【2026年版】大塚ホールディングス(4578)の今後の業績と株価の見通し|純利益を34%上方修正して、それでも前期比は減益

大塚ホールディングス(4578)が2026年7月31日に発表した2026年12月期第2四半期(中間期・2026年1〜6月)は、売上収益1兆3,324億円(前年同期比12.8%増)、事業利益2,806億円(同17.3%増)、営業利益2,785億円(同15.0%増)、親会社の所有者に帰属する中間利益2,156億円(同24.3%増)でした。

すべての事業セグメントが増収で、利益も全段階でプラス。ここまで素直に良い決算は、この夏に読んだなかでは珍しい部類です。

そして会社は同時に通期予想を大幅に上方修正し、配当を年140円から200円へ60円引き上げました。

ところが、その上方修正後の通期予想を前期と並べると、こうなります。

2026年12月期 通期予想 金額 前期比
売上収益 2兆7,250億円 +10.4%
事業利益 4,700億円 +5.4%
営業利益 4,690億円 △2.2%
親会社帰属 当期利益 3,550億円 △2.2%

大幅に上方修正して、なお前期比では減益です。しかも事業利益はプラス、営業利益はマイナスで符号が分かれています。

この記事では、決算短信・決算説明資料・トランスクリプト・質疑応答要旨をたどって、①上方修正の規模と中身 ②2つの利益が分かれる理由 ③下期が弱く見える本当の理由の3点を確かめます。3つ目の答えは、質疑応答にはっきり書かれています。

この決算を1枚で(2026年12月期 中間期)
指標 当中間期(2026年1〜6月) 前年中間期 増減率
売上収益 1兆3,324億円 1兆1,808億円 +12.8%
研究開発費投資前事業利益 4,528億円 4,021億円 +12.6%
事業利益 2,806億円 2,392億円 +17.3%
営業利益 2,785億円 2,421億円 +15.0%
親会社帰属 中間利益 2,156億円 1,735億円 +24.3%
研究開発費 1,722億円 1,629億円 +5.7%
親会社所有者帰属持分比率 73.7% 72.3%(前期末) +1.4pt
通期 事業利益(修正後) 4,700億円(前回予想3,550億円から+32.4%、前期比+5.4%)
年間配当 200円(前期140円から+60円
中間期は全段階で増益。通期は大幅上方修正ですが、それでも前期比では営業利益・純利益がマイナスです。

上方修正の規模は、この夏に読んだなかで最大級です

まず修正の中身です。2026年2月13日に公表した予想からの変更を、会社が金額で示しています。

通期予想(億円) 前回予想(2月) 今回修正 増減 増減率 前期実績
売上収益 25,200 27,250 +2,050 +8.1% 24,688
研究開発費投資前事業利益 7,330 8,550 +1,220 +16.6% 7,989
事業利益 3,550 4,700 +1,150 +32.4% 4,461
営業利益 3,600 4,690 +1,090 +30.3% 4,793
親会社帰属 当期利益 2,650 3,550 +900 +34.0% 3,631
研究開発費 3,780 3,850 +70 +1.9% 3,528

事業利益を1,150億円(+32.4%)、親会社帰属当期利益を900億円(+34.0%)引き上げています。この夏に読んできた決算のなかで、オムロンの営業利益620億円→800億円(+29.0%)が唯一の大幅上方修正でしたが、金額でも率でもそれを上回ります。

上方修正の理由として会社が挙げているのは、次の4点です。

  • 医療関連事業:抗精神病薬「レキサルティ」、抗悪性腫瘍剤「ロンサーフ」の『コア2』製品に加え、持続性注射剤「エビリファイ メンテナ/アシムトファイ」、抗APRIL抗体「ボイザクト」、ロイヤリティ収入が計画以上に好調
  • ニュートラシューティカルズ関連事業:ヘルシアーライフカテゴリーの伸長
  • 販管費:売上増に伴う共同販売費の増加、ADHD治療薬「シントリオ」の米国上市前倒し、為替の影響で増加
  • 事業利益:「売上総利益が計画以上に推移していることに加え、既存事業への投資を効率化することで販売管理費率を計画以上に低減

