Amazon.com(アマゾン・ドット・コム、ティッカー: AMZN)は、世界最大のEC(電子商取引)プラットフォームでありながら、クラウド事業「AWS」で全社利益の過半を稼ぐ“クラウド覇者”でもある巨大テック企業です。本記事では、2005年〜2025年(直近21年)の実データを用いて、売上や利益、キャッシュフロー、事業セグメント別の推移、株価要因、バリュエーションなどを、初心者にもわかりやすく解説します。数値はすべて米SEC提出のAmazon公式決算(8-K / 10-K)を一次ソースとし、複数系統で二重検証しています。
要点(2025年12月期):売上高 $716.9B / 営業利益率 11.2% / AWS営業利益 $45.6B(全社の約57%)/ 株価は20年で約98倍。
【2026年7月30日発表】2026年 第2四半期 ― 純利益3.4倍、ただしその3分の2は本業の外
Amazonが2026年7月30日に発表した2026年4〜6月期の決算は、数字の桁が普段と違いました。
売上は2,006億ドル(前年同期比+20%)、営業利益は275億ドル(+43%)。ここまでは好調な決算です。ところが最終利益は626億ドル——前年の182億ドルから3.4倍になりました。1株当たり利益は1.68ドルから5.75ドルです。
営業利益が43%増なのに、純利益が245%増。この差はどこから来たのか。
答えは、Amazonがプレスリリースの箇条書きで自ら書いています。
Second quarter 2026 net income includes non-operating pre-tax other income of $53.4 billion, primarily from our investments in Anthropic.
(2026年第2四半期の純利益には、営業外の税引前その他収益534億ドルが含まれる。主にAnthropicへの投資によるもの)
534億ドル。営業利益275億ドルの約2倍です。この記事では、この決算を「本業」と「本業の外」に分けて読み解きます。
その内訳は、本業より本業の外のほうが大きいという珍しい形になりました。
前年191.7億ドルから+43.2%。
本業そのものは力強く伸びています。
前年は16.9億ドルでした。
営業利益の約2倍の大きさです。
※これは保有する持分の評価によるもので、現金が入ってきたわけではありません。
全体像 ― 損益計算書を上から下まで
| 単位:百万ドル | 2026年4-6月 | 2025年4-6月 | 前年同期比 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 200,606 | 167,702 | +19.6% |
| 売上原価 | 95,778 | 80,809 | +18.5% |
| フルフィルメント | 29,633 | 25,976 | +14.1% |
| 技術・インフラ | 33,158 | 27,166 | +22.1% |
| 販売・マーケティング | 11,698 | 11,416 | +2.5% |
| 一般管理費 | 2,788 | 2,965 | △6.0% |
| 営業利益 | 27,461 | 19,171 | +43.2% |
| 受取利息 | 1,295 | 1,085 | +19.4% |
| 支払利息 | △1,314 | △516 | 2.55倍 |
| その他収益(純額) | 53,415 | 1,117 | 47.8倍 |
| 税引前利益 | 80,857 | 20,857 | +287.7% |
| 法人税 | △18,199 | △2,678 | — |
| 実効税率 | 22.5% | 12.8% | +9.7pt |
| 純利益 | 62,647 | 18,164 | +244.9% |
| EPS(希薄化後) | $5.75 | $1.68 | +242.3% |
この表は足し算で検算できます。営業利益27,461 + 営業外収益53,396 = 税引前利益80,857。ぴったり一致します(損益計算書の5つの利益)。
営業外収益53,396百万ドルのうち、53,415百万ドルが「その他収益」です。受取利息1,295と支払利息△1,314がほぼ相殺されるため、営業外のほぼ全部がその他収益ということになります。
