アリババ(Alibaba)はどこまで成長するのか?今後の業績と株価の予想(投資判断)


アリババロゴ

アメリカのニューヨーク証券取引所(NYSE)に上場しているアリババ・グループ・ホールディング(Alibaba Group Holding Ltd:BABA)のこれまでの企業業績と株価の推移、及びアリババを取り巻く市場環境を分析します。そして、今後の業績と株価の予想・見通しをたて、これによりアリババへの投資判断をしてみたいと思います。

 

アリババは中国を代表するE-Commerce(EC)の会社で、アマゾンなとともに世界最大級の規模のEC企業です。(E-Commerce(EC)とは、インターネット上で売買や決済などをする電子商取引のことです。)アリババの創業はわずか1999年と若い企業ですが、中国でのインターネット興隆の波に乗り、急成長している会社です。アリババは企業間(B to B)電子商取引や、日本のヤフオク(C to C)に当たるのタオバオ(Taobao)、日本の楽天(B to C)に当たる天猫(Tmall)などを経営しています。2014年にはニューヨーク証券取引所に上場を果たしました。

 

ソフトバンクの孫社長は14年前のアリババ創業直後に20億円を出資したことは有名です。ソフトバンクは、アリババの3割強の株式をもつ筆頭株主となっており、2014年のアリババの上場時に8兆円もの含み益を抱えてたことになります。現在は、一部のアリババ株を売りましたが、ソフトバンクが依然として29%もの株を抱えた筆頭株主です。また、アリババの創始者のジャック・マーは、ソフトバンクの取締役も務めています。

 

アリババとは関係がないですが、ソフトバンクの孫社長の、投資眼力は凄まじいものがありますね。後の世から見ると世界最強のパッシブ投資家のバフェットと並ぶ、世界最強のグロース投資家として孫正義は後世に名を残しそうです。

 

中国には、アリババとバイドゥ(Baidu)、そしてテンセント(Tencent)の3つの主要なIT企業があります。バイドゥは中国の検索エンジン最大手、テンセントはソーシャルネットワーク、ゲームなどの最大手になります。中国は海外へのネットの接続を規制していて、アリババのみならず、バイドゥやテンセントなどを見てもわかる通り、中国のIT業界は独自の発展を遂げています。特に、アリババはアマゾンなどの海外大手EC企業を抑えて、中国市場ではEC企業として一人勝ちの状態です。

 

それではマクロ経済、市場環境、そしてアリババ自身の企業分析の順に、マクロ的な視点からミクロ的な視点へと順をおってアリババの企業・業績分析をして今後の投資の判断をしてみましょう。

 

アリババの取り巻く市場環境(e-commerce)

まず、マクロの視点でアリババの主戦場である中国国内の人口動態をみていきましょう。次の図は、1950年から2100年までの主要4カ国(中国、インド、EU、米国)の人口の推移のグラフ(実績、予測)です。

世界地域別人口推移/
https://ktwop.com/2013/11/15/china-relaxes-highly-successful-one-child-policyより引用)

上図で、赤色が中国、黄色がインド、青色がEU、緑色が米国です。この中で2015年までは、インド、EU、米国を上回って、中国の人口が最大ですね。その中国の人口は14億人にものぼります。日本の10倍以上ですね。

 

しかし、2020年くらいを境に中国の人口はピークアウトして人口減の時代がやってきます。一方、中国に変わって、人口をさらにガンガン伸ばしていくのがインドです。この図を見るとインドへの投資は長期的にはかなり有望そうですね。中国がこれから人口減時代を迎えるのは、やはり一人っ子政策の影響が大きいと思われます。

 

中国の人口が減っていくのは、長期的に見ると中国企業に対してはアリババを含めて向かい風でしょう。

 

次の図は、世界の消費者向けのEC市場での売上高の推移(実績、予想)です。

世界ec推移

https://www.statista.com/statistics/379046/worldwide-retail-e-commerce-sales/より引用)

