米国株のナイキ(NIKE, NKE)のこれまでの業績、株価、市場環境を調査して、今後のナイキの業績、株価を予想(予測)をしたいと思います。
この記事の内容をざっくりまとめると次の2点にまとめられます。
(1)ナイキ(NIKE)は世界一のスポーツ用品のブランドメーカーで、有名スポーツ選手との提携で際立った商品力と競争力がある良い会社です。
(2)ナイキ(NIKE)は30年間に渡って売上高、利益共に右肩上がりに成長してきた優良企業ですが、現在のところ株価は割高です。
ナイキ(NIKE)の概要
ナイキ(NIKE)は、スポーツ用品の世界的リーディングカンパニーです。特に、機能性の高いスポーツシューズはナイキの代表的な商品です。
ナイキは著名なスポーツ選手などと提携したブランド戦略に長けており、スポーツ用品ブランドとして世界的に傑出した存在となっています。
有名な例としては、1980年代のバスケ界のスーパーヒーローのマイケル・ジョーダンとコラボしたバスケシューズの「エア・ジョーダン」が挙げられます。
最近だと、マラソン用ランニングシューズの「ナイキ ズーム ヴェイパーフライ4%」が有名です。なんと、2017年の1年間の6つのメジャーなマラソン世界大会(東京、ボストン、ロンドン、ベルリン、シカゴ、ニューヨーク)のトップ3の男女合計36人のうち、19人がこのシューズを履いてレースに出ていました。
また、2017年の福岡国際マラソンでは、このナイキ ズーム ヴェイパーフライ4%を使用した選手が上位1位から4位まで独占しています。
ナイキ ズーム ヴェイパーフライ4%は、マラソンシューズとして世界的に注目されており、発売後も品薄状態が続いています。
このように、ナイキ(NIKE)はトッププロ選手との提携による商品開発、ブランド力に優れており、世界首位のスポーツ用品メーカです。
スポーツシューズのメーカー別の世界シェア
それでは実際にナイキ(NIKE)のマーケットシャアを見てみましょう。少し古いデータ(2013年)ですが、各運動靴メーカーの世界シェアの割合を洗わせたものが次の図です。(https://www.slideshare.net/ppnd/business-plan-for-adidasから引用)
上図をみてもわかる通り、世界シェアのダントツ一位はナイキ(NIKE)です。その次の2位は、2005年にアディダス(Adidas)はリーボック(Reebok)を買収したので、この2つのブランド(アディダスとリーボック)を合わせて、世界シェア2位になります。3位にプーマ、4位にニューバランス、5位にアシックスと続きます。日本でも有名なブランドが並んでいますね。
このようにナイキ(NIKE)は、スポーツシューズでは世界で圧倒的なシェアを誇っています。マイケル・ジョーダンと連携した「エア・ジョーダン」や、マラソンシューズのナイキ ズーム ヴェイパーフライ4%など、世界のトップアスリートと提携した商品力で人気があります。
ナイキ(NIKE)の売上高、EBITDA、純利益の推移
会社にとって、最も重要な損益計算書の主要について見てみましょう。下図がナイキ(NIKE)の売上高、EBITDA、純利益のここ30年の推移です。
この図を見て気付くことは、ナイキ(NIKE)の売上高がここ30年の間、力強く伸びていることです。
また、上の図で売上高を除いて、EBITDAと純利益だけを表示させたものが次の図です。
ナイキ(NIKE)のEBITDAと純利益もこの30年間、順調に伸びています。30年もの長い間、これだけ綺麗に右肩上がりの成長を続けている会社も珍しいですね。
売上高、利益共にナイキが長期に渡って安定的に成長を続けていることがわかります。
ナイキのキャッシュフローの推移
次に会社の現金の流れであるキャッシュフローの推移を見てみましょう。次は、ナイキ(NIKE)の営業キャッシュフロー(青色)、投資キャッシュフロー(投資)、財務キャッシュフロー(黄色)のこの30年間の推移です。
ナイキ(NIKE)のキャッシュフローは理想的な形をしています。まず、営業キャッシュフロー(青色)が力強く右肩上がりに伸びているのが印象的です。これは、ナイキ(NIKE)が本業でキャッシュ(現金)を稼ぐ力が強力であることを示しています。
