【2026年版】信越化学工業(4063)決算分析|半導体が稼いだ188億円は、塩ビの180億円で消えた

信越化学工業(4063)が2026年7月24日に発表した2027年3月期 第1四半期(2026年4〜6月)の決算は、見出しだけ見ると穏やかです。

売上高6,624億円(前年同期比+5.4%)、営業利益1,737億円(+4.2%)、経常利益1,921億円(+5.8%)、親会社株主に帰属する四半期純利益1,308億円(+3.5%)。前年の第1四半期が営業利益△12.7%の減益だったことを考えれば、順当な回復に見えます。

ところが、増益額はわずか69億円です。

その中身を開くと、まったく違う光景が出てきます。半導体材料(電子材料)が188億円の増益を作り、塩化ビニル(生活環境基盤材料)が180億円の減益を出しています。ほぼ同じ大きさで、向きが逆。互いに打ち消し合った結果が「+4%」でした。

この会社に何が起きているのか。決算短信と、同日の決算説明電話会議の要旨から確かめていきます。

図解:増益69億円の裏で、2つの事業が打ち消し合っていた
「営業利益+4%」という数字は、2つの正反対の動きの差し引きでした。
電子材料(半導体材料)
営業利益 +188億円
831億円 → 1,019億円(+23%)
売上 2,402 → 2,792億円(+16%)
AI関連が牽引、シリコンウエハー・フォトレジスト・マスクブランクス
生活環境基盤材料(塩化ビニル)
営業利益 △180億円
528億円 → 348億円(△34%)
売上 2,444 → 2,277億円(△7%)
5月後半にアジア市況が変調、値上げが巻き戻された
この2つの差し引きは
+8億円
残りは機能材料+48億円、加工・商事+5億円 → 全社で+69億円
売上でも主役が入れ替わった
前年は塩ビ 2,444億円 > 電子材料 2,402億円
今期は電子材料 2,792億円 > 塩ビ 2,277億円
営業利益の構成比は 49.8% → 58.7% へ(電子材料)
読み方:全社の伸び率だけを見ると「横ばいに近い会社」に見えます。実際には、稼ぐ場所が半導体へ移っている最中です。
出典:信越化学工業 2027年3月期 第1四半期決算短信・決算説明電話会議要旨(2026年7月24日)より作成

全体像 ― 増益なのに、利益率は下がっている

単位:億円 2026年3月期 Q1 2027年3月期 Q1 増減 (参考)前四半期
売上高 6,285 6,624 +339(+5%) 6,399
営業利益 1,668(△12.7%) 1,737 +69(+4%) 1,371
経常利益 1,816(△17.4%) 1,921 +105(+6%) 1,508
親会社株主純利益 1,264(△12.2%) 1,308 +44(+3%) 901
売上高営業利益率 26.5% 26.2% △0.3pt 21.4%
ROIC(年換算) 16.0% 15.0% △1pt
ROE(年換算) 11.5% 11.6% +0.1pt
1株当たり四半期純利益 66.48円 70.39円 +5.9%

3つ、押さえておきたい点があります。

  • 前年(分母)が減益だった。2026年3月期Q1は営業利益△12.7%、経常△17.4%、純利益△12.2%。低いところからの回復であることは意識しておく必要があります
  • 増収なのに営業利益率は下がっている(26.5%→26.2%)。ROICも16.0%→15.0%へ1ポイント低下。利益率の高い塩ビが縮み、その分を電子材料が埋めた結果です
  • 直前の四半期(2026年1〜3月)と比べると、大きく回復している。営業利益は1,371億円→1,737億円で+26.7%、純利益は901億円→1,308億円で+45.2%です

前年同期と比べるか、直前の四半期と比べるかで、印象がまったく変わります。四半期決算は必ず両方を見るべきだ、という典型例です。

なお1株当たり純利益は+5.9%と、純利益の伸び(+3.5%)を2.4ポイント上回っています。期中平均株式数が19.02億株→18.59億株(△2.3%)と減っているためです(配当利回りと配当性向の見方【図解】)。

