株価急上昇、暴落、平常時の証券会社社内の様子はどんな感じ!?

株の売買をしている中でつい短期的に一喜一憂してしまうことはないでしょうか。自分が所有している株が上昇すれば嬉しいですが、買おうと検討している株が上がってしまうのは損した気持ちにもなり複雑です。この感情は証券マンも同じです。

 

長期的な投資を勧めてはいますが、短期的な相場の上げ下げに目がいってしまうこともあります。しかし証券会社の場合は相場の上下によって個人の感情だけでなく社内の雰囲気も変わります。上昇時と下落時では雲泥の差です。そこで本稿では相場別証券会社社内の様子を元証券マンが解説します。

 

1日のスケジュール

まず証券会社の1日のスケジュールについて紹介します。午前・午後・大引け後で解説します。大引け後とは株の売買できる時間が終わった15時以降のことを指します。

 

午前

株の取引ができる9時になるまでは情報収集に費やします。昨日のあった出来事や海外のニュース等を整理し、その日の売買のネタになりそうな話題をピックアップします。日経新聞はマストで読み、地方の場合は地方紙、証券雑誌が出た日には参考程度に目を通します。

 

自分の相場観を信じてお客様に勧めるのも良いですが、会社としてのおすすめ銘柄も開示されます。それら全ての情報も網羅するとなると1時間〜2時間はすぐに過ぎてしまいます。そのため証券マンの朝は早くなりがちです。

そして9時になり売買ができるようになると一斉に電話をとります。海外の影響を受けて相場が上下しやすいのと、お客様もその日の情報を気にしているからです。担当しているお客様に1件1件電話していると午前中は慌ただしく、あっという間に午後になってしまいます。

 

午後

午後になると個々に動きの違いが見られるようになります。社内でそのまま電話をするものもいれば、お客様の下に足を運ぶものもいます。しかし午前ほどバタバタしている様子はなく基本落ち着いています。日本では重要な指標が午後に発表されることが多いので、その時間帯は気を張っているくらいです。

 

大引け後

大引け後はこれからの投資の戦略を立て直したり、海外の相場も動き出すので再度情報収集したりをします。役職が低い人や、担当しているお客様の数が少ない人ほど外出をして社内に残っていることは少ないです。理由は社内にいてもやることがないので新規のお客様を開拓しに出かけるからです。

 

またその日のノルマの調整をします。目標に対して足りない場合は外国債券等を勧めてノルマを達成できるような動きをとります。

 

以上が1日の大まかなスケジュールになります。ではこれに基づき相場別に社内の様子について解説します。

 

相場上昇時

相場上昇時はもちろん社内の雰囲気は明るいです。多少ミスをしたとしてもお客様に利益が出ていれば問題ありません。

 

午前

平常時より社内は活発になります。利益が出ている分、お客様も気分が良いです。電話越しにも伝わります。そのためここぞとばかりに追加の資金導入を狙い、より取引してもらえりように営業をかけます。午後に電話をしていては銀行も閉まってしまうので午前中に電話をして午後に振り込みに行ってもらい、次の日には新しい銘柄を購入してもらう流れです。

 

午後

午後には売買をしてもらうことや資金導入してもらう可能性が低いお客様にもわずかな希望を抱いて連絡をします。またこれまで温めて来た新規の取引をしてもらえるお客様にも連絡をし株を購入してもらうよう勧めます。

 

大引け後

基本ノルマを達成できていることが多いので社内は和気あいあいとしています。そのため外出して暇そうにしている人もいますし、今がチャンスと捉えたくさんのお客様に会いに行こうとする営業マンもいます。

 

やはり相場上昇時はお客様の機嫌も良いので上司の機嫌もよくなり仕事がしやすい雰囲気になります。ここからわかる通り、証券会社の社内の様子は相場の状況によって全てが決まってしまいます。

 

相場横ばい時

続いて相場横ばい時です。相場が動かなければ証券マンもやることが少ないです。証券マンがどれだけ行動しても株価が変わるものではないので、横ばいの時特有の難しさがあります。

 

午前

9時になっても社内は静まり返っている時があるくらいです。相場が横ばいということは目新しい情報もないのでお客様に伝えることもなく連絡をする理由がないからです。

 

午後

大引けの時間に近づくほど社内は騒がしくなります。拠点のノルマが達成できないからです。相場が動かないので株の売買ができるはずもなく、上司の苛立ちのみが上がっていきます。

 

大引け後

大引け後は外出する社員が増えます。社内にいたくないからです。理由は引け後に拠点長はその日の収益等を報告する会議があるので、終わった後機嫌が悪くなっているのが目に見えているからです。そのため社内の雰囲気は悪くなるので外出してお客様と会話をしている方がまだましです。

 

相場下落時

社内の雰囲気は良いものではないです。さらに下落が3日ほど続いたり暴落が起きたりすると最悪になります。一部のスーパー営業マンは暴落を好機と捉える人もいますが、イキイキしているのはごくわずかです。

 

午前

出社直後はそこまで雰囲気は悪くないです。徐々に上司が出社するにつれて雰囲気は悪くなっていきます。いつもはこちらから電話をすると嫌がるお客様でも、珍しくお客様から電話がかかってきます。ピークは10時〜11時の時間帯です。お客様対応をすればするほど営業マンのメンタルは削られていきそれが終わる時間帯です。

 

午後

午後は優良なお客様のところに皆訪問するので、社内は落ち着いています。またお客様のフォローも一通り終わっているので、一息つくことができます。

 

大引け後

大引け後は2つのパターンがあります。ある程度の下落の場合は損切りをして違う銘柄を勧めたり、同じ銘柄を買い増してもらったり等の提案ができるため、ノルマは達成することができます。

 

しかし暴落してしまった場合は提案もできず、ノルマも達成できないためとてつもない雰囲気になります。営業のため外出してもそのまま直帰を選択する社員もいるほどです。こうなると時が過ぎるのを待つのみです。

 

まとめ

証券会社の社内の雰囲気を決めるのは相場ですが、あくまで要因です。結局はお客様の損益の状況とノルマを達成できているか否かです。良い上司に当たればこのようなことはないですが、なかなかそうもいきません。どうしても相場の状況に影響を受けてしまいがちになります。証券会社の社内の雰囲気は外部要因にかなり依存しています。

 

*本稿は協力執筆者による記事です。

*投資は自己責任でお願いいたします。