次に、投資キャッシュフロー(赤色)がマイナスで、その絶対額が営業キャッシュフロー以下であることも、非常に良い形です。これは、営業(本業)で稼いだ金額の範囲で、投資をしていることを示しており、とても健全な企業活動をしていることがわかります。
ナイキ(NIKE)のキャッシュフローもなんの問題もありませんね。
ナイキ(NIKE)の貸借対照表の主要項目の推移
貸借対照表には、これまでの企業の経営の結果や、経営基盤が資金的に盤石か脆弱かを読み取ることができるので、確認しておくことが必要です。
次の図がナイキ(NIKE)の貸借対照表の主要項目の推移です。
青色がナイキ(NIKE)の総資産、赤色が純資産、黄色が負債、青色が自己資本の推移を表します。この30年間、順調に資産規模を拡大させてきたことがわかります。
特筆すべきは、流動資産(赤)が負債(黄色)を大きく上回っており、ナイキ(NIKE)は資金的に十分余裕のある状態で経営していることです。
ナイキ(NIKE)の世界の地域別の売上高
さて、ナイキ(NIKE)の世界進出の様子を見るために、世界の地域別の売上高をみてみましょう。次の表がナイキ(NIKE)の世界の地域別の売上高を示しています。(ナイキの決算書から引用)
売上高の規模ではやはり北米と西ヨーロッパが最大ですが、売上高の伸び率では中国(12%)と日本(17%)が大きいですね。また新興国の伸び率も2017年で8%と悪くありません。ナイキ(NIKE)は、まだまだ中国、日本、新興国などで成長の余地があり、今後も成長の伸びしろが大きそうです。
日本は人口減に転じましたが、世界の人口は増え続けています。中国や新興国を中心にスポーツ用品の市場はまだまだ成長市場です。そこでビジネスをしているブランド力首位のナイキはまだまだ成長企業として君臨し続けそうです。
ナイキ(NIKE)の売上高(純利益)、総資産(自己資本)、時価総額の比較
会社の売上高、総資産、時価総額はだいたい同じオーダー(大きさ)になることが多いです。これらの3つを比較することによって、会社を立体的に見ることができます。また、売上高(純利益)、総資産(自己資本)、時価総額から、投資に重要な各種の指標を計算することができます。
最新の通期決算(2017年)のナイキの売上高(純利益)、総資産(自己資本)、時価総額は以下の通りです。
売上高:34ビリオンドル(純利益:4.2ビリオンドル)
総資産:23ビリオンドル(自己資本:12ビリオンドル)
時価総額:107ビリオンドル
(1ビリオンドルはおそよ1000億円です。)
これらの数字から、投資に重要な指標を次のように計算することができます。
売上高純利益率:12%
自己資本比率:52%
ROA:18%
ROE:35%
PBR:4.6倍
PER:25倍
売上高は10%を超えており、小売にしては利益率が高いですね。ROA、ROEも十分高く収益力が強いことがわかります。ただ、PERとPBRを見ると、ナイキ(NIKE)の株価は若干割高でしょうか。。。
ナイキ(NIKE)の株価と理論株価の推移
ナイキ(NIKE)の株価と理論株価の推移を見てみましょう(下図)。理論株価は一株あたりの純利益の15倍で計算されています。
緑色がナイキ(NIKE)の株価の推移で、青色が理論株価の推移を表します。ナイキの株価は、ほとんどの期間で理論株価を上回っています。(上図の青色の理論株価で、右端で急下落して異常値をとっていますが、これはデータ上の誤りですので、無視してください。)
ナイキ(NIKE)は、世界一のブランド力と、中国や新興国でまだまだ成長余地があり、これからも成長していける良い会社だと思います。
ただ、ナイキ(NIKE)の株価は理論株価を大きく上回っており(PREで25倍程度)、割高状態にあると言えます。(ナイキの将来の成長(2倍弱程度の成長)をすでに株価に織り込んでいるとも考えらます。)
投資戦略としては、一時的なショックなどで、株価が理論株価程度(PERで15倍から20倍位)まで落ち込むことがあれば、ナイキ(NIKE)の株に投資をして良さそうです。ということで、今のところナイキ株は様子見ですね。