もうひとつ、見落とせないのが為替前提の変更です。

想定為替レート 前回予想 今回修正
米ドル 150円 158円
ユーロ 175円 185円

ドルを8円、ユーロを10円、それぞれ円安方向に置き直しています。大塚は売上の半分以上を海外で稼ぐため、この前提変更は数字に効きます。実際、質疑応答で会社は「事業利益が為替の影響を除いて4,500億円」と述べており、修正後の4,700億円のうち約200億円は為替によるものだと分かります。

上方修正1,150億円のうち、およそ2割が為替。残る8割が事業の上振れという読み方になります。

大幅増額なのに前期比は減益。理由は前期の側にあります

ここで冒頭の疑問に戻ります。これだけ上方修正しても、なぜ前期比では減益なのか。

通期(億円) 前期実績 今期修正計画 前期比
事業利益 4,461 4,700 +5.4%
営業利益 4,793 4,690 △2.2%
差(営業利益−事業利益) +332億円 △10億円

前期は、営業利益が事業利益を332億円上回っていました。今期はその差がほぼゼロになります。

大塚の「事業利益」は、売上収益から売上原価・販管費・研究開発費を引き、持分法投資損益を加減算したもので、会社が「経常的な収益力を示す指標」として採用しています。営業利益との差は、資産売却益のような経常的でない損益です。前期にはそうした利益が332億円あり、今期はない。だから経常的な収益力(事業利益)は+5.4%で伸びているのに、会計上の営業利益は△2.2%で減る、という形になります。

この構図は、数日前に読んだ小野薬品工業とちょうど裏返しです。

会社が実力とする利益 会計上の利益
大塚HD 事業利益 +5.4% 営業利益 △2.2%
小野薬品 コア営業利益 △9.6% 営業利益 +1.9%

どちらも2つの利益で符号が逆転していますが、向きが逆です。大塚は実力ベースが良くて会計上が悪い。小野は会計上が良くて実力ベースが悪い。調整後利益・コア営業利益の見方で整理したとおり、会社が併記を始めたときは、どちらの数字で語っているかを見るのが実際的です。大塚は事業利益で、小野はコアで語っています。

大塚の場合、利益の開示は3段階になっています。

中間期(億円) 前年 当期 増減率
研究開発費投資前事業利益 4,021 4,528 +12.6%
(研究開発費) △1,629 △1,722 +5.7%
事業利益 2,392 2,806 +17.3%
(経常的でない損益) +29 △20
営業利益 2,421 2,785 +15.0%

研究開発費を引く前の利益まで開示している会社は多くありません。製薬会社にとって研究開発費は将来への投資であり、削れば短期の利益は増えます。その手前の数字を見せることで、「削って稼いだのではない」と示しているとも読めます。実際、研究開発費は1,722億円へ5.7%増えており、中間期の売上収益に対して12.9%です。

下期が弱く見える理由は、特許切れです

中間期の進捗率を見ると、もうひとつの疑問が出てきます。

中間期実績 通期計画 進捗率
売上収益 1兆3,324億円 2兆7,250億円 48.9%
事業利益 2,806億円 4,700億円 59.7%
親会社帰属 利益 2,156億円 3,550億円 60.7%

利益は6割を上期で稼いでいます。下期の事業利益は1,894億円で、上期2,806億円の68%しかありません。会社は意図的に、下期が落ちる計画を立てています。

その理由は、質疑応答にはっきり書かれていました。

質問:「ジンアーク」と「エビリファイ メンテナ」について後発品参入の想定は?

