コロナショックの行方と株式投資 ~リーマンショックの時と比較して

株式投資に興味があり、これから始めようとする初心者やある程度株式投資に慣れた投資家などは、今回のコロナショックで株価が急落したので、さぞや驚いていることでしょう。この先がどのような結末になるかなんて、本当のことは誰にもわかりません。たとえ専門家と言われる人たちも、先の事は何もわかっていないのです。リーマンショックの時に、多くの経済専門家達も苦い思いをした事から明らかです。ここでは、リーマンショックの時と比較しながら、今回のコロナショック時における株価の結末がどのようになるかを探ろうとしたものです。

 

暴落の兆し

暴落でも特に大きい恐慌と言われる様な暴落の場合は、必ず兆候の様なものがあります。ただ、そうは言ってもこの兆候が分かるのは、恐慌が起こってから後からわかるというもので、結果論でしかありません。実際の株価急落が起こる前に、気がつくのはほんの少しの人で、多くの人にはわかりません。それでも過去の歴史を知っておくことは役に立つこともあります。

 

リーマンショックの時はその兆しは比較的早く、1年以上前からテレビの番組で小谷キャスターがビバリーヒルズで豪勢な家がたくさん売りに出ていて、「サブプライム問題は大丈夫なのか」と、多くのゲスト経済専門家に聞いているのを覚えています。専門家の多くの答えは、サブプライムローンの比率は低く、これがはじけても経済に与える影響は少ないと言うものばかりでした。

 

しかし、リーマンショックは起こりました。決定的になったのは、2007年8月のBNPパリバショックでした。これは、BNPパリバ傘下のミューチュアルファンドが顧客からの契約の解約を凍結し、そのために取り付け騒ぎが起こり、ECBがすぐに約15兆円の資金供給を行なった出来事のことです。このニュースは日本ではほとんど注目されませんでしたが、サブプライムローンの初めての破綻でした。そして翌年2008年3月にベアー・スターンズの破綻が起こりました。同年9月中旬にリーマン・ブラザーズが破綻してリーマンショックが始まりました。

 

これに対して、コロナショックの兆しはほとんどありませんでした。中国で、新種のインフルエンザが流行り始めたという事は、今年の1月にニュースで聞きました。コロナショックが始まったのは、たぶん2月20日前後ですから、兆しはほとんどなかったと言って良いと思います。

 

テレビで見たのですが、ニューヨークの投資家でコロナショックの前に株や債券などの資産を全て現金に換えたと言う人がいました。このような人は例外的で、ほとんどの人はこの波をまともに喰らったのではないでしょうか? 先の投資家は、自分は医者だからわかったのかもしれないと言っていました。

 

リーマンショックとコロナショックの違い

リーマンショックと今回のコロナショックの原因はかなり違います。リーマンショックの場合は、サブプライムローンという低所得者向けの住宅ローンがもっと質の良い住宅ローンと組み合わされて、良い格付けの債券として世界中に売られました。このサブプライムローンが焦げ付き、どの債券の中に含まれているかわからず、人々が疑心暗鬼になり、債券相場が暴落したのがきっかけです。実際には、サブプライムローンそのものの比率は多くはなかったのですが、一度収縮した信用は、あっという間に世界中に広がり、世界中の株価が暴落しました。その意味では、株価の暴落は必ずしも実際の経済を現してはいませんでした。

 

これに対して、今回のコロナショックは、新型コロナウィルスが起こしたパンデミックのために、人々の実際の経済活動が制限され、止まったことによって結果的に生じたものです。経済は、人々の活動によって動いて行くものであり、株価は実際の経済活動の結果として決まってくるものです。時に大きく変動することはありますが、実体経済の本当の姿を現すのが株価と言って良いと思います。

 

株価の急落

リーマンショックの前は、日本の株価は18100円台(2007.3.31)でしたが、バブルがはじけた後は、8100円台(2008.12.31)に落ちました。株式相場の格言に恐慌などの大暴落の時は、株価が「半値、八がけ、五割引」になるというのがあります。これは、大体元の株価の3分の1くらいになるという意味です。株価から見れば、リーマンショックの時と比べると今はまだ元の株価の3分の2くらいですから、まだ軽症です。