①セグメント ― 主役が塩ビから半導体へ入れ替わった

単位:億円 売上高
2025年4-6月
売上高
2026年4-6月
営業利益
2025年4-6月
営業利益
2026年4-6月
増減
電子材料 2,402 2,792(+16%) 831 1,019(+23%) +188
生活環境基盤材料 2,444 2,277(△7%) 528 348(△34%) △180
機能材料 1,100 1,182(+7%) 240 288(+20%) +48
加工・商事・技術サービス 339 371(+10%) 71 76(+8%) +5
合計 6,285 6,624(+5%) 1,668 1,737(+4%) +69

前年まで、信越化学の売上首位は塩ビ(2,444億円)でした。今期は電子材料(2,792億円)が逆転しています。営業利益の構成比も49.8%から58.7%へ上がりました。

この2つの事業は、作っている場所もまったく違います。

2026年4-6月(億円) 国内で生産 海外で生産
電子材料 2,201(79%) 590
生活環境基盤材料 253 2,024(89%)
機能材料 764 417

半導体材料は国内生産が79%、塩ビは海外生産が89%。塩ビの主力は米国子会社シンテックです。

この構造は、市場別の売上にも表れました。米国向け売上は1,732億円から1,606億円へ7.3%減り、構成比は28%から24%へ下がっています。一方で日本は22%→24%、アジア・オセアニアは33%→35%へ上昇しました。

②見落としやすい落とし穴 ― 塩ビの数字は「3ヶ月前」のもの

ここが、この決算でいちばん重要な注意点です。

決算説明資料の末尾に、こう書かれています。

「米国子会社シンテックは12月期決算であるため、信越化学の連結決算上、四半期ベースで1四半期の期ズレが生じます。信越化学の第1四半期(2026年4-6月期)には、シンテックの第1四半期(2026年1-3月期)が取り込まれています。」

つまり、今回の決算に載っている塩ビの数字は、2026年1〜3月の実績です。

ところが会社が説明している市況の話は、4〜6月の出来事です。

  • 「北米市場にて4-6月で3月に対しポンド当たり7セントの値上げが通った」——これはまだ決算に入っていません
  • 「海外市場で年初来通してきた値上げは5月後半から巻き戻しを被っている」——これもまだ入っていません

良い話も悪い話も、次の四半期の数字に出てきます。「塩ビが34%減益だった」という結果と、「5月後半に市況が崩れた」という説明は、別の期間の話なのです。

実際、質疑応答でシンテックの業績はこう説明されています——「経常利益は、前四半期(2026年1-3月期)比では増益ですが、前年同期(2025年4-6月期)比では若干の減益です」。

海外子会社の決算期がずれている会社では、必ずこの確認が要ります。短信の数字と、社長が語る足元の市況が、同じ期間を指しているとは限りません。

塩ビに何が起きたのか

会社の説明を時系列で整理します。

  • 年初からすべての市場で価格修正に取り組み、イラン・中東での紛争に端を発した原料・エネルギー価格上昇を契機に、全製品の値上げを推し進めた
  • しかし5月後半、アジアと周辺地域で在庫過多や需要減退から市況に変調が生じ、価格が下振れした
  • 会社の見立て——「アジア地域で予想を上回る在庫積み増しがあり、その後、需要の減退が起きた。ただ、それ以上に供給側の過剰反応があったと見ている。供給側次第で直せる情況と踏んでいる」
  • 「実際、先週、中国勢が値上げに転じている。加えて、今週に入り原油価格が顕著に上がっている」(決算発表時点)
  • 北米の需要自体は堅調——「住宅市場は決して芳しくありませんが、産業投資、データセンター、インフラ全般の投資も堅調ですので、それが下支えになっている」

塩ビの需要にもデータセンター投資が効いている——AIの影響が、半導体材料だけでなく塩化ビニルにまで及んでいるのは、覚えておく価値があります(日立製作所のエナジー事業でも同じ現象が起きています)。

③半導体はどこまで強いのか ― 電話会議で語られた生々しい数字

電子材料の好調について、会社は決算説明電話会議で具体的に語っています。短信の本文には書かれていない情報です。

ウエハー市場の実勢

ウエハー市場 前年同期比 前四半期比
300mm 一桁半ばの増加 一桁後半の増加
200mm 10%台半ばの増加 10%台半ばの増加
150mm以下 一桁後半の増加 10%台半ばの増加

