アンリツ [6754] の今後の業績と株価の予想(見通し)

今回のコロナ禍は凄まじいですが、少しづつ感染者が減ってきています。それとともに、このコロナショック後の株式市場がどうなっていくのだろうかという事にはとても興味をそそられます。どのような産業が、どのような会社が伸びていくのでしょうか、ゆっくり考えてみましょう。

 

コロナ禍

誰もが、今回のコロナ禍の凄まじさには驚かされ、恐怖を感じ、ただただ恐れおののいていることと思います。株式市場でも、これまでには経験したことのないような世界的な恐慌が起こっています。今回のコロナショックは、従来までのバブルの結果としての恐慌と大きく異なり、新型コロナウィルスの感染を防ぐために、自らが経済活動を縮小した事による恐慌です。実体経済のほぼ全面的な活動中止に近いもので、社会の中のほとんどの産業が活動中止に追い込まれています。

 

コロナショック後の世界

現在コロナ禍は凄いものの、少しずつですが日本でも感染者の数が減ってきていて、コロナショック後の世界について考えられるようになって来ました。先のことを予想するのはたいへん難しいことですが、投資家はいつも少し先のことを予想しながら行動しなければなりません。おそらく、コロナショック以後の世界はこれまでの世界とは大きく異なってくるでしょう。

 

例えば、今は人との接触を減らすためにテレワークがかなり強制的に広がり始めています。この流れは、さらに加速すると考えられます。仕事の種類がテレワークで可能なものとそうでないものがはっきりと分類され、多くの仕事が会社に出社しなくても可能となるでしょう。国際会議などもテレワークのような形に変わっていくでしょう。

 

また、アマゾンや楽天やヤフーなどの電子商取引が、さらに盛んになると思われます。これに対して、リアルの店舗販売はかなり衰退するのではないでしょうか。また、レストランなども衰退が始まり、高級品のテイクアウトや出前などが盛んになり、それと共に宅配業や出前業などがかなり隆盛を極めることになるでしょう。産業構造も大きく変わっていくかもしれません。また、中国に依存していた素材産業のうちで必須の部分は日本に回帰するでしょう。今回のようなことが起こった時に、中国からの部品だけでなく素材が来ないために完成品ができないことがないようにと、経営者の心には深く刻まれたことでしょう。

 

コロナショックに強い会社

それでは、コロナショックを乗り越えて、新たに日本の産業の牽引役なるのは、どのような産業なのでしょうか。それは、現在の状況をよく考えてみればわかってきます。

 

一番わかりやすいのは、今多くの会社で行っているテレワークです。これまでも、テレワークの必要性は何回も言われて来ましたが、その割にはなぜあまり普及しなかったのでしょうか? 理由はいろいろありますが、大きな理由の一つが通信回線の細さです。これは、テレワークがテレビ会議など、主として動画を使う場合が多いからです。動画が多い通信は通信量が多く、現在でも通信回線に負荷が大きく、なかなか常用というところまで行きにくいのです。

 

また、教育分野でのテレワークとして、例えばeラーニングというシステムが開発されていますが、これも実際の授業と比較するとかなり使いにくいものです。ノートと動画が別々の領域を占めているからです。本来であれば、動画の中でノートも見せられるようになっていないと不便です。しかし、それはかなり難しく、その原因も通信回線が細いことに由来します。また、学生が一度に50人も同時にアクセスすればかなりの遅延が生じることも問題になっています。

 

これらの問題を解決するには、5Gの通信回線が必要になって来ます。幸運なことに、今年から5Gの商業利用が始まり、大きな変革が起こると思います。

 

5Gの影響

普通、5Gと言えば映画のダウンロードが格段に速くなるくらいだと思っていませんか? 確かに、これまで5分くらいかかっていた映画のダウンロードが3秒くらいになるので便利だということはあります。しかし、このような事は実は些細な事です。

 

5Gは、多くの産業に計り知れないほど大きな影響を与えることになります。例えば、車などの設計そのものは、今やコンピューター上でされています。設計したものから3次元の車体を作り、その欠点を見つけ、設計にフィードバックするというようなことは、それぞれが特別なコンピュータ上でやるために情報の転送容量が問題となります。5Gは、このような欠陥を全て取り除けるために、車の設計は信じられないくらい速くなるでしょう。

 

また、服や靴なども個人の寸法を測り、デザインを決め、縫製をするまで、5Gの登場で数時間に短縮されるようになるでしょう。もはやアパレル類のストックは必要なくなります。そのほか、ダビンチなどの手術用器械を使うような遠隔地の手術や医療、車の自動運転、無人工場など、多くが通信環境の大幅な改善により現実となります。その根本には、通信技術の画期的な向上があります。

 

5Gがこれまでの4Gと大きく違うのは次の3点です。その特徴は、超高速、超多数同時接続、超低遅延と言われています。

 

(1) 5Gの通信速度は、理論的には4Gと比較して100倍くらいの速さがあります。このため、従来5分くらいかかっていた映画のダウンロードが3秒くらいに短縮されます。

 

(2)また、同時に接続できる端末数が格段に増えます。4Gの場合は、スマホやPCなどの数台の接続が限度ですが、5Gであれば、100個程度の機器やセンサーのネットへの同時接続が可能になります。

 

(3)さらに、5Gでは超低遅延が可能となります。ちなみに4Gによる遅延は0.05秒かかりますが、5Gによる遅延は0.001秒ですみます。この差は大きくないように見えますが、自動運転や遠隔地医療や無人工場など、人命に関わることや大きな事故につながるようなテレワークの場合には、特に重要となります。超低遅延の実現によって、ネットを利用する際にタイムラグが発生することがなくなります。

 アンリツ [6754]

アンリツ [6754]の勧め

それでは5Gの広がりと共にどのような企業が発展するのでしょうか? NTTやauやソフトバンクのような通信会社が利益をあげそうな事はすぐに予想がつきます。他に伸びそうな企業はないのでしょうか?

 

米国でゴールドラッシュが起こった時に最も利益を上げたのは、金を掘り当てた人々ではなくて、スコップや長靴やジーパンを売った業者だと言われています。同じように、5Gではこれから全国にこの通信網を広げていかなければならないのです。ですから、通信敷設会社や通信機器製造会社などが大きな利益を上げて行く可能性が高いのです。アンリツは、まさにその系統の有力企業です。

 

アンリツ[6754]は、四季報では通信系計測機器メーカーとして分類されています。5G関連チップや端末の開発で多くの利益を上げ始めています。株式の時価総額は2500億円を超えており、この系統の会社としては大手と言って良いでしょう。また、自己資本比率は、68%と十分安全な領域にあります。売上高の伸びは5%程度で少し物足りませんが、営業利益の伸びは50%を超えています。売上高がそれほど伸びいていないにもかかわらず利益が急激にあがるのは、単価の高い5G関連機器の売り上げが多くなっているからです。ROEも11%近くあり、営業キャッシュフローも潤沢です。将来性も十分なのに、現在のPERは22前後にあります。このような有望な会社が、PERで22前後に低迷しているのは、明らかにコロナショックで株価全体が下がっているためです。総合的に考えて、アンリツは安い買い物でしょう。

 

まとめ

コロナショックショック後の産業構造は大きく変わります。そこで、特に5G関連は、産業構造の更なる情報化を進めるために必要になってきます。このような状況の中で、アンリツは、非常に有利な立ち位置にいます。ファンダメンタルからも、アンリツの割安性は強く支持されています。

*本稿は協力執筆者による記事です。