上場企業の貸借対照表の左側の資産には、企業の持つ様々な価値のあるはずの資産項目が書いてある。現金、売掛金、有価証券、棚卸資産などの流動資産、また建物、備品、ソフトウェアなどの固定資産が計上されている。
株式投資において、株価を一株当たりの純資産で割った値であるPBRなどの指標が良く参照される。しかし、その実、その資産自身にどれくらい本当に価値があるのかを調べないと、危険な投資をしてしまうことになるだろう。
資産のなかで、現金、有価証券などは、換金性があって、本当に価値のあるものなので問題はない。
売掛金や棚卸資産などは、取引先の倒産などで、現金として回収できない可能性もあるので、その価値を完全に担保できないので、少し注意する必要がある。
そして、本当に問題となるのは、固定資産である。建物、備品、ソフトウェアなどの固定資産は、たいていの場合、換金価値のあるものを書いてあるというよりは、単に将来の費用として計上しなければいけないものを、単にリストとして挙げていると考えたほうがよい。
通常、コンピュータなどを買うと、その費用は買った年に、その費用をすべて計上するのではなく、ある期間(例えば5年間)にわたって、少しづつ費用として計上する。(これを減価償却という。)
例えば、50万円のコンピューターを5年間で減価償却するとすると、毎年10万円づつ費用として計上することになる。
すると、初年度に10万円費用として計上したら、2年目には、将来費用とし計上しなければいけない40万円が残っているので、これを固定資産として、書いておくのである。
こう考えると、減価償却しなければいけない固定資産がたくさんある場合、将来の利益を少なくとも帳簿上、削ることになるので、要注意だ。
資産のすべてが、ポジティブな意味を持つとは限らないことを覚えておいて損はない。
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