とくに目を引くのが次の3点です。

  • 「6月の300mmウエハーの出荷数量は単月として過去最高となりました」
  • 「300mmはウエハーメーカー各社とも現在既にフル稼働の状況であると思われ、今後はウエハーメーカー能力律速の状況になりつつある」
  • 「300mmウエハーで作り切れないデバイスが200mmウエハーで製造されるという現象も一部で起きている」

「能力律速」とは、需要ではなく作る能力のほうが上限になっているという意味です。300mmで足りないぶんが200mmに回っているという話も、需給の逼迫を具体的に示しています。

回復の理由も説明されています。「中東情勢を契機にお客さまの在庫に対する考え方が大きく変化したことに加え、AI需要の拡大を見据えて、増設を予定しているお客さまがある程度の在庫を確保したいと考えている」。

さらに、ダミーウエハーやモニターウエハー(新ライン立ち上げやプロセス確認に使う)が不足気味で、グループ会社である三益半導体の再生ウエハーもフル稼働だとしています。これは新しい製造ラインが実際に立ち上がっている証拠です(再生ウエハーのRSテクノロジーズも同じ市場にいます)。

AI需要をどう見ているか

社長の見方が、この決算でいちばん示唆的な部分かもしれません。

「これまでの半導体は、スマートフォンやパソコン、自動車など、台数ベースで市場を把握できました。一方で、AIはインフラ的な要素を持ち、従来とは全く異質なものと考えています。そのため、これまで以上にしっかりとした契約に基づく事業運営が必要です」

もう一つ、数字として重要なのがこれです——「300mmの1割弱の数量でウエハー2枚使いとなっており、今後さらに拡大していくだろうと当社では見ています」。

AI向けの先端半導体は、1つの製品に2枚のウエハーを使う構造になりつつあるということです。同じチップの数を作るのに、より多くのウエハーが要る。需要の伸び方が、これまでとは違う形になります。

それでも「安易な投資は考えていない」

需要が強いなら増産すればよさそうですが、会社は慎重です。

  • 「設備投資のコストは大きく上昇しています。建設コストや装置、原材料、輸送、ボックス代など大幅に値上がりしており、これらを十分に考慮した価格設定が必要です」
  • 「当社としては工場を作るだけでも前回投資時の倍以上のコストがかかると見ており、安易な投資は考えていません」
  • 増産投資の規模について「10万枚あたり500億円程度か」という質問に対し——「直感的にはそれでは足りないと考えています」

過去の半導体サイクルで各社が学んだのは、好況期の大型投資が次の谷で重荷になるということでした。SUMCO(3436)の記事で見たとおり、設備投資を6割減らしても減価償却費は増え続けます。信越化学の慎重さは、その経験を踏まえたものと読めます。

実際の投資額を見ると、第1四半期の設備投資917億円のうち、電子材料は448億円。通期予想は3,500億円(減価償却2,400億円)で、期初予想から変更はありません。

興味深いのは、減益だった生活環境基盤材料に354億円を投じている点です。これは前期の同セグメント通期投資額678億円の半分にあたります。市況が悪い事業への投資を止めていないということです。

④第1四半期は+4%、通期は+10% ― この落差をどう読むか

会社は通期の業績予想を示しました。ただし前置きがついています——「事業を取り巻く様々な変動要因とその振幅の可能性を踏まえると、通期の業績予想は依然として容易ではありません」。

単位:億円 2026年3月期 実績 2027年3月期 予想 増減
売上高 25,739 27,000 +5%
営業利益 6,352 7,000 +10%
経常利益 7,082 7,700 +9%
親会社株主純利益 4,744 5,250 +11%
1株当たり当期純利益 253円 286円 +13%
売上高営業利益率 24.7% 25.9% +1pt
年間配当金 106円 116円 +10円

