません。そこで、換金性の低い固定資産は無視して、流動資産だけに換金性がある本当の資産と考えます。固定資産は、単に将来に償却しなければいけない費用が並んでいることも多く、イマイチその価値を信用できませんので。。。

 

そして、流動資産から負債全体をひいた額が、その企業が持つ本当の資産だと考えます。大雑把な考え方ですが、多くの場合、会社の持つ資産評価の良い近似となります。

 

上級編の理論株価

さて、この企業の3つの価値(利益価値、成長価値、資産価値)より、上級編の理論株価を計算しましょう。理論株価を計算するときには、資産価値、利益価値、成長価値の3つの要素をすべて足してものと発行済み株式数で割って、一株当たりの価格になおした値を使います。

 

理論株価 = (利益価値 + 成長価値 + 資産価値)÷ 発行済み株式数

 

企業の3つの価値を発行済み株式数で割って、理論株価をまじめに計算するのは結構面倒です。実は、理論株価の数式を少し数学的に変更すると、もっと簡単に以下の式で理論株価が計算できます。

 

*上級者向けの理論株価の計算式*

理論株価 =(流動資産 ー 負債)÷ 純資産 × 一株当たりの純資産 + (一株当たりの純利益)×(15 + 係数A)

 

さきほも述べたように、ここで係数Aはその企業の成長の期待値に合わせて、−5から15までの数字となります。係数Aは成長産業であれば15倍、成熟産業であればゼロ、衰退産業であれば−5倍とします。

 

この式にある、流動資産、負債、純資産、一株当たりの純資産(BPS)、一株当たりの純利益(EPS)はすべて決算短信に値が書いてあります。決算短信をみれば、この式を使って簡単に理論株価が計算できます。ここでは、特に例はあげませんが、ぜひ上級編の理論株価の計算を試してみてください。

 

この上級編の理論株価を計算をすることによって、その過程で決算短信の見方がわかり企業の本当の姿が見えてくるでしょう。

 

なぜ、これからは日本株ではなく米国株(アメリカ株)に投資すべきなのか?

多くの日本人投資家は日本株を中心に運用していますが、実は日本株よりもパフォーマンスが良い投資先があります。それが外国株、特に米国株(アメリカ株)です。

 

この記事を読むと次のことがわかります。

 

(1)米国株(インデックス)は過去100年以上に渡って上昇しており、ブラックマンデーやリーマンショックの時に買った人でさえ保有し続けていれば利益が出ている。

 

(2)米国は今後も人口が増加し続け、世界最強のイノベーションの力と軍事力を保ち続け、米国株は上昇を続けると予想される。

 

日本の株価と米国の株価の比較

さてまず、日本株と米国株の株価のこれまで推移(パフォーマンス)を順番に見てみましょう。

 

まず、下図は日本の日経平均株価の60年以上に渡る超長期チャートです。

(日経平均株価超長期の推移)

日経平均株価長期推移

日本株は2013年のアベノミクス以降上昇トレンドになっていますが、バブル期の頃の株価にまだまだ全然届いていません。30年程前のバブル期に日経平均株価に投資した人は、未だに買った時の半値のままで損している状態が続いているということですね、、、

 

また、後ほど詳しく解説しますが、日本はこれから、人口減、労働人口の減少、世界でも歴史上初めてとなる超高齢化社会を迎えます。日本国内市場が縮小するのは目に見えています。これからの日本株投資は、十分に銘柄を選ばないと、報われないでしょう。
次にアメリカ(米国)を見てみましょう。下図は、アメリカの代表的なインデックスであるダウ平均株価を長期的な推移のチャートです。

(米国ダウ平均株価の超長期の推移)

ダウ長期チャート

1920年以降(実は株式市場が成立して以来)に渡って、ダウ平均株価(S&P500やナスダック総合指数も同様)は、ブラックマンデー、ドットコムバブル、リーマンショックの時の株価暴落を乗り越えて、現在も株価最高値を更新し続けています。

 

アメリカの著名な投資家であるバフェットは、次のように述べています。

 

「過去200年、米国株に売りで仕掛けた人は全員負けている。逆に実際、ダウ平均株価、S&P500やナスダック総合指数などアメリカ株に過去200年どんな時に投資した人も、現在まで持っていれば全員利益を得ている。」

 

このことが、一般的にアメリカ人が、日本人に比べて株式投資に熱心な理由ですね。また、アメリカにはバンガードなど伝統があり、手数料の安い良いインデックス投信があります。これも、一般人にも株式投資に積極的な理由です。日本のインデックス投信もだいぶ改善されてきましたが、米国のインデックス投信に比べると手数料など高く、費用面でも見劣りしますね。。。

 

