(株式投資)負債と純資産の分析で注意すべきこと

貸借対照表の右側は、負債と純資産の部があります。右側の上のほうに負債があり、下のほうが純資産があります。今回は株式投資の観点から負債と純資産について解説します。

資産の部 負債・純資産の部
流動資産 流動負債
固定負債
固定資産 純資産

 

負債の項目には、借入金や、買掛金などの項目があり、いわゆる借金がリストされています。負債には流動資産と固定負債があり、負債の上の方に流動資産、下の方に固定負債が書かれています。早く返さなければいけないものから、上から順番に書いてある感じです。早く返さなければいけない負債の方が緊急性があり経営にとっては良くないと考えれらます。(つまり流動負債のほうが固定負債より経営には危険です。)

また、一見すると負債は多ければ多いほど、良くないように見えます。しかし、実は、負債の項目にも、良くないものと、逆にあったほうが良いものがあります。それは、賞与引当金や、退職給付引当金などです。これらの引当金は、将来発生する可能性の高い損失に対して、あらかじめ費用を積んでおくものです。よって、もしこれらを計上していなければ、将来に、その損失が発生した時に、新たに費用が発生してしまうので、引当金などの負債項目は、なくてはならないものです。企業の負債を見るときに、金額が少ないほうが良いものと、逆に金額が多いほうが良いものを区別して、しっかり見ていく必要があります。

さて、まず上のほうに書いてある流動負債から見ていきましょう。

流動負債とは

流動負債とは、通常1年以内に支払期限を迎える負債のことです。流動負債の項目としては、支払手形及び買掛金、短期借入金、コマーシャルペーパー、未払い金、未払い税金、前払い金、賞与引当金などがあります。ただ、流動負債は正確には次のように定められています。

負債が「流動」か「固定」かの判断基準

貸借対照表の負債の部は、流動負債と固定負債の2つに分類されます。ここで、負債が「流動」か「固定」かは次の2つの基準(正常営業循環基準、一年基準)で分類されます。正常営業循環基準とは、通常の営業活動のサイクルにある項目かどうかで流動か固定を判定する基準です。一方、一年基準では貸借対照日から決済までの期間が1年以内であれば流動で、それより長い場合が固定となります。まずは正常営業循環基準で判定をして、通常の営業活動のサイクルから外れた項目は一年基準で判定されます。

本業の営業活動から生じる支払手形や買掛金などは、正常営業循環基準が適用され「流動負債」となります。

流動負債の項目

流動負債の項目としては、以下のようなものがあります。

1、支払手形及び買掛金
2、短期借入金
3、コマーシャルペーパー
4、未払い金
5、未払い税金
6、前払い金
7、賞与引当金など

流動負債は、固定負債よりも早く期限が来るので、あまり大きいと資金繰りに行き詰って、倒産の可能性もあるので、注意する必要があります。

次は固定負債について解説します。

固定負債とは

固定負債とは、大雑把に言って返済期限が1年以上の負債のことを言います。詳しく言うと次の通りになります。本業の営業活動から生じる支払手形、買掛金などは流動負債と分類されます。それ以外の営業活動以外から生じた債務については一年基準が適用されます。なので、貸借対照日から決済までの期間が一年以内であれば流動負債で、一年を超えていれば固定負債と分類されます。注意すべきなのは、通常支払期限が一年を超える負債を固定負債というので、長期借入金でも返済日が貸借対照表日から一年以内になった時は、流動負債に振り替えることになります

固定負債の項目

固定負債としては、社債、長期借入金、退職給付引当金などがあります。

1、社債

2、長期借入金

3、退職給付引当金

この中で、社債や長期借入金は有利子負債として債権者に返さなきゃいけないので、基本的に多すぎるのは問題ありです。一方、退職給付引当金は従業員の退職金を事前に積み立ているので必要不可欠ですね。これが膨らんでいてもとくに問題はないでしょう。従業員の退職金をしっかり用意している優良企業と言えるかもしれません。

負債のなかでも、引当金などのようにあったほうが良いものと、社債などできればないほうが良いものがあることに注意しましょう。

負債は少ないほうが良いのか?

負債の項目には、借入金や、買掛金などの項目があり、いわゆる借金がリストされています。

なので、一見すると、負債は多ければ多いほどよくないように見えます。

しかし、実は、負債の項目にも、良くないものと、逆にあったほうが良いものがあります。

それは、賞与引当金や、退職給付引当金などです。これらの引当金は、将来発生する可能性の高い損失に対して、あらかじめ費用を積んでおくものです。なので、もしこれらを計上していなければ、将来に、その損失が発生した時に、新たに費用が発生してしまうので、引当金などの負債項目は、なくてはならないものです。

企業の負債を見るときに、金額が少ないほうが良いものと、逆に金額が多いほうが良いものを区別して、しっかり見ていく必要があります。

純資産の項目

貸借対照表の純資産の部は、その企業が持っている総資産から負債を除いた正味の資産です。

まず注意すべきなのは、貸借対照表は、その企業が今まで行ってきた企業活動の過去の蓄積が、すべて積み重なった結果が表現されています。いままで、ダメな経営をしていれば、汚い貸借対照表になっているし、良い経営をしていれば、きれいな貸借対象表になっています。

貸借対照表の純資産の部には、おもに資本金、資本剰余金、利益剰余金など様々な項目があるが、もっとも注目すべきは、利益剰余金です。おおざっぱにいえば、企業の内部留保のことです。

純資産の利益剰余金は、これまで企業が稼いできた毎年の利益が積み重なった総利益を表しています。

良い経営をしている会社は、この利益剰余金が充実していることになります。

純資産の部を見るときは、まず利益剰余金に着目すると良いでしょう。