沖縄セルラー電話(9436)の業績と株価の今後の予想(見通し)

初めて株を買うとき、誰もが緊張するものです。「買ってから株価が下がったらどうしよう」「この株の会社、本当に大丈夫だろうか?」思いを巡らせるときりがありません。また今後人口が減少する日本で有望な企業なんて無いのではと思われている方もいらっしゃいます。

しかし日本株でも安全で安心できる企業を、割安な株価で投資できる企業があることをご存知でしょうか。それは【9436】沖縄セルラー電話です。

今回の記事では沖縄セルラー電話について、企業としての安全性や将来性を解説します。そして今の株価でも十分割安であることを解説します。ぜひ最後までご覧ください。

 

沖縄セルラー電話は沖縄県で展開する「KDDI」

はじめに沖縄セルラー電話の概要を解説します。沖縄セルラー電話は1991年、「沖縄懇話会」と呼ばれる会にて、「携帯電話会社の設立」が提案されたことを機に創設されました。沖縄懇話会とは沖縄経済の発展のために関東・関西、そして沖縄の財界人によって1990年に結成されました。

その当時、沖縄懇話会には京セラの創業者である稲森和夫氏いました。稲森氏は第二電電(現:KDDI)を設立し全国展開を進めていたこともあり、沖縄にも携帯電話会社を設立することを提案したのです。そして第二電電と沖縄の有力企業が共同出資することで、沖縄セルラー電話が誕生したのです。

このため現在でも沖縄セルラー電話はKDDIの子会社として沖縄県でauブランドを展開しつつ、企業としての独立性が保たれているのです。

 

沖縄シェアトップの通信インフラ企業として長期的な需要は確実

携帯電話キャリア市場において、全国的にはNTTドコモがシェアトップです。ところが沖縄県においては、沖縄セルラー電話(au)が50%程度のシェアを有しています。なぜ沖縄県では沖縄セルラー電話が強いのでしょうか。これには以下の理由が挙げられます。

 沖縄県は長くアメリカ領であったため、NTT(旧電電公社)が先にインフラ整備することができなかった。
 沖縄財界がバックアップしているため資金力がある。
 基地局の配置がよく、離島でも受信範囲が広い。
 沖縄県の顧客だけに合わせたサービス展開が容易である。

また沖縄セルラー電話は携帯電話のみならず、インターネットやテレビなどの固定回線サービスや格安SIM事業も展開しています。そのため沖縄県民の生活に欠かせない企業として、今後の需要も見込まれるのです。

 

沖縄県は他都府県とは異なる人口推移・人口構成

ところで日本は少子高齢化による人口減少が始まっています。そのため国内市場では限られたパイを奪い合うような動きが見られます。ところが沖縄県だけは違った様相なのです。

総務省が発表した2018年のデータでは人口が増加した都道府県は、沖縄県や東京都など7都県ありました。ところが人口が自然増加(出生者数-死亡者数>0)したのは沖縄県だけだったのです。

さらに沖縄県は他都府県と比べて、合計特殊出生率や若年層の人口比率が高いため長期的にも人口の減少はゆるやかだと推測されています。したがって沖縄セルラー電話の市場は長期的にも十分存在するのです。

 

沖縄以外の地域に進出できない点が弱点

一方で沖縄セルラー電話にも弱点があります。それは沖縄県以外の地域への進出が難しいことです。KDDIの子会社なので、他の都府県への携帯電話キャリアとしての進出はありえません。同様に単独での海外進出も困難です。

したがって沖縄セルラー電話は沖縄県内の強い基盤で、どのように利益を上げ続けられるかが業績のポイントになります。

 

携帯電話キャリアらしい潤沢なキャッシュフロー

※以下の財務諸表データは沖縄セルラー電話の有価証券報告書より引用しました。

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次に沖縄セルラー電話の財務諸表を分析してみましょう。株式投資で最大のリスクは「投資先企業の経営破綻」です。投資先の倒産リスクを判定するにはキャッシュフローの状況を分析することをおすすめします。

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沖縄セルラー電話の純利益と営業活動によるキャッシュフローの比較推移です。沖縄セルラー電話は過去10年間、常に純利益を上回るキャッシュフローを得ています。これは沖縄セルラー電話が安定したキャッシュを得ながらビジネスを継続できている証拠です。

