なぜ株価判断する時、PBRよりPERの方が重要なのか?

株価が割高か割安か投資判断をする時によく用いられる方法にPER(株価収益率)とPBR(株価純資産倍率)があります。どちらも株価の評価に使えますが、どちらの方がより株価を評価する時に的確な指標でしょうか?これについて考えてみたいと思います。

 

PER(株価収益率)とは何か?

PER(株価収益率、Price Earning Ratio)は株価を一株当りの利益(EPS)で割った値のことです。通常は15位の値を取ります。日経平均株価のPERもだいたい15倍位です。株価がこの値より高ければ割高、この値より小さければ割安などと判断します。

 

PERが15ということは、利益が全て配当に回ったと仮定すれば15年で配当で投資金額を全て回収できるということです。

 

実際には企業は利益を全て配当に回すわけではありませんが、利益は内部留保や自社株買い、新規投資などに回り株主の間接的な利益還元になります。

 

成長企業であれば、将来の利益の増大を織り込んでPERが30倍や40倍になることもあります。アマゾンやグーグルなどの成長著しい優良企業はPERが一般的に高いです。これは将来、これらの優良企業の一株当たりの利益が2倍、3倍となることを投資家達が予想しているということです。

 

一方、市場が成熟していて、それほど大きな成長が見込めないような会社ではPERが小さい傾向があります。電気、ガスなどのインフラ系企業や車などの製造業はPERが小さくて10倍程度です。

 

その企業のビジネスが、景気に左右されやすいかどうか、成長性があるかを考慮した上で、PERで株価の割安、割高を判断するのが、PERによる株価の投資判断です。

 

PBR(株価純資産倍率)とは何か?

一方、PBR(株価純資産倍率、Price to Book Ratio)によって投資判断をする方法もあります。PBRとは株価を一株当りの自己資本で割った値です。自己資本を全て現金に換金できると仮定すると、一株当りの自己資本は株価と理論的には同じになるはずと考えます。この考え方をとると、PBRは1より大きいか小さいかで株価が割高か割安かを判断できます。つまり、PBRが1より大きければ株価は割高、PBRが1より小さければ株価は割安と判断します。

 

PER(株価収益率)とPBR(株価純資産倍率)のどちらが優れているか?

このように株価の割安、割高を評価する方法としてはPERとPBRの2つありますが、どちらの方が株価の評価方法として重要視すべきでしょうか?このことについて考えてみたいと思います。

 

まず、PBRを用いた株価の割高・割安の判断にはいくつかの問題点があります。まず、自己資本は総資産から負債を引いた金額ですが、総資産の項目には固定資産などすぐに換金できないものが多くあります。また、”のれん”など全く換金できないものもありますし、機械装置など将来に減価償却するものを単に計上しているだけで、金銭的には価値のないものも沢山あります。

 

このように自己資本はすべて現金に換金できないので、PBRが1以下でも、実際には会社を解散しても株価分だけ回収することができないことが普通です。

 

また、会社というのは静的な財産ではなくて、たくさんの人が働いて動的に動いているシステムです。なので、PBRのように、会社の静的で物質的な資産だけで会社を評価するのは企業評価の方法としては良くありません。

 

よってPERとPBRのどちらで株価を評価すれば良いかというと、PERで株価を評価する方が良いでしょう。PERは会社の動的な部分を考慮しているのに対して、PBRは会社の静的な部分を評価しているに過ぎないからです。

 

まず、PERをみて株価が割高か割安かを判断して、PBRは副次的に参考程度に見ておけば良いでしょう。