ここに落差があります。第1四半期の営業利益は+4%でした。通期は+10%です。

逆算すると、残る9ヶ月(第2〜第4四半期)で営業利益5,263億円を見込んでいることになります。前年の同じ期間は4,684億円ですから、+12.4%の増益を想定している計算です。

つまりこの予想は、下期に向けて加速することを前提にしています。電子材料の勢いが続き、塩ビの市況が持ち直すことが条件になります。

「アナリスト予想を下回ることは認識している」

そのうえで、会社は珍しい発言をしています。

この業績予想がアナリストの予想を下回るものであることは認識しており、その差は生活環境基盤材料セグメントで生じていると見ている。市況について慎重な見方をしているが、同セグメントの収益の浮揚に最善を尽くす」

自社の予想が市場予想より低いことを認め、どのセグメントで差が出ているかまで説明しています。これは投資家にとって非常に有用な情報です。

読み方は2通りあります。会社が慎重すぎるなら上振れの余地があり、会社の見立てが正しいなら市場予想のほうが楽観的だということになります。どちらにせよ、次の四半期で確かめるべき場所は「塩ビ」だと分かっている——これが重要です。

なお、1株当たり当期純利益の伸び(+13%)が純利益の伸び(+11%)を上回る理由も会社が説明しています——「2,500億円の自己株式取得による株数減少を見込んでいる」。同じ日に、自己株式立会外買付取引(ToSTNeT-3)による自社株買いも発表されています。

想定為替レートは7月以降で1ドル160円程度、1ユーロ180円程度為替感応度は経常利益ベースで、1円の変動あたり米ドルで年間37億円、ユーロで2億円とされています(円安で益)。

⑤配当は9年で4.1倍 ― DOEという指標

信越化学は連続増配で知られますが、「何期連続か」より「どれだけ増えたか」を見るほうが実態に近づきます。

2018年3月期 2022年3月期 2026年3月期 2027年3月期(予想)
年間配当 28円 80円 106円 116円
1株当たり当期純利益 125円 241円 253円 286円
配当性向 22% 33% 42% 41%
DOE(純資産配当率) 2.7% 5.4% 4.4% 4.7%

配当は9年で4.1倍、1株当たり利益は2.3倍です。配当の伸びが利益の伸びを上回っているのは、配当性向を22%から41%へ引き上げてきたからです。

もう一つ注目したいのがDOE(純資産配当率)です。これは配当総額 ÷ 純資産で計算され、利益ではなく「積み上げた資本」に対してどれだけ配当しているかを示します。

配当性向は利益が減れば跳ね上がりますが、DOEは純資産が分母なので安定します。信越化学が両方を開示しているのは、利益変動の大きい市況産業でも配当を安定させるという意思の表れと読めます(配当利回りと配当性向の見方【図解】で扱った「分母を何にするか」の実例です)。

⑥財務 ― 自己資本比率79.0%

2026年3月末 2026年6月末
総資産 5兆6,619億円 5兆7,629億円
純資産 4兆6,433億円 4兆7,447億円
自己資本比率 78.7% 79.0%
有利子負債 2,432億円 2,603億円
現金及び預金 1兆6,600億円 1兆6,542億円
1株当たり純資産 2,400円 2,447円

自己資本比率79.0%、有利子負債2,603億円に対して現金及び預金が1兆6,542億円。実質的な無借金経営です。貸借対照表の見方【図解】で見た業種別のバンドと比べても、化学メーカーとして突出した高さです。

総資産が1,010億円増えた理由も会社が説明しています——「主に円安に伴い在外連結子会社資産の円換算額が増加したことによります」。実際、増加分1,010億円のうち622億円は海外子会社の換算レート差で、実質的な増加は388億円でした。

キャッシュフローは営業CFが974億円→1,307億円(+333億円)と改善。投資CFは△1,580億円(設備投資支出905億円、定期預金の増加694億円)。前年にあった自己株式取得3,999億円が今期の第1四半期にはなかったため、財務CFのマイナスは大きく縮んでいます。

