【2026年版】明治ホールディングス(2269)の今後の業績と株価の見通し|いちばん売れたカカオが、いちばん儲からなかった

明治ホールディングス(2269)が2026年8月5日に発表した2027年3月期第1四半期(2026年4〜6月)は、売上高2,894億円(前年同期比5.8%増)、営業利益226億円(同27.7%増)、経常利益247億円(同37.8%増)、親会社株主に帰属する四半期純利益152億円(同51.3%増)でした。

増収5.8%に対して、営業+27.7%、経常+37.8%、純利益+51.3%。下にいくほど伸び率が大きくなっています。この形になるときは、本業以外にも理由があるということです。

そして中身を見ると、いちばん売上が伸びた事業が、いちばん利益を落としていました。カカオ事業です。売上+12.7%に対して営業利益は△34.2%。チョコレートは売れているのに、儲かっていません。

この記事では、決算短信・決算説明資料・説明会スクリプトをたどって、①値上げと原材料高の綱引き ②カカオで何が起きているか ③増益の本当の主役の3点を確かめます。数日前に読んだヤマトホールディングスと同じ「値上げの損益」が出てくるのですが、結果がかなり違います。

この決算を1枚で(2027年3月期 第1四半期)
指標 当期(2026年4〜6月) 前年同期 増減率
売上高 2,894億円 2,735億円 +5.8%
営業利益 226億円 177億円 +27.7%
経常利益 247億円 179億円 +37.8%
四半期純利益 152億円 100億円 +51.3%
 食品セグメント 営業利益 151億円 136億円 +10.9%
 医薬品セグメント 営業利益 84億円 47億円 +76.3%
うちカカオ事業 売上/営業利益 436億円/20億円 387億円/31億円 +12.7%/△34.2%
自己資本比率 60.1% 61.2%(前期末) △1.2pt
通期営業利益(据え置き) 1,000億円(前期比+7.2%)。Q1進捗22.7%
増益の主役は食品ではなく医薬品でした。そして最も売れたカカオ事業が、最も利益を落としています。

価格改定で+75億円、原材料高で△53億円

まず食品セグメントを見ます。売上2,339億円(+4.1%)、営業利益151億円(+10.9%)。会社はこの増益14億円を、金額で5つに分解して開示しています。

食品セグメント 営業利益の増減 金額
前年同期(2025年4〜6月) 136億円
売上増減 +69億円
 うち価格改定効果 +75億円
 うち数量やプロダクトミックスの変動など △6億円
原価の変動 △53億円(国内生乳、カカオ豆など)
マーケティング費用等の変動 △16億円(物流費・宣伝費の増加)
その他費用の変動 △3億円(うち構造改革による製造間接費低減+6億円)
その他(子会社損益含む) +17億円(飼料子会社などの増益)
当期(2026年4〜6月) 151億円

値上げで75億円稼ぎ、原材料高で53億円を失いました。差し引き+22億円です。

ここで注目したいのは、数量の影響がわずか△6億円にとどまっている点です。会社も「価格改定効果によって、原材料コストや物流コストの上昇を吸収したことに加え、主力ブランドが堅調に推移したことで、数量減によるマイナス影響を最小限にとどめました」と説明しています。

数日前に読んだヤマトホールディングスも、まったく同じ形で値上げの損益を開示していました。並べてみます。

明治HD(食品) ヤマトHD
値上げの効果 +75億円 +80億円
数量が減った影響 △6億円 △51億円
差し引き +69億円 +29億円
数量の実績 主力ブランドは堅調 宅急便△3.0%、大口法人△8.5%

値上げで稼いだ金額はほぼ同じなのに、失った数量の影響が8倍以上違います。チョコレートやヨーグルトは値上げしても買われ続け、宅配便は値上げすると大口法人が他社に流れる。同じ「値上げ」でも、代替の効きやすさで結果がこれだけ変わるということです。

もっとも、食品にも痛みは出ています。ニュートリション事業の乳幼児ミルクは「インバウンド需要の減少が継続し減収」。訪日客の減速は、JR西日本大和ハウスのホテル事業でも見た話で、粉ミルクの売れ行きにまで届いています。

