関西電力、運転差し止め仮処分決定で年間1200億の損失見込み、株価はどうなる?

関西電力は、大津地裁による運転差し止め仮処分決定で高浜原発3、4号機(福井県)が停止しました。この影響で、新聞報道によると年間1200億円程度の損失見込みになるとのことです。この高浜原発停止を受けて、関西電力の株価が急落しています。この原発停止の経営への影響と今後の関西電力の株価への影響について分析したいと思います。

 

まず、関西電力という会社の全体像ととらえてみたいと思います。

 

関西電力の総売上高は、2015年3月期の決算で3,4兆円です。関西の人口が2000万人ですので、一人あたりの年間使用料金は17000円です。個人として考えると、少し高いですが、これは家庭向けだけでなく企業への売電も含んでいますので、こんなものですね。また、関西電力の社員数は、3万3千人いますので、一人あたりの売上高はおよそ1億円です。

 

さて関西電力の2015年3月期の有価証券報告書を見てみましょう。

 

2016-3-20関西電力純利益

上の赤丸で囲まれた部分が、関西電力のの当期純利益(純損失)です。(単位は百万円です。)ここ4年か程赤字続きですね。

 

今年平成28年3月期の当期純利益の予想がプラス1500億円です。ここ10年くらい、関西電力の当期純利益は、だいたいプラスマイナス1000億円程度で黒字になったり赤字になったりしています。

 

ここ5年間、売上高は伸びていますので、おそらく関西電力は損益分岐点が高く、純利益が上下に大きく振れていることが推測できます。

 

報道によると、今回の高浜原発3、4号機の運転差し止め仮処分決定で、年間1200億円程度の損失(見込み)が出るということです。なので、例えば平成28年3月期(予想)では1500億円の黒字ですが、これのほとんどがなくなってしまいます。

 

今回の高浜原発停止によって、おおよそ調子が良い時の関西電力の純利益(1000億円程度)が、丸々なくなってしまうくらいの損失なので、これは関西電力にとって痛いですね。

 

さて、この今回の高浜原発3、4号機の運転差し止め仮処分決定による損失を顧客に転化させるとすると、いくら位の値上げ(または値下げをやめる)をしなければいけないでしょうか?

 

単純に高浜原発3、4号機の運転差し止め仮処分決定による損失1200億円を、関西の人口2000万人で割ってみましょう。すると一人あたりの損失額は年間6000円になります。

 

なので、一人当たり月額で500円程度値上げをすれば、この高浜原発運転差し止めによる損失を帳消しすることができます。

 

一人当たり月額500円の値上げというのは微妙なところですね。

 

原発とは縁を切って月額500円余計にお金を払うか、原発を容認して月額500円電気料金を安くしてもらうかという選択肢になるわけです。

 

政治的にいって、関西の住民の人にとって、この月額500円の負担をするか、または原発容認するかの選択はかなり意見が分かれそうですね。

 

さて、今回の高浜原発3、4号機の運転差し止め仮処分決定による損失1200億円の経営への影響を見てみたいと思います。

 

さてもう一度、関西電力の2015年3月期の有価証券報告書を見てみましょう。

 

2016-3-20関西電力自己資本比率

上の図は、時系列で左から右に平成23年から27年度までのデータです。(最初の図と同じですが、切り取ったので年度がなくなっています。)まず、注目すべきなのは、赤丸で囲った自己資本比率の部分です。

 

左から右に見ると、順調(?)に自己資本比率が低下しています。これは、借入を増やしているか、また自己資本が減っているかで、いずれにせよ良くないですね。東電の原発事故以来、ここ数年で関西電力の経営状態が悪化していることが分ります。

 

ただ、次に黄色で囲ったの現金および現金同等物の部分を見てください。関西電力の現金及び現金同等物は増えてきています。直近の平成27年度(2015年)には3000億円程度の現金があります。

 

おそらく、借入金を増やして、キャッシュ(現金)を十分に手当していると思われます。今持っている関西電力の保有するキャッシュから、今回の高浜原発3、4号機の運転差し止め仮処分決定による年間損失見込み額1200億円を、仮にまるまる差し引いたとしても、キャッシュは十分に残ります。(1800億円程度残る。)なので、今回の高浜原発運転停止ですぐに関西電力が倒産とかそういう事態にはならないと思います。このことを確認することは、関西電力に株式投資するうえで、超重要ですね。

 

さて、最後に関西電力の株価への影響を考えてみたいと思います。

 

関西電力の発行済み株式数は約10億株です。関西電力が好調な時の年間純利益は1000億円程度なので、一株当たりの純利益は100円になります。15年で投資金額を回収したいとすると、一株当たりの純利益を15倍して、関西電力の理論株価は1500円となります。まあ、関西電力が好調であれば、この1500円位が妥当な株価ではないでしょうか。

 

次に関西電力の資産面から、株価を見積もってみましょう。関西電力の2015年3月期の有価証券報告書によると総資産は7.7兆円で、純資産は1兆円です。純資産を関西電力の発行済み株式数の約10億株でわると、一株当たりの純資産はおよそ1000円になります。まあ、資産面からみても、好調の時の関西電力の株価は1000円から1500円前後が妥当なところでしょう。

 

ちなみに、現在2016年3月18日の関西電力の株価の終値は953円ですので、もし今回の高浜原発3、4号機の運転差し止め仮処分決定がなければ、関西電力の株価は割安ですね。

 

高浜原発3、4号機の運転差し止め仮処分決定による損失見込み額1200億円が、関西電力の株価に与えるインパクトを見積もってみたいと思います。この損失見込み額1200億円を、単純に関西電力の発行済み株式数の約10億株でわると、一株当たりの年間損失見込み額はおよそ120円になります。

 

今回の高浜原発3、4号機の運転差し止め仮処分決定で、関西電力の株価は約1250円から950円位まで約300円ほど下落しています。この関西電力の株価の下落幅300円を、一株当たりの年間損失見込み額120円で割り算すると、原発を動かせないことによる損失の2年半分の損失金額が株価に織り込まれていると考えられます。

 

なので、原発が2年半以内に再稼働すると考えれば、現在の関西電力の株価は割安ですね。逆に再稼働が2年半以上になる(または永遠に再稼働しない)と考えるのであれば、現在の関西電力の株価がまだ割高と考えることができます。

 

個人的には、高浜原発は2年もたたずして、再稼働すると考えているので、関西電力の株価は割安と考えています。なので、関西電力株を保有しています。(さらに株価が下がってきたら買い増そうと思っています。)

 

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