米国のイノベーションの力

米国株はなぜこんなに力強いのでしょうか?それはアメリカという国の政策面まで含めた国力、経済力があります。

 

まずアメリカには世界最強のイノベーションの力があります。世界的な企業を思い浮かべてください。グーグル、アップル、アマゾン、フェイスブック、マイクロソフト、コカコーラ、ビザ、マスターカードなどなど。ふと頭に浮かんでくるのはほとんど米国企業です。

 

さて、実際の世界の時価総額ランキングを下図で見てみましょう。

(世界時価総額ランキング(2018年))

世界時価総額ランキング2018年

 

実に世界の時価総額ランキングのトップ10位までに米国企業が8社も入っています。残りの2社は14億人の人口を抱える中国の企業です。ちなみに日本で一番時価総額が大きいのはトヨタ自動車で世界の時価総額ランキングで37位です。

 

何故、世界的企業はアメリカにおおいのでしょうか?

 

その秘密は、人材にあります。アメリカ人が他の人種よりも優秀であると言っているわけではありません。世界中の超一流の人材が祖国を捨てて米国に移住して活躍しているのです。古くはユダヤ人であるアインシュタイン、日本からも沢山のノーベル賞受賞者が米国に移住しています。米国には、よその国の優秀な人材を手厚く迎える制度と文化があるのです。それに比べて日本はどうでしょう。優秀な外国人を受け入れる素地がありません。また、言語の問題もあるでしょう。
なぜアメリカからイノベーションが起こり、世界的企業が生まれるのか?それは世界中から超一流の人材を惹きつけているからに他なりません。

 

日本は米国企業にとっての海外市場

日本在住の人が米国株に投資する時、アメリカ在住の人が米国株を投資する時よりも有利な点があります。

アップルやグーグル、ビザなどの国際的企業の米国株に投資する場合、海外(つまり米国以外の国)での評価をする必要があります。日本は、米国企業にとっての海外市場になります。日本在住の日本人は国内にいながら、米国企業の海外市場のパフォーマンスを直接調査、確認することができるという利点があります。

 

逆に、日本在住の日本人には日本企業の海外進出のパフォーマンスを確認するのは難しいことを考えると、日本人の米国株投資の有利さを理解できると思います。

 

当然、投資先としては国際展開している米国企業の株を選ぶ必要があります。

 

日本と米国の人口推移の比較

次に、アメリカ株が有望なもう一つの大きな理由は今後の人口推移です。

 

人口の増減と株価インデックスには相関関係があります。基本的に、人口が増えると、消費が増え、GDPが増え、その結果その国の株価があがります。では、今後日本とアメリカの人口はどうなるでしょうか?

 

日本や中国は今後何十年のスパンで人口が減り、労働人口が減少して、高齢化が進むことが予想されています。それに比べて、アメリカの人口まだまだ増え続けることが予想されています。また、日本をよそ目に世界人口も今後何十年とドンドン増え続けます。

 

それでは、実際のデータで、世界、日本、米国の人口の推移を見てみましょう。

 

世界の人口の推移

まず、世界の人口のこれまでの推移と今後の予測を下図で見てみましょう。下図は1950年から2050年までの世界人口の推移と今後の予測のグラフです。(http://www.pewglobal.org/2014/01/30/chapter-4-population-change-in-the-u-s-and-the-world-from-1950-to-2050/)から引用)

(世界人口の推移と予測)

世界人口予測

上図で、下の方から濃い緑が15才以下の人口、真ん中の薄い緑は15才から64才までの生産労働人口、上の茶色は65才以上の人口です。世界の人口は、2020年以降も順調に増え続け、生産労働人口も同じように増え続けます。

 

よって、世界的に見れば、今後も消費、需要も伸びて行き、世界で活躍する国際企業は人口ボーナスの利点を今後も拝受し続けることができるでしょう。

 

日本の人口の推移

さて、世界の人口は今後も増え続けることは分かりましたが、翻ってこの日本の人口は今後どうなるでしょうか?

下図は1950年から2060年までの日本の人口の推移と予測のグラフです。

(日本の人口の推移と予測)

日本の人口の推移・予測2

上図を見てもわかるように、世界の人口は今後も伸びていくにもかかわらず、日本の人口はこれからどんどん減っていきます。さらに、人口が減るのみならず、若年層の割合が小さくなり、高齢者の割合が増えていきます。つまり、日本の将来は人口減プラス少子高齢化のダブルパンチとなるわけです。

 

人口減、少子高齢化が進むということは、消費、需要が減るという事です。それは企業にとっては売上高、利益の減少となります。これは日本の株価は長期的にみて上昇しにくいということを意味します。

 