いちばん売れた事業が、いちばん儲からなかった

食品の事業別内訳を見ると、この四半期の姿がはっきりします。

事業 売上高 増減率 営業利益 増減率
デイリー(ヨーグルト・牛乳) 675億円 +0.8% 64億円 +6.2%
カカオ(チョコレート・グミ) 436億円 +12.7% 20億円 △34.2%
ニュートリション(ミルク・ザバス) 309億円 +6.3% 37億円 +20.9%
フードソリューション(BtoB・チーズ) 499億円 +2.6% 20億円 +15.4%
その他(乳原料・飼料) 417億円 +1.4% 8億円 黒字転換

5事業のうち、売上の伸びが最も大きいカカオ事業だけが、大幅な減益です。

売れていないわけではありません。国内は「きのこの山」「たけのこの里」「チョコレート効果」が好調で売上+9.5%、海外は米国・シンガポールの「ハローパンダ」が伸びて+18.4%。市場全体の成長率がチョコレート+4〜5%、グミ+0〜1%とされているので、市場の倍以上のペースで伸びています。

それでも利益が3分の2に減った理由は、ひとつです。

会社の説明(決算短信):「国内は、相場高騰期に調達したカカオ原料の使用や為替の影響により原材料コストが増加し減益となりました」

いま使っているカカオ豆は、相場が高かった時期に買ったものだ、という説明です。第1四半期のコストアップの内訳を見ると、カカオだけで△24億円。国内生乳△13億円、海外乳原料△11億円と続きます。原材料のなかで最大の逆風がカカオでした。

ここで重要なのが、会社の見通しです。

会社の説明(決算説明資料):カカオ原料高の影響は1Qが最大の見通し

「カカオは、相場高騰期に調達した在庫の使用が進み、下期からはコストメリットに転じる見込み

高値の在庫を使い切れば、下期には逆にコストが下がるという読みです。カカオ事業の上期計画は営業利益43億円(前年同期比△10.0%)。第1四半期が20億円なので、第2四半期は23億円を積む想定になります。前年の第2四半期が16億円だったことを踏まえると、Q2単体ではすでに増益に転じる計画です。減益はこの第1四半期がいちばん深い、という見立てになっています。

この「高値のときに買った在庫が、あとから利益を削る」という構図は、業種を問わず出てきます。積水ハウスの米国戸建住宅でも、前期下期にインセンティブを付けて売った物件の引き渡しが、今期の利益率を下げていました。仕入れと販売の間に時間差がある事業では、決算に出てくる数字はいつも数か月前の意思決定の結果です。

なお、カカオ事業のなかでも海外は営業損失△3億円です。米国で「減価償却費や人件費含む製造間接費の増加により減益」とされており、成長のための先行投資が利益を圧迫している段階にあります。会社は「トップラインの成長を継続し、将来的な利益獲得につなげていきます」と述べています。

増益の主役は、食品ではなく医薬品でした

「明治」と聞いてチョコレートや牛乳を思い浮かべる人は多いと思いますが、この四半期の増益を作ったのは医薬品セグメントです。

セグメント 売上高 増減率 営業利益 増減
食品 2,339億円 +4.1% 151億円 +15億円
医薬品 556億円 +13.6% 84億円 +37億円

全社の営業増益49億円のうち、37億円が医薬品です。売上規模では食品が医薬品の4倍ありますが、増益への貢献は逆転しています。

医薬品の増益37億円も、会社が分解しています。

医薬品セグメント 営業利益の増減 金額
前年同期 47億円
売上増減 +28億円(レズロック錠や抗菌薬の増収)
薬価改定の影響 +5億円
原価の変動 △5億円(仕入原価の上昇)
マーケティング費用等 △3億円(普及費などの増加)
その他費用 △4億円(研究開発費などの増加)
その他(子会社損益含む) +17億円(KMバイオロジクスやインドの子会社)
当期 84億円

目を引くのが「薬価改定の影響 +5億円」です。第一三共中外製薬など、これまで読んできた製薬会社の決算では、薬価改定はほぼ例外なくマイナス要因として出てきました。明治では、これがプラスに効いています。会社は「薬価の下支え効果」という言葉を繰り返し使っており、抗菌薬など安定供給が課題となっている医薬品に対する措置が働いたものと読めます。