もう一つ見落とせないのが実効税率です。12.8%から22.5%へ9.7ポイント上昇しました。税額も2,678百万ドルから18,199百万ドルへ増えています。評価益にも税金がかかるためで、純利益の伸びが税引前より小さくなっている理由がここにあります。
①本業も強い ― 営業利益+43%、その6割をAWSが稼ぐ
「純利益の大半が本業の外」と書くと悪い決算に聞こえますが、本業そのものは非常に好調です。営業利益は+43.2%——売上の伸び(+19.6%)の2倍以上です。
| セグメント | 売上 | 前年比 | 営業利益 | 前年比 |
|---|---|---|---|---|
| 北米 | 1,162億ドル | +16% | 91億ドル | +21.3% |
| 国際 | 422億ドル | +15% | 17億ドル | +13.3% |
| AWS | 422億ドル | +37% | 166億ドル | +62.7% |
ここが最も重要な構造です。AWSは売上では全体の21.0%にすぎませんが、営業利益では60.4%を占めています。Amazonは「小売の会社」に見えて、利益の6割はクラウドから出ている——この構図が、今回さらに鮮明になりました。
②AWSが18四半期で最速の+37%
会社はAWSの成長を「18四半期で最速」と表現し、年換算1,690億ドルの売上ランレートに達したと発表しました。CEOのアンディ・ジャシー氏は次の点を挙げています。
- AWSのAI事業が年換算250億ドル超のランレートに到達し、3桁成長(前年比100%超)。
- チップ事業も年換算250億ドル超で、同じく3桁成長。
- 自社開発AIチップTrainiumについて、AnthropicとOpenAIが複数年・複数ギガワット規模のコミットメントを結んだ。
- 自社CPU Graviton5 を一般提供開始。上位1,000のEC2顧客の98%がGravitonを使用し、売上コミットは前四半期比で約3倍に増加。
- 広告事業が+26%成長。
- Prime会員向けの当日・翌日配送の商品数が上半期に40%以上増加。
ここで注目すべきは「チップ事業が年換算250億ドル」という数字です。AmazonはAIチップを買う側であると同時に、自分で作って売る側でもあるという位置にいます。NVIDIAがAIデータセンターの設備を供給する会社なら、Amazonはその設備を大量に買いながら、自社製の代替品も育てている——AI半導体をめぐる構図は単純な「売り手と買い手」ではありません(AI半導体・全体地図)。
③フリーキャッシュフローがマイナス76億ドルに転落した
この決算で最も見落とされやすく、最も重要なのがここです。会社は直近12か月(TTM)ベースで開示しています。
| 直近12か月(TTM) | 2026年6月末 | 2025年6月末 |
|---|---|---|
| 営業活動によるキャッシュフロー | 1,614億ドル | 1,211億ドル(+33%) |
| フリーキャッシュフロー | △76億ドル | +182億ドル |
営業キャッシュフローは33%も増えているのに、フリーキャッシュフローはマイナスです。会社は理由を明記しています——設備投資(有形固定資産の購入、売却収入等を差し引いた純額)が前年から661億ドル増えたから。そして「この増加は主に人工知能への投資を反映している」としています。
これは今年、AI関連企業に共通して現れている形です。NVIDIAは半年で持分証券が588億ドル増え、テスラは設備投資が142%増えてFCFがマイナスに転落しました。「稼いだ現金より使った現金のほうが多い」局面に、AIの主要プレイヤーが揃って入っています(キャッシュフロー計算書の見方)。
これ自体は悪いことではありません。需要に応えるための先行投資であり、Amazonの営業CFは1,614億ドルもあります。ただし「純利益626億ドル」という数字を見て「現金が潤沢に増えた」と考えるのは誤りです。評価益は現金を生まず、設備投資は現金を減らします。
④支払利息が2.55倍になっている
細かいようで見逃せない変化があります。支払利息が5億1,600万ドルから13億1,400万ドルへ、2.55倍になりました。
