日本株銘柄のヤフー(Yahoo)はこれからも成長していくか?(今後の業績と株価の予想・見通し)

ヤフー(Yahoo Japan Corporation:4689)のこれまでの業績と株価、市場環境を調査し、今後の業績と株価の予想・見通しをしたいと思います。

ヤフーの概要

ヤフー(Yahoo、銘柄コード:4689)は、1996年に設立され、すぐ翌年の1997年に上場されました。ヤフーは日本のインターネットサービスの先駆的な存在です。メディア事業(インターネット広告関連事業)と、コマース事業(eコマース事業)が大きな柱です。

メディア事業:検索連動型広告やディスプレイ広告などのインターネット広告事業です。ざっくりいうと、インターネットを見ている時に出てくる広告で稼ぐ事業です。

コマース事業:eコマース事業。ヤフオクやヤフーショッピング、アスクルなどのコマース事業。ヤフープレミアムなどの会員サービス。クレジットカードなどの決済サービス

(ここで、eコマース(EC)とはインターネットを介した電子商取引のことで、いわゆるインターネット通販などのことです。)

最近のヤフーは、広告関連事業では検索連動型広告の売上高が回復したり、YDNインフォード型の広告などが導入されました。また、eコマース関連事業では、ショッピング事業の取扱高が大きく成長をしており、ショッピング広告売上高が増加し続けています。またヤフオク事業でもフリマモードを開始して、メルカリなどに対抗しています。

ヤフーの筆頭株主はソフトバンクです。ソフトバンクは36%ものヤフーの株を保有しており傘下におさめています。

日本の広告費のシェアの推移

さて、インターネット広告やeコマース(EC)を主戦場とするヤフーを取り囲む市場環境について調べましょう。

下図は、日本に置ける各メディア(テレビ、ラジオ、雑誌、新聞、インターネットなど)の広告費の推移です。(下図はhttps://jp.ub-speeda.com/analysis/archive/49/より引用)

広告費種別推移

広告費の全体は1990年あたりのバブルの崩壊以降それほど大きく伸びていません。しかし、その各メディアの占める割合は大きく変化しています。

特に、雑誌、新聞の割合は徐々に小さくなっていますね。。。一方、インターネット広告の割合は2000年以降、どんどん大きくなっていますね。今後もインターネット広告のシェアが大きくなっていく傾向は変わらないでしょう。

企業の広告が、新聞、雑誌からインターネット広告に比重を移してきていることは、ヤフーにとっては追い風ですね。

日本のeコマース(EC)市場規模の推移

次にヤフーのもう一つの主戦場であるEC市場(eコマース市場)について見てみましょう。次の図は日本におけるB to CにおけるEC市場規模とEC化率の推移です。(https://www.ebisumart.com/blog/ec-rate/より引用)

BtoCのEC市場規模

日本のB to CにおけるEC市場の規模は年々増加しています。海外のEC化率をみて見ると、アメリカが7%、中国は15%と高いです。それに比べて日本のEC化率はまだ5.4%ですので、BtoCのEC市場まだまだ伸びる余地は十分にあります。今後も日本のEC市場は成長していくことと思われます。これはB to CにおけるEC市場でビジネスをしているヤフーにとって追い風ですね。

今後もインターネット広告やeコマースという成長市場を中心に商売しているヤフーは成長を続けそうです。

ヤフーの損益計算書の推移

ヤフーの売上高、EBITDA、純利益の推移を見てみましょう(下図)。

ヤフー売上高2018

青色が売上高、赤色がEBITDA、黄色が純利益の推移です。売上高、EBITDA、純利益ともに順調に伸び続けていますね。2008年あたりのリーマンショックでも全く売上高、利益ともに落ちていません。また特に2016、2017年にヤフーの売上が大きく伸びていますが、これはアスクル(ASKUL)の連結子会社化による影響が大きいです。アスクルはオフィス用品の配達などの通販サービスをしている会社です。

上の図で、ヤフーのEBITDAと純利益だけを取り出して表示させたのが次の図です。

ヤフー利益2018

赤色がヤフーのEBITDAで、黄色が純利益の推移です。一つ前の図で売上高と一緒に表示すると、EBITDAと純利益の伸びはそれほど大きいとは感じませんが、売上高を抜いた上図を見るとヤフーのEBITDAと純利益の伸びも順調で素晴らしいものがあります。