米国の人口の推移

一方、米国の人口の推移と将来予測を見てみましょう。次の図は1950年から2050年までの米国の人口の推移と将来予測のグラフです。(http://www.pewglobal.org/2014/01/30/chapter-4-population-change-in-the-u-s-and-the-world-from-1950-to-2050/から引用)

(米国の人口推移と予測)

アメリカ人口予測

上図で、下の方から濃い緑が米国の15才以下の人口、真ん中の薄い緑は15才から64才までの生産労働人口、上の茶色は65才以上の人口です。

 

アメリカは世界の人口と同じように、2020年以降も順調に人口が増えていくことが予想されています。人口が増えるということは、マクロ的には需要、消費が伸び、GDPが伸びます。そして米国市場でビジネスしている企業の売上、利益が伸びていく事になります。結果として株価も上がる事になります。また、米国の国際企業は米国国内の人口増加のみならず、世界の人口増加の恩恵も受けることが出来ます。

 

今後の人口の推移からみても、米国企業は、国内市場をみても、国外市場をみてもまだまだ成長できるわけです。マクロ的、そして構造的に米国企業は有利な立場にいますね。

 

そして、経済にはあまり関係なさそうで重要なのは軍事力です。米国はまだまだ世界最強の軍事国家です。米国企業が世界展開していく上で、間接的に無形のプレッシャーとして、相手国に効いてくるのが米国の軍事力です。経済と軍事力は一見無関係にみえますが、意外と見逃せないところです。

 

まとめ

米国株は過去200年に渡って、いくつもの経済危機を乗り越え右肩上がりに成長を続けてきました。株式市場が成立して以来、過去100年以上どの時点でインデックス米国株投資をしても、売らずに保有をつづけた人は、全員勝っている事になります。

 

今後もこの米国の人口は増え続け、世界中の優秀な人材を集め高いイノベーションを巻き起こし続けるでしょう。また、米国の軍事的な優位性は今後数十年は変わらず、米国ビジネスの後ろ盾であり続けます。

 

人口減、少子高齢化で国力が衰えつつある日本の株よりも、今後も成長が期待できる米国の株に投資をしておく方がよい投資結果が得られると思います。

 

特に、米国個別株であれば、日本でも認知の高いグーグル、アマゾン、P&G、アップルなど米国のブランド企業への投資が魅力的です。ただ、いくら良い企業でも株価が割高水準で買うのは得策ではありません。一時的な経済ショックとかで割安な時を狙いましょう。

 

また、個別株を分析する時間のない人は、米国株のインデックス(ダウ・ジョーンズ、S&P500、ナスダック)に連動する投信やETFなどを買うと良いでしょう。

 

ファーストリテイリングとしまむらの業績と株価を比較するとどちらに投資すべき?

衣料小売り大手のファーストリテイリング(9983)としまむら(8227)のビジネスモデル、業績と株価の比較をしてみたいと思います。そして、どちらの方が投資先として適当か考えてみたいと思います。

 

ファーストリテイリングはユニクロやGUのブランドを世界的に展開している衣料小売の企業です。そして日本国内では衣料小売最大手の会社です。ファーストリテイリングのビジネスの特徴はSPAです。SPAとは生産から販売まで一貫して自社で行うビジネスモデルです。これによりコストをさげることができ、リーズナブルな値段で高品質なものを販売できるようになります。

 

ファーストリテイリングのユニクロ、GUは安くて高品質だけどファッション性は低いというイメージがありましたが、実はファッション好きの人にとっても高評価な商品をたくさん出しています。安くてファッション性も高いということで、ファション好きな人達にも高人気です。

 

一方のしまむらはファーストリテイリングとは違うビジネスモデルで経営しています。しまむらは衣料を仕入れて販売するという典型的な小売り商売をしていますが、店舗を標準化することでコスト削減を図っています。しまむらは一部、プライベートブランドもやっていますが、生産から販売まで一貫してやっているファーストリテイリングとは全く異なるビジネス方式ですね。

 

また、ファーストリテイリングは海外展開を積極的にやっていて、もはや世界的な国際企業となっていますが、一方のしまむらのビジネスはまだまだドメスティック(国内)にとどまっています。

 

さて具体的にファーストリテイリングとしまむらの業績の推移を見ていきましょう。

 

売上高と純利益の推移

一般的に売上高、純利益の推移の理想形は当然右肩上がりです。これに加えて売上に対する純利益の割合(売上高純利益率)が高い方が良いですね。ただ、この売上高純利益率の平均は業態によって大きく違います。ファーストリティリングやしまむらなどの衣服などの小売業界はどうしても売上高純利益率は小さくなりますので、その辺は割引いて考える必要があります。

 

