株式投資におけるファンダメンタル分析(財務分析)入門(初心者向け)

株式投資するには、その企業のビジネスを取り巻く市場環境、競合企業、そしてその企業の財務分析をしなければいけませんが、今回は財務分析について取り上げてみたいと思います。
 

株式投資において、その投資先企業の成長性と安全性を分析することが重要ですが、財務分析をすることはこの両方を確認することに役に立ちます。

 

倒産しそうとかこの先ヤバイ企業は、財務分析することにより、見破ることができます。財務分析で成長性を予測すると同時に、投資の安全性を確認するというディフェシブ目的でも財務分析を活用するのが良いでしょう。

 

まず、財務分析の基礎となる財務諸表は3つあります。損益計算書、キャッシュフロー計算書、貸借対照表です。財務分析をする時も、この順番で良いでしょう。

 

また、セグメント別情報(売上、利益)も重要な情報源です。こちらも欠かさず確認したいところです。

 

損益計算書の基本的な見方

損益計算書には、会社にとって最も重要な利益の構造が書いてあります。まず最初に確認すべき事項です。損益計算書の主要項目としては、売上高、営業利益、経常利益、税引前純利益、税引後純利益といろいろな種類の利益があって、慣れていない人にとってはどれを見れば良いのか混乱しがちです。

 

それぞれの利益はどれも重要なのですが、初心者のうちは「税引き後の純利益」の年ごとの推移だけをみておけば良いでしょう。純利益の場合、一時的な特別利益、特別損失などの影響で数字が大きくブレる事がありますが、数年のスパンで平均してみて、なだらかに上昇していればOKです。

 

純利益は一時的な原因で大きく上下にブレるので、純利益を一年だけとか短期間で見るのではなく、数年、もしくは十数年のスパンでならして全体の傾向を見ることが重要ですね。

 

キャシュフロー計算書の基本的な見方

損益計算書の次に重要なのが、キャシュフロー計算書です。商品が売れても、顧客から実際に入金されるのは一ヶ月後とか時間差があるのが普通です。また、商品が売れた後に顧客が倒産など何らかの理由で入金してくれないこともあります。なので、会計上の数字と実際の現金の流れの間に、時差や誤差があります。この時差、誤差に何か問題がないかを確認するのがキャシュフロー計算書です。

 

つまり、損益計算書で利益が出ているかどうか確認した後に、その裏付けとなるキャシュフローも二重チェックとして確認しておく必要があります。

 

損益計算書とキャシュフロー計算書の数字では、時間差がありますが、数年のスパンでならしてみると同じような動きになるはずです。

 

もし、同じような動きになっていない場合は要注意です。架空売上で、利益を水増ししていたり、減価償却費を少なく見積もって利益を水増ししている可能性があります。

 

損益計算書よりもキャシュフロー計算書の方が会計操作が難しいので、キャシュフロー計算書の方が信頼できます。損益計算書をみたら、その後にキャシュフロー計算書を確認して、二重にチェックすることが重要ですね。

 

キャシュフロー計算書の理想的な形は、大きなプラスの営業キャシュフロー、そしてその範囲内でのマイナスの投資キャシュフローです。これは、本業で大きく現金を稼ぎ、それを新規投資に回していることを示しています。急拡大している優良成長企業によくみられるキャシュフローの形です。

 

貸借対照表(バランスシート)の基本的な見方

損益計算書やキャシュフロー計算書がフロー情報とすると、貸借対照表(バランスシート)はストック情報です。

 

良い経営をすると、フロー情報である損益計算書に利益として計上され、それがストック情報である貸借対照表に現金や利益剰余金として加えられます。

 

逆に悪い経営をすると、フロー情報である損益計算書の利益が赤字になり、それがストック情報である貸借対照表の負債増加や利益剰余金の減少になります。

 

貸借対照表にはこれまでの経営の結果が蓄積されていて、良い経営をしていればきれいな貸借対照表に、そして悪い経営をしていれば汚い貸借対照表になっています。

 

複式簿記を勉強したことがある方ならば、フロー状態である損益計算書が、ストック情報である貸借対照表(バランスシート)にどのように影響与えるか知っているかと思います。

 

貸借対照表でまず注意した方が良いことは、当面の資金繰りに困らない程度の十分な現金および現金同等物があるかどうかです。投資先企業が突然潰れたりしないことを確認しておきましょう。

 

また、固定資産にのれんなど、将来償却しなくてはいけないものが多くないか注意する必要があります。

 

さらに固定資産にはのれん同様に、機械設備などいずれ償却しなければならない将来の費用となるものが、単に固定資産としてリスト化されている場合もあります。これらの固定資産は、将来損益計算書の費用として計上され利益を削る原因となりますので、この場合は資産というよりは将来の費用の目録という感じに捉えた方が良いでしょう。この手の将来償却される固定資産は、機械メーカーなどによくみられます。

 

セグメント別情報の基本的な見方

多くの企業は単一セグメントで一種類のビジネスだけをしているのではなく、複数のビジネスをしているのが普通です。例えばアマゾンとかであれば、ECサイト(アマゾンのインタネット通販)だけでなく、様々な企業にインターネット環境を提供するAWSというクラウドサービスもしています。

 

そのため、通期の決算短信などでは、財務諸表の他にセグメント別の情報(売上、利益)などが掲載されています。これは、その企業がもつ複数のセグメント毎(各ビジネスごと)の売上、利益が掲載されておりとても有益な情報です。このセグメント別の売上、利益を見ることによって、その企業のどの分野のビジネスが儲かっているのか、各ビジネス毎の利益率などもわかります。

 

また、海外でも事業展開している企業だと、地域別の売上、利益の情報が掲載されています。地域というのは、アジア、北米、ヨーロッパなどのエリアを指します。この地域別の売上、利益の情報を見ることによって、その企業がどれくらい海外進出が進んでいるのかわかります。

 

まとめ

このようにして、企業の財務情報を損益計算書、キャシュフロー計算書、貸借対照表、セグメント別情報の順に見ていけば、その企業の成長性と安全性を見積もることができます。また、多くの企業の財務分析をして慣れてくれば、企業を見る目が少しづつ養われていきます。このプログでも様々な企業の財務分析をしていますので参考にしていただければとおもいます。