多くの日本人投資家は日本株を中心に運用していますが、実は日本株よりもパフォーマンスが良い投資先があります。それが外国株、特に米国株(アメリカ株)です。
この記事を読むと次のことがわかります。
(1)米国株(インデックス)は過去100年以上に渡って上昇しており、ブラックマンデーやリーマンショックの時に買った人でさえ保有し続けていれば利益が出ている。
(2)米国は今後も人口が増加し続け、世界最強のイノベーションの力と軍事力を保ち続け、米国株は上昇を続けると予想される。
日本の株価と米国の株価の比較
さてまず、日本株と米国株の株価のこれまで推移(パフォーマンス)を順番に見てみましょう。
まず、下図は日本の日経平均株価の60年以上に渡る超長期チャートです。
(日経平均株価超長期の推移)
日本株は2013年のアベノミクス以降上昇トレンドになっていますが、バブル期の頃の株価にまだまだ全然届いていません。30年程前のバブル期に日経平均株価に投資した人は、未だに買った時の半値のままで損している状態が続いているということですね、、、
また、後ほど詳しく解説しますが、日本はこれから、人口減、労働人口の減少、世界でも歴史上初めてとなる超高齢化社会を迎えます。日本国内市場が縮小するのは目に見えています。これからの日本株投資は、十分に銘柄を選ばないと、報われないでしょう。
次にアメリカ(米国)を見てみましょう。下図は、アメリカの代表的なインデックスであるダウ平均株価を長期的な推移のチャートです。
(米国ダウ平均株価の超長期の推移)
1920年以降(実は株式市場が成立して以来)に渡って、ダウ平均株価(S&P500やナスダック総合指数も同様)は、ブラックマンデー、ドットコムバブル、リーマンショックの時の株価暴落を乗り越えて、現在も株価最高値を更新し続けています。
アメリカの著名な投資家であるバフェットは、次のように述べています。
「過去200年、米国株に売りで仕掛けた人は全員負けている。逆に実際、ダウ平均株価、S&P500やナスダック総合指数などアメリカ株に過去200年どんな時に投資した人も、現在まで持っていれば全員利益を得ている。」
このことが、一般的にアメリカ人が、日本人に比べて株式投資に熱心な理由ですね。また、アメリカにはバンガードなど伝統があり、手数料の安い良いインデックス投信があります。これも、一般人にも株式投資に積極的な理由です。日本のインデックス投信もだいぶ改善されてきましたが、米国のインデックス投信に比べると手数料など高く、費用面でも見劣りしますね。。。
米国のイノベーションの力
米国株はなぜこんなに力強いのでしょうか?それはアメリカという国の政策面まで含めた国力、経済力があります。
まずアメリカには世界最強のイノベーションの力があります。世界的な企業を思い浮かべてください。グーグル、アップル、アマゾン、フェイスブック、マイクロソフト、コカコーラ、ビザ、マスターカードなどなど。ふと頭に浮かんでくるのはほとんど米国企業です。
さて、実際の世界の時価総額ランキングを下図で見てみましょう。
(世界時価総額ランキング(2018年))
実に世界の時価総額ランキングのトップ10位までに米国企業が8社も入っています。残りの2社は14億人の人口を抱える中国の企業です。ちなみに日本で一番時価総額が大きいのはトヨタ自動車で世界の時価総額ランキングで37位です。
何故、世界的企業はアメリカにおおいのでしょうか?
その秘密は、人材にあります。アメリカ人が他の人種よりも優秀であると言っているわけではありません。世界中の超一流の人材が祖国を捨てて米国に移住して活躍しているのです。古くはユダヤ人であるアインシュタイン、日本からも沢山のノーベル賞受賞者が米国に移住しています。米国には、よその国の優秀な人材を手厚く迎える制度と文化があるのです。それに比べて日本はどうでしょう。優秀な外国人を受け入れる素地がありません。また、言語の問題もあるでしょう。
なぜアメリカからイノベーションが起こり、世界的企業が生まれるのか?それは世界中から超一流の人材を惹きつけているからに他なりません。
日本は米国企業にとっての海外市場
日本在住の人が米国株に投資する時、アメリカ在住の人が米国株を投資する時よりも有利な点があります。
アップルやグーグル、ビザなどの国際的企業の米国株に投資する場合、海外(つまり米国以外の国)での評価をする必要があります。日本は、米国企業にとっての海外市場になります。日本在住の日本人は国内にいながら、米国企業の海外市場のパフォーマンスを直接調査、確認することができるという利点があります。
逆に、日本在住の日本人には日本企業の海外進出のパフォーマンスを確認するのは難しいことを考えると、日本人の米国株投資の有利さを理解できると思います。
当然、投資先としては国際展開している米国企業の株を選ぶ必要があります。
日本と米国の人口推移の比較
次に、アメリカ株が有望なもう一つの大きな理由は今後の人口推移です。
人口の増減と株価インデックスには相関関係があります。基本的に、人口が増えると、消費が増え、GDPが増え、その結果その国の株価があがります。では、今後日本とアメリカの人口はどうなるでしょうか?