それではさっそくファーストリテイリングとしまむらの売上高(緑色)と純利益(青)の推移をそれぞれ見てみましょう。

(ファーストリテイリングの売上高(緑色)と純利益(青))
ユニクロ売上

ファーストリテイリングの売上高は見事な右肩上がりで良い形です。純利益は売り上げに比べてだいぶ小さくて上図では見にくいですが、純利益のほうもしっかり伸びてきています。次にしまむらを見てみましょう。

(しまむらの売上高(緑色)と純利益(青))
しまむら売上2019

一方のしまむらの売上高と純利益の推移はヨコヨコで停滞感が否めません。

 

ファーストリテイリングとしまむらの両者の売上高を比べると、やはりファーストリテイリングの成長の方が圧倒的です。純利益もしまむらは横横なのに対して、ファーストリテイリングは着実に伸びてきています。売上高と純利益の推移を見ると、しまむらよりファーストリテイリングのほうに軍配が上がりますね。

 

キャッシュフロー

一般的な基準としてはキャッシュフローの良い狀態の基本は営業キャッシュフローがプラス、そして投資キャッシュフローがマイナスが良い形です。そして営業キャッシュフローのプラスが投資キャッシュフローのマイナスを上回っていることも重要です。言い換えるとフリーキャシュフロー(営業キャシュフローと投資キャシュフローを足したもの)がプラスということです。さらに欲を言えば、営業キャッシュフローが右肩上がりに上昇し、投資キャッシュフローが右肩下がりに下落していわゆるワニ口の形をしていることがよく、これは急成長している企業の特徴です。

 

さて、次の二つの図はファーストリテイリングとしまむらの営業キャッシュフロー(青)と投資キャッシュフロー(赤)の推移をそれぞれ示しています。

(ファーストリテイリングのキャッシュフロー)
ユニクロキャッシュフロー2019

ファーストリテイリングの営業キャッシュフローは右肩上がり、そして投資キャッシュフローは営業キャッシュフローの範囲内で推移していてとても良い形をしています

(しまむらのキャッシュフロー)

しまむらキャッシュフロー2019一方のしまむらの営業キャッシュフローは上下に乱高下しており、さらに上昇しているわけでもなくあまり良い形ではありません。

 

キャッシュフローの推移を見ても、しまむらよりもファーストリテイリングに軍配が上がります。

 

セグメント

日本は人口減、少子化で国内市場がこれからますます小さくなっていくので、一般的にセグメント別では海外の売上、利益の比率が大きいことが良い形です。

 

次の表はそれぞれファーストリテイリングとしまむらのセグメント別の売上、利益の表です。

(ファーストリテイリングのセグメント別)
ユニクロセグメント2019

ファーストリテイリングは海外ユニクロ事業が国内ユニクロ事業よりも売上高、利益ともに大きくなっていて、最大セグメントとなっています。ファーストリテイリングはもはや世界でビジネスをしている国際企業と言えるでしょう。

 

(しまむらのセグメント別)
しまむらセグメント国別2019

 

一方のしまむらは、海外の売上高、利益ともに日本国内の売上高、利益のたった数パーセントです。しまむらは日本国内市場中心の国内企業と言えるでしょう。

 

セグメント別情報を見ると、国内中心のしまむらよりは、すでに国際企業となっているファーストリテイリングの方が魅力的です。

 

株価と理論株価

一般的に理論株価は着実に右肩上がりで、株価は理論株価に対して高すぎないことが理想です。

 

ファーストリテイリングとしまむらの株価(青色)と理論株価(黒色)の推移をそれぞれ見てみましょう。

(ファーストリテイリングの株価(青色)と理論株価(黒色))
ユニクロ株価2019ファーストリテイリングの理論株価は右肩上がりに成長しています。それと共に株価も上昇していて良い形ですね。ただ、株価が理論株価を大きく上回っており割高感があります。

 

(しまむらの株価(青色)と理論株価(黒色))

しまむら株価2019-3

一方のしまむらは理論株価が上下動が激しく最近になって激しく落ち込み良い形とはいえません。株価も理論株価に引きずられるかたちでほぼ同じ形で上下動しています。

 

まとめると海外展開の差、そして財務内容から行ってもファーストリテイリングの方がしまむらよりも圧倒的に良い投資対象と言えるでしょう。ただファーストリテイリングは現在株価がだいぶ割高状態にあるので、何か一時的な原因で株価が下がったところで押し目買いをするのが良いでしょう。

 

*投資は自己責任でお願いします。

ドコモとソフトバンクグループの業績と株価を比較して今後を予想

NTTドコモ(9437)とソフトバンクグループ(9984)のこれまでの業績、株価を比較して、今後の両社の業績、株価の予想・見通しをしたいと思います。

 

この記事の内容をざっくりまとめると次の2点になります。

 

1、ドコモとソフトバンクの携帯事業は安定的で将来の発展性のある良いビジネスである。

 