巨額の設備投資を賄うために借入が増えていることの表れです。受取利息(12億9,500万ドル)とほぼ同じ規模まで支払利息が膨らみ、両者はほぼ相殺されています。かつて「利息を受け取る側」だったAmazonの財務が、投資局面に入って変わりつつあるということです。
この決算から持ち帰る5つのチェック
- ① 「純利益◯倍」を見たら、まず営業利益と比べる。Amazonは純利益+245%に対し営業利益+43%。事業の成長を測るなら後者です。
- ② 営業外収益の中身を会社の言葉で確かめる。今回は「534億ドル、主にAnthropicへの投資による」とプレスリリースに明記されています。
- ③ 売上シェアと利益シェアを分けて見る。AWSは売上21.0%・営業利益60.4%。全社の平均値だけでは会社の姿が見えません。
- ④ 営業CFとフリーキャッシュフローは別物。営業CFは+33%でもFCFは△76億ドル。差は設備投資(前年比+661億ドル、主にAI投資)です。
- ⑤ 実効税率の変化を見る。12.8%→22.5%。評価益にも課税されるため、税引前の伸び(+288%)ほど純利益(+245%)は伸びていません。
まとめ ― 2026年に読んだ5社を並べる
今年の決算を続けて読むと、「営業利益」と「最終利益」が食い違う会社が目立ちます。Amazonはその中でも最も差が大きい例でした。
| 会社 | 営業利益 | 最終利益 | 本業の外にあったもの |
|---|---|---|---|
| トヨタ | △8.8% | +75.6% | 豊田自動織機の売却益 約6,000億円ほか |
| NVIDIA | +19%(前四半期比) | GAAP +2%(前四半期比) | 持分証券の評価益 77.7億ドル |
| テスラ | △57% | △5% | SpaceX株の評価益 10億ドル+受取利息 |
| Apple | +26.6% | +27.1% | ほぼなし(税引前の1.6%)。ただし関税還付が粗利率を約2pt押し上げ |
| Amazon | +43.2% | +244.9% | その他収益 534億ドル=税引前利益の66.0% |
5社を並べると、対処法は1つに集約されます。営業利益と最終利益の伸び率を並べ、方向や大きさが違えばその間を開く。それだけで、どの会社でも中身にたどり着けます(調整後利益・コア営業利益の見方)。
なおAmazonと同じくAnthropicへの投資を持つAlphabetも、2026年第1四半期の純利益626億ドルのうち約287億ドル(およそ半分)が非公開企業(主にAnthropic)の保有株評価益でした。複数の大手が同じ非上場企業への出資を通じて、同時期に大きな評価益を計上している——これは2026年の決算を読むうえで押さえておくべき事実です。
最後に、投資判断で最も大切な点を書いておきます。評価益はその企業の評価額が変われば、増えることも減ることもあります。今回の534億ドルがそのまま毎期続く前提で理論株価を計算すると、大きく見誤ります。Amazonの実力を測るなら、営業利益275億ドル(+43%)と、AWSの166億ドル(+63%)を見てください。そちらは実際の事業が生んだ利益です。
本記事は2026年7月30日公表の決算プレスリリース、および米国SECに提出されたForm 10-Qなど、Amazon.comが公開している一次資料に基づいて作成しています。情報提供を目的としたものであり、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。
ビジネスモデル概観
Amazonの収益は、大きく次の3本柱で構成されています(金額は2025年12月期)。
- EC(オンラインストア+マーケットプレイス)…自社直販が約2,693億ドル、第三者出品者向け手数料・物流(FBA)が約1,722億ドル。世界販売ユニットの約61%が第三者出品経由です。
- AWS(クラウド)…売上1,287億ドル。売上構成比は約18%に過ぎませんが、営業利益の約57%を稼ぐ“利益の屋台骨”です。
- 広告+サブスク(Prime)…広告が約686億ドル(+22%)、サブスクが約496億ドル。高採算の成長エンジンです。
「薄利多売のEC」で規模と顧客基盤を築き、「高採算のAWS・広告」で利益を稼ぐ——これがAmazonの収益構造の本質です。
売上高・純利益の推移