⑦半導体関連の各社と並べて読む

同じAI需要の恩恵を受けている会社でも、決算の顔つきは違います。

会社 この四半期の特徴
信越化学(4063) 電子材料+23%だが塩ビ△34%が相殺し、全社は+4%。300mmはフル稼働で「能力律速」
SUMCO(3436) 同じシリコンウエハーだが景気循環の谷。設備投資を6割減らしても減価償却費は増える構造
東京エレクトロン(8035) 「過去最高益」だが純利益÷経常利益が91.1%→76.2%——一時要因の存在
レーザーテック(6920) 10期ぶりの減収減益。同じAI需要でも、装置の受注サイクルは材料と異なる
日立製作所(6501) AI電力需要でエナジーの受注+87%。本業+39.5%でも最終利益は△1.4%

それぞれがAI需要のどこに位置しているかは、AI半導体市場の全体地図で6つの層に整理しています。

信越化学の特徴は、半導体材料と塩化ビニルという「まったく違う周期で動く2つの事業」を持っていることです。これは弱点にも強みにもなります。

今回のように片方が伸びて片方が沈むと、全社の数字は平らになります。ただし逆に言えば、両方が同時に落ちにくいということでもあります。実際、前年の第1四半期は電子材料が伸び悩むなかで全社が減益になりましたが、その谷は今回埋まりました。

この会社を「半導体株」として見るか「化学株」として見るかで、評価はまったく変わります。売上と利益の主役はすでに半導体材料へ移りましたが、塩ビが全社の利益の2割を占めていることに変わりはありません。

この決算から持ち帰る5つのチェック

  • ① 全社の伸び率だけを見ない。営業利益+4%(+69億円)の中身は、電子材料+188億円と塩ビ△180億円の差し引きでした。セグメントを開かないと何も分かりません。
  • ② 海外子会社の決算期を確認する。シンテックは12月期決算で1四半期の期ズレがあります。決算に載っている塩ビの数字は1〜3月のもので、会社が語る「5月後半の市況変調」はまだ反映されていません。
  • ③ 前年同期と直前四半期の両方と比べる。前年同期比では+4%ですが、直前の四半期(1〜3月)と比べると営業利益+26.7%です。
  • ④ 四半期の進み方と通期予想の差を計算する。Q1は+4%、通期は+10%。残り9ヶ月で+12.4%を見込むという前提が置かれています。
  • ⑤ 会社が「市場予想との差」を語っていないか探す。信越化学は「アナリスト予想を下回ることは認識しており、その差は生活環境基盤材料で生じている」と明言しました。次に見るべき場所を会社が教えてくれています。

まとめ

2027年3月期第1四半期の信越化学工業は、数字としては穏やかな増収増益でした。しかし中身は、この会社の稼ぐ場所が入れ替わっている最中であることを示しています。

見出しになりやすい事実 一次資料で確かめた実態
営業利益+4%の増益 電子材料+188億円と塩ビ△180億円がほぼ相殺。差し引きは8億円
増収増益で堅調 営業利益率は26.5%→26.2%、ROICは16.0%→15.0%へ低下
塩ビが34%の減益 その数字は1〜3月のもの(シンテックは12月期決算で1四半期の期ズレ)
半導体が好調 事実。6月の300mmウエハー出荷は単月として過去最高、各社フル稼働で「能力律速」
通期は+10%の増益予想 Q1が+4%なので、残り9ヶ月で+12.4%を見込む計算。下期加速が前提
会社予想は保守的? 会社自身が「アナリスト予想を下回る。その差は塩ビで生じている」と明言

次の四半期で確かめるべきことは、はっきりしています。

ひとつは塩ビの市況です。5月後半に崩れた価格が、会社の言うとおり「供給側次第で直せる情況」だったのか。中国勢の値上げと原油価格の上昇が続いたのか。その答えが、次の決算の生活環境基盤材料セグメントに出てきます。

もうひとつは半導体材料の価格政策です。会社は「現行生産能力を上回る供給要請が来ており、必要な投資とそれを支える価格設定に取り組んでいる」としています。需要が能力を超えている局面で、価格をどこまで通せるか——それが電子材料の利益率に表れます。

本記事は2026年7月24日公表の決算短信および決算説明電話会議要旨など、信越化学工業が公開している一次資料に基づいて作成しています。情報提供を目的としたものであり、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。

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