回答:「米国において『ジンアーク』の追加後発品は第3四半期から、『エビリファイ メンテナ』については第4四半期から後発品が上市されることを前提に計画を策定している。『ジンアーク』の追加後発品の上市は、WAC(希望卸売価格)が開示されていることもあり、これまでより高い確率で影響を受けると見込んでいる。ただし、『エビリファイ メンテナ』は後発品が上市されるとしても2026年後半のため、今期業績への影響は織り込んでいない

下期に主力品の後発品(ジェネリック)が出てくる、という前提で計画が組まれています。製薬会社にとって特許切れ(LOE:Loss of Exclusivity)は避けられない事象で、売上が一気に落ちます。上期の好調がそのまま下期に続かないのは、事業が悪化するからではなく、はじめからそう決まっているからです。

下期の中身について、会社はさらに分解しています。

回答(下期計画について):「下期については、売上総利益は362億円の上方修正となる。上期の主力品のトレンドが継続することや期首計画よりLOEによる影響が小さいことを見込んだことが要因。販管費が一番大きく変動し、『VOYXACT』と『SIMTRIYO』の販売にかかる費用を前倒しで計上したことで増加。研究開発費はTranscend社買収に伴う資産取得により費用が増加したことや上期からの期ズレがある開発品があるため下期に費用が増加する」

下期が落ちるのは、売上が落ちるからではなく、費用が増えるからです。新薬2品の販売費用を前倒しし、買収に伴う研究開発費が乗り、上期にずれ込まなかった開発費が下期に来る。そして特許切れの影響は「期首計画より小さい」と、むしろ上方に修正されています。

なお、連結範囲にも変更がありました。新規連結は2社で、Otsuka Clinical Nutrition America LLCとTranscend Therapeutics, Inc.。後者は2026年6月の買収です。売上+12.8%には、2025年5月に米国で開始した輸液事業を含め、買った事業の寄与が含まれています。

特許切れへの備えについては、M&A戦略の質問への回答が率直でした。

回答:「投資規模については、今後の主力品のLOE(Loss of Exclusivity)を見据え、大型買収も視野に入れて臨機応変に検討する」(2035年の売上目標3.5兆円について問われて)

想定を超えて伸びた新薬と、その理由

上方修正を牽引した製品のひとつが、2025年に上市した抗APRIL抗体「ボイザクト(VOYXACT)」です。IgA腎症の治療薬で、質疑応答では上振れの理由まで説明されています。

質問:「VOYXACT」の上期の売上進捗が非常に良かった。当初の想定と違いがあったか?

回答:「想定外の背景として1つあるのは、2025年KDIGOのガイドラインが改訂され、IgA腎症の1次治療から根本的な治療を開始する事が推奨されるようになったこと。それによって、当初、新規患者への『VOYXACT』処方が多くなると想定していたが、既存治療薬からの切り替え症例も実際は約半数おり、影響があったと考えている。今回上方修正した通期計画600億円からのさらなる上振れについても期待はしているが、600億円という計画値は、競合品も上市される予定なので最低クリアしたいレベルと考えている」

診療ガイドラインが変わったことで、新規患者だけでなく既存患者の切り替えが半数を占めた——という説明です。製薬会社の売上が、自社の営業努力だけでなく学会のガイドライン改訂で動くことがよく分かる回答です。

そして通期600億円という数字を「最低クリアしたいレベル」と表現しています。競合品の上市を前提に置いたうえでの水準、ということです。上振れ余地を認めつつ、保守的に置いていると読めます。

もうひとつの新薬が、ADHD治療薬「シントリオ(SIMTRIYO、一般名センタナファジン)」です。米国上市を前倒ししたため販管費が増えましたが、ピーク売上1,000億円の想定は変わっていないと会社は答えています。

配当を60円増やして年200円。「累進配当」を掲げています

今回の発表で、業績予想と並んで大きいのが株主還元です。

年間配当 2024年12月期 2025年12月期 2026年12月期(予想)
金額 120円 140円 200円
増配幅 +20円 +60円

中間配当を70円から100円へ引き上げ、期末も100円を予定。年間200円は前期比+42.9%です。予想EPS 675.47円に対する配当性向は約30%になります。

増配の理由を、会社はこう説明しています。

会社の説明(決算説明資料):「足元の業績好調に加えて、上市したVOYXACTの好調、ネクスト8の開発進捗、NC関連事業の成長等により、当社グループの将来の成長の確実性が高まり、2026年の中間配当を一株100円とすることを決定」