売上高は2005年の85億ドルから2025年に7,169億ドルへと約84倍(年平均24.8%)に拡大。純利益は2018年に100億ドルを突破し、2025年は約777億ドル(純利益率10.8%)と過去最高益です。2012・2014年は先行投資で赤字、2022年の純損失(−27.2億ドル)は出資先Rivian株の評価損が主因。2023年以降はコスト削減とAWS・広告で営業利益率が一気に2桁へ跳ね上がりました。
営業CF・投資CF・財務CFの推移

3つのCFを並べると「稼いで、すべて投資に回す」体質が一目で分かります。営業CFは2025年に約1,395億ドル(+20%)へ拡大する一方、投資CFは−1,425億ドルとそれを上回る流出。投資CFには設備投資(2025年は純額で約1,283億ドル、前年比+507億ドル)と有価証券・買収が含まれ、AI/データセンター投資で急拡大しました。財務CFは社債発行・償還や自社株買いで増減します。配当はゼロ(2026年の設備投資は約2,000億ドルを示唆)。
財務体質(バランスシート)

総資産は2025年末に約8,180億ドルへ拡大。手元流動性(現金+市場性証券)約1,230億ドルに対し長期有利子負債は約656億ドルと、実質ネットキャッシュ。2025年に長期債157億ドルを新規発行しましたが、財務基盤は極めて強固です。
セグメント別の推移(事業・地域)
主要事業セグメント

売上は「直販+第三者出品」のECが約6割。ただし利益の源泉は別物で、AWS・広告という高採算事業が薄利のECを支える構図です。
地域別・3セグメントの利益構造


数字が雄弁に語ります。AWSは売上シェア18%に過ぎないのに、営業利益の約57%(456億ドル)を稼ぎます。営業利益率も25〜37%と、北米(約7%)・国際(約3%)を圧倒。北米・国際が合計約106億ドルの赤字に陥った2022年も、AWSの+228億ドルが全社を黒字に。AWSこそが利益の屋台骨です。広告(686億ドル、+22%)が第2の利益エンジンとして台頭しています。
| セグメント | 2025 売上 | 2025 営業利益 | 営業利益率 |
|---|---|---|---|
| North America(北米) | 426,305 | 29,619 | 6.9% |
| International(国際) | 161,894 | 4,750 | 2.9% |
| AWS | 128,725 | 45,606 | 35.4% |
| 連結合計 | 716,924 | 79,975 | 11.2% |
※単位 百万ドル
AI事業とAnthropicとの関係 ― AIの売上はどのセグメント?
AI事業はどのセグメントに属するか
結論から言うと、AmazonのAI事業の中心はAWS(クラウド)セグメントに計上されます。生成AIの計算基盤(Bedrock・Trainium貸出・SageMaker等)はAWS経由で提供されるため、AIの利用料はAWSの売上になります。
| AI関連の項目 | 計上先 | 備考 |
|---|---|---|
| クラウドAI(Bedrock・Trainium貸出等) | AWSセグメント売上 | AIで「稼ぐ」中心 |
| 小売AI(Rufus・レコメンド・Alexa+等) | 北米・国際セグメント | 個別開示なし |
| 広告AI(ターゲティング最適化) | 北米・国際(広告売上) | 個別開示なし |
| Anthropic株の評価損益 | 営業外損益 | 営業利益には入らない |
Anthropicへの出資は事業ではなくバランスシート上の持分投資で、評価損益は営業外の「その他損益」に計上されます。2025年はこの営業外損益が約+173億ドルと純利益を押し上げ、営業利益(800億ドル)と純利益(777億ドル)の差を生みました。つまり「AIで稼ぐ売上=AWS」「Anthropic株の含み益=営業外」と分けて見るのがポイントです。
Anthropicとの関係
AmazonはAI開発企業Anthropic(「Claude」開発元)の主要なマイノリティ出資者であり優先クラウドプロバイダーでもあります。関係は「出資」と「クラウド利用」の二本立てです。
| 時期 | 内容 |
|---|---|
| 2023年9月 | 最大40億ドルの出資枠で提携開始(まず12.5億ドル) |
| 2024年 | 追加出資で累計80億ドル。AWSを優先学習基盤に |
| 2025年 | 「Project Rainier」稼働 ― Trainium2 約50万基規模の世界最大級AIクラスタでClaudeを学習 |
| 2026年4月 | 追加50億ドル(将来最大200億ドルまで)。AnthropicはAWSへ10年で1,000億ドル超・最大5GWをコミット |
この関係はAmazonに二重の利益を生みます。①Anthropicが払うAWS利用料がAWS売上を押し上げ、②保有株の価値上昇が営業外利益に。一方で巨額の出資・データセンター投資はキャッシュアウト(図2の投資CF急増)も伴います。