領域別に見ると、伸びているものがはっきりしています。

主要領域(国内) 売上高 増減率
感染症領域 115億円 +28.1%
 タゾピペ 29億円 +53.9%
 スルバシリン 35億円 +23.8%
ジェネリック医薬品 75億円 +34.7%
レズロック(ROCK2阻害剤) 34億円 +71.0%
血漿分画製剤 29億円 △37.3%(販売切替時の一時的な減)
ヒト用ワクチン 48億円 +27.0%(日本脳炎「エンセバック」好調)
海外事業 170億円 +11.7%(インド子会社好調)

注射用抗菌薬とジェネリック医薬品が、どちらも3割前後伸びています。会社は抗菌薬について「前年同期の市場低調の反動」とも説明しており、前年が落ち込んでいた反動という面もあります。ワクチン・動物薬事業は赤字が△18億円から△4億円へ縮小しました(インフルエンザワクチンは季節性で第1四半期は赤字になります)。

新薬では、選択的ROCK2阻害剤「レズロック錠」が+71.0%。大正製薬と共同販売する不眠症治療薬「ボルズィ」は計画比1.2倍とされています。

中東情勢は、期初に「最大100億円」として織り込まれていました

この夏の決算で追ってきた中東情勢は、明治では包材や物流コストという形で出ています。そして、金額で開示されている点が特徴的です。

会社の説明(説明会スクリプト):「期初に、中東情勢の影響として、包材や物流コストなどを中心に、最大100億円の追加コストアップの見通しとご説明しましたが、中東影響に加えて、為替や海外乳原料の上昇なども含めた直近の見通しでは、通期で最大80-90億円のコストアップと見込んでいます。上期はそのうち30億円程度と見ており、一部は第1四半期ですでに発生しています」

期初に最大100億円と置いたものを、今回80〜90億円に見直しています。ただし新しい数字には為替と海外乳原料の上昇も含まれているので、中東ぶんだけが減ったという単純な話ではありません。会社の書き方も慎重です。

コストアップ全体と、それに対する値上げの関係も金額で出ています。

食品(億円) Q1実績 上期計画 下期計画 通期見通し
価格改定+容量変更 +75 +118 +35 +153
コストアップ(原材料+エネルギー) △65 △125 △15 △140
追加コストアップ(ワーストシナリオ) △80〜90

通期では値上げ+153億円に対してコストアップ△140億円。ここまでは黒字ですが、追加コストアップ80〜90億円を乗せると足りません。その差をどう埋めるかについて、会社はこう述べています。

会社の説明(説明会スクリプト):「まずは配合変更を含むコスト削減や主力品の増売でカバーします。今後の追加コストアップのリスクは織り込みつつも、現時点では対応可能と判断しており、必要に応じて価格改定や容量変更などの施策も厭わず講じることで、通期計画の達成を目指します」

「容量変更」は、価格を据え置いて内容量を減らす手法です。会社がこれを対応策として明示しているのは、率直と言えます。つまり、今年度中にさらなる値上げか実質値上げがある可能性が、決算資料に書かれているということです。

中東情勢の現れ方を、これまで読んだ会社と並べておきます。明治で9社目になります。

会社 中東情勢の現れ方
明治HD 包材・物流コストとして、期初に最大100億円を織り込み → 80〜90億円へ見直し
大和ハウス 期初に営業利益△1,000億円を織り込み、Q1後に600億円を取り崩し
積水ハウス 資材価格上昇として請負型に△65億円
ヤマトHD 荷動きの停滞=物量の下振れ(燃料費は政府補助金で限定的)
ANAJAL 航空燃油費の急騰として費用側に直撃
スズキ 期初に織り込んでいなかったと明言し、通期を下方修正
日本郵船 ホルムズ海峡封鎖が、あるセグメントに追い風・別のセグメントに逆風
丸紅 資源価格を通じて、利益と市況の両面に影響

