竹本容器は2014年末に上場以来株価が好調です。この理由を探っていきたいと思います。
竹本容器は、化粧品や食品などを入れるボトルを製造する会社です。化粧品製造会社などが、自社製品を入れるボトルを竹本容器に発注して、それを受けて竹本容器がボトルを製造してその化粧品メーカーに納品するというのが一連の流れになります。ここでボトルというのはプラスチック製で、いわゆる金型というのがボトル製造に必要になってきます。
プラスチック製のボトルを作るのに、金型にプラスチックの原液を流し込んで、ボトルを製造するのが一般的です。竹本容器の大きな特徴としてはいわゆる「スタンダードボトル」のビジネスモデルです。
通常ボトル製造というと、カスタマーボトルというのが一般的です。これは何かと言うと、顧客企業がオーダーメードで金型を発注して、その金型を使ってボトルを作るというものです。この方式は大手の顧客相手の時は一般的ですが、金型を作る費用が大きいので小ロットのボトル生産にはコスト高で向いていません。
そこで、竹本容器では典型的な金型(スタンダードボトル)をたくさん用意して、その中から顧客企業にあった金型を選んでボトルを製造するというビジネスをしています。これだと、金型を作る費用を顧客が負担しなくていいので、大きなコスト減になります。つまり、小ロットのボトルを作りたい顧客には大きなメリットな訳です。
竹本容器は業界3位ですが、上位2社は主に大手企業相手にカスタマーボトルでビジネスをしています。つまりオーダーメードの金型で大ロットの顧客を相手にしています。一方、竹本容器は、スタンダードボトルで、小ロットの注文に対応するビジネスをしており、このスタンダードボトル市場の中で首位になっています。つまりニッチで一番の企業です。ここが竹本容器の強みです。
また、竹本容器が同族による会社経営をしていることも見逃せません。実際にこの会社の最大の株主は社長である竹本笑子さんです。一般的に会社経営はサラリーマン経営者よりも、大株主である同族経営の方が力強いと考えられます。理由は、株主ではないサラリーマン経営者は、どうしても短期的な利益を求める経営になりがちであるということが挙げられます。
サラリーマン経営者にとっては、自分の任期の時だけ上手く会社が回ればいいという自己本心的な経営に陥ることをよくあることです。例えば、東芝やシャープなどを見ても明らかでしょう。また、大株主である孫さん率いるソフトバンクとドコモを比べても、その企業としての力強さは大きく違います。竹本容器は、大株主である竹本一族による経営で、この辺が会社としての力強さを生み出していると思われます。
さて、直近の竹本容器の業績ですが、ここ数年売り上げ、利益ともの順調に伸びています。力強い成長をしています。
竹本容器は海外にも進出しており、国内の売り上げが100億円、海外の売り上げが25億円程度で、海外売り上げ比率が20%程度あります。主な進出先は中国で売り上げの大部分が中国です。今後はインドにもビジネスを展開しつつあります。
竹本容器の最も多い販売区分は化粧品、美容品です。これから中国やインドなどの新興国では、ますます化粧品、美容品の需要が大きくなると思いますので、竹本容器のさらなる成長が期待できます。
また、竹本容器の収益力も力強いものがあります。ROEが15%で、売上高利益率が10%もあります。ニッチ分野でコスト競争に晒されていないようです。
一方、竹本容器の経営の安定性について考えて見ましょう。竹本容器は、スタンダードボトル生産で小ロットの注文に対応しているために、顧客の数がとても多いです。特定の顧客に売り上げを頼っていないので、この部分ではリスクが低いと思います。
また、化粧品、美容品は景気循環に左右されにくい業種ですので、竹本容器もある程度景気循環に対してディフェンシブな傾向があるでしょう。
さて、竹本容器の株価の割安、割高具合を判定してみましょう。竹本容器の一株あたりの理論的な株価は以下の計算式で計算できます。
理論株価 = (資産価値 + 利益価値)/ 発行済株式数
竹本容器の場合は、負債額が流動資産額を上回っていますので、とりあえず資産価値はゼロとみなします。あとは利益価値(純利益*15倍)から理論株価を求めると、2070円です。現在(2017/8/9)の株価が1768円ですので、若干割安でしょうか。
竹本容器に投資する上でリスクになるのが、成長の源泉となるはずの海外進出が上手く行かない場合です。キャッシュフローを見ると、投資キャッシュフロが大きくマイナスになっており大きく投資をしていることがわかります。おそらく海外進出への投資分も大きいと思われます。
竹本容器の今後は、海外ビジネスの成長にかかっていると思われますので注視していきたいところです。