世界的にも、やはりEC市場はガンガン伸びていて、今後も順調に伸びていくと予想されています。消費者向けのEC市場は2017年時点で世界で230兆円の市場規模です。世界のGDP8000兆円程度なので、その3%程度が消費者向けEC市場が占めている計算になります。

 

次に中国をはじめとした各国の小売に占めるEC比率の推移をみてみましょう。(下図)

EC比率国別推移

赤色が中国で、薄緑が日本です。どの国も小売総額に対するEC比率は年々上昇しています。ただ、その中でも中国(赤色)のEC比率の上昇が2008年頃から急激で際立っています。現在、日本のEC率が7%程度なのに対して、中国のEC比率は15%と2倍近くです。まだまだ、この上昇はしばらく続きそうですね。

 

それでは、世界における主なEC企業のシェアをみてみましょう(下図)。

世界ec会社別シャア
https://www.statista.com/statistics/664814/global-e-commerce-market-share/から引用)

上図の一番目(Taobao)と二番目(Tmall)はアリババのブランドですので、両方を合計するとアリババはアマゾンを抜いて世界最大シェアを誇ります。アリババは日本では馴染みがあまりないですが、急成長している凄い企業ですね。

 

次に、中国におけるEC市場のモバイル比率をみてみましょう。(下図)

中国ECモバイル比率

青色がアリババのデスクトップパソコンからの流通総額です。緑色がモバイル経由での流通総額です。年々、モバイル経由が大きくなっており、今後ともこの傾向は強くなっていくでしょう。ECサイトを運営する企業はモバイルシフトが生き残りと今後の成長に重要になっていきますね。

 

アリババの損益計算書の分析

さて、これまでアリババをはじめとするEC企業を取り巻く市場環境を調べてきましたが、これからアリババの財務状況を調べてみましょう。

 

下図は、アリババの売上、EBITDA、純利益の推移の図です。alibaba売上

青色がアリババの売上高の推移で、赤色がEBITDAで、黄色が純利益の推移です。ここまで売上高、EBITDA、純利益は凄い勢いで伸びています。ただ直近の2017年は純利益が減収となっています。これは、税金の支払いと、クラウドコンピューティングへの投資が原因のようです。ただ同年(2017年)の営業利益は増益になっているので、純利益の減収は特に心配はいらないでしょう。

 

アリババのキャッシュフロー分析

次にアリババのキャッシュフローの推移を見てみましょう。

alibabaキャッシュフロー青色がアリババの営業キャッシュフロー、赤色が投資キャッシュロー、黄色が財務キャッシュフローの推移です。
営業キャッシュフローは順調にのびています。それと同時に投資キャッシュフローも同じように膨らんでおり、アリババはクラウドなどの新規事業に投資を増やしています。

 

アリババのバランスシート分析

次の図がアリババの貸借対照表の主要項目の推移です。

アリババ資産 青色がアリババの総資産で、赤色が自己資本、黄色が流動資産、青色が負債、緑色がのれんの推移です。事業の拡大に伴ってアリババの各資産項目も規模が拡大しています。

 

アリババの国別の売上高推移

次にアリババの国別の売上高の推移を見てみましょう。

アリババ地域別セグメント

青色が中国国内の売上高の推移で、黒色が海外(中国国外)の売上高の推移です。海外売上高も着実に伸びているのですが、中国国内の売上高の伸びが凄すぎて、海外の売上高の伸びが霞んでみえます(笑)

 

アリババのセグメント分析

次の表がアリババのセグメント別の売上高、営業利益、EBITDAなどを示した表です。(アリババの2017年の決算書からの引用です。)

アリババセグメント

左の列から、コアコマース(タオバオやTmallなどの主要EC事業)、クラウドコンピューティング、デジタルメディア事業などがあります。売上高を見ても、飛び抜けて大きいのがタオバオやTmallなどの主要EC事業で、残りのクラウドコンピューティングなど事業の売上高はかなり小さいですね。また、営業利益もコアコマースのEC事業以外は赤字となっていて、主要EC事業以外の事業はこれからといったところです。

 

