上場廃止になったスカイマークの決算書をもう一度みてみた。

 

2月に民事再生手続きをしたスカイマークの決算書をみてみた。

なぜ、経営に行き詰ったのであろうか?決算書から読み解いてみたい。

昨年の26年3月期の決算短信を調べてみた。発行されたのは去年(26年)の5月だ。

まずもって、自己資本比率を見てみよう。自己資本比率は56.2%だ。

通常であれば、40%以上あるし、問題なしと判断されるところだ。

 

この水準で経営に行き詰るのは、資産内容に問題があるわけだが、こういう場合は固定資産に問題を抱えていることがほとんどだ。

 

固定資産の一部には、単に未来に償却しなければいけない項目を並べている部分があり、そこが大きく膨らんでいると、換金性や担保にもならずに、資金繰りに行き詰ることになる。

 

そこで、決算短信の貸借対照表をみると次のようなことに気付く。

まず、注意を引くところは、有形固定資産合計が240億円から、370億円に急激に増えているところが目につく。赤字企業で、これだけ有形固定資産がふえているところが、とても不自然だ。

 

有形固定資産の項目をさらにより詳しく見てみると、この原因は建設仮勘定が90億円増えていることが主な原因であることがある。短信の本文を読むと、これは、エアバスのA380を取得できるとして、資産に計上したものであることがわかる。

 

一方、キャッシュフロー計算書をみてみると、営業キャッシュフローは、ほぼゼロなのに、投資キャッシュフローがマイナス130億円になっている。これは、先ほどのエアバスA380の一部前払金が主な支出のようだ。

 

さらに、本体事業自体が-20億円赤字なので、これらにより、手元資金が230億円から、70億円に減っている。

 

これでわかることは、手元資金が大きく減っている理由は、本体事業の赤字が原因ではなくて、エアバスの前払金が原因であることがわかる。

 

ニュースではたびたび言われていることではあるが、エアバスに投資をしなければ、いまだにスカイマークは生き残っていたのは間違えないであろう。

 

その後、この手元資金は、四半期ごとに次のように減っていっている。

70億(26年第4四半期)> 72億(27年第1四半期)>45億(27年第2四半期)>7億(27年第3四半期)

そして、民事再生手続き開始、上場廃止となった。

 

27年第2四半期あたりで、資金繰りが危なそうなのはわかる。

 

会社のホームページから決算短信をダウンロードして調べて、とにかく資金繰りの危なそうな株には近寄らないことだ。

 

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