2、ドコモへの投資はローリスクローリターン、ソフトバンクの投資はハイリスクハイリターンである。ソフトバンクの方が投資の面白みがあるだろう。

 

ドコモもソフトバンクも携帯通信と言う安定的なビジネスをしています。IoTなどの発展で今後ますます通信トラフィックは増えると予想され、今後もドコモもソフトバンクも携帯通信部門は安定的に利益を稼ぎ出すでしょう。

 

ドコモとソフトバンクでは経営方針に大きな違いがあります。ドコモは携帯通信と言うビジネスに特化して、大きなリスクを取らずに安定的にビジネスをしています。一方のソフトバンクは、国内、国外の携帯通信事業のみならず、英国のARMと言う半導体回路設計の会社を買収したり、ビジョンファンドと言うAIに特化した投資ファンドを立ち上げたり様々なIT分野に進出しています。ソフトバンクは、大きな借り入れをしてレバレッジを効かせ、リスクをとった経営をしていますが、成功した時のリターンも大きいです。この経営方針の違いの一因として、ドコモは雇われ社長あるのに対し、ソフトバンクはオーナー社長であることがあげられます。

 

早速ドコモとソフトバンクの業績を見てみましょう。ドコモとソフトバンクグループのそれぞれに対して、売上高(緑色)と純利益(青色)の推移を示したのが次の2つの図です。

(NTTドコモ)
ドコモ売上高
(ソフトバンクグループ)

ソフトバンク売上高

NTTドコモは売上、利益とも若干上向きですが、ほぼヨコヨコの感じです。一方ソフトバンクグループは売上高が急上昇しており、企業規模が年々大きくなっていることがわかります。またソフトバンクの利益も売上高とともに上昇しており良い感じです。安定感と言う意味ではドコモも悪くありませんが、成長と言う意味ではソフトバンクの方が圧倒的に軍配が上がりますね。

 

次の2つの図はそれぞれドコモとソフトバンクグループのキャッシュフローの推移です。

(NTTドコモ)   赤色が営業キャッシュフロー、黄色が投資キャッシュフローです。
ドコモキャッシュフロー
(ソフトバンクグループ)   青色が営業キャッシュフロー、赤色が投資キャッシュフローです。
ソフトバンクキャッシュフロー
ドコモのキャッシュフローは営業キャッシュフロー、投資キャッシュフローともにヨコヨコですが、営業キャッシュフローが投資キャッシュフローは絶対額で上回っていて悪い形ではありません。ドコモは良い意味でも悪い意味でも安定感がありますね。

 

一方のソフトバンクは営業キャッシュフロー、投資キャッシュフローともに拡大傾向にありますが、投資キャッシュフローが営業キャッシュフローを絶対額として大きく上回っており、大きな経営リスクを取っていることがわかります。

 

次の図はドコモのセグメント別の利益の表です。

(NTTドコモのセグメント別)

ドコモセグメント別

ドコモのセグメント別利益の表を見ると、ほぼ通信事業の単一セグメントと考えてもよさそうです。

 

次の図はソフトバンクグループのセグメント別の売上高、利益の表です。

(ソフトバンクグループのセグメント別)

ソフトバンクセグメント別
ソフトバンクのセグメント別の表を見ると、ソフトバンク通信事業、スプリント事業、Yahoo!事業、アーム事業、ソフトバンクビジョン事業、ライトスター事業と通信事業以外にも多岐に渡っています。ソフトバンクは事業会社というより自他共に認める投資会社になっています。

 

次の2つの図は、それぞれドコモとソフトバンクグループの株価と理論株価の推移です。

(NTTドコモ)青色が株価、黒色が理論株価です。
ドコモ株価
(ソフトバンクグループ)青色が株価、緑色が理論株価です。
ソフトバンク株価

ドコモの理論株価と株価はほぼ同水準で推移しています。また緩やかな右肩上がりになっていて良い感じです。ドコモは携帯通信と言う安定的なインフラ事業で着実に成長してる感じがします。またドコモの図をよく見てみると、2008年から2013年まで株価が理論株価を下回っています。これは2008年あたりから始まったリーマンショック、それに続く欧州債務危機などの世界経済の不況が影響しています。不況時には株価がその企業のファンダメンタルよりもアンダーバリューになるのは仕方ないところです。

 

一方のソフトバンクグループも理論株価と株価は同水準で推移してきましたが、最近になって理論株価が急上昇しています。これにはソフトバンクグループが始めたソフトビジョンファンドの含み益が純利益として計上されていることが原因です。含み益は安定性に欠けるので、理論株価ほど株価が上昇してないと考えられます。

 

ドコモとソフトバンクを比較してみると、株価、理論株価ともにソフトバンクの方が上下動が激しいことが見てとれます。これはソフトバンクのビジネスの方がハイリスクハイリターンである事に起因しています。

 

両社への投資戦略としては、預金感覚で安定的な運用したい人はドコモ、リスクを取ってハイリターンを目指した人はソフトバンクを選択すると良いでしょう。

LINE(ライン)とFacebook(フェイスブック)の業績を比較、今後の業績と株価の予想・見通しは?