「期初に金額で織り込み、四半期ごとに見直す」という開示は、大和ハウスと明治の2社だけです。金額を出している会社ほど、あとから検証ができます。

純利益が+51.3%まで伸びたのは、税金が減ったからです

冒頭で触れた「下にいくほど伸び率が大きくなる」構造を確かめます。会社は損益計算書の各段を、増減理由つきで開示しています。

(億円) 前年同期 当期 増減 主な増減要因
営業利益 177 226 +49
営業外収益 15 29 +13 持分法による投資利益+8、為替差益+2
営業外費用 13 8 △4 持分法による投資損失△7、支払利息+2
経常利益 179 247 +68
特別利益 19 13 △5 固定資産売却益△12、補助金収入+3
特別損失 7 21 +13 減損損失+11、固定資産圧縮損+3
税金等調整前四半期純利益 191 240 +48
法人税等 83 77 △5
非支配株主に帰属する利益 6 9 +2
親会社株主帰属 四半期純利益 100 152 +51

まず経常利益が営業利益より19億円多く伸びました。理由は持分法による損益の反転です。前年は投資損失が出ていたものが、今期は投資利益に変わっています(合わせて15億円の改善)。これに為替差益が加わりました。

次に特別損益では逆に9億円分マイナスに働いています。減損損失が11億円増えているためです。ここまでで税金等調整前は+48億円と、経常の+68億円より伸びが縮みます。

ところが最終利益は+51億円。税引前が+48億円しか増えていないのに、最終が+51億円増えたのは、法人税等が83億円から77億円へ5億円減ったからです。

前年同期 当期
税金等調整前四半期純利益 191億円 240億円
法人税等 83億円 77億円
税負担率(法人税等÷税引前) 43.5% 32.1%

税負担率が11.4ポイント下がっています。仮に前年と同じ43.5%で計算すると法人税等は約104億円となり、最終利益は125億円程度にとどまった計算になります。実際の152億円との差、およそ27億円は税金の軽さによるものです。

ただし、ここには注意が必要です。明治は「四半期連結財務諸表の作成に特有の会計処理」を適用しており、これは税金費用を簡便的に計算する方法を含みます。四半期ごとの税負担率は通期の実績とは一致しないのが普通なので、この11.4ポイントがそのまま通年で続くと考えるべきではありません。会社が通期の純利益予想を+78.2%と置いている点も、前期に特別損失があった反動を含む数字です。損益計算書の見方で整理したとおり、利益の伸び率を見るときは、どの段で何が起きたかを分けて読む必要があります。

中国事業の譲渡と、会社が並べた4つの反省

この決算のもうひとつの柱が構造改革です。2つの決定が同時に発表されました。

  • 中国でデイリー事業・BtoB事業の譲渡を決定(2026年12月予定)
  • 国内は冷凍食品事業の生産を終了し、茨城工場を閉鎖(2027年3月末予定)

中国事業の譲渡について、会社は数字も開示しています。譲渡価額は約76億円で、P/L面では特別損失の計上になる見込み。キャッシュは今年度中と2年以内の2回に分けて受領予定です。譲渡が12月のため11月までの実績は今期に取り込まれますが、対象事業はいずれも赤字見込みだったため、2027年度からは減益要素が減ることになります。会社は中国事業全体で来期の黒字化を目指すとしています。

注目したいのは、社長がこの決定の背景を説明した言葉です。

会社の説明(説明会スクリプト):「中国については、厳しい競争や需要の変化という外部環境要因はありつつも、変化のスピードが速い市場の中で、自社の強みの定義が不十分なまま、売上成長を重視し、楽観的な成長ストーリーを描いていた点が大きな反省点でした」

そして決算資料には、「過去」の問題点として4つが列挙されています。①全社視点でのスピーディーな経営判断の欠如 ②”総花的”な展開、非効率な資源配分 ③自社展開へのこだわり ④市場分析・競争優位性の見極めに甘さ。

決算説明の場で、自社の判断ミスをここまで具体的に並べる会社は多くありません。「楽観的な成長ストーリーを描いていた」という表現は、投資家に向けて過去の説明が甘かったと認めることでもあります。読み手としては、この率直さを評価しつつ、同時に「では今の計画はどうか」を同じ目で見る必要があります。

中国事業の不振は、これで業種をまたいで5例目になりました。資生堂(化粧品)、エーザイ(医薬品)、オムロン(血圧計)、大和ハウス(不動産・通期赤字計画)、そして明治(食品)。どの会社も「回復していない」という認識で一致しており、明治は事業そのものを手放す判断に至りました。