ヤフーのキャッシュフローの推移

これまでヤフーの純利益は順調に伸びていることが確認できました。しかし、純利益は会計操作が可能なので念のためにキャッシュフローも確認しておくことが投資する際に重要です。

さて、それではヤフーのキャッシュフローの推移をみてみましょう。

ヤフーキャッシュフロー2018

青色が営業キャッシュフロー、赤色が投資キャッシュフロー、黄色が財務キャッシュフローです。営業キャッシュフローを見てみると、大きく伸びていると言うわけではないですが大きく見てみると着実に上向きに推移しています。

一方、投資キャッシュフローを見てみると、凸凹はありますが、ならして見てみると投資は営業キャッシュフローの範囲内に収まっており健全な経営をしていることがわかります。

ちなみに、2018年に投資キャッシュフローが大きくプラスになっていますが、これはジャパンネット銀行の連結子会社化による収入によるものです。

ヤフーのバランスシートの推移

企業のバランスシートは、年々の企業の活動の結果が蓄積されており、これを見ることによってその企業の過去の企業活動の成果がわかります。

それでは、ヤフーのバランスシートの年々の推移を見てみましょう(下図)。

ヤフーバランスシート2018

青色がヤフーの総資産で、赤色は流動資産、黄色が自己資本、水色は負債、緑色はのれんの推移です。総資産、自己資本、流動資産は同じよう比率で大きくなっており、ヤフーは順調にスケールされていることがわかります。ただ、負債(青色)が膨らみが他の項目より大きくなってきていることが気になりますが、これは心配ないでしょう。ソフトバンクは負債を大きくしたレバレッジ経営を得意としており、傘下のヤフーもこのような経営手法をとっていることが一因です。

ヤフーのセグメント別の売上高、純利益

セグメント情報を見ることは、その企業の利益構造を細かく見れるので重要です。

ヤフーの2018年3月期(通期)の決算短信からセグメント別の売上高と営業利益を見てみましょう(下図)。

ヤフーセグメント別利益2018

メディア事業は、検索連動型やディスプレイ型などのインターネット広告事業です。また、コマース事業は、ヤフーショッピング、ヤフオクやアスクルなどのeコマース等の事業です。

売上高はインターネット広告事業より、eコマース事業の方がほぼ2倍ほど大きいですが、営業利益はその逆に半分以下になっています。インターネット広告事業の方が圧倒的に儲かりやすいことがわかります。実際に各セグメントの営業利益率を計算してみましょう。

メディア事業の営業利益率(インターネット広告事業):58%(前年度58%)

コマース事業の営業利益率(eコマース事業):12%(前年度12%)

インターネット広告の営業利益率は50%以上と驚異的に高いですね。同じインターネットビジネスでも、インターネット広告と、インターネット物販では利益率が全然違うことを覚えておいた方が良いでしょう。

ヤフーの時価総額、総資産(自己資本)、売上高(純利益)の比較

ヤフーの時価総額、総資産(自己資本)、売上高(純利益)の比較して、投資に必要な主な指標を計算してみましょう。

時価総額:2.2兆円

総資産:2.4兆円(自己資本:9900億円)

売上高:8900億円(純利益:1300億円(来期純利益予想:900億円))

これらの数字から主要な指標を計算すると以下のようになります。

売上高純利益率:14%

自己資本比率:41%

ROA:5.4%

ROE:13%

PER:16.9倍(来期予想24)

PBR:2.2倍

ヤフーの指標を見てみると、売上高純利益率も10%を超えており、ROAやROEも十分高く好印象です。PERも他の成長企業に比べてそれほど大きな値ではないですね。ただし、来期は純利益が900億円と減益が予想(会社予想)されており、この値を使うとPERは24倍となり、株価は多少割高に感じられます。

ヤフーの株価の推移

これまでヤフーの企業業績や市場環境をみてきましたが、これらを踏まえて株価の推移をみてみましょう。

下図は、ヤフーの株価(緑)と理論株価(青)の推移です。理論株価は、純利益の15倍で計算しています。

ヤフー株価2018

この図を見ると、2006年にヤフーの株価は理論株価から乖離して高騰しましたが、その後はほぼ理論株価と同じか、それよりも少し上を推移しています。

まだまだ成長段階にあると思われるヤフーですが、理論株価から見るとヤフーの株価はそれほど高いわけではありません。

ヤフーはなかなか魅力的な会社です。ヤフーへの投資戦略としては、何かの一時的なショックで、PERが15倍程度、株価では350円位まで下がることがあれば買いで、それまでは様子見が良さそうです。