何故かというと、沖縄セルラー電話のビジネスは顧客から携帯電話やインターネット回線の使用料が定期的に入金される仕組みになっています。そのため安定したキャッシュフローを構築できるのです。

 

借金をする必要が無い堅牢な財務

投資先の倒産リスクを測る指標として自己資本比率があります。自己資本比率が高い水準であれば貸借対照表での借金が少ないため、急激な資金繰りの悪化が生じても倒産する可能性が低くなるのです。

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沖縄セルラー電話の自己資本比率は常に高い水準を保っています。さらにこの10年間で自己資本比率は高まっています。先ほどのキャッシュフローと合わせて、沖縄セルラー電話の倒産リスクは低いと評価できます。

 

増収増益も順調に進んでいる

株式投資では投資先が成長することで多大な恩恵を受けることができます。企業の成長性を判断する指標として売上や利益の推移を分析することが重要です。

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沖縄セルラー電話の営業収益(売上高)と利益は上昇傾向にあります。沖縄という限られた地域のビジネスですが、新規事業の拡大に取り組んできた成果が出ています。将来的にも5G回線の導入など需要は高まる一方です。

 

資本効率も優等生

株主が投資先から恩恵を受けるためには、企業には資本を効率的に運用してもらうことが必要です。資本の効率性はROEという指標で測ることができます。

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沖縄セルラー電話のROEは10%以上を保ち続けています。一般的に企業が大きくなると資本の効率性が低下するものです。しかし沖縄セルラー電話は成長しながらも適切な資本配分が実現していることが分かります。

このように沖縄セルラー電話は安定した財務を維持しながら、高い収益性と成長を実現している企業なのです。

 

配当金も連続増配中

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※沖縄セルラー電話公式ホームページより引用
https://www.au.com/okinawa_cellular/ir/dividend/

投資家にとって配当金は大切な収入源です。沖縄セルラー電話は業績に合わせて配当金を増やし続けています。2020年3月期末予想では19期連続増配を見込んでいるのです。19年連続なので、いわゆる「リーマン・ショック」の不況期にも増配していたことは、特筆すべき点です。

 

KDDIと同等の株主優待

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※沖縄セルラー電話公式ホームページより引用
https://www.au.com/okinawa_cellular/ir/status/ir_stock_yutai/

日本では株主優待を実施している上場企業が多くあります。沖縄セルラー電話は親会社であるKDDIと同等の株主優待を実施しています。内容は47都道府県のカタログギフトです。100株保有の株主であれば3000円相当の品物から選ぶことができます。

 

株価はROEのわりに低いPBR

最後に沖縄セルラー電話の株価と割安度について解説します。2020年4月22日の終値は3910円でした。これを最新の決算短信にある純資産を用いてPBR(株価純資産倍率)を産出すると1.22倍になります。

【参照】沖縄セルラー電話 2020年3月期第三四半期決算短信

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沖縄セルラー電話は前述の通り10%以上のROEを維持してきたビジネスです。仮に今後もROE10%を維持できれば、1.22倍のPBRに対してPERを算出すると12倍程度になります。PERは15倍以下であれば割安と判断されます。したがって沖縄セルラー電話の株価は割安だといえるのです。

 

まとめ:沖縄セルラー電話は安心して長期投資できる銘柄としておすすめ

今回は沖縄セルラー電話が優良な投資先であることと、株価が割安であることを解説しましたがいかがでしたでしょうか。今回の記事のポイントは以下の通りになります。

 沖縄セルラー電話は沖縄県に携帯電話を普及させるために設立された
 沖縄セルラー電話は沖縄県の携帯キャリアトップシェア
 沖縄県は日本では貴重な「人口増加県」で出生率も高い
 沖縄県外への進出は難しいが県内で着実な成長が可能
 倒産リスクの低い財務状態
 長期にわたる増収増益と高い資本効率
 増配実績と株主優待で高い株主還元
 株価は高収益のわりに割安なPBR

日本は人口が減少して経済は衰退するといわれています。しかし企業ごとに見れば優良な企業がたくさんあることが分かります。皆さんもこれを機会に沖縄セルラー電話への投資を検討されてみてはいかがでしょうか。

※この記事を基にした株式投資は自己責任にてお願いします。

*本稿は協力執筆者による記事です。