なぜアマゾン株は高騰しているのか?【2025年版】

なぜアマゾン株は高騰しているのか?【2024年版】

Amazon.com, Inc.(NASDAQ: AMZN)は、EC、クラウド、広告を3本柱とし、2024年も株価は高値圏を維持しています。本記事では最新の決算データとグラフをもとに、その背景を初心者にもわかりやすく解説します。

1. ビジネスモデル概観

アマゾンは1994年創業のオンライン書店から出発し、現在ではEC事業AWS(クラウド)事業広告・その他の3つの柱で収益を上げています。顧客中心主義と物流・ITの連携、継続的な投資、データ活用によって競争優位を築いてきました。

具体的には、Prime会員制による定期課金と付随サービス提供、企業向けクラウドインフラのAWS、ECプラットフォーム上の広告売上が主力です。これらが相互にシナジーを生み、業績を押し上げています。

2. 主要指標推移(2018–2024年)

下表は2018年から2024年までの売上高、純利益、営業キャッシュフロー、投資キャッシュフロー、株価、EPS、理論株価(EPS×15倍)の推移です。

年度売上高
(B USD)
純利益
(B USD)
営業CF
(B USD)
投資CF
(B USD)
株価
(USD)
EPS
(USD)
理論株価
(USD)
2018232.8910.0730.72-12.3775.101.0315.45
2019280.5211.5938.51-24.2892.391.1717.55
2020386.0621.3366.06-59.61162.852.1331.95
2021469.8233.3646.33-58.15166.723.3049.50
2022513.98-2.7246.75-37.6084.00-0.27-4.05
2023574.7930.4384.95-49.83151.942.9644.40
2024637.9659.25115.88-94.34219.395.5382.95
売上高・純利益・営業CF・投資CFの推移
株価と理論株価(EPS×15倍)の推移

【グラフ1分析】
売上高はコロナ特需の2020年に大きく伸び、その後も10%以上の成長を維持しています。純利益は2022年に赤字転落したものの、2023~24年に再回復。営業CFは事業のキャッシュ創出力を示し、投資CFの大幅マイナスは物流・データセンター投資の激しさを反映しています。

【グラフ2分析】
株価は長期的にEPS×15倍(理論株価)を大きく上回り、投資家が将来成長を織り込んでいることがわかります。とくに2020年以降の上昇はEC需要急増とAWSのAI需要が背景にあります。

3. セグメント別5年推移

以下は2019~2023年の北米事業、国際事業、AWS事業それぞれの売上高と営業利益の推移です。

セグメント別売上高推移 (Billion USD)
セグメント別営業利益推移 (Billion USD)

【売上高分析】
北米事業は2020年に一時減速したものの、その後回復し2023年に約3530億USDと成長。国際事業も緩やかに拡大し、AWSは2019年の45 BUSDから2023年の91 BUSDへ急成長しました。

【営業利益分析】
AWSは常に高い利益率を維持し、2023年には約24.6 BUSDを計上。北米と国際は物流コスト増や新規投資の影響で利益波動がありますが、北米は2023年に再び黒字回復を果たしています。

4. 株価高騰の要因

  1. 多角化ポートフォリオ:EC、クラウド、広告の3本柱が収益の安定化と成長を両立。
  2. Prime会員制:約2.2億人の会員から得られるリカーリング収益が安定的なキャッシュ源。
  3. 先行投資:AIインフラ、物流自動化、データセンターへの巨額投資が競争優位を確立。
  4. ブランド力・ロイヤルティ:「ネット通販=アマゾン」の認知と、駆動するエコシステム。
  5. 長期視点経営:短期利益よりも市場シェアと顧客満足度を重視し、投資を継続。

5. バリュエーション分析

2024年EPSは5.53USD、株価219.39USDでPER約40倍。理論株価(EPS×15倍)は82.95USDであり、実株価には大きな成長期待が織り込まれています。

6. リスクと注意点

  • マクロ環境(インフレ・金利上昇)による消費減速リスク
  • 独占禁止法強化など規制リスク
  • 競合激化(Azure/GCP、ウォルマート等)
  • 巨額投資によるキャッシュフロー圧迫

7. 今後の展望

生成AI、ヘルスケア、物流自動化など新規分野がさらなる成長を牽引。2025年以降も年率10~15%成長の期待が高まっています。

まとめ

アマゾン株は高PERながら、三本柱の高成長、Prime会員基盤、技術投資によって長期的に有望です。ただし、短期的なボラティリティや規制リスクに備え、分散投資を心がけましょう。

本記事は情報提供を目的としており、投資勧誘を目的とするものではありません。投資は自己責任で行ってください。

データソース:Macrotrends・Amazon Annual Reports・Yahoo Finance・各社IR