Amazonはどれくらいの持ち分を持っているか
Amazonは比率を公式開示していませんが、報道・推計では約15〜20%のマイノリティ出資とされます(正確な数字はIPOのS-1提出で判明)。議決権なし・取締役の席なしで、独立性を守るため持ち分は約33%未満に上限(参考:Googleは約14%)。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 推定持ち分 | 約15〜20%(非開示・推計) |
| 議決権/取締役 | なし/持ち分上限 約33%未満 |
| 累計出資額 | 約130億ドル(2023 $4B+2024 $4B+2026/4 $5B)+将来最大$20B |
| 帳簿評価額(2026/3) | 転換社債 約$42.2B+無議決権優先株 約$32B=約$74B |
| 推定時価 | 約$145B〜$190B(15〜20%×最新評価額$965B) |
出資の大半は当初転換社債で、2026年Q1に一部が株式へ転換され約33億ドルの税引前評価益を計上。投じた現金(約130億ドル)に対し帳簿評価額が約740億ドルへ膨らむのは、Anthropicの企業価値急騰による含み益です。ただしこれは営業外で、評価次第で増減(評価損もありうる)。2026年のAmazon・Googleの“好決算”は利益の約半分がAnthropic株の評価益だったとも報じられています。
Amazon時価総額は約$2.5兆。うちAnthropic持ち分(推定時価)は約3〜7%に相当します。

AIの実像(Bedrock・Nova・自社チップ)
AmazonのAIは「他社モデルも自社モデルも、自社チップで動かす」垂直統合が特徴です。
- Amazon Bedrock:Claude・Google・Meta・自社モデル等をAPIで提供。
- Nova:Amazon自社開発の基盤モデル群。
- 独自チップ Trainium / Inferentia:NVIDIA依存を下げる自社設計。Trainium2は完売で約140万チップ稼働、Graviton合計で年換算$10B超・三桁成長。
このAI需要がAWSの再加速(2025年通期+20%、Q4は+24%)を支えます。ただしAI投資(減価償却)が先行し、AWS営業利益率は2024年37.0%→2025年35.4%へ小幅低下。短期の利益率を圧迫しつつ中長期成長に賭ける局面です。

Anthropicが使う他社クラウドと、その割合
Anthropicはマルチクラウドで3大ハイパースケーラーすべてを使い分けます。ただしAWSが主力(学習の主パートナー)です。
- AWS(主力):Trainium2を100万基超、10年で$100B超・最大5GW。
- Google Cloud(第2の柱):TPU(Broadcom経由)。2026年に1GW超、2027年から最大3.5GW級(数百億ドル規模)。
- Microsoft Azure(新規):2025年に$30B分(NVIDIA、最大1GW)。NVIDIA・MSからの出資($15B)も。

容量ベースでは概算AWS 約5割/Google 約4割弱/Azure 約1割。ただしGoogleの大型分(3.5GW)は2027年〜で、足元(2026年)はAWSが圧倒的に主力。正確な利用割合は非公開で、これは発表容量の比較です。
| クラウド | チップ | 容量 | 金額コミット | 主な時期 |
|---|---|---|---|---|
| AWS(主力) | Trainium2 100万基超 | 最大5GW | $100B超/10年 | 2024〜 |
| Google Cloud | TPU(Broadcom) | 〜3.5GW | 数百億ドル規模 | 2026〜2027 |
| Microsoft Azure | NVIDIA | 最大1GW | $30B | 2025〜2026 |
株価動向の要因分析

Amazon株は2005年末の2.36ドルから2025年末の230.82ドルへ、20年で約98倍(配当込み約102倍、年率約26%)に上昇。S&P500(年率約11%、約8.5倍)を累積で約12倍アウトパフォームしました(概算)。2020年に急騰、2022年に約半値(84ドル)、その後最高値圏へ。図10では実際の株価(青)が一貫して理論株価(橙)を上回り続けてきた点に注目――市場が常に将来利益を織り込んできた証拠です。2026年6月時点で株価約233ドル、時価総額約2.5兆ドル(世界第5位)、上場来高値278.56ドル(2026年5月)。すべて20:1分割調整後の値です。
バリュエーション分析
再び図10に注目。実際の株価は「EPS×15倍」の理論株価の約2〜3倍で推移し、成長期待を織り込んだ“割高”が続いてきました。ただし近年はプレミアムが縮小――2020年は約5倍でしたが2025年は約2.1倍まで低下。実績PERも2016年頃の150倍超から2026年6月時点で約30倍前後へ低下し、過去5年平均(約65倍)を大きく下回ります。PSRも約3.4倍と過去レンジ(1.7〜4.2倍)の中位です。
| 年 | 実際の株価 | 理論株価(EPS×15) | プレミアム倍率 |
|---|---|---|---|
| 2018 | 75.10 | 15.11 | 5.0倍 |
| 2020 | 162.82 | 31.37 | 5.2倍 |
| 2022 | 84.00 | −4.05 | —(赤字) |
| 2024 | 219.39 | 82.95 | 2.6倍 |
| 2025 | 230.82 | 107.55 | 2.1倍 |
配当と自社株買い