日本や中国は今後何十年のスパンで人口が減り、労働人口が減少して、高齢化が進むことが予想されています。それに比べて、アメリカの人口まだまだ増え続けることが予想されています。また、日本をよそ目に世界人口も今後何十年とドンドン増え続けます。
それでは、実際のデータで、世界、日本、米国の人口の推移を見てみましょう。
世界の人口の推移
まず、世界の人口のこれまでの推移と今後の予測を下図で見てみましょう。下図は1950年から2050年までの世界人口の推移と今後の予測のグラフです。(http://www.pewglobal.org/2014/01/30/chapter-4-population-change-in-the-u-s-and-the-world-from-1950-to-2050/)から引用)
(世界人口の推移と予測)
上図で、下の方から濃い緑が15才以下の人口、真ん中の薄い緑は15才から64才までの生産労働人口、上の茶色は65才以上の人口です。世界の人口は、2020年以降も順調に増え続け、生産労働人口も同じように増え続けます。
よって、世界的に見れば、今後も消費、需要も伸びて行き、世界で活躍する国際企業は人口ボーナスの利点を今後も拝受し続けることができるでしょう。
日本の人口の推移
さて、世界の人口は今後も増え続けることは分かりましたが、翻ってこの日本の人口は今後どうなるでしょうか?
下図は1950年から2060年までの日本の人口の推移と予測のグラフです。
(日本の人口の推移と予測)
上図を見てもわかるように、世界の人口は今後も伸びていくにもかかわらず、日本の人口はこれからどんどん減っていきます。さらに、人口が減るのみならず、若年層の割合が小さくなり、高齢者の割合が増えていきます。つまり、日本の将来は人口減プラス少子高齢化のダブルパンチとなるわけです。
人口減、少子高齢化が進むということは、消費、需要が減るという事です。それは企業にとっては売上高、利益の減少となります。これは日本の株価は長期的にみて上昇しにくいということを意味します。
米国の人口の推移
一方、米国の人口の推移と将来予測を見てみましょう。次の図は1950年から2050年までの米国の人口の推移と将来予測のグラフです。(http://www.pewglobal.org/2014/01/30/chapter-4-population-change-in-the-u-s-and-the-world-from-1950-to-2050/から引用)
(米国の人口推移と予測)
上図で、下の方から濃い緑が米国の15才以下の人口、真ん中の薄い緑は15才から64才までの生産労働人口、上の茶色は65才以上の人口です。
アメリカは世界の人口と同じように、2020年以降も順調に人口が増えていくことが予想されています。人口が増えるということは、マクロ的には需要、消費が伸び、GDPが伸びます。そして米国市場でビジネスしている企業の売上、利益が伸びていく事になります。結果として株価も上がる事になります。また、米国の国際企業は米国国内の人口増加のみならず、世界の人口増加の恩恵も受けることが出来ます。
今後の人口の推移からみても、米国企業は、国内市場をみても、国外市場をみてもまだまだ成長できるわけです。マクロ的、そして構造的に米国企業は有利な立場にいますね。
そして、経済にはあまり関係なさそうで重要なのは軍事力です。米国はまだまだ世界最強の軍事国家です。米国企業が世界展開していく上で、間接的に無形のプレッシャーとして、相手国に効いてくるのが米国の軍事力です。経済と軍事力は一見無関係にみえますが、意外と見逃せないところです。
まとめ
米国株は過去200年に渡って、いくつもの経済危機を乗り越え右肩上がりに成長を続けてきました。株式市場が成立して以来、過去100年以上どの時点でインデックス米国株投資をしても、売らずに保有をつづけた人は、全員勝っている事になります。
今後もこの米国の人口は増え続け、世界中の優秀な人材を集め高いイノベーションを巻き起こし続けるでしょう。また、米国の軍事的な優位性は今後数十年は変わらず、米国ビジネスの後ろ盾であり続けます。
人口減、少子高齢化で国力が衰えつつある日本の株よりも、今後も成長が期待できる米国の株に投資をしておく方がよい投資結果が得られると思います。
特に、米国個別株であれば、日本でも認知の高いグーグル、アマゾン、P&G、アップルなど米国のブランド企業への投資が魅力的です。ただ、いくら良い企業でも株価が割高水準で買うのは得策ではありません。一時的な経済ショックとかで割安な時を狙いましょう。
また、個別株を分析する時間のない人は、米国株のインデックス(ダウ・ジョーンズ、S&P500、ナスダック)に連動する投信やETFなどを買うと良いでしょう。