日本と世界のSNSの最大手であるLINE(ライン)とFacebook(フェイスブック)の業績と株価水準を比較してみたいと思います。

 

この記事の内容をざっくりまとめると次の3点になります。

 

(1) 売り上げや純利益、キャッシュフローなどを見ると、LINEよりもFacebookの方が圧倒的に業績が良い。

(2)広告分野はFacebookが圧倒的に強いが、LINEはスタンプなどで善戦している。

(3)Facebookの株価は理論株価より2倍ほど割高で、LINEの株価は3倍ほど割高と考えられる。

 

早速LINEとFacebookの財務の推移を見てみましょう。

次の図は売上高(緑色)と純利益(青色)のLINE(上図)とFacebook(下図)のそれぞれの推移のグラフです。

(LINE)

Line売上高

(Facebook)

FB-2019-6-売上
LINEは売上高が伸びているのもにもかかわらず、純利益がヨコヨコで最近では赤字が続いています。一方Facebookは売上高の伸びとともに純利益も伸びており良い形をしています。

 

損益計算書の数字である売上高と純利益は、減価償却費等の考え方などで数字はある程度操作することができるので、キャッシュフロー計算書でも業績を確認することが重要です。

 

次の2つの図は、それぞれLINEとFacebookのキャッシュフローの推移のグラフです。両方の図共に青色が営業キャッシュフロー、赤色が投資キャッシュフローを表します。

(LINE)

Lineキャッシュフロー

(Facebook)
FB-2019-6-キャッシュフロー
LINEの営業キャッシュフローはプラスではありますが年々減少している一方、投資フローはマイナス側に拡大しています。投資キャッシュフローのマイナス幅が営業キャッシュフローの範囲内であることが良いキャッシュフローの形の原則ですが、LINEの場合はこの形から外れており、あまり良くない形をしています。

 

一方、アマゾンの場合は営業キャッシュフローが年々増大しており、そしてその範囲内で投資キャッシュフローが賄われており大変に良い形をしています。営業キャッシュフローと投資キャッシュフローのグラフがいわゆるワニ口の形をしており、優良成長企業の証しといえます。

 

これまで見てきたように、売上高と純利益などの損益計算書の数字やキャッシュフロー計算書の数字を見ても、LINEよりもFacebookの方が全然良い形をしています。

 

それではLINEとFacebookのセグメント別の売上高、利益の表を順に見ていきましょう。

 

次の図はLINEの分野別の売上高の表です。

(LINE)

Line分野別

LINEはやはり広告がビジネスの柱になっていますが、LINEスタンプなどのコミニケーション・コンテンツ事業もそれなりの売上高を上げています。ラインはスタンプ事業がオリジナリティのある大きな柱ビジネスですね。

 

次の図はやはり同じ位のセグメント別の売上高と利益の表です。

(LINE)

Lineセグメント別
LINEのコア事業の売上高そして利益はまあまあですが、戦略事業の方ではまだ利益が出ていません。戦略事業にはLINEペイなどの新規事業が含まれています。バーコード決済にはソフトバンクのPayPayなどの競合がたくさんあり、LINE Payも苦戦が強いられるでしょう。

 

次にFacebookのセグメント別の売上高を見てみましょう。

(Facebook)

FB-2019-6-セグメント
FacebookはLINEとは違い、広告がほとんどの売上高を占めています。FacebookはLINEよりもより多くの個人情報を握っており効果的な広告を出すことができます。SNS系の広告としてはFacebookが最強でしょう。

 

次にFacebookの地域別の売上高も見てみましょう。

(Facebook)

FB-2019-6-地域別
Facebookの売上高は北米がやはり最大ですが、世界中で売上高を上げており、世界的な企業になっています。その一方LINEはまだまだ日本国内が中心で、世界的な企業と言う風にはなっていません。

 

次にLINEとFacebookの株価と理論株価をそれぞれ見ていきましょう。(理論株価は1株当たりの純利益の15倍で計算しています。)

(LINE) 青色が株価、黒が理論株価です。

Line株価
(Facebook) 緑色が株価、青色が理論株価です。
FB-2019-6-株価
LINEの理論株価は、1株当たりの純利益がマイナスとなっているために途中で切れてなくなってしまっています。またLINEの株価も理論株価よりもだいぶ高い水準でヨコヨコで推移しています。純利益がマイナスとなっているために適切な理論株価が導けないのですが、別の考え方でLINEの適切な株価水準を見積もってみましょう。

