決算書からわかる割高・割安株の見分け方|決算短信は最初の1ページで8割わかる

株式投資をする時、何を基準にして投資先を決めているでしょうか?

 

好きな商品を製造している会社だからとか、好きなサービスを提供している会社だからというのも、もちろん良い基準だと思います。もう少し投資に慣れてくるとPERやPBRを見たり、配当を見たりする人も多いと思います。

 

しかし、株式で最も重要視しなければいけないのは、その企業から発行されている決算書です。四半期ごとに発行される決算短信や有価証券報告書を見る必要があるのですが、たくさんの項目があって、初心者にはどこに注目して良いのかよくわかりません。

 

そこで、この記事では株式投資する上で、決算書のどこにまず注目すべきか、初心者にわかりやすく解説します。これを読めば、決算書を読んだことのない投資初心者でも少しづつ決算書に馴染んで株式投資が上手になっていくでしょう。

 

株価は企業業績と連動している

株価は、為替レートなどと違い、中長期的には株価を決める基準があります。それは株価は、企業業績に強い相関があるということです。株価は短期的に見ると、異常に上昇したり下落したりすることがありますが、中長期的に見るとその企業業績と連動します。

 

短期的な変動で高値づかみをしなければ、長期的に成長する会社に投資すれば儲かるというわけです。なので、長期投資で成功するには企業業績を見ることが欠かせないわけですが、そのためには企業の決算短信などを読まなければなりません。

 

株を初めたばかりの方が決算短信を見ると、数字の羅列でなかなかその内容を掴むのは難しいですね。そこで、今回は、初心者でも簡単に決算短信の一番重要な点を掴み、決算短信を読めるようにしたいと思います。

 

決算短信を読むのは難しいが最も注目すべき数字は何か?

さて、株式投資を読む上で、決算短信を読む上で最も重要なところはどこでしょうか?

 

スバリ答えます。決算書で最も重要なのは通期の連結業績の「一株当たりの当期純利益」です。

 

このことを、日産自動車の平成28年度通期の決算短信(下図)を例に説明します。

nissan-eps

 

上の決算書の中で最も重要なのが赤丸で囲った最新の「一株あたりの当期純利益」です。上記の決算書では「125円」ですね。この数字が最も重要です。決算書の初心者は最初のうちはここ(一株当たりの当期純利益)だけ見ておけば良いでしょう。

 

決算短信に書いてある「一株当たり当期純利益」から理論株価が計算できる。

そして、次はこの数字(一株当たりの当期純利益)を「15倍」してください。この値はこの会社の理論株価になります。この場合だと、125円掛ける15倍で1,875円が日産自動車の理論株価になります。2016年12月2日現在の日産自動車の株価が1074円ですなので割安と判断できます。

 

実際には、各業界で15倍という乗数が変わってくるのですが、慣れるまではとりあえずなんでも「15倍」でOKです。15倍という数字は、投資した額を15年で回収できるという意味があります。まあ投資家とすれば、15年で元本を取り戻せば満足というところですね。(実際の配当は純利益のさらに一部になるので、実際に15年分配当で元本を取り戻せるというわけではありません。)

 

もちろん決算書の他の数字も重要なのですが、慣れるまではひたすら決算書の「一株あたりの純利益」を見て、それを15倍して株価と比べ続けてみると良いでしょう。だんだんと慣れてくると、他の数字の意味も少しづつわかってきます。いきなり全部を理解しようとしないでポイントを絞るのが上達のコツですね。

 

 

決算短信は、最初の1ページだけで8割わかります

「決算短信を見ましょう」と言われても、何十ページもあるPDFを前に固まってしまう方は多いと思います。ですが安心してください。投資判断に必要な数字のほとんどは、1ページ目のサマリーに載っています。

1ページ目に必ずあるのが、次の項目です。

項目 何がわかるか
売上高 事業の規模と、伸びているかどうか
営業利益 本業でどれだけ稼いだか
経常利益 本業+財務活動を含めた利益(※日本基準のみ)
当期純利益 最終的に残った利益
1株当たり当期純利益(EPS) 理論株価の計算に使う数字
自己資本比率 財務の安全性の目安
配当の状況 1株当たり配当と配当性向
次期の業績予想 会社自身が今期をどう見ているか

それぞれの数字の横には前年同期比の増減率(%)も並んでいます。この1ページを開くだけで、「伸びているか」「稼げているか」「安全か」「いくら配るか」がすべて確認できます。

最初の1ページで、特に注意して見る3か所

①「%」が異常に大きい項目。前年比+180%や△60%のような数字があれば、そこに一時的な要因が隠れています。武田薬品は訴訟の引当金で営業利益が98%減った年があります。

②売上と利益の増減が逆になっている場合。「増収なのに減益」「減収なのに増益」は、必ず理由があります。東京エレクトロンは「過去最高の純利益なのに営業利益は減益」という年がありました。

③次期予想が前期実績より低い場合。会社自身が慎重に見ているというサインです。ただし日本企業は保守的な予想を出す傾向があるので、過去に予想をどれだけ上振れさせてきたかもあわせて見ます。

会計基準によって、載っている項目が変わります

1ページ目を開いて経常利益が見当たらないことがあります。会社が悪いのではなく、IFRS(国際基準)や米国基準を採用しているだけです。これらの基準に経常利益は存在しません。

表紙に「〔IFRS〕」「〔米国基準〕」と書いてあるので、まずそこを確認してください。詳しくは損益計算書の見方で解説しています。

次のステップ

EPSが見つかったら、あとは計算するだけです。

なお、毎回この作業をするのは大変だと感じた方へ。積立NISAの銘柄選びのように決算書を読まなくても続けられる仕組みを土台に置くのも、十分に合理的な選択です。