「将来の成長の確実性が高まった」から増やす、という説明です。今期の利益が出たから配る、ではありません。

還元方針そのものも開示されています。柱は「累進配当」——減配しないという方針です。そのうえで、中期経営計画に対するキャッシュの上振れ分を、成長投資を優先したあとで追加還元に回す、という枠組みになっています。

2024〜26年(3年間)のキャッシュ配分 金額
キャッシュ上振れ分(R&D前営業CF) +3,450億円
第3次中計からの繰越 +2,000億円
 合計 5,450億円
①成長投資(中計1兆5,200億円 → 見通し1兆7,600億円) +2,400億円
②追加の株主還元 +1,300億円+α(2025年度に20円増配、自己株式取得1,200億円)

そして第4次中期経営計画(5年間)の株主還元予定は、当初の3,800億円から6,100億円+αへ、2,300億円積み増されています(うち自己株式取得1,700億円)。2026年2月には自己株式の取得および消却も決議しており、自己株式は1,485万株から1,759万株へ増えました。

ただし会社は、質疑応答でこう釘を刺しています。

回答:「今回発表した増配の株主還元についてはサプライズ的な要素もあったと思うが、特に株主還元方針を変えたわけではない。また、成長投資の考え方もこれまでと同じ」

方針は変えていない、枠組みのなかで実行しただけ、という位置づけです。配当利回りと配当性向の見方で整理したとおり、増配のニュースを見たときは「一時的な大盤振る舞いか、方針に沿った継続的なものか」を分けて読む必要があります。大塚の場合は、あらかじめ示した枠組みのなかでの増配です。

同じ夏に読んだ積水ハウスが15期連続増配ながら増配幅は+1円にとどめ、自己株式取得を「見送る方針」としたのとは、対照的な判断になりました。

中東情勢は「影響は限定的」という仮定で置かれています

この夏に追ってきた中東情勢について、大塚の記述は他社とやや違います。

会社の説明(決算短信):「なお、中東情勢、米国の医薬品価格制度及び関税政策の動向については不確実性がありますが、当連結会計年度の業績への影響は限定的であるとの仮定に基づき、重要な会計上の見積りを行っております。これらの状況が今後変化した場合には、当連結会計年度以降において、資産、負債、収益及び費用の報告額に重要な影響を及ぼす可能性があります」

金額は出さず、「限定的であるという仮定を置いた」と明記する形です。これはこれで誠実な書き方で、仮定が外れたときにどうなるかも同時に書いています。

中東情勢の現れ方を、これまで読んだ会社と並べておきます。

会社 中東情勢の扱い方
大塚HD 金額を出さず「影響は限定的であるとの仮定」と明記(米国の医薬品価格制度・関税と併記)
大和ハウス 期初に営業利益△1,000億円を織り込み、Q1後に600億円を取り崩し
明治HD 包材・物流コストとして期初に最大100億円 → 80〜90億円へ見直し
積水ハウス 資材価格上昇として請負型に△65億円
ヤマトHD 荷動きの停滞=物量の下振れ(燃料費は政府補助金で限定的)
ANAJAL 航空燃油費の急騰として費用側に直撃
スズキ 期初に織り込んでいなかったと明言し、通期を下方修正
日本郵船 ホルムズ海峡封鎖が、あるセグメントに追い風・別のセグメントに逆風

製薬会社にとっては、中東情勢より「米国の医薬品価格制度」のほうが大きなリスクです。大塚がこの2つを並べて書いているのは、その順番も含めて示唆的です。

セグメントは、医療関連がほぼすべてです

最後にセグメント別を見ておきます。

セグメント(中間期・億円) 売上収益 増減率 事業利益 増減率
医療関連事業 9,516 +14.1% 2,528 +18.2%
ニュートラシューティカルズ関連 3,001 +8.7% 387 +7.4%
消費者関連事業 175 +10.1% 137 +7.9%
その他の事業 650 +14.5% 59 +24.0%
調整額(全社費用等) △18 △304
連結 13,324 +12.8% 2,806 +17.3%

増収1,516億円のうち1,178億円(78%)が医療関連事業です。事業利益で見ても、増益414億円のうち389億円が医療関連。「ポカリスエット」や「カロリーメイト」で知られる会社ですが、数字を動かしているのは医薬品です。