財務面も見ておきます。商品及び製品が176億円増え、有利子負債が1,125億円から1,382億円へ256億円(+22.8%)増えました。短期借入金+198億円、コマーシャル・ペーパー+160億円が中心です。原材料の調達が在庫と借入の両方を押し上げている形ですが、自己資本比率は60.1%と高く、財務の余裕は大きい水準です。

キャッシュ・フローは大きく改善しました。営業キャッシュ・フローは前年同期の△51億円から+147億円へキャッシュ・フロー計算書の見方で整理したとおり、利益が出ていても在庫が積み上がれば営業CFは沈みます。前年がまさにその状態で、今期はそこから戻りました。

配当は年間110円の予想で、前期の105円から5円の増配です(中間55円・期末55円)。通期予想と合わせて、今回の発表での修正はありません。

この決算から言えること

整理します。

  • 食品は価格改定効果+75億円で、原材料コスト増△53億円を吸収。そして数量の影響はわずか△6億円にとどまりました。
  • 同じ「値上げの損益」でも、ヤマトHDとは結果が大きく違います。値上げ効果は+75億円と+80億円でほぼ同じなのに、失った数量の影響は△6億円と△51億円。代替の効きやすさの差がそのまま出ています。
  • 最も売れたカカオ事業が、最も利益を落としました。売上+12.7%に対し営業利益△34.2%。理由は「相場高騰期に調達したカカオ原料の使用」で、Q1のコストアップはカカオだけで△24億円です。
  • ただし会社は「カカオ原料高の影響は1Qが最大」「下期からはコストメリットに転じる見込み」としています。Q2単体では、前年16億円に対し23億円と増益に転じる計画です。
  • 全社増益49億円のうち37億円は医薬品。売上規模は食品の4分の1ですが、増益への貢献は逆転しています。抗菌薬+28.1%、ジェネリック+34.7%、レズロック+71.0%。
  • 「薬価改定の影響 +5億円」。他の製薬会社の決算では通常マイナス要因となる薬価改定が、明治ではプラスに効いています。
  • 中東情勢は包材・物流コストとして、期初に最大100億円を織り込み済み。直近の見通しでは為替・海外乳原料も含めて80〜90億円。「必要に応じて価格改定や容量変更などの施策も厭わず講じる」としており、追加の値上げまたは実質値上げの可能性が資料に明記されています。
  • 純利益+51.3%には、税負担率の低下(43.5%→32.1%)が効いています。ただし四半期特有の簡便な税額計算を適用しているため、通年で同じ水準が続く前提では読めません。
  • 中国のデイリー事業・BtoB事業を約76億円で譲渡(2026年12月予定)。P/Lでは特別損失、キャッシュではプラス。国内では冷凍食品から撤退し茨城工場を閉鎖します。
  • 社長が「楽観的な成長ストーリーを描いていた点が大きな反省点」と明言。資料には自社の問題点が4つ列挙されています。

次の四半期で確かめたいのは4点です。①カカオの高値在庫が本当に使い切られ、コストメリットに転じるか ②追加コストアップ80〜90億円に対して、さらなる価格改定が実施されるか ③値上げを続けても数量が落ちない状態が保たれるか ④中国事業の譲渡に伴う特別損失の金額。

この決算を一言でまとめるなら、「値上げが効いていて、それでも客が離れていない。ただし最も売れている商品でいちばん損をしている」ということになります。ヤマトHDが値上げと引き換えに大口法人の荷物を失ったのに対し、明治は数量をほとんど落としていません。ブランドがあり、日常的に買われ、代わりが効きにくい商品を持っていることの価値が、この対比にはっきり出ています。

一方で、カカオの一件は「売れているかどうか」と「儲かっているかどうか」は別問題だという、いつもの教訓を改めて示しています。売上の伸び率だけを見ていたら、この事業が減益だとは気づけません。セグメントを開けて、売上と利益を別々に見る。それだけで見えるものがあります。

※本記事は2026年8月5日発表の2027年3月期第1四半期決算短信、同日公表の決算短信補足説明資料、およびアナリスト・機関投資家向け電話会議のプレゼンテーション資料・スクリプトに基づいています。他社の数値は各社の決算資料によります。特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。

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