 

1つの考え方は時価総額が売上高と大体同じ規模になると言う考え方があります。この考え方をLINEに当てはめるとLINEの株価は1株あたりの売上高の4倍となっており、適切な株価水準は現在の株価の4分の1程度と考えることができます。

 

一方Facebookは株価も理論株価も順調に成長しており良い形をしています。株価は理論株価の2倍程度と将来の成長を織り込んでいると考えればそれほど高い水準ではありません。

 

株価で見ても、LINEよりもFacebookの方が割安感がありますね。

 

インターネットの世界は最強企業が1社だけ生き残るモノポリーの世界です。その昔はミクシィやグリーなどもSNSを運営していましたが、今やFacebookに駆逐されてしまっています。今のところLINEは日本国内でメッセージアプリ最強ですが、海外を見るとMessengerやwhat’s app などFacebook傘下のメッセージアプリが主流になっています。LINEは今のところスタンプなどで人気を保っていますが、今後LINEがFacebook系のメッセージアプリに駆逐されないかどうか慎重に見極める必要があります。

 

投資戦略としては、株価の割安感から見てもLINEよりもFacebookの方が良いと思われます。

いきなりステーキのペッパーフードサービスの株価が下落中。どこで下げ止まるか?

ペッパーフードサービス(3053:PEPPER FOOD SERVICE)の業績はこれまで急拡大、そして株価は急上昇してきました。この背景には「いきなりステーキ」と言うステーキレストランの成功があります。いきなりステーキは質の良い肉を提供していて、美味しい、リーズナブルな価格で人気です。肉の品質を担保するために原価率が高いのですが、客の回転率を上げることで利益を上げています。

 

筆者もいきなりステーキに行ったことがありますが、ステーキの美味しさ、そしてリーズナブルな価格に大満足でした。同じような品質の肉をスーパーで買って自分で調理しても、都内であればいきなりステーキとあまり値段が違わないかもしれません。

 

客の回転率を上げるために様々な工夫がされています。対面式ではなく回転式のテーブル、不安定な足の長いイスなどで長居を防いでいますが、かといって居心地が悪いわけではありません。木目調のデザインで統一されている店内はおしゃれで雰囲気が良いです。

 

しかし、これまで業績、株価ともに好調だったペッパーフードサービスですが、最近になって逆回転して業績、株価ともに落ち込んでいます。一体何が起きたのでしょうか?

 

1つにはステーキのみを提供しているというビジネスの特殊性にあります。ファミリーレストランや定食屋のメニューとは違って、ステーキは毎日食べるようなものではありません。ところがペッパーフードは需要を見誤って同じ地域に店を出し過ぎ自社の店同士で客の奪い合いになりました。

 

また人材不足の要因も大きいです。少子化による人材不足、賃金高騰により、都内を中心として外国人も雇用されていて、スタッフのサービス力の低下を招いています。筆者も外国人スタッフが多い店に行った時に、言葉が通じにくいなどの理由からサービス力の低下を実感したことがあります。

 

業績、株価が逆回転して低下しているペッパーフードサービスですが、今後に業績、株価はどこまで低下するでしょうか?

 

これを予測するために、これまでのペッパーフードの業績(売上高と純利益、キャッシュフロー、セグメント別売上高と利益)と株価(実際の株価と理論株価)の推移を見ていましょう。

 

下図はペッパーフードの1株当たりの売上高(緑色)と純利益(赤色)の推移のグラフです。
ペッパーフード売上高
2015年あたりから急激に売上高(緑色)が伸びています。いきなりステーキが人気を集めて伸びてきた時期と一致しますね。

 

上の図だと売上高に比べて純利益が小さすぎて見にくいので、上の図で純利益(赤色)だけ取り出したのが下図になります。
ペッパーフード利益
純利益もこれまで順調に伸びてきましたが、直近で大きく下落しています。

 

次の図はペッパーフードサービスのキャッシュフローの推移の表です 。
ペッパーフードキャッシュフロー
基本的に、営業キャッシュフローが上昇して、そしてその営業キャッシュフローの範囲内で投資キャッシュフローがまかなわれていることが理想的です。ペッパーフードサービスのキャッシュフローは、まさにそのような形をしており好印象です。

 

次の表はペッパーフードサービスのセグメント別の売上高、利益の表です。
ペッパーフードセグメント別
ペッパーフードサービスは、ペッパーランチ事業、レストラン事業、いきなりステーキ事業、商品販売事業の4つのセグメントがありますが、やはりいきなりステーキ事業が売上高・利益ともにダントツで最大となっています。

 

次の表はペッパーフードサービスの株価(青色)、理論株価(黒色)の推移です。(理論株価は1株当たりの純利益を15倍して計算しています。)