ニュートラシューティカルズ関連事業(機能性飲料・栄養補助食品など)は売上3,001億円で+8.7%。会社が設定した3つの社会課題別カテゴリーすべてが成長したとされ、上方修正の一因にもなっています。売上規模では全体の23%を占めており、医薬品一本足ではない構造が、この会社の特徴です。

財務は堅固で、親会社所有者帰属持分比率は73.7%(前期末72.3%)。資産合計4兆3,959億円に対して資本合計3兆3,068億円です。

この決算から言えること

整理します。

  • 中間期は全段階で増益。売上+12.8%、事業利益+17.3%、営業利益+15.0%、親会社帰属利益+24.3%。すべての事業セグメントが増収でした。
  • 通期を大幅に上方修正。事業利益を3,550億円→4,700億円(+32.4%)、親会社帰属当期利益を2,650億円→3,550億円(+34.0%)。この夏に読んだなかで最大級の修正幅です。
  • ただし為替前提も動かしています。米ドル150円→158円、ユーロ175円→185円。会社は「事業利益が為替の影響を除いて4,500億円」と述べており、修正後4,700億円のうち約200億円は為替です。
  • それでも前期比では、事業利益+5.4%・営業利益△2.2%と符号が分かれます。前期に営業利益が事業利益を332億円上回る一時的な利益があり、今期はそれがないためです。
  • この符号逆転は、小野薬品とちょうど裏返し。大塚は実力ベースが良く会計上が悪い、小野は会計上が良く実力ベースが悪い。
  • 下期が弱いのは、特許切れを前提に置いているから。米国で「ジンアーク」の追加後発品が第3四半期から、「エビリファイ メンテナ」が第4四半期から上市される前提です。ただし影響は「期首計画より小さい」と上方に見直されています。
  • 下期に費用が集中します。新薬2品の販売費用の前倒し、Transcend社買収に伴う研究開発費、上期からの期ズレ。下期が落ちるのは売上ではなく費用の要因です。
  • 新薬「ボイザクト」は想定超え。KDIGOガイドライン改訂で既存治療からの切り替えが約半数を占めました。通期600億円は「競合品も上市される予定なので最低クリアしたいレベル」とされています。
  • 配当は年140円→200円へ60円増配(+42.9%)。「累進配当」を掲げ、第4次中計の株主還元予定も3,800億円→6,100億円+αへ積み増されています。ただし「株主還元方針を変えたわけではない」と会社は述べています。
  • 増収の78%は医療関連事業。飲料・食品のイメージが強い会社ですが、数字を動かしているのは医薬品です。

次の四半期で確かめたいのは4点です。①ジンアーク・エビリファイ メンテナの後発品参入が想定どおりか ②ボイザクトが600億円を上回るか ③前倒しした販管費が下期にどう出るか ④為替前提158円に対する実勢。

この決算を一言でまとめるなら、「業績は想定以上、それでも前期比は減益、そして配当は大きく増やした」ということになります。3つとも事実で、矛盾していません。前期比が減益なのは前期に一時的な利益があったから、下期が弱いのは特許切れと費用の後ろ倒しを織り込んでいるから、増配できるのは将来の成長の確実性が高まったから。会社はそれぞれに理由を用意しています。

製薬会社を読むときにいちばん重要なのは、「いま売れている薬が、いつまで売れるか」です。大塚は主力品の特許切れを計画に織り込み、その先へ向けて買収と研究開発に資金を振り向けています。M&Aについて「今後の主力品のLOEを見据え、大型買収も視野に入れて臨機応変に検討する」と明言しているのは、その裏返しです。上方修正の華やかさより、この一文のほうが、この会社の現在地を正確に表しているかもしれません。

※本記事は2026年7月31日発表の2026年12月期第2四半期(中間期)決算短信、同日公表の決算補足資料(ファクトブック)、決算説明資料、トランスクリプトおよび質疑応答要旨に基づいています。他社の数値は各社の決算資料によります。特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。

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