アリババの主要なビジネス指標

アリババのサイトを利用して商品を購入した年間買い物客数の推移が以下の表です。アリババの決算書からの引用です。

アリババ年間利用者数 毎年、順調に伸びており2017年現在でアリババの利用人口は4億5千万人に上ります。中国の人口が14億人なので、まだまだ成長余地はありそうです。国民の半分が利用すると考えても、アリババの利用者はあと1.5倍位は増えそうです。

 

次の表がモバイル経由の月間アクティブユーザー数の推移です。

アリババモバイルアクティブユーザー数

モバイル経由のユーザー数も実際の買い物客数以上に伸びており、アリババにとってもモバイル対応の重要性が増しています。

 

次の表が購入者一人当たりのアリババの年間売上高と、モバイルのアクティブ利用者一人当たりの年間売上高の推移です。

アリババ客単価推移 アリババは年々の利用者数も伸びていますが一人当たりの売上高も伸びていて、客数、客単価の両方の上昇が総売上高の上昇要因です。

 

客数が1.5倍で客単価も1.5倍になると考えると、アリババの売上高、純利益はあと2倍強くらいは成長しそうです。

 

次の図がアリババのGMVと売上高の推移です。GMV(Gross Merchandise Value)は総流通総額額のことで、そのプラットフォームを使って取引された金額の総額を表します。アリババは利用者に直接商品を販売しているわけではなく、出店者からの手数料でビジネスしているので、GMVと売上高は区別されています。

アリババ取扱高

GMVを見ると、タオバオをTmallはだいたい同じ規模ですが、タオバオの方が少し大きいですね。アリババのトータルの流通総額GMVは60兆円です。中国のGDPが1000兆円なので、そのおよそ6%がアリババで流通しているわけですね。また、この金額は日本の国家予算と同じ規模です。これを見てもアリババがいかに巨大かがわかります。

 

アリババの時価総額、総資産(自己資本)、売上高(純利益)の比較

さて、アリババの時価総額、総資産(自己資本)、売上高(純利益)を比較して、主要な投資の指標を計算して見ましょう。

 

時価総額:約44兆円

総資産:7.3兆円(自己資本:4兆円)

売上高:2.2兆円(純利益:6300億円)

 

アリババは時価総額が44兆円と、もう一つの中国のIT企業であるテンセントとともに世界の時価総額ランキングのトップ10に入っていています。このアリババの最大株主がソフトバンクで29%もの株を保有しています。あらためてソフトバンクの孫社長の投資眼力のすごさを感じさせられます。。。

 

さて、ここから主要な投資の指標を計算します。

 

売上高純利益率:28%

自己資本比率:54%

ROA:8.5%

ROE:15%

PER:69倍

PBR:11倍

 

これを見て気づくのは、売上高純利益率の高さですね。アリババは直接商品を販売をしているわけではなく、ECのプラットフォームを提供しているだけなので、この高い利益率を得ることができるわけです。

 

また、PERは異常とも言えるほど高いですね。これからも成長が期待できるとはいえ、ここから投資をするのは躊躇してしまいますね。

 

アリババの理論株価と株価の推移

 

さて、これまでアリババの業績や市場環境をみてきましたが、次は株価の推移をみてみましょう(下図)。

アリババ理論株価2

緑がアリババの実際の株価で、青が理論株価です。(理論株価は一株あたりの純利益の15倍で計算しています。)

 

アリババは現在も急成長を続けていますが、今のところ中国国内だけで成功しており、遅かれ早かれ成長が飽和する段階がくると思われます。これまでの考察から、今後売上規模で2倍程度成長した頃に飽和点がやってくると予想されます。

 

なので、今後の成長を2倍程度織り込んだと考えてPER40倍として適正株価を計算すると100ドル程度です。(ちなみに、現在のアリババの一株あたりの純利益は2.54ドルです。)100ドルくらいが、アリババの適正株価と考えられるでしょう。

 

将来のアリババの成長を織り込んでいるとしても、現在の株価はかなりの割高ですね。一時的な要因でアリババの株価が100ドルくらいまで急落することがあれば、投資をしても良いかもしれません。ただ、今のところはアリババへの投資は様子見で良いのではないかと思います。

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