Amazonは創業以来、現金配当を一度も実施していません(無配)。生み出すキャッシュは事業(物流網→近年はAI・AWS)へ再投資。自社株買いも限定的で、2022年承認の100億ドル枠のうち2025年時点で約61億ドルが未使用。むしろ株式報酬(SBC)で株数は10年で約9.3億株→約10.8億株へ緩やかに希薄化。配当狙いではなくキャピタルゲイン狙いの銘柄です。
配当を実際に受け取るには、当然ながら株を保有している必要があります。同じ考え方で選んだ銘柄を並べた高配当株ランキングTOP20と、口座ごとの違いをまとめたNISA対応の証券口座比較もあわせてどうぞ。
リスクと注意点
- 規制・反トラスト:FTCのマーケットプレイス独占訴訟が係争中(公判は2027年2月予定)。2025年9月にはPrimeの「解約しにくい設計」で25億ドル和解。
- 巨額AI投資によるフリーCF圧迫:設備投資は2025年約1,283億ドル→2026年は約2,000億ドル計画。フリーCFは−71%へ急減。
- ECの薄利マージン:北米・国際ECの営業利益率は2〜7%と低い。
- AWSの競争・成長鈍化:Azure・Google Cloudとの競争、AI需要次第で変動。
- 株式希薄化・為替:自社株買いがほぼなくSBCで株数微増。海外比率が高く為替の影響も。
今後の展望
- AWS × 生成AI:Anthropic協業と自社チップTrainiumを軸にAIインフラ需要を取り込み、AWS再加速が全社成長を牽引。
- 広告事業の高成長:Prime Video広告などで+22%成長、AWSに次ぐ柱へ。
- 利益率の構造改善:全社営業利益率は2024年10.8%→2025年11.2%。人員削減などコスト効率化も。
- 新規領域:物流ロボティクス、低軌道衛星「Project Kuiper」など。
まとめ
Amazonは、EC帝国として圧倒的な規模を築きつつ、AWSと広告という高採算事業で利益を爆発的に伸ばし、いまやAI・クラウド投資で次の成長ステージへ。ネットキャッシュの強固な財務と年率約26%の長期リターンを背景に、長期的な投資魅力は大きいと言えます。一方で、巨額AI投資によるフリーCFの圧迫とFTCの反トラスト訴訟をはじめとする規制リスクには要注意。割安とは言い切れないバリュエーション(PER約30倍)も含め、成長性とリスクの両面を冷静に見極めることが求められます。
データソース & 検証
- 財務(売上・利益・CF・BS):米SEC EDGAR提出のAmazon公式決算(8-K / 10-K)。FY2025は2026年2月5日公表の確報値。
- セグメント・広告:Amazon公式決算+stock-analysis-on.net 等で二重検証。
- 株価・リターン:StatMuse/stockanalysis.com/companiesmarketcap.com(20:1分割調整後の終値)。
- Anthropic評価額・出資:Anthropic公式発表、Fortune、CNBC等。
- 直近動向・規制:Amazon IR、FTC公式発表、CNBC等。
本記事は公開情報を複数系統で二重検証していますが、集計方法による軽微な差異が含まれる場合があります。投資CFには設備投資のほか有価証券の売買・買収を含みます。株価・EPS・理論株価・株式数・Anthropic持ち分は分割調整後または推計値(一部概数)です。本記事は情報提供を目的としたもので特定銘柄の売買を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。
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この記事で見てきたような決算の読み方は、どの証券会社で買っても同じように使えます。口座そのものの違いは手数料・取扱商品・使い勝手なので、下の記事で比べてみてください。