ペッパーフード株価
2017年以前は、株価(青色)と理論株価(黒色)はほぼ同じ水準で推移していました。ところが2017年以降は株価が理論株価を大きく上回り、バブルのような状態になりました。その後、株価が大きく下落し理論株価に近づきつつあります。

 

ペッパーフードの株価は理論株価のあたりで下げ止まると予想されます。PERで言うと15倍あたりのところですね。いきなりステーキは食材の品質がもともと悪くない上に、新規出店を抑える計画があるので業績の悪化は下げ止まり安定化するでしょう。それと共に株価も理論株価あたりで落ち着くと考えられます。

 

株価が理論株価を下回ってきたら(PERで言うと15倍以下)、バリュー投資をしても良いかもしれません。

 

ライドオンエクスプレスホールディングスの株はなぜ魅力的でないのか?今後の業績・株価の予想・見通し

ライドオンエクスプレスホールディングス(6082:RIDE ON EXPRESS HOLDINGS)は、寿司のデリバリーの「銀のさら」などを展開するフードデリバリーの会社です。株主優待などで人気の銘柄ですが、株式投資としてはあまり魅力的ではありません。え、なんでと思った方も多いかと思いますが、その理由について解説したいとおもいます。

 

ライドオンエクスプレスホールディングスの主要事業である銀のさらは、品質の良い寿司とリーズナブルな価格で出前寿司の店を全国展開しています。銀のさらで出前寿司をとったことがある人ならば分かると思いますが、値段に対するその寿司のクオリティの高さには驚く人も多いと思います。

 

また、ライドオンエクスプレスホールディングスの株主優待は、100株以上の保有で2500円の商品券です。銀のさらなどのファンであれば魅力的な株主優待です。

 

しかし、株式投資としてはライドオンエクスプレスは魅力的な銘柄でしょうか?答えは「そうでもない」です。この疑問に答えるためにライドオンエクスプレスの損益計算書やキャシュフローなどの財務情報を見ていきましょう。

 

まず、ライドオンエクスプレスホールディングスの一株あたりの売上高(緑)と利益(青)の推移を見てみましょう。

ライドオンエクスプレス売上高グラフ

ここ5年の間、売上高も純利益も伸びていません。安定しているといえば安定していますが、成長はほとんどしていないですね。また、売上高利益率も小さく5パーセントを下回っています。飲食業界は薄利で売上高利益率が小さい傾向にありますが、ライドオンエクスプレスホールディングスも例外ではありません。

 

上の図だと、売上高に比べて純利益が小さくて見にくいので、純利益だけ取り出したグラフが下図です。

ライドオンエクスプレス利益グラフ

ここ5年間のライドオンエクスプレスホールディングスの純利益を拡大図であらためてみてみても、ほぼ横ばいです。

 

損益計算書の売上高や純利益などは、減価償却費などの計上の仕方で粉飾されることがあるので、キャシュフロー計算書でも業績を確認する事が重要です。損益計算書とキャシュフロー計算書の推移は長期間でならしてみると、ほぼ同じような動きになります。各費用などが計上される時期が異なるだけです。

 

ライドオンエキスプレスのキャッシュフローの推移は以下の通りです。(有価証券報告書より)
ライドオンエクスプレスキャッシュフロー
営業キャシュフローも投資キャシュフローもヨコヨコといった感じで安定性はありますが、面白みはありませんね。

 

次にライドオンエクスプレスホールディングスのセグメント別の売上高を見てみましょう。
ライドオンエクスプレス
ライドオンエクスプレスホールディングスは直営店とフランチャイズの割合がほぼ半々で、直営店の売上の7割が寿司デリバリーの銀のさらが占めています。良い意味でも悪い意味でもライドオンエクスプレスは「銀のさら」を中心とする寿司デリバリーの会社と言えますね。

 

ライドオンエクスプレスホールディングスの株価(青色)と理論株価(黒色)の推移を見てみましょう。理論株価は一株あたりの純利益の15倍で計算されています。

ライドオンエクスプレス株価

株価も理論株価もヨコヨコですが、一貫して株価は理論株価を上回っており”割高”水準で推移しています。銀のさらの知名度や安定性、株主優待の良さが株価を割高水準に押しとどめている理由と思われます。

 

まとめると、先程も見た通りライドオンエクスプレスの株は売上高利益率が低く、また成長性もほとんどないために投資家にとって魅力があまり感じられません。また、株価が割高であるところも投資先としてはいまいちの印象です。(デリバリーのお客さんにとっては良い会社で、筆者もファンなのですが、、、)

 

ただ、ライドオンエクスプレスの業績は成長はしていないものの安定的ですので、株価が一時的に落ち込むことがあればバリュー株として投資しても良いかもしれません。