 

しかし、リーマンショックの時は言ってみれば「バーチャルな経済活動の低下」であって、実際の人間の活動がそこまで落ちたわけではありませんでした。その証拠に、飛行機は普通に飛んでいたし、レストランや百貨店も普通に開いていました。これに対して今回のコロナショックの場合は、飛行機は飛ばなくなるし、レストランや百貨店も閉まることが多くなっています。短期的に見れば、ずっと経済活動が低下していて重症です。実体経済に大きな影響を与えているので、長期化が進めば、その経済的な落ち込みはリーマンショックの時を大きく上回るようになるでしょう。株価もそれに見合ったところまで落ち込むでしょう。

 

投資家の行動

この様な恐慌の時の投資家の行動パターンは、次の3種類に分類できます。
最もベストな判断は、株価の大幅な暴落が起こる前に金融資産を全部売り切り、手もとに現金を用意する事です。そして、来るべき株価の暴落の時に大量に安く優良な株式を購入する事です。しかし、これは口で言うことは易しいですが、実際にはこの様な判断ができる人は、極めて少ないでしょう。

 

2つ目のパターンは、株価が暴落して慌てて、ほぼ底値で狼狽売りをする場合です。この種の投資家が最も多いと思います。しかし、これは最も危険なやり方です。何故なら、株価が急落していくのでオロオロし、気持ちが動転していて、正常な判断ができないからです。

 

そして最後のパターンは、起こったことは仕方ないと諦めて、これから先について考えながら行動するパターンです。株価の急落にあった投資家は、このくらい太っ腹でいて欲しいと思います。考えてみてください、株価は人の経済活動の結果として決まるものです。新型コロナウィルスの猛威は凄いですが、それでも世界の人口の半分とかが死に絶えるわけではありません。いずれ、この猛威が過ぎ去れば新しい経済活動が始まり、その規模は前とほとんど同じになります。それよりこの様な株価急落の時は、優良株もそうでない株も同じ様に急落しています。仮に自分の持株に不安が有れば、同じように底値にある優良株、コロナウィルスに強い株に買い換えて、時を持つことです。やがて正常な状態に戻る時に、優良株の戻りは早くなるでしょう。

 

コロナショックの行方

それではこのコロナショックはどうなるのでしょうか。先の事は誰にもわかりませんが、今ある情報から予想してみましょう。

 

新型コロナウィルスの治療薬は、いつできるのでしょうか? これについては、かなりはっきりしたことが言えます。有名な学術雑誌「Engineering」に、アビガンという富士フィルムの子会社富山化学の開発した治療薬が新型コロナウィルスにかなり有効ということが報告されています。これは、インフルエンザの治療薬のため、既に承認を受けたものです。新型コロナウィルスのための臨床試験を富山化学が始め、6月末に終わりには新型コロナウィルスのための治療薬として承認されるはずです。中国では治療薬として既に成果をあげているとも放送されています。さらに幸運な事に、日本では200万人分の備蓄が政府にあります。現在、富山化学ではさらなる大増産を進めています。また、中国でも富山化学からライセンス供与を受けた会社があり、中国政府の後押しがあればさらに大量に作る事が可能でしょう。これに対して、残念ながらワクチンは、1年ほどかかるでしょう。

 

治療薬が世界に広がり、致死率が現在の1〜2%から0.1%程度まで下がれば、インフルエンザと同じ程度になり、コロナショックは、そう遠くない将来に急速に収まるでしょう。

 

コロナショックは、実体経済の低下から生じたもので、その意味では株価は正直に今の経済状態を現しています。問題は、いつ新型コロナウィルスの治療薬やワクチンが広く行き渡るかという事で、治療薬アビガンについては比較的早く広がるはずです。

 

*本稿は協力執筆者による記事です。

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